日刊鹿島アントラーズニュース

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2018年11月1日木曜日

◆2018明治安田生命J1リーグ 第31節(オフィシャル)





J1第31節 vsC大阪

鹿島の未来が輝いた!小田のプロ初得点を守り切り、C大阪に完封勝利!

10月を締めくくるホームゲームで、鹿島が勢いを加速させる勝利を掴んだ。J1第31節、セレッソ大阪戦。カシマスタジアムに難敵を迎え撃つと、52分に小田がヘディングシュートを決めて先制に成功する。追加点こそ奪えなかったが、J1初先発3名を含むフレッシュな面々が躍動し、1-0で完封勝利。リーグ戦では3試合ぶりとなる白星を収めた。

1週間前、鹿島は意地と気迫をみなぎらせてACLファイナルの切符を掴み取った。10月24日、敵地に乗り込んだ水原三星との激闘。後半立ち上がり、8分間で3失点を喫してしまったものの、選手たちは底力を見せて踏みとどまってみせた。円陣を組んで揺るぎない意志を1本のベクトルへと化すと、猛攻撃を敢行。西とセルジーニョがゴールネットを揺らし、3-3のドローに持ち込んだ。2試合合計スコアは6-5。クラブ史上初となる、ACL決勝進出を遂げた。

「ベンチのメンバー、鹿嶋に残っているメンバーも、チームのために結果を出そうと取り組んでいる」。水原三星を沈黙させる一撃を放った数十分後、セルジーニョが語ったのは仲間たちへの思いだった。ピッチに立てない面々も、チームのために全てを注ぎながら日々を過ごしている。「総力戦」の意味を体現してみせた90分を終え、チームは翌朝に帰国の途についた。

久しぶりに2日連続のチームオフを確保し、心身の充電を図る。そして27日、クラブハウスでトレーニングを再開。次なる戦いに向けて準備を進めていった。遠藤やレアンドロも部分合流し、充実の表情でボールを追う。再び始まる連戦の日々を見据え、指揮官は大幅なメンバー変更を示唆するラインナップで紅白戦を敢行。試合前日にはセットプレーの確認を入念に行い、集中力を研ぎ澄ましていった。



前日練習を終えた指揮官は、若武者たちへの期待を隠すことなく言葉に刻んだ。「チーム全体で戦うことに変わりはない。今まで通り、総力戦で勝ちに行く」。そう決意を語り、「今回は若い選手がチャンスを得る。自分のパフォーマンスを出す準備をしていこうと伝えた」と思いを託す。呼応するように、久保田、田中、町田が口を揃えて「自分たちが出て試合に勝てば、チームに勢いがつく」と闘志を燃やしていた。復帰後初勝利を見据える昌子もまた「若いメンバーはギラギラしている。持ち味を出させてあげたい」と、己の奮起とともに後輩への期待を語る。駆け出しの頃に先輩たちのサポートを受けて羽ばたいた日々の記憶を呼び起こすように、背番号3は自らの任務を胸に刻んでいた。





果たして、大幅なメンバー変更は断行されることとなった。ゴールマウスに立ちはだかるクォン スンテ、最終ラインを統率する昌子以外の9選手が水原三星戦から変更に。右サイドバックは小田、センターバックの一角には犬飼、左サイドバックには町田が入る。中盤には百戦錬磨の小笠原と永木がボランチの位置でコンビを組み、攻撃陣はフレッシュな面々に。J1初先発初出場の久保田、J1初先発の田中、山口、そして金森が虎視眈々とゴールを狙う。そしてベンチにはGKの曽ケ端、西、山本、安西、三竿健斗、土居、鈴木が座る。



4試合ぶりに帰還したカシマスタジアム。戦いの時を待つ聖地は突き抜けるような青空、そして秋の深まりを感じさせる気候に恵まれた。ウォーミングアップへと姿を現した選手たちへ、大音量のチームコールが注がれる。プロフットボーラーとして、新たな扉を開くべくピッチに立つ若武者たちを呼ぶ声が叫ばれ、ボルテージが高まっていった。





19時3分、戦いの火蓋が切って落とされた。鹿島は久保田がトップ下の位置に入り、金森と縦関係を形成するシステムで試合を進めた。左サイドの山口、右サイドの田中は持ち味である果敢な突破を繰り出すべく、縦への意識を強く打ち出していく。最初のチャンスは6分、山口のキープから左サイドへ展開。左サイドバックを務める町田がペナルティーエリア左外からクロスを上げると、リターンパスを受ける形となった山口が頭で合わせたが、惜しくも枠の右へ逸れた。鹿島は9分にも、昌子のロングボールからこぼれ球を拾った金森が強烈なボレーシュート。相手GKに阻まれたものの、10分足らずで2度の好機を作り出してみせた。







ただ、15分経過後はC大阪がボールポゼッション率を高める展開となった。両サイドの背後を何度も狙われ、小田と町田が必死のカバーリングを繰り返す。17分には右サイド深くからグラウンダーのクロスを通されてシュートを打たれたが、右ポストに救われた。21分と24分にもゴールライン際まで進出されたものの、ペナルティーエリア内での攻防で集中力を研ぎ澄まし、体を張ってピンチの芽を摘んでいった。



前半最大の決定機は29分だった。敵陣右サイドからドリブルで中央へ持ち込んだ小田のパスを受け、田中が意表を突いたヒールパス。ペナルティーエリア内へ進出すると、金森のリターンを受けて右足シュートを放つ。相手GKに阻まれた後、こぼれ球に反応した山口が至近距離から右足アウトサイドで合わせたものの、惜しくも枠の右へ。決定機を結実させることはできなかったがしかし、貪欲な姿勢を貫き続ける背番号19が、鹿島を前へ前へと牽引していた。



力強く試合を進めていた鹿島だが、前半終了間際にこの夜2度目の大ピンチを迎える。41分、右サイド深くまで進出されて折り返されたボールに合わせられると、シュートが鹿島を襲う。しかし、立ちはだかったのは鬼迫の守護神だった。間一髪、右手で弾いたボールは進路を変え、右ポストに当たってゴールから遠ざかっていく。スンテ、起死回生のビッグセーブ。スコアを許すことなく、0-0でハーフタイムを迎えた。





「勝たないと意味がないぞ!」。勝負の後半へ向かう前、ロッカールームでは互いの闘争心に火をつける声が飛び交った。ゴールを、そして勝利を――。全員の意志を改めて統一し、選手たちはピッチへと向かった。そしてホイッスルを合図に、若武者たちは果敢に攻め込んでいく。田中が、山口が、金森が、ボールを持つと縦へと突破。C大阪を深い位置へ押し込み、敵陣でのプレーを続けていった。

待望の先制点を生んだのは、アタッカー陣が全身で体現した強気のベクトルだった。金森が相手GKへのバックパスを全速力で追うと、距離が出なかった縦パスを中盤でカット。カウンターに転じ、山口が思い切りよくミドルシュートを放つ。相手DFに当たって進路を失ったが、このプレーで得たCKが歓喜をもたらした。52分、永木が蹴った左CK。ニアサイドで小田が跳ぶ。思いを込めて放たれたヘディングシュートは相手GKの手を弾き、そしてゴールラインを割った。1-0。プロフットボーラーとしての2年目、デビューと骨折、幾多もの起伏を乗り越えて先発の座を掴んだ20歳が決めた。









リードを奪った鹿島は、久保田が巧みなスペースワークでパスの経由点として輝きを放つ。4年目の今季、フィールドプレーヤーで唯一出番がなかった背番号26は、己の存在価値を刻み込むがごとく献身した。そして百戦錬磨の小笠原も勝負どころをことごとく抑えた気迫のプレーでミドルゾーンを制圧。次第にカウンターの応酬へと傾斜する中、追加点こそ奪えなかったものの、リードを保ったまま時計の針を進めていった。











鹿島は80分、FKから決定的なヘディングシュートを許したものの、スンテが渾身のセーブ。直後のCKからカウンターを発動し、山口が敵陣を独走して放ったシュートは相手GKの正面を突いてしまった。それでも、9本ものシュートを放ったルーキーの姿勢は間違いないく鹿島を前進させていた。









残り10分を切ってからピッチへ送り出された安西、土居、三竿健斗も着実に任務を遂行。チーム一丸でリードを守り切り、ついに勝利の瞬間を迎えた。1-0。「アントラーズの未来を見に来てほしい」と昌子が語った一戦、DNAの継承を感じさせる気迫の完封で勝ち点3を掴んでみせた。







背番号12は若武者たちの奮闘を誇り、百戦錬磨の面々が示した献身を称えていた。アントラーズレッドが勝利を歌い上げ、そして決戦へ向かう選手たちの背中に情熱を注ぎ込む。次戦は3日後、ついに迎えるファイナルだ。11月3日、聖地にペルセポリスFCを迎え撃つ。ACL決勝第1戦、満員のカシマスタジアムで力強く勝利を掴むために。イラン王者との対峙へ照準を合わせ、チーム一丸で突き進む。アジアの頂を懸けて、痺れるような時間が始まる。









【この試合のトピックス】
・今季のJ1でのC大阪戦で2連勝、昨季の第24節から3連勝を果たした。
・J1でのホームC大阪戦は3試合ぶりの勝利。2013年4月6日、遠藤がクラブの通算1200得点目を決めて1-0で競り勝った一戦以来だった。
・小田がプロ入り初得点を決めた。
・加入4年目の久保田がJ1初先発初出場、今季の公式戦初出場を果たした。
・3年目の田中、ルーキーの山口がJ1で自身初となる先発出場を果たした。

監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・前半のようなアグレッシブな戦いを後半も続けていくこと。
・攻守の切り替えのスピードを一人一人がもっと意識していこう。
・全体的にコンパクトな距離感を保ち、後半も勢いをもって戦おう。


セレッソ大阪:尹 晶煥
・攻撃は必ずシュートで終わること。
・もう少し動き出しを早くしよう。
・後半も集中してプレーしよう。


[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
自信を持って選手たちを送り出したが、今日のパフォーマンスを見て、私自身が勉強させられた。彼らの姿勢に学ばせてもらった。このチームがもう一回り、レベルを上げていく姿を見ることができて、とてもうれしかった。非常にアグレッシブで、勢いもあり、球際も激しかった。C大阪を圧倒する場面も多く見られた。若い選手だけでなく、小笠原を含めて、試合を締める選手たちも非常によくやってくれた。非常に評価できる試合だった。

セレッソ大阪:尹 晶煥
遠くからアウェイまで足を運んでくれたサポーターに申し訳なく思う。大きな意志を持ってカシマへ来たが、結果はすべて私の責任と感じている。選手たちは最善を尽くして頑張ってくれた。もう少し選手たちに声をかけることができればよかったと思うが、足りない部分もあったと思う。残りの4試合で有終の美を飾れるよう、しっかり戦っていきたい。


選手コメント

[試合後]

【小田 逸稀】
(ゴールシーンは)感覚的に入ったと思っていた。みんなが駆け寄って来てくれたので何もできなかったけど、暴れたいくらいの気持ちだった。すごく気持ちよかったし、いろいろな人への感謝の気持ちが出た。点を取れてアピールになったと思う。先輩たちが引っ張ってくれたのでやれたけど、反省も多い。次につなげていきたい。

【久保田 和音】
緊張もあったけど、楽しむことができた。試合の入り方が大事と思っていたので、強気で入った。ここで勝てればACLに勢いが出るし、絶対に勝ってやろうと思っていた。なかなか試合に出られずに悔しい思いがあったけど、これで満足することなく日々の練習から取り組んでいきたい。

【山口 一真】
悔しいという気持ちもあるけど、楽しむことはできた。ただ、点を取りたかった。1対1の場面はあったけど、あれを決められないと生き残っていけない。ACLのメンバーにも入りたいし、点も取りたいし、目立つことができるような活躍もしたい。決めるところでしっかり決められるように練習をしていきたい。

【犬飼 智也】
今までもチーム全員で戦っていたのはもちろんだけど、このような形で、結果で示すことができてよかった。満男さんやスンテ、源くんがしっかりとまとめてくれていた。声を掛け合ってプレーできていた。

【金森 健志】
攻守の切り替えの部分で一真や和音に声を掛けていた。すごくいい形でコミュニケーションを取りながら、落ち着いてプレーできたと思う。点を取りたかったけど、勝ち点3を取れてよかった。

【町田 浩樹】
サイドバックでの出場だったけど、まずは守備から落ち着いて試合に入ることを考えていた。前の選手とコミュニケーションを取りながらプレーできたと思う。マークの受け渡しも難しい場面はあまりなかった。みんなで勝ちに行く姿勢を出せたし、全員で戦った結果だと思う。

【昌子 源】
全員の名前を言いたいくらい、いい試合だった。精度は別にして、勝ちたいという気持ちが伝わってきた。本当に大きい勝利だった。次に勝たないといけない中、今日の姿勢は刺激を与えてくれるものだったし、勢いを与えてくれた。




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