日刊鹿島アントラーズニュース

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2018年8月29日水曜日

◆AFCチャンピオンズリーグ2018 準々決勝 第1戦(オフィシャル)






AFCチャンピオンズリーグ 準々決勝 第1戦

前半90分、2-0。レオとセルジーニョの豪快ゴールで、鹿島が天津権健に先勝!

「こえる」ための戦い、第2章。聖地で迎えた“前半90分”で、鹿島が力強く勝利を掴んだ。AFCチャンピオンズリーグ準々決勝第1戦。カシマスタジアムに中国の天津権健を迎え撃つと、60分にレオ シルバが右足ボレーを決めて先制し、72分にはセルジーニョが強烈なミドルシュートを突き刺してリードを広げる。終盤はパワープレーで押し込まれたが、アウェイゴールを許すことはなかった。2-0。ホームで完封勝利を収め、ベスト4進出へ前進した。

4日前の聖地は失意に覆われていた。磐田との90分、1-0でリード。犬飼がJ1で初めて刻んだスコアで、サックスブルーを打ち破るはずだった。しかし、後半アディショナルタイム。安西のハンドでPKを与え、同点弾を許してしまった。「最後に隙を作ってしまった」と犬飼は険しい表情で振り返る。アクシデントのようなプレーでハンドを取られてしまったが、そこへ至る過程で甘さはなかったか――。悔やんでも、時間は戻ってこない。この悔しさを糧にして、進むしかない。攻守に存在感を示し続けるレオ シルバは「しっかりと切り替えてやっていきたい」と前を向いていた。

背番号12もまた、必死に上を向いていた。スタンドから聞こえてきたのは「選手たちの顔を上げよう」という叫びだった。2ポイントを失った夜から5日後、極めて重要な意味を持つ“前半90分”を控えている。下を向く時間などない。アジアの頂へと続く道を、アントラーズファミリー全員で駆け抜けるために――。ACL準々決勝、聖地で迎える第1戦。5日後の90分に照準を定め、準備を進めていく。

失意から一夜明けたクラブハウス。グラウンドは熱を帯びていた。ベンチ外という苦境が続く小笠原が檄を飛ばす。百戦錬磨の闘将が大声を張り上げる姿は、己とチームを浮上させようと腐心するようだった。磐田戦で施された5名もの先発変更、可能性を示してみせた面々の台頭。切磋琢磨はさらなる高みへ導かれ、試合メンバー入りを懸けた争いが繰り広げられた。遠藤は「いい練習をすることができた」と手応えを明かし、「Jリーグとは違う大会。すごく楽しみ」と、次なる壁を打ち破る戦いを心待ちにしていた。

試合前日、ミーティングルームではジーコTDの情熱が響き渡っていた。「まだ、このクラブにないタイトル。今季、獲りに行くチャンスがある」。チーム合流初日から見据えていた戦いの舞台が、ついに目前に迫っている。アントラーズスピリットの神髄が改めて刻み込んだ勝利への気迫を胸に、聖地での第1戦へと向かう。前日会見に臨んだ大岩監督は「クラブ全体として非常に強い気持ちを持っている」と、ACL制覇への渇望を隠そうとはしなかった。



磐田戦から中4日で臨む“前半90分”へ、指揮官は5名の先発変更を断行。右サイドバックに内田、左には山本を復帰させ、ボランチの一角に三竿健斗、2列目に安西と遠藤を起用した。ゴールマウスはクォン スンテに託し、センターバックはチョン スンヒョンと犬飼のコンビ。健斗ともにレオ シルバがミドルゾーンを制圧し、前線ではセルジーニョと鈴木が鮮やかな連係からゴールを狙う。そしてベンチにはGKの曽ケ端、西、町田、永木、田中、土居、金森が座る。



真夏の再来を思わせる暑さは和らぎ、大一番を迎える鹿嶋は厚い雲に覆われた。雨が降ったり止んだりという不安定な天気だったが、高揚感と勝利への決意が聖地を包んでいく。背番号12が続々と足を運び、キックオフが迫るにつれてボルテージを高めていった。GK陣、そしてフィールドプレーヤーがウォーミングアップに姿を現す。舞台は整った。19時ちょうど、キックオフのホイッスルが鳴り響いた。



ホーム側スタンドに向かって攻める鹿島は、立ち上がりからボールポゼッション率で天津権健を圧倒。開始から1分足らず、ペナルティーエリア右奥まで走り込んだ遠藤がフリーでヘディングシュートを放つ。惜しくも枠を逸れたが、いきなり決定機を作り出してみせた。続く4分には内田が攻撃参加し、エリア右側からグラウンダーのクロス。“触れば1点”という絶妙なラストパスだったが、ファーサイドへ流れてしまった。



鹿島の攻勢は続いた。11分にはショートコーナーから遠藤が得意の左足でクロスを上げると、ボールはゴール方向へ。密集での競り合いから相手DFに当たったボールは、わずかに枠を逸れてしまった。直後の左CK、セカンドボールを拾って仕掛けた二次攻撃からペナルティーエリア右手前で前を向いた内田が果敢に放ったミドルシュートも、枠を越えてしまった。





15分、20分を経過しても、鹿島はセカンドボールをことごとく拾い、両サイド深くまで進出した攻撃で天津権健を押し込み続けた。32分には中盤右サイドまでプレスに戻った鈴木の守備からカウンターを仕掛け、遠藤がペナルティーエリア右側からドリブルで中央へ。左足で放った低いクロスはゴール方向へ飛んだが、惜しくも結実しなかった。続く33分には、前半最大の決定機。ペナルティーエリア左奥への浮き球を山本が頭で折り返すと、こぼれ球を拾った背番号16が冷静沈着なラストパスを通す。エリア左側、フリーで待っていたセルジーニョの一撃はしかし、枠を越えてしまった。



得点の予感を漂わせ続けながら、なかなか均衡を破れない鹿島。36分には左サイドからのクロスが相手DFに当たり、コースが変わって右ポストを直撃する。詰めていた遠藤もネットを揺らすには至らず、歓喜の時は訪れなかった。0-0。スコアレスでハーフタイムを迎えることとなった。



アントラーズレッドの情熱を背に攻める後半、立ち上がりは天津権健が攻勢をかけてきた。それでも鹿島は集中力を切らすことなく応戦。次第に主導権を取り戻すと、57分に後半最初の決定機を迎える。敵陣左サイドでレオが対人戦を制して縦へ突破すると、縦パスを受けた安西がペナルティーエリア左側からラストパス。遠藤がフリーで左足を振り抜いたが、シュートは枠を越えてしまった。





それでも3分後、歓喜の時が訪れた。60分、レオ シルバ。「違いを出さなければ」と語っていたスーパーボランチが、値千金のスコアを刻んでみせる。ペナルティーエリア左側でこぼれ球を拾った山本が浮き球を送ると、エリア手前から遠藤が頭で左前方へ。そこへ走り込んでいたのが背番号4だった。迷うことなく右足を振り抜くと、強烈なボレーがゴール右隅へ。1-0。ついに鹿島が均衡を破った。











リードを奪い、鹿島は勢いに乗ってゴールを目指す。65分、67分と遠藤がミドルシュート。次第に広大なスペースが生まれる中で、安西が何度もスピードを上げて敵陣を切り裂き、天津権健を押し込んだ。そして72分、待望のスコアが刻まれた。主役は、背番号18だった。ACL初出場を果たしたセルジーニョが敵陣中央で前を向くと、得意の左足を一閃。強烈なミドルシュートはうなりを上げてゴールへと突き刺さった。2-0。セルジーニョの来日初ゴールで、鹿島がリードを広げた。











ラスト15分、天津権健はアウェイゴールを奪おうとパワープレーを仕掛けてきた。しかし鹿島は動じることなく、激しいボディコンタクトを繰り返して応戦。ピッチへ送り出された金森、永木、土居も勝利のために走り抜き、相手に自由を与えなかった。4分と表示されたアディショナルタイムも、4日前の失態を繰り返すことはなかった。











前半90分終了、2-0。アウェイゴールを与えることなく、複数得点差で勝ち切った意味は極めて重い。だが、まだ半分が終わっただけ。背番号12はタオルマフラーを掲げ、改めて出港する意思を示しながら選手たちを出迎えた。敵地での後半90分は3週間後、9月18日だ。



そして次戦は4日後、9月1日のJ1第25節だ。真夏の連戦を走り抜け、9月は4つの大会を並行しながら8試合を戦う。目前に迫るのは、首位を走る広島とのアウェイゲーム。意地と気迫をみなぎらせ、結果で矜持を示さなければならない。勝利だけを目指して、準備を進めていく。






【この試合のトピックス】
・天津権健とは初対戦で、初勝利を挙げた。
・中国のクラブとACLで対戦するのは通算16試合で、9勝3分4敗となった。
・ACLで中国クラブとホームで対戦するのは通算9試合目で、8勝1分となった。
・セルジーニョが先発出場。ACL初出場を記録し、加入後初得点を記録した。
・レオ シルバが今大会初得点を挙げた。
・チョン スンヒョンが鹿島加入後初のACL出場を記録。今大会は登録の関係で、背番号35を着用する。


監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛


天津権健:パウロ ソウザ


[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
ホームで第1戦を戦い、(2試合で180分の試合と考えたときの)前半をリードして終えられたことが第一の収穫だ。次のアウェイゲームに向けて、しっかり準備することは当然として、リーグ戦、ルヴァンカップ、その他のゲームにもしっかり切り替えて臨んでいきたい。

Q.試合内容をみると、もう少し点差をつけることができたように感じるが?

A.得点のチャンスをたくさん作れていたので、もう少し得点を取れたらという希望はあった。しかし、アウェイゴールを与えないことも非常に重要なことであり、現時点ではそこに対しての評価をしている。当然、第2戦に向けて相手をしっかり分析して準備していきたい。

Q.ホームで先勝、無失点という展開をどう評価するか?

A.第2戦は相手のホームで戦うことになる。第1戦のリードを最大限に生かしたいと考えているが、ラウンド16で戦った上海上港戦もリードして臨んだ第2戦で厳しい戦いになった。しっかり準備しなくては、アウェイでは難しい試合になる。後半の90分もしっかり準備して、自分たちのペースで運びたいと考えている。


天津権健:パウロ ソウザ
アントラーズの勝利におめでとうと伝えたい。彼らはピッチで高い水準のプレーを見せ、ゲームコントロール、時間の配分も含めて非常に質の高いゲームを見せてくれた。成熟したチームであることを証明していた。と同時に、我々のチームの選手たちにもよくやったと声をかけたい。戦術的にみて限界があるなかでのプレーだったが、そのなかで4回ほどビッグチャンスがあった。終盤になって、より多くの選手を前線に配置してリスク覚悟でゴールを取りに行った。結果的に無得点に終わってしまったが、この試合を相対的にみて、選手たちを誇りに思う。彼らは自分たちの限られた戦術と限界値のなかで、非常に成熟した相手によく戦ってくれた。第2戦は我々のホームでの試合であり、より大きなストーリーを皆さんに伝えられるように頑張っていきたい。最後の最後まであきらめず、夢に向かって走り続けたい。


選手コメント

[試合後]

【レオ シルバ】
勝つことを目的とする中で、チームに勢いをもたらすゴールを決めることができてよかった。ミートするだけだったけど、しっかりと合わせて点を取ることができた。チャンスを作っていながらなかなか決められなかったけど、相手を見て落ち着いてやれば点を取れるだろうと思っていた。

【セルジーニョ】
ボールを持った瞬間に打とうと思っていた。GKから逃げていくボールとなり、打った瞬間に入ったと思った。ゴール前で前を向いてシュートを打つのは自分の特長。第一印象が大事なので、できれば1試合目で取りたかったけど、真摯に取り組み続けたことが結果につながったと思う。

【内田 篤人】
ホームなので失点しないようにと思っていた。相手に点を取れる選手がいたので、仕事をさせないようにと話していた。点を取れそうで取れない時に負けてしまうことはよくあるけど、後半にゴールを決めて勝つことができた。緩めることなく、やり続けた結果だと思う。

【山本 脩斗】
ホームで無失点に抑えることが大事と話していた。チームとしてやりたい試合ができた。次につながる価値のある試合になった。点を取りに行きながらもリスクマネジメントがしっかりとできていた。いい時間に点を取ってくれて、落ち着いてプレーできた。

【三竿 健斗】
アウェイゴールを与えなかったのは大きい。攻めるだけにならず、後ろはしっかりリスク管理をしながら「無失点で」と90分を通して話していた。優勝しか考えていない。1試合1試合、勝っていきたい。

【犬飼 智也】
失点ゼロで終えることができて、自分たちのやりたいことができた試合になった。相手FWの9番に対して、誰がいくかハッキリさせることを意識していた。チーム全体でできていたと思う。




◆AFCチャンピオンズリーグ2018 準々決勝 第1戦(オフィシャル)






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