日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年7月9日日曜日

◆2017明治安田生命J1リーグ 第18節(オフィシャル)


明治安田J1 第18節

ペドロ2発も、逆転はならず。鹿島、アウェイでFC東京とドロー。 

7月のアウェイ4連戦、第3章は悔しいドローゲームとなった。リーグ後半戦の初戦、J1第18節。満員の味の素スタジアムでFC東京と激突すると、ペドロ ジュニオールのヘディングシュートで先制。前半終了間際と後半開始早々に失点を喫して1-2と逆転されたが、ペドロがファインゴールを突き刺して再び同点に追い付く。終盤は互いに打ち合う展開となり、鹿島は逆転を目指して攻め込んだが、3点目を奪うことはできなかった。試合は2-2で終了。鹿島は2位に転落したが、アウェイで勝ち点1を拾った。 

鹿島は3日前、難敵・G大阪とアウェイで対戦し、1-0と完封勝利を収めた。遠藤の芸術的ループシュートで均衡を破ると、チーム一丸で1点を死守。後半アディショナルタイムにはゴールライン上でのシュートブロックを繰り返し、ついに歓喜の時を迎えた。昌子は「勝ちたい気持ちで相手を上回った」と胸を張り、指揮官は「この厳しい条件の中で選手がピッチで見せてくれたパフォーマンスは称賛に値する。1-0という結果だが、それ以上の価値がある」と選手たちを称えた。大岩監督就任後、これで公式戦6連勝。リーグ戦では5連勝となり、首位に浮上してリーグ前半戦を終えた。 

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チームは6日、大阪から鹿嶋へ帰還。リカバリートレーニングを行い、翌7日は試合前日という過密スケジュールだ。準備期間はわずかだが、入念にセットプレー練習を敢行。選手たちは意欲的に、厳しい道のりを乗り越えようとしていた。そして指揮官は「試合が重なった時も、そして季節にも関係なく、どんな時でも強いチームでなければならない」と抱負を語り、東京へと向かった。 

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夏の訪れを感じずにはいられない、厳しい暑さに見舞われた土曜日。試合当日、チケット完売と発表され、両チームのサポーターが続々と味の素スタジアムへ足を運んだ。スタジアムへの道中、そして開場を待つ待機列に、試合への期待感と高揚感が満ちていた。連戦をチーム一丸で乗り越えるべく、アントラーズレッドがビジタースタンドを埋め尽くす。ウォーミングアップに現れた選手たちに、大きなチームコールが降り注がれた。 

7日間で3試合目。大岩監督が指名した先発11人は、3日前から2名の変更が施された。ボランチの一角に永木、そして2列目にレアンドロが復帰。GKは曽ケ端、最終ラインは3試合連続で同じ顔触れとなり、右から西、健斗、昌子、山本の4人が並ぶ。ボランチには永木とともにレオ シルバが君臨し、2列目には前節でスーパーゴールを決めた遠藤とレアンドロ。そして前線には金崎とペドロが並んだ。ベンチには、GKの川俣、伊東、小笠原、土居、中村、鈴木、金森が座る。 

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19時3分、キックオフのホイッスルが鳴り響いた。立ち上がりはFC東京がボールをキープする展開となったが、ビジターチームを凌駕する大声でのチャントを背に受けた鹿島の選手たちは、冷静に対応していった。サイドの深い位置で起点を作られても、複数で挟み込むプレスと厳しいボディコンタクトで応戦し、FC東京に自由を与えない。前線でボールを収める数は少なかったが、少しずつポゼッション率を高めていった。 

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そして16分、レアンドロの献身的なプレーから歓喜の時が訪れた。鹿島陣内左サイド深くで起点を作られたが、山本が行く手を阻んで時間を作ったところに背番号11が加勢。プレスバックでボールを奪うと、縦パスをつないでカウンターに転じる。中盤左サイドから中央へ切り込み、右サイドへ展開。西がゴールライン際からクロスを上げると、金崎のヘディングシュートは相手GKに阻まれたものの、こぼれ球に反応したペドロが頭で合わせる。前節は途中交代となり、悔しさを胸に秘めていた背番号7が古巣のゴールネットを揺らした。1-0。指揮官が「次のアクションに期待している」と語っていたペドロが、その期待に応えてみせた。 

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リードを奪った鹿島は、中盤での冷静なパス交換で主導権を握る。セカンドボールの攻防でもFC東京を上回り、敵陣でのプレータイムを増やしていった。22分には右サイドからの攻撃で西が縦パスを通し、金崎がペナルティーエリア右奥で起点となる。クロスを受けたペドロが右足で狙ったが、グラウンダーのシュートはわずかに枠の左へ逸れた。 

追加点のチャンスを作り出し、FC東京を脅かした鹿島。30分以降もボールをキープしながらチャンスを窺う展開が続いたが、中盤でのロストから瀬間混まれる場面も増えてしまった。それでも38分、敵陣右サイドの背後を取ったペドロが高速ドリブルから右足シュートを枠に飛ばすなど、さらなる得点への意欲を示していた。 

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順調に時計の針を進めていた鹿島だが、ハーフタイム目前で落とし穴が待っていた。カウンターを阻止した後、自陣ペナルティーエリア手前でのパスをカットされて二次攻撃を受けると、クロスから橋本にヘディングシュートを決められてしまった。一瞬の隙を突かれ、1-1で前半が終了した。 

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後半に臨む選手たちに、ビジタースタンドは大声で情熱を降り注いだ。ゴールを渇望する背番号12の思いとともに、残り45分が幕を開けた。 

しかし、開始早々に再び落とし穴が待っていた。中盤でのボールロストからカウンターを受けると、最後は橋本に押し込まれてしまう。1-2。自陣でのミスから逆転を許し、1点を追う展開となってしまった。 

ビハインドを負った鹿島は反撃に転じるが、なかなか決定機を作るには至らない。52分には、センターバックとしての安定感を日々増していく健斗が対角線上のフィードを通し、山本が左サイド深くまで進出。クロスはファーサイドへ流れてしまったが、最終ラインでの連係でゴール前まで迫ってみせた。 

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ポジションに囚われない選手起用を示唆していた大岩監督は62分、永木に代えて伊東を投入。背番号24を右サイドバックへ、そして西を2列目にスライドし、遠藤をボランチの位置に配してゲームメイクを託した。左足キックで長短のパスを蹴り分ける遠藤、そして空中戦の強さと機を見た突破でミドルゾーンを支配。伊東の積極果敢なオーバーラップも、FC東京の守備陣を幾度となく切り裂いていた。 

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65分以降、鹿島の攻勢が続いた。“この時間帯で同点に”という思いが漂い始める中、待望の一撃がビジタースタンドを沸騰させる。主役はまたも、背番号7だった。76分、左サイド深くまで進出した攻撃から、ペナルティーエリア左角でペドロがボールを持つ。ゴールを視界に捉えたストライカーは迷うことなく右足を一閃。強烈なコントロールショットがゴール右隅へ突き刺さり、スコアは2-2となった。 

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同点に追い付いた鹿島は逆転を狙う。大岩監督は土居を投入して4-1-3-2にシステムチェンジ。背番号8がセントラルハーフに入るイメージで、新たな構成をピッチにもたらした。78分には金崎がビッグチャンスを迎えたものの、シュートは惜しくも枠の上へ。81分には伊東がゴールライン際まで走り込み、ニアサイドへのクロスから金崎がヘディングシュートを放ったが、枠を捉えたボールは相手GKに阻まれてしまった。 

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満員の観衆がヒートアップする中、終盤はオープンな打ち合いとなった。鹿島は曽ケ端のビッグセーブもあり、失点を喫することなく逆転を狙った。終了間際には曽ケ端がパンチングをした直後に悪質なタックルを受けて痛んだが、守護神は治療の末にピッチへ帰還。ラストチャンスに望みを託したが、敵陣左サイドでボールをキープしたところで試合は突如、終幕を迎える。2-2。今季初、そして昨年8月以来の引き分けに終わった。

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7日間での3試合を2勝1分で終え、鹿島はリーグ戦のインターバルを迎える。サマーブレイクを挟み、次節は3週間後、29日のホーム甲府戦だ。2位に転落したとはいえ、首位のC大阪との差はわずかに1ポイント。戦いはまだまだ続く。 

そして、選手たちに休息の時間などない。4日後には天皇杯3回戦の山形戦を控えている。アウェイ4連戦の最終章、水曜夜の山形でしっかりと勝利を収め、ベスト16へ駒を進めなければならない。厳しい道のりを勝利とともに走り抜けるべく、総力戦で準備を進めていく。 

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【この試合のトピックス】 
・大岩監督就任後、そして今季初の引き分けとなった。 
・J1での引き分けは昨年8月27日に行われた2ndステージ第10節の横浜FM戦以来で、25試合ぶり。 
・J1でのアウェイ通算650得点に到達した。ペドロの2点目が節目の一撃となった。 
・ペドロが今季2回目の1試合2得点を挙げ、今季の得点数を7に伸ばしてチーム単独トップに立った。 
・鈴木が途中出場。J1での出場は6月4日の広島戦以来、5試合ぶりだった。 

監督コメント
[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・攻撃の時はしっかりボールを動かして相手を走らせよう。 
・ボールを持ったらあわてないこと。もっと相手の背後を使って攻めよう。 
・まだ1-1。勝つためにみんなで戦おう。

FC東京:篠田 善之
・攻撃は、高い位置までボールを運べているので、積極的にシュートやクロス狙うこと。 
・守備はもっと激しく、球際の勝負にこだわること。常に奪えるチャンスを狙い続けること。

[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
選手にも言ったが、タイトなスケジュールの中で非常に素晴らしいパフォーマンスをしてくれた。彼らに感服している。試合内容云々よりも、彼らのタフさに驚き、嬉しく思っている。 

Q.アウェイでの3連戦というのは通常ではあり得ない日程だと思うが、どのようなモチベーションを持って送り出したのか? 

A.小笠原がG大阪戦の前に言ったのだが、「このような日程を言い訳にしない。タイトなスケジュールでも試合に勝ち続けることで評価を上げよう」と。その一言に集約されていると思う。その言葉で、G大阪戦とFC東京戦への準備をしてきた。自分が何かを言う前に、選手たちはモチベーションをもって、そういう気持ちになってくれた。それだけで十分だと感じている。 

Q.遠藤選手がリーグ戦でキャプテンマークを巻いたが? 

A.今日の試合に限ってはキャプテンマークに意味はない。チーム内で小笠原がキャプテンであることは決まっていて、彼が試合に出ない場合は副キャプテンである遠藤か昌子がマークを巻くことが決まっている。その流れの中で遠藤がキャプテンマークを巻いた。遠藤については右サイドハーフに入って時間を作って、逆サイドへの展開といういつものプレーをしてほしいという話をした。 

Q.選手交代について、どのような考えで行ったのか?意図とポジション変更の理由は?

A.リードされている状況だったので、状況を変えようと思った。攻撃的なメッセージを選手に伝えたつもり。選手たちがくみ取ってやってくれて、後半は相手を押し込むことができたので評価している。 

Q.ボランチに入れた選手が見慣れなかったが? 

A.ボランチに入れたわけではない。システム論になってしまうが、攻守においてどういうことをしてほしいかを選手に伝えている。4-1-4-1なのか4-1-3-2なのか、数字にすればそうなると思うが、ケアしてほしいことを伝えてピッチに送り出した。 

Q.2失点を喫したが、守備についてどう考えているか? 

A.守備に関してはあまり心配していない。一定の評価はしている。メンバーを代えながらタイトなスケジュールでやっている関係で、意思のズレは感じた。そこは少しずつ修正しないといけない。うちの堅守速攻というカラーはもちろんだが、もっと得点に固執してもいい、攻撃的にやってもいいと思っている。バランスを取るのはもちろんだが、もっとアグレッシブに、リスクを冒してでも攻撃的に行ってもいいと感じている。 

Q.三竿健斗選手をずっと起用している意図と評価は? 

A.彼に関して言えば、個人的に攻守両面において高評価をしている。やってほしいことを彼なりに解釈して表現できる、相手に対して対応を変えていける、そういう能力を持っていると思う。ここ数試合やっているが、徐々に高いパフォーマンスになっていると思う。ポジション争いは他の選手同様に激しいし、彼のポジションには経験豊富な選手がいる。その争いの中でもっと成長していけると思う。 

Q.タイトなスケジュールで、今後もさらに暑くなるが、夏をどう乗り切るか? 

A.ありきたりだが、総力戦だと選手にも言っている。常にポジション争いをしながら、チーム力を上げながらやっていく。夏場に弱いとも言われているアントラーズがもっとタフに、もっと強くなるために総力戦でやっていきたい。

FC東京:篠田 善之
多くのサポーターの皆さんが足を運んでくださった前で勝利を見せられれば良かったが、勝ち切れなかった。何かが足りないので、見つめ直したい。先にワンチャンスで失点して苦しくなったが、選手たちは前へ行くことをやめずに前半で追い付くことができた。後半立ち上がりはショートカウンターからフィニッシュできた。まとまって、グループでサッカーをすることができた。同点の場面では、いかにしぶとくしのいでギアを上げられるかというところでもう少しできれば良かったが、選手たちは辛抱強くやったと思う。勝ち切れない何かを検証していきたい。

選手コメント
[試合後]

【ペドロ ジュニオール】 
シュートの感触は非常に良かったし、同点ゴールを決められたことは非常に嬉しい。自分自身もチームメイトの特長を把握できて、急に調子が良くなったわけではない。チームとしての機能性が良くなっていることが結果として出ている。今は自分が点を取っているけど、そうでない選手も取れるようになる。個人ではなく、チームとしての成熟が大きいと思う。 

【伊東 幸敏】 
大伍くんとはやりたいことがはっきり分かっていたと思うし、やりやすさを感じていた。自分は連戦でも全部途中出場で、疲れている感覚はない。活性化させないと何の助けにもならない。良い崩しはできていたかもしれないけど、結果が出ていないので悔しい。 

【山本 脩斗】 
1-2になってからも諦めずに追い付けたのは良かったけど、勝ち切ることができなかった。2失点を反省しなければいけない。次はまた大会が変わるけど、連戦は良い雰囲気で戦えている。チーム全員で勝利を目指したい。 

【西 大伍】 
日程については、このくらいは普通だと思う。影響もあまりないと思う。みんながピッチ上で感じる中で戦い方を変える部分はあるけど、戦い方は一つじゃないし、変化できるようになるのが良いと思う。聖真はボランチというよりもトップ下に入った。攻める、ギアを上げるというメッセージを感じた。みんなも当然、そういう気持ちでプレーした。 

【遠藤 康】 
いらない失点だった。前半の最後に集中力が切れてしまって、アントラーズらしくなかった。リーグ戦は中断するけど、次は天皇杯とセビージャ戦がある。チームとしてのやり方、精度をもっと上げていかないといけない。

http://www.so-net.ne.jp/antlers/games/51984

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