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11月30日(土)J1 第33節 C大阪 vs 鹿島(14:00KICK OFF/長居)
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早ければ今節にもリーグチャンピオンが決まる可能性のあるJ1だが、首位の横浜FMと勝点6差のC大阪と鹿島も、わずかながら望みをつなぎとめている。そのなかで、この第33節では、両者が直接対決。タイトルや、ACL出場権獲得条件の3位以内を目指す権利を得るためのサバイバルマッチが、第33節、大阪長居スタジアムで行われる。そして、この試合が、11月25日に契約満了が発表されたC大阪のレヴィークルピ監督にとっても、ホーム最終戦となる。
「複雑な想いもある。私にとってホーム長居での最後の試合というのもあり、特別な意味合いのある試合。選手たちには輝くサッカーをもう1回見せて欲しい」と、率直な思いを述べた、レヴィークルピ監督。今年60歳を迎えた名伯楽は、延べ3度、通算8シーズンに渡って浪速の桜色のチームを牽引し、攻撃サッカーというスタイルを植え付け、若きタレントを次々と開花させてきた。また、C大阪は、昨年のJ1残留争いという苦しい思いも経ながらも、今季はそのときの生え抜きのタレントを中心に、上位へ躍進。優勝争いにも加わっている。『レヴィーセレッソ』集大成のときを、まさに今、迎えようとしている。
C大阪にとって、レヴィークルピ監督のもとでの戦いは、あと2試合。「今は寂しいという気持ちより、最後、今年一緒にやってきたメンバーで何かつかみたいし、絶対に歴史に名を刻みたいと思っている」というのは、チーム最年少の南野拓実。「それが何かと言われれば、『優勝』。自分たちにはもうリーグ戦しかないので。(首位と6差で)望みは薄いかもしれないが、何かをつかめるようにしたい。全部終わってから悲しい気持ちは出てくると思うが、今は目の前のこと、この鹿島戦にしっかり勝つことしか考えていない。レヴィーも目の前のことを考えている人だと思うので、自分たちもそこにしっかり集中したい」。『レヴィーイズム』を身につけた最後の愛弟子も、柿谷曜一朗、山口螢らをはじめとする桜色の戦士たちとともに、悲願の初冠へ、あきらめの気持ちはまったくなく、1戦1戦に全力を尽くす構えだ。
長年、レヴィークルピ監督とともにチームを指導してきた小菊昭雄コーチも、こう述べる。「どんな対戦相手でも、自分たちのスタイルを貫いて、攻撃サッカーを全うすること、走り切ることを大事にしてきた。だから、この鹿島戦も、優勝がかかっているとか、相手が試合巧者だとか、サポーターが大勢来ていただけるとか、いろんなことがあり、特別な雰囲気のなかでの試合になると思うが、ウチは今までどおり、自分たちのスタイルを1人1人が100%出し切る。そうすれば、自ずと結果はついてくると思うので。サポーターの皆さんとともに、レヴィーのホーム最終戦を飾りたいし、最終節の浦和戦に楽しみをつなげられるように、またこういう刺激的な日々を1週間過ごせるように、みんなで勝ち取りたい」。
そして、レヴィークルピ監督が最初に指揮をした1997年には選手として薫陶を受け、2度目の采配となった2007年からは小菊コーチとともにスタッフとして支え続けた武田亘弘GKコーチも、思いは同じだ。「(レヴィークルピ監督との日々が)ちょっとずつ短くなってくると感慨深くなると思うが、僕らのやっていくことは変わりない。日頃からやってきたことを、最後までやり続けることが、一番僕自身にとっても納得できることだし、レヴィー監督の残り何日間に対するリスペクトした行動かなと思う。特別なことをしても、あの人は喜ばないので。ちゃんと最後まで自分たちがやってきた仕事を全うしたなかで、チームワークもそうですし、やっていくのが一番大事」。『レヴィーセレッソ』というチーム、ファミリーは、このクライマックスにおいても、自然体で試合に向けて準備をしてきた。その積み重ねを、常勝軍団、鹿島にもぶつけていく。
さて、この両者の対戦成績は、J1での対戦成績は、C大阪の12勝4分け15敗。2010年まではC大阪が鹿島に勝ち越していたが、11年以降、今季最初の顔合わせに至るまで、5連敗中。その期間、天皇杯やヤマザキナビスコカップでもC大阪は苦杯をなめつづけており、一気に形勢は逆転してしまっていた。しかしながら、今季直近の対戦であるヤマザキナビスコカップ予選リーグ第7節では、エジノの来日初ゴール、柿谷曜一朗のドリブルからの決勝ゴールで、C大阪が鹿島を2-1と下した。当時は、いわゆる消化試合で、鹿島側の主軸が数名不在だったが、C大阪としては流れを変えるきっかけになったはず。それを、小笠原満男らベストの布陣で乗り込んでくる相手との、この大事な一戦でも、しっかりと証明したいところだ。
柿谷と大迫勇也の日本代表ストライカー対決というところでも、大きな注目を集めるであろう、C大阪と鹿島の一戦。どちらのエースが輝きを放てるかも、勝敗を決する大きな鍵となるのは言うまでもないこと。ただし、最後はチーム力、そして、前節でも特にレヴィークルピ監督が強調していた『集中力』を、発揮できたほうに、勝利の女神は舞い降りるはずだ。3万人を越えると予想される大観衆が集う、C大阪の歴史を築き上げてきた聖地、長居にて、勝ち名乗りをあげ、最終戦へ希望をつなげるのは、若さと勢いで群を抜くC大阪か。実績抜群の鹿島か。「ホーム最終戦、大阪での最終戦ということで、試合が終わったあとに、みんなで喜びを分かち合いたい。現時点で結果というのは誰にも分からないことだが、まずは走りきること、そして、我々の目指す、自分たちのやりたいサッカーをとことん見せる。それが我々にできることだ」と意気込みを語ったレヴィークルピ監督。『レヴィーセレッソ』ホームラストマッチ、桜が華々しく舞う姿は見られるだろうか。
以上
2013.11.29 Reported by 前田敏勝