日刊鹿島アントラーズニュース

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2018年2月15日木曜日

◆AFCチャンピオンズリーグ2018 グループステージ 第1節(オフィシャル)





ACLグループステージ 第1節

鹿島、ACL初戦はドロー。遠藤が同点弾を決めるも、逆転には至らず。

ついにアジアでの戦いが幕を開けた。聖地に帰ってきた鹿島が2018シーズンの公式戦初戦、AFCチャンピオンズリーグ グループステージ第1節に臨んだ。中国の上海申花をカシマスタジアムに迎え撃つと、開始早々に先制点を許す苦しい展開に。それでも後半立ち上がりに遠藤のゴールで追い付くと、逆転を目指して攻勢をかけ続けたものの、次の1点を奪うことはできなかった。オープニングマッチは1-1の引き分けで終了。勝ち点1を得るにとどまった。

1月9日の始動から1か月超の準備期間を経て、鹿島が満を持して公式戦の初戦に臨む。宮崎キャンプでの3試合、2月3日の水戸戦、そして7日に実施した盛岡との練習試合。対外試合を積み重ねる中で、戦術の熟成とレベルアップを図った。大型補強を敢行した昨季開幕前に続いて今オフも各ポジションに実力者を加えたチームにあって、高水準の切磋琢磨はもはや日常と化している。ドイツと欧州でその名を轟かせ、8シーズンぶりに帰還した内田をはじめ、さらなるステップアップを期して新天地を求めた安西と犬飼、さらに山口と沖の両ルーキーもひたむきにボールを追い続けている。

プレシーズン最後の対外試合となった盛岡との練習試合では、120分間で6得点を奪った。新戦力のアピール、定位置奪回を誓うベテラン勢の奮闘。指揮官が打ち出したビルドアップへの試行錯誤を続ける中、三竿健斗は「試合が近づくにつれてスイッチが入るので楽しみ」と、来たるべき新シーズンの開幕へ期待感を隠そうとはしなかった。9日の練習再開から、チーム全員の視線はACL初戦へと向かう。全ては、己を「こえる」ために――。日々激しさを増すトレーニングを経て、大岩監督は「上海申花戦でも既存の選手たちとしっかりとした連動ができると思っているので、その辺も期待して送り出したいと思う」と、新戦力への期待を語っていた。

指揮官が指名した先発メンバー11人は、3日の水戸戦から5名が入れ替わっていた。GKに曽ケ端、最終ラインは右から内田、植田、昌子、新戦力の安西。ボランチはレオ シルバと三竿健斗がコンビを組み、2列目には遠藤、そして2年目の安部が並ぶ。そして前線には鈴木とペドロ ジュニオールが入った。またベンチには、GKのクォン スンテ、山本、犬飼、小笠原、中村、土居、新10番・金崎が座る。

青空に恵まれた聖地に、ともに戦い続ける背番号12が続々と足を運んだ。フットボールシーズンが帰ってきた喜び、そして勝利への決意を胸に。ボルテージの高まり、そしてピッチへ降り注がれた大きなチームコール。国際大会において極めて重要な意味を持つホームゲームにして、シーズンの公式戦初戦だ。誰しもがその価値を噛み締め、だからこそ勝利を誓う。19時ちょうど、戦いの火ぶたが切って落とされた。





先手を取って主導権を握りたい鹿島だったが、開始早々に思わぬ失点を喫してしまった。上海申花の左CKからこぼれ球に反応されてシュートを打たれると、クロスバーを直撃。大ピンチを脱したかに思われたが、セカンドボールを拾われて上げられたクロスをクリアしきれず、ジョバンニ モレノにヘディングシュートを決められてしまった。0-1。開始4分での失点で、鹿島は早くも1点を追う展開を強いられた。

だが、カシマスタジアムへ帰還した背番号2が反撃への意志をピッチに刻んだ。失点直後の5分、積極果敢のオーバーラップでペナルティーエリア内へ進出。相手との競り合いからシュートへ結び付けることはできなかったが、背番号12の目前で見せた勝利への決意が、聖地のボルテージを高めていた。

鹿島はボールポゼッション率を高め、上海申花ゴールを目指して攻勢をかける。12分にはレオのフィードを遠藤が折り返し、ペナルティーエリア中央の鈴木が反転から左足シュート。17分には自陣でのパスミスからピンチを迎えたが、曽ケ端が渾身のシュートブロックで追加点を許さなかった。20分を経過した後も鹿島がボールを保持する展開は続き、上海申花は自陣へと後退していった。







28分には左サイドバックの安西が敵陣深くまで進出し、クロスからチャンスを演出。こぼれ球の攻防から相手のハンドでFKを得ると、遠藤が狙った一撃は枠を捉えた。相手GKに阻まれたものの、続く右CKからペドロがニアサイドで背後へ逸らし、最後は昌子がヘディングシュート。しかし、わずかに枠の左へ逸れてしまった。



最終的に、ハーフタイムを迎えるまでに鹿島がスコアを刻むことはなかった。だが、ボールポゼッション率は70%を超え、シュート数でも相手を凌駕していた。残り45分、課されたミッションはスコアを刻むこと。アントラーズレッドの情熱を背に受け、逆襲しなければならない。





ゴールへの決意を胸に迎えた後半、開始早々に待望の瞬間が訪れた。51分、細かいパス交換で中央突破に成功すると、安部がペナルティーエリア内で突破を図る。相手DFにブロックされたものの、こぼれ球に反応した鈴木が強烈な左足シュート。またも相手GKに弾かれたが、背番号25が誰よりも早く詰めていた。遠藤のプッシュがゴールネットを揺らし、スコアは1-1の同点となった。





今季初めて刻んでみせたスコア。遠藤は喜びを表すことなく、ボールを拾ってセンターサークルへ走る。逆転への意志を示してみせたゲームキャプテンとともに、鹿島は勢いに乗った。得点直後の53分、鈴木の豪快な突破からペドロがシュート。56分にも安西のクロスからペドロがチャンスを迎えたが、結実することはなかった。60分経過後はカウンターからピンチを迎える場面も増え始めたものの、昌子と植田が身体を張ったカバーリングで応戦。同点のまま、残り20分を切った。





大岩監督は69分、1枚目の交代カードに土居を指名。すると背番号8は72分、鋭いカットインから強烈なミドルシュートを放って攻撃陣を活性化してみせた。76分には一瞬の隙を突かれてペナルティーエリアに進出されたが、至近距離からのシュートは曽ケ端がビッグセーブ。勝ち越しを許さず、残り10分を切った。

82分、指揮官は中村をピッチへ送り出す。「ゴールだけを目指していた」と振り返る背番号13は83分と85分に強烈なシュートを枠に飛ばし、上海申花に脅威を与えた。だが、スコアには結び付かない。89分にはレオが鈴木とのワンツーからペナルティーエリア中央へ。フリーで放ったシュートはしかし、枠を越えてしまった。決定機を活かすことができず、失意のホイッスルが鳴り響いた。





1-1。今季最初の公式戦は、勝ち点1という結果に終わった。21本ものシュートを放ちながら1得点にとどまった悔しさを胸に、選手たちはグラウンドへと向かう。まずは明日、ジョイフル本田つくばFCとのトレーニングマッチ。出場機会を虎視眈々と狙う者たちにとって、それは単なる練習試合ではない。切磋琢磨の繰り返しが、チームを強くすることは間違いないだろう。そして次戦は1週間後、ACLグループステージ第2節の水原三星戦だ。アウェイで勝ち点3を掴むため、チーム一丸で準備を進めていく。



【この試合のトピックス】
・上海申花との対戦は2011年5月3日以来、通算6回目。戦績は2勝3分1敗となった。
・中国のクラブとACLで対戦するのは通算14回目で、7勝3分4敗となった。
・遠藤が今季の公式戦初得点を挙げた。
・8シーズンぶりに復帰した内田が先発出場。鹿島での公式戦出場は、2010年5月12日のACLラウンド16浦項スティーラーズ戦以来となった。
・2年目の安部が先発出場。ACLでの先発は初めてで、通算2試合目の出場となった。
・新加入の安西が先発メンバーに名を連ね、ACL初出場を果たした。


監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛


上海申花:ウー ジングイ


[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
1点が遠いというか、数多くチャンスを作りながら最後のフィニッシュの精度が悔やまれるゲームだった。しかし、選手たちのパフォーマンスは非常に良かった。失点場面以外は非常にいいプレーをしてくれたと評価している。

Q. キャンプからやってきたことが、どの程度出せたか?

A. キャンプからやってきたことを、選手たちが非常に前向きにやろうとしてくれた。実際、ピッチのなかでいいプレーが多く出ていた。そこは非常に評価している。

Q. 立ち上がりの失点が、試合にどのような影響を与えたか?

A. ゲーム前にも選手たちに立ち上がりを気をつけるように伝えていたが、相手が上回っていた。ボールのこぼれ方、セカンドボールへの反応。まずは一つ目のプレーで、はっきりとしたプレーをしなければいけなかった。

Q. ACLグループステージ第2節、さらにJリーグ開幕に向けての改善点は?

A. 攻撃に関しては、いろいろなバリエーションを出すことができていた。対戦する相手が変わったり、戦い方が変わったとき、相手を見て攻撃するところを変えること。自分たちが戦いのなかで判断することが大事になってくると感じている。

Q. ベンチには金崎選手もいたが、交代枠を残した理由は?

A. 試合に出ている選手のパフォーマンスが良かった。さらに、金崎のコンディションなどを考慮するなかで、交代枠が一つ残るという結果になった。

Q. 相手をどう崩す狙いがあったか?

A. サイドを有効に使うこと。相手が前に出てくれば、サイドの奥を使う。出てこなければ真ん中も使いながら、動かしていこうと話していた。

Q. 新加入の内田、安西選手の評価は?

A. 90分を通して、非常にいいパフォーマンスだったと思う。

Q. 鈴木選手、安部選手と若い2人を先発に抜擢した理由と評価は?

A. 2人に関しては、若手とは見ていない。彼らもそういう気持ちでやっていると思う。チームを背負うという気持ちがなくてはいけない年代。プレーにもそういったところが出てきた。プレシーズンマッチでも結果を残していたので、期待して送り出した。評価は1試合だけではできない。今後も続けていってほしい。彼らがこういうパフォーマンスを続けていけば、チーム力は上がっていく。

Q. 遠藤選手を交代した理由は?

A. 交代で入れた土居選手に、もう少し中盤の中でプレーしてほしいという意図があった。

Q. 次のACLまでに改善したいポイントは?

A. 変化させるよりも、今日のプレーを継続する必要性を強く感じた。攻撃のバリエーションに関しては、もう少し選手の意思統一が必要と感じている。


上海申花:ウー ジングイ
とても難しい試合だった。選手がハードワークをこなしてくれて、アウェイで勝ち点1を取ることができた。今年のスタートとしてはいい試合だった。さらにコンディションを上げて、いい試合をしていきたい。アントラーズは全体的にコンビネーションがよく、試合をコントロールしていた。日本のトータルフットボールを垣間見ることができた。我々はカウンターのスピードを上げるところができていた。サイドのコンビネーションもうまくいった。大きな試合でプレッシャーがかかるなか、ロストが多くなってしまったことは今後の課題だ。


選手コメント

[試合後]

【遠藤 康】
試合を難しくしてしまったのは自分たちだったと思う。その中で多くのチャンスを作れたけど、決め切ることができなかった。もっと良いアイデアをみんなで共有できればと思う。最後は個の力でもあると思うし、みんなでレベルを上げていきたい。

【昌子 源】
1-1になってから自分たちで戦い方を変えてしまった。もっと味方をシンプルに使って、サイドに振っていければ違っていたと思う。1点に泣くというのは昨年終盤に経験したことで、あの時と変わっていない。チームとして、1点で勝負が決まることの大事さを改めて考えながらやっていかないといけない。

【内田 篤人】
内容は良かったけど、勝てなかったことは悔しい。チームとしては素晴らしい戦いだった。自分たちがボールを回しながらゴール前まで行けていたのは良かったと思う。ここまで一方的になるとは思わなかったけど、年始から良い準備ができたからこういう試合ができたと思うので、やっていることは間違いない。あとは結果につながればいい。

【安西 幸輝】
積極性は出せたと思うけど、勝ち切れなかったのでアピールできたとは言えない。カシマスタジアムのピッチに入場する時は高揚感があって、良い気分でプレーすることができた。

【鈴木 優磨】
ホームで勝ちたかった。悔しい試合になってしまった。相手が中央を締めてきて(守備が)堅かったので、サイドから攻めていこうと話していた。決め切る力がまだまだだと思った。

【三竿 健斗】
前半にセットプレーが連続して、その中で失点してしまった。リスク管理がしっかりできていて、クサビのボールが入っても近くをサポートしながらセカンドボールを拾えていたので、悪くはなかったと思う。次に向けて良い準備をしていきたい。

【中村 充孝】
あれだけ多くのチャンスを作っていた中で、ゴールだけを目指していた。自分にも2回、チャンスがあった。決め切れなかったことは自分の責任。

AFCチャンピオンズリーグ2018 グループステージ 第1節

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