サッカーの元日本代表MF小笠原満男選手(39)が昨年末、現役引退を発表した。盛岡市出身で、大船渡高からJ1鹿島に進み、20年にわたり東北サッカー界の憧れであり続けた。心からご苦労さまと言いたい。
思い出に残るのは2002年5月、ワールドカップ(W杯)のメンバーに初めて選ばれた時。小笠原選手23歳。鹿島では確固たる地位を築いていたが、代表デビューはその年の3月になってから。選ばれるかどうかは微妙だった。
鹿島のクラブハウス。どきどきしていたところに吉報が入る。うれしかったのだろう。記者会見では、口数少ない小笠原選手から冗談も。続く個別取材での言葉が染みた。「東北の人たちが世界で活躍することは少なかった。自分が頑張ることで、自分を目指す人が出てくればうれしい」
その気概は東日本大震災の際も発揮された。有志の選手に声を掛けて「東北人魂を持つJ選手の会」を結成、被災地を支援してくれた。どれほど多くの人が勇気づけられたことか。
正直に、妥協することなく、道を追求してきた東北人、小笠原選手。今後も古里東北を見守ってほしい。
(整理部次長 細谷隆)
◆小笠原選手(河北新報)