12月5日、横浜アリーナで開催されたJリーグの年間表彰式「Jリーグアウォーズ」。「フェアプレー賞(高円宮杯)」の授与では日本サッカー協会名誉総裁でもある高円宮妃久子さまがプレゼンターを務めた。
久子さまは授賞に先立ってのスピーチで、サッカー界で問題となっているヘイトスピーチについて触れた。
Jリーグは現在3つのフェアプレーを掲げており「差別の根絶」の推進も訴えている一方、サポーターから選手に向けられたヘイトスピーチもたびたび問題となっている。
2016年6月には当時鹿島アントラーズ所属だったカイオ選手に対し、浦和レッズサポーターと見られる人物がTwitter上で差別的な発言を投稿。浦和は公式サイト上で謝罪している。
今年5月には浦和レッズの森脇良太選手が鹿島のレオ・シルバ選手に試合中侮辱的な発言をしたとして2試合の出場停止処分を受けている。
また9月には横浜Fマリノスに所属するマルティノス選手に対し、SNS上で差別的な行為があり、クラブが神奈川県警察に被害届を提出している。
11月にはアジアチャンピオンズリーグ決勝第一戦で得点を決めた浦和のラファエル・シウバ選手のインスタグラムに、相手クラブのアル・ヒラルのサポーターと見られる人物が差別的な投稿が相次ぐ事態もあった。
久子さまはスピーチでこうしたサッカー界の現状を踏まえ、選手、サポーターにヘイトスピーチの撲滅とピッチ内外でのフェアプレーを訴えた。
皆様こんばんは。
優勝された川崎フロンターレ、セレッソ大阪、いま飛行機の中にいる浦和レッズの皆様、そしてサポーターの皆様に心よりお祝い申し上げます。
Jリーグはたくさんのクラブから成り立っておりますが、ヨーロッパでクラブといえば趣味やスポーツを通しての交流の部分をとても大切にしております。
日本の方が、どちらかといえばスポーツの方に重きを置いていると思いますが、その交流の部分を大事にすることによりサポーターの数を増やすこともできますし、ピッチ上では熱い応援、そして通常は優しい温かい雰囲気の中で、クラブを皆様が愛してくださるのが、大事なのではないかと思います。
ヘイトスピーチの話題が最近多く聞かれます。ピッチ上のフェアプレーが大事ですが、サポーターの皆様のフェアプレーも大事です。ヘイトスピーチは百害あって一利なし。フェアプレーでないと思います。
<会場から大きな拍手>
多くの子供たちが選手を自分たちの憧れの姿として見ているのと同時に、サポーターの皆様にも、子どもたちが模範にできるような態度を見せることが日本では当たり前、という文化を作っていただければと思います。
これはサポーターの方たちのみというふうに聞こえるかもしれませんが、一人ひとりが心に思っているということが、ふとしたところで表に出てしまいますので、日頃からヘイトというのはない状態に私どもでしてまいりましょう。
フェアプレー、子どもたちにとても大事ですので、選手の皆様、今後ともよろしくお願いいたします。監督たちもどうぞよろしくお願いいたします。
なおJリーグ側の意向で、ウェブメディアは会場のフォトエリアに入ることを許されず、スピーチをする高円宮妃の写真を今記事に掲載することは叶わなかった。
「百害あって一利なし」高円宮妃がサッカー界のヘイトスピーチ撲滅訴える<スピーチ全文>