今月2日、「もうひとつのW杯」と呼ばれる大会に向け、日本代表選手団が成田空港からスウェーデンへ飛び立った。4年に1度、FIFAのW杯と同年に開かれる知的障がい者のW杯(INAS-FIDサッカー世界選手権、5~18日・スウェーデン)。日本は5大会連続5度目の出場となる。競技人口約7200人から選抜された17人が、4年前のブラジル大会4強を超える成績を目指す。
◆ルールは健常者と同じ
試合時間、ピッチの大きさ、ルール…。知的障がい者サッカーは全て健常者と同じ環境下で行われる。西眞一監督(45)は「やるサッカーは健常者と何も変わらない。選手がどれだけ認識してプレーできているか、常に言葉を考えながら人それぞれの理解にあった言葉がけをしている」と話す。4度目のW杯出場となるFW浦川優樹(27)=堀江車輌電装=は、普段は健常者とともに都リーグでプレー。「若いチームを引っ張っていきたい。今は体が絞れていてキレがいいんですよ」と笑顔で胸を張る。
◆遠征費不足分は自己負担
競技環境は恵まれてるとは言い難い。パラリンピック公式種目から外れていることもあり、助成金や協賛金などの援助も決して多くはない。スウェーデンへの渡航費や滞在費は「日本代表応援Tシャツ」の売り上げ金額で不足分をまかなうが、それでも足りない分は選手の自己負担。現状では資金が足りず、旅行代理店への支払いを遅らせる状況での離日となった。
◆香川真司、柴崎岳も激励
西監督は「活動費がないというのが現実にあります。Tシャツをご購入頂くことで環境が恵まれていくことはまぎれもない事実。Tシャツには『12』という背番号が入っています。サポーターの皆さんという意味合いです。ぜひこれを着て選手のことを応援してもらいたい」と力説する。Tシャツは「日本知的障がい者サッカー連盟」の公式サイトから購入可能。また、同サイトでは日本代表MF香川真司、柴崎岳からの激励ビデオメッセージも公開されている。
◆目指すは決勝進出
今回の「もうひとつのW杯」には11か国が出場し、2組に分かれて1次リーグを戦う。6日に行われた強豪ポーランドとの初戦では、1―2の逆転負けを喫した。しかし、あくまで目標は決勝進出。「選手は最後まで諦めずに走り、勇敢に戦ってくれた。切り替えて次の試合に向けていい準備をしたい」と西監督。知的障がい者スポーツの歴史を塗り替える戦いは、まだ始まったばかりだ。(岡島 智哉)
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◆知的障がい者サッカー日本代表が挑む「もうひとつのW杯」渡航費“自腹”も香川、柴崎が激励(報知)