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[10.23 天皇杯準々決勝 鹿島1-0Honda FC カシマ]
チームのために自らのスタイルを押し殺し、わずかなチャンスを決め切った。鹿島アントラーズFW土居聖真は後半20分、MF遠藤康からのクロスにヘディングで反応。「この時期は試合内容は関係ない」。格下相手に劣勢を強いられていた中、サポーターの期待を一身に集めていた背番号8が4強入りを決める立役者となった。
MFセルジーニョ、MF三竿健斗、DF犬飼智也らチームに欠かせない選手たちが一挙に負傷離脱している現在の鹿島。リーグ前節の松本戦(△1-1)では思うようにパスが回らず、本来であれば最前線に立っているはずの土居がボランチの位置まで下がり、なんとか状況を好転させようとする姿が目立った。
しかし、そうなればゴール前の迫力が減衰してしまうというジレンマがある。「ここぞという時のポジションを取るか、チームがよくボールを持てるようにヘルプに行くか……」。そうした葛藤はありつつも、この日は大岩剛監督の指示もあり、土居はあえて前線に張り出す選択を、すなわち攻撃の過程からは消える選択をした。
「自分がボールに関わらない時は難しい持ち方になってしまう」(土居)という言葉どおり、この日の鹿島も攻撃の組み立てには大きく苦しんだ。前半のシュートはわずか1本。唯一土居が放ったヘディングもロングボールで大きくつないだところから生まれており、松本戦に続いて思いどおりの攻撃を展開することはできなかった。
ただ、土居はそれでも仕事を果たした。「決定的なチャンスがあって外し続けているより、チャンスを決めないといけないという危機感が逆に良かった」。後半20分、初めて訪れた決定機を見事に沈めたヘディングシュート。あえて試合の中から消える選択をしてもなお、チームを勝利に導く活躍を見せた。
これで準決勝に進出。12月21日にJ2長崎との対戦を控えるが、まずは12月7日に最終節を迎えるJ1リーグに集中する流れとなる。鹿島は現在、首位を走っているものの、2位のFC東京とは同じ勝ち点。また3位の横浜FMも勝ち点1に迫っており、タイトルレースは史上稀に見るデッドヒートとなっている。
「この時期は内容とかどうでもいいし、結果が全て。天皇杯では次に進むこと、リーグ戦では勝ち点3を取ることが最大の目標。内容がどれだけ悪かろうが、勝ち点3を取ることに執着できればいい。内容を言ってもしょうがないし、勝てば忘れるし問題ない。そこに突き詰めてやっていきたい」。自らのスタイルに固執しないMFは、理想的な勝ち方にもこだわらず、ひたすらにタイトルだけを求めていく構えだ。
(取材・文 竹内達也)
◆鹿島FW土居聖真、“消える”覚悟でジャイキリ阻止弾「内容とかどうでもいい。結果が全て」(ゲキサカ)