日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年2月19日日曜日

◆FUJI XEROX SUPER CUP 2017(オフィシャル)




FUJI XEROX SUPER CUP

遠藤が2ゴール、そして鈴木が決勝弾!鹿島が浦和を撃破、7年ぶり6回目のFUJI XEROX SUPER CUP制覇!

シーズン開幕を告げるFUJI XEROX SUPER CUPで、鹿島が力強く第一歩を踏み出した。前半に遠藤が2ゴールを挙げてリードを奪うと、後半に連続失点を喫して一時は同点に追い付かれたものの、途中出場の鈴木が決勝ゴールを挙げ、3-2で浦和に勝利。7年ぶり6回目となるFUJI XEROX SUPER CUP制覇を果たした。

元日の天皇杯決勝で19個目の星を掴んでから、鹿島はわずか15日間のオフを経て、1月17日に全体始動を迎えた。22日から27日にタイキャンプ、そして31日から2月7日までは宮崎キャンプを行い、5試合を実施。鹿嶋に戻り、11日には水戸とのいばらきサッカーフェスティバルに臨んだ。プレシーズンマッチ、6試合の結果は4勝2敗。12日には水戸との練習試合も実施し、戦術理解度とコンディションの向上を同時に試みるチャレンジを続けた。課題と収穫を胸に、来たるべきシーズン開幕へ集中力を高めていった。

浦和戦、前々日の紅白戦。格段に厚みを増した選手層、ポジション争いの激化が、トレーニングゲームの熱を高めていく。多くのサポーターがクラブハウスのスタンドを埋める中、見応え満点のマッチアップが繰り返された。水戸戦の後、石井監督が「今後は自分たちのコンディションや戦術理解度だけでなく、対戦相手の対策も必要になってくる」と語っていた通り、選手たちは浦和戦勝利をイメージしながら、入念に戦術の確認を行った。



そして前日に行われた記者会見では、石井監督と遠藤が抱負を述べた。指揮官は「新加入選手のコンビネーションや戦術理解、チームのコンディションを上げるという非常に難しい形での準備だったが、思った以上に順調にきている」と、手応えを口にしている。遠藤は「出場するだけではなくて、全力で勝ちにいきたい」と、勝利を誓っていた。

「今年最初のタイトル」と語る石井監督が指名した先発メンバー11人は、水戸戦から1名が変更となった。左サイドハーフに土居が入り、遠藤と並ぶ形に。前線は金崎とペドロ ジュニオールのコンビで、ボランチは小笠原とレオ シルバがペアを組む。最終ラインは右から、西と植田、昌子、三竿雄斗。そしてゴールマウスには、クォン スンテが立ちはだかる。ベンチ入りメンバーの8名は、GKの曽ケ端、町田、復帰となった山本、永木、レアンドロ、鈴木、金森が指名された。



シーズン開幕を告げる舞台に立てる誇りと喜びを胸に、両チームのサポーターが会場の日産スタジアムへ早くから足を運んだ。ウォーミングアップへ向かう選手たちに、アントラーズレッドのスタンドから大きな歌声が降り注がれる。大会史上初、セカンドユニフォーム同士で臨むこととなった一戦。真新しいハイパーピンクの戦闘服に身を包んだ選手たちは、13時35分にキックオフのホイッスルを聞いた。

今季初タイトルへの思いを示すように、鹿島は立ち上がりから積極的にゴールを目指した。開始4分、左サイドを縦へ突破した金崎が角度のないところから右足シュート。相手GKにキャッチされたものの、ファーストシュートを枠に飛ばして浦和ゴールを脅かした。



10分以降は浦和にボールキープを許す時間が続いたものの、スンテや雄斗、レオと新加入選手が並んだ守備陣が絶えずコミュニケーションを取って連動。クロスを上げられる場面は何度もあったが、決定機を作らせずに時計の針を進めていった。



最初のビッグチャンスは21分だった。金崎が敵陣でボールを奪い、ショートカウンターを仕掛ける。ドリブルをファウルで阻まれたものの、後方から上がってきたレオがボールを引き取る形で縦へ突破し、アドバンテージでプレーオン。ペナルティーエリアに入ってペドロ、遠藤と細かいパスをつなぎ、最後は金崎が強烈なシュートを放つ。相手GKの手に当たったボールは、右ポストを直撃してしまった。



攻勢をかける鹿島は28分、左サイドのスペースを突いたパスから金崎が抜け出し、ゴール前へクロス。わずかにペドロに合わなかったが、ファーサイドに詰めていた遠藤が右足ボレーを放つ。相手GKに阻まれたものの、セカンドボールを拾ってパスをつなぎ、最後は小笠原がゴール右隅を狙ったシュート。惜しくも枠の外へ飛んだが、波状攻撃で浦和のゴールを脅かした。







チャンスを活かせないまま、前半は残り10分を切った。アントラーズレッドで埋め尽くされたホーム側スタンドは、選手たちを鼓舞する歌声を送り続ける。ゴールを渇望するチャントが、日産スタジアムにピッチに鳴り響いた。そして、その思いがついに結実する。39分、西の果敢なドリブル突破で得たFK。ペナルティーエリア手前、絶好の位置からゴールネットを揺らしたのは遠藤だった。得意の左足を振り抜くと、壁を越えたシュートはゴール右隅へ吸い込まれた。GK西川はただ、その鮮やかな軌道を見送ることしかできなかった。1-0。「勝負を分けるのはセットプレー」と前日会見で語っていた背番号25が、芸術的な一撃で均衡を破ってみせた。









リードを奪って勢いに乗る鹿島は、直後の40分にも土居の左足ボレーで追加点を狙う。惜しくもクロスバーに阻まれてしまったが、さらなる得点の予感を漂わせた。前がかりになる浦和の思惑を見透かしたかのように、最終ラインの背後へパスを通し、ゴールへと迫っていった。



そして、次の歓喜は43分に訪れた。中盤で圧倒的な存在感を見せたレオがスルーパスを通し、土居が最終ラインの背後を取ってドリブル突破。ペナルティーエリアに入ってラストパスを出すと、金崎の右足シュートは右ポストに阻まれてしまったものの、こぼれ球に詰めていた遠藤が右足を振り抜く。カバーに戻った相手GKは、手に当てるのが精一杯だった。背番号25のシュートが再びゴールネットを揺らし、鹿島がリードを広げた。2-0。前半は2点リードで終了した。





2-0で迎えた後半、鹿島は浦和にボールをキープされる時間が長くなったものの、守備陣が集中力を切らさずに応戦していった。植田がエアバトルで存在感を示せば、昌子は持ち前のインターセプトで攻撃の芽を摘んだ。そして小笠原が危機察知能力を存分に発揮し、セカンドボールをことごとく支配した。前線ではペドロが労を惜しまないプレスを敢行し、相手に自由を与えない。



石井監督は65分、金崎に代えて鈴木を投入。69分にはレオとの交代で永木をピッチに送り出した。選手層の充実を改めて印象付ける采配で、2点リードのまま、試合は残り20分を切った。



順調に時計の針を進めていた鹿島だが、落とし穴が待っていた。73分、昌子のファウルでPKを与え、興梠に決められて1点差に。直後の75分には左サイドからクロスを上げられ、ヘディングシュートのこぼれ球を武藤に押し込まれてしまった。2分間での2失点で、スコアは2-2に。アウェイスタンドのボルテージは高まり、浦和は勢いに乗って一気に逆転を狙いに来た。小笠原はジェスチャーで“落ち着け”とメッセージを発する。このまま勢いに飲み込まれるのか、しっかりと踏みとどまるのか。新シーズン最初の公式戦で、真価を問われる展開となった。



底力を見せつけたのは、鹿島だった。83分、鈴木優磨。背番号9を継承する若武者が、この日最後のスコアを刻んでみせた。相手の最終ラインへプレスをかけると、パスミスを突いてボールを奪い、左足を一閃。ゴール右隅へ突き刺すと、アントラーズレッドのゴール裏へと駆けていく。新たに纏う背番号をアピールし、ホームスタンドが歓喜に包まれた。













3-2。一時は同点に追い付かれた鹿島だが、再度突き放す強さを見せてしっかりと勝ち切った。これで、FUJI XEROX SUPER CUPは通算6回目の優勝。多くの新戦力が加わった中、シーズン最初の公式戦を制したことで、連戦に向けて自信と勢いを得ることができた。山本が実戦復帰を果たしたことも明るい材料だ。



鹿島の次戦は21日、いよいよAFCチャンピオンズリーグの開幕だ。聖地・カシマスタジアムでの今季初戦は蔚山現代FCとの激突となる。そして25日はFC東京とのJ1開幕戦が控えている。28日はACLのムアントン・ユナイテッド戦、タイでのアウェイゲームが待ち受ける。この浦和戦を含めて、月末まで11日間で4試合。いきなり迎える過密スケジュール、総力戦で1つ勝利を積み重ね、歩みを進めていかなければならない。

【この試合のトピックス】
・FUJI XEROX SUPER CUPは6年ぶり10回目の出場で、2010年大会以来、6回目の優勝を果たした。出場、優勝回数ともに最多記録を更新した。
・ハイパーピンクがベースカラーのセカンドユニフォームを、初めて試合で着用した。
・大会史上初めて、セカンドユニフォーム同士で戦った一戦となった。
・遠藤が2ゴールを記録。水戸戦に続いての得点となった。
・鈴木が決勝ゴールを挙げた。プレシーズンマッチを含め、出場した6試合全てで得点を記録している。
・山本が今季初出場を果たした。


監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:石井 正忠
・ボールの受け方を工夫して、ビルドアップのバランスをとろう。
・ボールが入った後のこぼれ球をひろい、選手間の距離を大事にしよう。
・後半もシンプルに相手の裏を狙っていこう。

浦和レッズ:ペトロヴィッチ
・慌てないでプレーすること。
・我慢すること。
・もっとアグレッシブに戦おう。

[試合後]
鹿島アントラーズ:石井 正忠
まずは、この大会で6回目となるタイトルを獲れたことを嬉しく思う。浦和と対戦する時は難しい試合になるということはわかっていた。後半は守備の対応がうまくいかなかった。前半から相手に支配される形ではいたが、うまく耐えていた。そして相手の背後に出る動きで点を取ることができて、後半も同じ戦い方で臨もうと思ったが、失点して同点に追い付かれてしまった。少し押し込まれてしまったが、ラッキーな形で追加点を取れて良かった。このタイトルを獲ったことで、この後のACLとリーグ戦に向けて弾みになる試合になった。新しいチームになって、タイトルを1つ獲ることが良い形につながると思う。タイトルを獲れて非常に良かったと思う。

Q.4名の新加入選手が先発出場したが、手応えは?新加入選手のチームへのフィットについてどう感じているか?

A.もう少し時間がかかると思っていたが、試合を通して戦術理解度とコンディションを高めていくやり方の中で、非常に早く戦術の理解を進めてくれている。今日のパフォーマンスも非常に良かったと思う。今日は試合に出なかったレアンドロや金森もいるが、彼らの能力を融合させながら高いレベルのサッカーをしていきたい。内容的には今日はまだまだだが、成果が1つ出たことは良かったと思う。

Q.新加入選手の影響でポジション争いが激しくなる中で、チームとして上積みを感じるか。そして、鈴木選手が昨季の終盤から重要なゴールを決めていて飛躍の予感がするが、評価は?

A.トレーニングから競争意識は高まっている。紅白戦の内容は良いし、チーム力はこの短期間でも高まったと感じている。ただ、能力があっても試合に出られないということも多くなるので、そのあたりのコミュニケーションは昨季よりもしっかりとやっていきたい。優磨は点は取っているが、判断の部分など、全体を通してみればまだまだ向上していけると思う。まだこれからだと思う。

Q.アントラーズにとって、タイトルとは?

A.常にこのクラブは、タイトルを獲ることが求められている。タイトルを獲ることで見えるものは確実にある。タイトルを獲っていくことでチーム力、クラブの力は大きくなると思う。獲ってみないとわからない喜びは確実にあって、1つ獲ると、2回、3回と積み重ねたいという思いが出てくる。そういう気持ちを抱かせてくれるのが、タイトルが持つ意味だと思う。

Q.アントラーズは、新たに加入した選手の能力が発揮されやすいサッカーをしている印象があるが、監督の考えは?

A.うちはベーシックなサッカーをしていて、様々なタイプの選手が入ってきた時に、以前からいる選手が新加入選手の特長を出させるプレーができる。ペドロ、レオ、雄斗が入って、スンテもゴールを守った。それでも今までと同じような形でサッカーができたのは、以前からプレーしている選手のサポートがあったからだと思う。守備の約束事はあるが、攻撃の自由度は他のチームよりも上だと思う。ただ、もっと良い試合ができると思う。今の段階では完成度はまだまだ低い。もっと高いところを求めていきたい。


浦和レッズ:ペトロヴィッチ
両チームともに良いプレーをした試合だったと思う。前半の立ち上がり、我々の3バックが思っていたような形にならずに問題を抱えていた。ただ、相手のFKで先制されるまでは、何とか0-0の状況で試合を進めることができた。先制された後、選手たちに「攻めなければいけない」という意識が強く働いたのか、前がかりになってボールを失い、2点目を決められてしまった。0-2とリードされる厳しい展開になったが、後半は選手たちが盛り返してくれた。興梠が危険な形で相手のゴールに迫ることができた。阿部をストッパーにして、和輝を投入して宇賀神をサイドに出し、関根との両サイドから良い攻撃を仕掛けて2-2まで持ち込むことができた。あの状況では我々の方が3点目に近いと思っていたが、残念ながら失点してしまった。あのような失点はあってはならない。あのような形で失点してしまうと、そこから同点に追い付き、逆転する形にするのは難しくなってしまう。


選手コメント

[試合後]

【鈴木 優磨】
ゴール以外は何もできていないし、課題が残る。自分がピッチに入ってから点を取られているし、身体を張ることができなかった。得点の場面は、狙っていた。決めた後は、背番号が変わったのでサポーターに9番をアピールした。

【遠藤 康】
FKは蹴る気満々だった。GKが見えなかったし、壁を越えるだけだった。練習通りにリラックスして蹴れた。あの距離なら、コースに蹴れば入る。浦和はやりにくい相手なので、気を引き締めてプレーしていた。ACLの初戦にも勝って、リーグ戦の開幕を迎えたい。

【クォン スンテ】
勝つことができて嬉しい。良い結果を出すために準備をした。もっと良い試合をして、たくさんのタイトルを獲りたい。

【三竿 雄斗】
2失点目の時は相手との距離を開けすぎてしまった。そこは反省点。湘南の時よりはサイドでの1対1の攻防をする回数が増えると思うけど、感覚は掴めている。しっかりと我慢をして勝ち切るのがこのクラブの伝統だと思う。

【西 大伍】
タイトルが懸かった試合だし、最後に勝つということは大事。こういうレベルの試合をして、課題が多く出たことは良かった。

【山本 脩斗】
少しでも試合に出ることができて良かった。自分が入った時が2-2の状況だったので、守備を落ち着かせることと、チャンスがあれば攻撃参加することを意識していた。特に慌てる感覚はなかったし、チャンスがあると思っていた。優磨が決めてくれて良かった。しっかり勝てたことが大きい。

【永木 亮太】
自分が入ってから、満男さんとの役割分担ははっきりしていた。クロスの形を作られて失点してしまったのは課題。防げた点だったし、もったいなかった。90分を通して主導権を握らせないようにしなければいけない。

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