日刊鹿島アントラーズニュース

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2016年6月29日水曜日

◆鹿島が示した勝者のメンタリティ。主将・小笠原満男が積み上げた土台と、土居聖真が担う未来(フットボールチャンネル)


http://www.footballchannel.jp/2016/06/28/post160676/

鹿島アントラーズは、25日に行われたアビスパ福岡との試合に勝利し、1stステージ優勝を決めた。これまで数々のタイトルを獲得したきたキャプテンの小笠原満男は、この優勝に満足することなく、さらなる勝利を求めている。また、土居聖真はクラブの伝統を受け継ぐ存在となりそうだ。
(取材・文:今関飛駒)

主将・小笠原、1stステージ優勝も満足せず

鹿島

「まだ1stステージを獲っただけなので、本当の意味でのタイトルとは言えないと思いますし、2ndステージも獲ってその先も勝っていくことが本当のタイトルだと思っているので、これに満足することなく勝ち進んでいけるように頑張りたい」

 鹿島アントラーズのキャプテン、小笠原満男はアビスパ福岡を下して1stステージ優勝を決めた試合の後、淡々と語った。

 相手の福岡は最下位でありながら前節に川崎フロンターレとドローを演じて首位から引きずり降ろしている。序盤の鹿島はミスが目立ち福岡にペースを握られるが、セットプレーから先制点を奪うと、その後は落ち着いた試合展開で相手の反撃を許さなかった。

 しかし、Jリーグの“常勝軍団”と呼ばれる彼らも、最後にリーグを制覇したのは2009年。その間にも去年のナビスコカップをはじめいくかのカップタイトルを掲げてきたが、彼らが本当に望むリーグタイトルは6年間も遠ざかっている。

「1stステージ優勝はJリーグ優勝とは思ってないので、年間で勝つことが本当の意味でのタイトルだと思います。すぐ1週間後には試合があるので、Jリーグタイトルという実感はないです」

 クラブに数々の功績をもたらした主将は、1stステージ優勝に浮かれることなく、その眼差しは次のタイトルへと向けられていた。

 小笠原は、取材を通して何度も「勝ちたい」という言葉を口にしていた。このチームで誰よりも多くの勝利を経験してきたが、この飽くなき勝利への探求心が満たされることはない。

 鹿島は常に“勝利”という結果を逆算したサッカーを見せる。それこそがこのチームの真髄でもあるのだ。この試合の小笠原も決して派手なプレーではなかったが、常に周りの選手に声をかけてゲームをコントロールしていた。

内田、古巣の優勝に…「“らしいな”と」

小笠原

 セットプレーから先制点を決めた山本脩斗は、「行けるという感覚はあった。ヘディングは得意としている」と自信を覗かせていた。

 福岡戦は『勝てば優勝』というある種の決勝戦ともいえる試合だった。昨年のナビスコカップ優勝で移籍後初めてのタイトルを獲得した左サイドバックは、試合前の雰囲気について教えてくれた。

「練習からそんな気負いとかもなく、普段通り、いつも通りの感じで練習もしてました。1stステージを勝つことでチャンピオンシップの権利を得られますけど、2ndステージもまだまだありますし、あくまでも通過点としかみんな思っていなかったので、普段通り練習して臨みました」

 ただ、試合前日の練習には1つだけいつもと異なることがあった。クラブOBである内田篤人(シャルケ)と大迫勇也(ケルン)が参加していたのである。

 その内田は、「鹿島は優勝して当然というか勝たなきゃいけないクラブ。僕自身もそう思ってますし、今は(鹿島の)選手じゃないですけど、いちファンとして。勝てない試合をYahooで見ると『何してんだ』っていう気持ちになりますけど、こうやって最後に1stステージで優勝すると、“らしいな”と思います」と古巣の勝利を祝福した。

 小笠原は、「昨日の練習でもそうだけど、大迫と内田がチームの中に入ってくれて『こうやって勝つんだぞ』っていうプレーをしてくれたので、そういう伝統っていうのは大事にしていかきゃいけない」と話していた。

 クラブに脈々と流れる“勝者のメンタリティ”は確かに受け継がれていたのである。

鹿島の未来を担う土居聖真

土居

 植田直通、杉本太郎、鈴木優磨ら若手選手の台頭著しい鹿島において、ユース出身の土居聖真はクラブの未来を担うひとりである。

「隙はなかった思いますし、自分たちがミスしなければやられないっていうのはあった」

 1stステージ優勝という結果を振り返り、土居はそう語った。福岡戦でもダメ押しとなる2点目を決め、勝利を手繰り寄せている。

 そんな土居は、小笠原について「見習うべき選手。いろんなところを盗んでいきたい」と述べていた。しかし、彼も24歳。“若手”という枠からチームの中核を担う存在となっていかなければならない。

「満男さんには満男さんにしかできないことがありますし、僕らが全部真似をしろと言われてできることではないので、僕らは僕らなりの繋ぎ方をしていきたい」

 偉大な先輩を称えつつ、土居は伝統のバトンを繋いでいこうという強い意志を持っていたように感じた。

 福岡戦は、クラブに15年半在籍した青木剛のラストゲームでもあった。中田浩二、本山雅志らに続いてまたひとりクラブを支えた選手が去っていくことに、小笠原は「オレにのしかかってくるものは多くなる」と話していた。

 しかし、先人が積み上げてきた土台は、確かに若手に受け継がれている。1stステージ優勝という結果は彼らにとって通過点に過ぎない。

 それでも、今季鹿島が“本当のタイトル”を掲げることができたのならば、その先には栄華を極める時代が再びやってくるのかもしれない。

(取材・文:今関飛駒)

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