日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年3月7日火曜日

◆柴崎岳のデビューは数週間先か?苦悩の日々を現地記者がレポート(ゲキサカ)




 テネリフェに加入するために現地に渡ってから1か月……。島における柴崎岳の生活は続いている。初めて母国を離れて挑んだ冒険では、最初から色々なことが起きた。24歳の日本人MFがスペインでデビューを果たす日は、まだ近いようには感じられない。

 ここ10日間は静かなものだった。不安障害の治療のため、クラブは専門家の助けも借りた。その症状はチームメートと一緒に練習することさえ、妨げるものだった。柴崎はクラブの許可を得て、数日の間、代理人と共にバルセロナに移動した。エネルギーを充填し、個人的な問題を片付けるためだった。再びテネリフェ島に戻った時には、クラブが滞在するホテルの変更を手配。現在、柴崎は島にある最高級ホテルにいる。そこでスポーツディレクターと統括ディレクターとともに、今後に関する話し合いの場が持たれた。

 この会合では食生活などについても話し合われている。柴崎はカナリア諸島到着から数週間で数キロ、体重を落としてしまった。適切な食事をすることが回復に向けた最良の手段だと、クラブは認識しているわけだ。

 新しいホテルに落ち着いて数日後、彼はついに練習場に顔を出すことができた。テネリフェが日々の練習を行う施設、“エル・ムンディアリート”を代理人と一緒に訪れ、自分の仕事場となる場所への馴染みを深める。これもここ3週間、できていなかったことの1つだった。

 その翌日にはいよいよ練習を開始した。まだまだ体調を改善しないと、公式戦デビューも望めないため、他のチームメートより、ずっとゆっくりしたテンポだ。以来、柴崎はグラウンドに姿を現し続けているが、通常のメニューに比べると、毎回、負荷の少ないトレーニングとなっている。

■リーガはテネリフェにKO時間の変更を提案

 ここに至るまで、様々なことがあった。例えば日本代表総務の津村尚樹氏の訪問だ。同氏は柴崎入団の報を受け、遥々、テネリフェ島まで移動。今は当人のデビューを待つだけだ。加入当初に比べると、周囲の過熱ぶりも収まりつつある。チームのファンはどこか、じれったがっている風でもあり、この日本人選手に起こったすべての逆境に呆然としているようだ。柴崎の契約は6月まで。ただし、テネリフェが1部昇格を果たせば、自動的に延長される。

 とはいえ、島外からのメディア的な興味は留まるところを知らない。“ラ・リーガ”はクラブに対し、正午(日本時間午後8時)キックオフの試合開催を提案した。この時間帯だと、日本ではゴールデンタイムに柴崎のプレーを見ることができ、チームに日本人選手がいるメリットが生かせるからだ。日本のTVメディアから試合中継への関心もあったはず。スペイン・リーガ1部と2部を主催する“ラ・リーガ”が早い時間の試合をテネリフェに持ちかけたのも、そこからきているのかもしれない。

 ただし、それが実現するのはしばらく先と思われる。テネリフェのホセ・ルイス・マルティ監督は、柴崎がまだ招集リスト入りできる段階ではないとし、あと2週間は自身の指揮下で練習する状態にならないだろうと明言している。彼の適応過程が早まり、短期間のうちに試合でプレーする姿を見るのは「難しい」という。

 フィジカル的に回復して、チームメートの練習のリズムについていけるようになるだけでなく、戦術的理解を深め、レベル的にも肉体的にも要求されるものが高い2部で競えるまでに達しないといけないからだ。柴崎のスペインデビューにはまだ時間がいる。少なくともあと数週間は……。

文=ラモン・エルナンデス
取材協力=江間慎一郎

http://web.gekisaka.jp/news/detail/?210845-210845-fl

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