日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年7月12日水曜日

◇筑波大、Jリーグ勢連破なるか? 改革が進む天皇杯。これからの方向性は……(J SPORTS)


筑波大が“ジャイキリ”!! J1仙台に鮮やか逆転勝利…MF三笘薫2発&磐田内定FW中野誠也1得点

後藤健生コラム


天皇杯全日本サッカー選手権は、7月12日の水曜日に3回戦を迎える。

注目は、大学勢として唯一3回戦に進出した筑波大学がJ2で首位争いをしているアビスパ福岡に挑戦するカードか。筑波大学は関東大学リーグでも前期を首位で折り返し、関東大学トーナメント「アミノバイタルカップ」でも決勝戦に進出しているが、天皇杯2回戦ではJ1のベガルタ仙台に完勝して3回戦にコマを進めた。

仙台戦で活躍した三苫薫や中野誠也など、攻撃陣に質の高い選手が揃っていることは言うまでもないが、今シーズンの筑波大学は「うまい」という印象より「強い」という印象のチームだ。

攻撃がうまくいかない時は焦らないでゆっくりボールをつないでリズムを作り、また、押し込まれるような場面では割り切って守備に撤する。そんなゲーム運びがうまい。言ってみれば、勝つことにこだわる鹿島アントラーズのイメージだ。

今週の3回戦。次の週末にJ1の試合がないのでJ1クラブはフルメンバーで臨むことができるが、J2は通常通りにリーグ戦が続くので福岡としてはリーグ戦とは違ったメンバーを組まざるを得ない。そうなれば、筑波大学にも「Jリーグ勢連破」の可能性も十分にある(福岡の井原正巳監督も筑波大学出身だけに、期するところはあるだろうが……)。

ただし、筑波大学にとっては連戦の疲れが大きな障害となる。

アミノバイタルカップ(兼総理大臣杯予選)は7月1日に開幕して、9日の決勝までに5試合を戦うという過密スケジュールだった。しかも、準決勝と決勝は土曜、日曜の連戦だった。もちろん、各校とも毎試合メンバーを大幅に入れ替えて臨んではいたが、なにしろ気温が30度を大きく超える酷暑の中の連戦だっただけに疲労度は計り知れない。

筑波大学の小井戸正亮監督は「天皇杯は重視している。天皇杯まで含めて6連戦のつもりでやる」と語っていたが、決勝戦で順天堂大学に完敗した後、どこまでモチベーションを維持できるかが課題だろう。

筑波大学にとって有利と言えるのは、3回戦は地元茨城県の「ケーズデンキスタジアム(水戸市立競技場)」で戦えることだ。

これは、天皇杯の制度改革のおかげである。

天皇杯は今シーズンからかなり変わった。これまでは夏までに都道府県予選が行われ、決勝大会は9月に開幕というスケジュールだったが、今年は4月に決勝大会が開幕し、2018年元日までという長丁場の大会となった。

そして、6月に行われた2回戦からJ1クラブも参戦。これまでのように日本代表の活動期間に行われる試合もないので、理論的にはJ1勢もすべての試合でベストメンバーを組むことも可能になる(実際には、J1クラブもJ2クラブもリーグ戦とはメンバーを大幅に組み替えているが)。

そして、3回戦の試合を原則として下位カテゴリーのチームのホームで行うことになったのも大きな改革点の一つだ(スタジアムが用意できないような場合は、上位クラブのホームとなる)。

数年前までは予め試合会場が決められており、たとえば関東のチームと関西のチームが九州で対戦するといった不合理なことが起こっていたが、今シーズンは進出チームが決まってから試合会場を決めることとなり、それも下位カテゴリー優先となったのだ。

上位のチームの、たとえばJ1クラブのサポーターにとってはJ3やJFL、大学相手の試合などにそれほど興味は沸かないことだろう。だが、下位カテゴリーのクラブにとってはJ1勢との対戦は地域の注目を集めることのできるビッグイベントだ。

当然、下位カテゴリーのチームのホームで試合をすれば観客も集まるだろうし、それをきっかけにクラブの存在を地域にアピールすることができるし、スポンサー獲得のきっかけになるかもしれない。そして、ノックアウト式トーナメントの最大の醍醐味である「ジャイアント・キリング」も起こりやすくなる。

ただ、2回戦までは従来通り、上位チームのホームで行われた。たとえば、鹿島アントラーズ対FCマルヤス岡崎(愛知県=JFL)はカシマサッカースタジアムで開催されたし、コンサドーレ札幌対いわきFC(福島県=福島県社会人リーグ)は札幌の厚別競技場で行われたというように(そして、いわきFCが5対2で勝利した)。

だが、来シーズン以降は2回戦でもやはり下位クラブのホームでやらせてほしいものだ。たとえスタジアムが小さなものしかなかったとしても、だ。

また、今回から開催スタジアムが下位カテゴリーのクラブのホームとなったとしても、試合の運営は従来通り都道府県協会が行うことになっている(たとえば、記者会見などもクラブの広報ではなく不慣れな都道府県協会の人が司会をするのでスムースに行われないことがある)。

だが、これからは試合の運営などもホーム・クラブに行わせた方がいいのではないかという気がするのだ。

この点で参考になるのが、天皇杯のモデルとなったイングランドのFAカップだろう。

FAカップの場合、組み合わせの抽選によってどちらのホームで行われるかが決まる。プレミアリーグの強豪であっても、ノンリーグ・クラブであっても抽選で決められる。

そして、FAカップの場合、引き分ければ再試合となるが、再試合は相手クラブのホームで行う。下部リーグのクラブにとっては、プレミアの強豪が訪れるというのは数十年に一度の本当のビッグイベントだ。そして、スタンドは空前の数のサポーターで埋まり、クラブは入場料収入で潤うというわけだ。

日本でも、FAカップと同じように、試合の運営はクラブに任せたらどうだろうか。いつもと同じルートで入場券販売を行うようにした方が間違いなく入場券の売り上げは増えるだろう(リーグ戦とは違って、入場料収入の一部は一定の割合で相手クラブに支払われるようにする)。

また、ビッグイベントの運営を行うことによって、地方のこれからJリーグ入りを目指そうというクラブにとっては貴重な運営のための経験となるのではないか。

せっかく、良い方向で改革が行われているのだから、もう一歩踏み込んだ改革を考えてみてほしいものである。

http://www.jsports.co.jp/press/article/N2017071101515002.html

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