日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年9月22日金曜日

◆岩政特別コーチが流経大柏でクリニック後に“特別講義”、注目CB関川が「聞けたことだけでも良かった」という一言も(ゲキサカ)




 日本サッカー協会(JFA)は、継続的な日本サッカーの発展のため、さらなる普及や次世代選手の育成を促進することを目的に『JFA Youth & Development Programme(JYD)』事業を実施している。8月からは元日本代表DF岩政大樹(東京ユナイテッドFC)を特別コーチに、センターバックを対象にした全4回のプレミアムクリニック『NIKE ACADEMY TIEMPO MASTERCLASS』を開催中。12日には岩政特別コーチをはじめとしたコーチングスタッフが受講者の一人であるCB関川郁万(2年)の所属する流通経済大柏高(千葉)を訪れ、3回目のクリニック、DAY3を行った。

 約100分間のトレーニング後、岩政特別コーチは本田裕一郎監督の希望によって流経大柏の全選手を前に9分間の特別講義。日本代表になっていくような選手とそうでない選手とのレベルの差がどこで生まれてくるのか、持論を展開した。

「サッカーをやっている時の頭の回し方が違う」。パスを出す、ヘディングする、1対1で対応する。そのような動作をその時、その時考えて動くのではなく、レベルの高い選手は絵が連続してアニメになるように、その瞬間、その瞬間、頭の中で切り替わって連続して動くことができるのだという。

 そこへ到達するためには「日々の練習でなぜ上手く行かなかったのか、自分なりに考えること。上手く行かなかったことに対して仮説を立てて、あそこでファーストディフェンダーに声かけていれば状況変わったかなとか、どうやったら変わったか仮説を立てていく」。その作業を毎日毎日繰り返していく。

 チームにより貢献するため、チームが勝つための自分の正解を持っているのは、コーチや、日本代表選手、海外のスター選手ではなく、自分だけ。岩政特別コーチは現役時代、毎日のトレーニング後にどうすれば抑えられるか、プロで生きていけるのか、ひたすら考えていたという。それを日々、貪欲に探し続けた選手がトップステージで活躍したり、日本代表になったり、自分だけの守備、攻撃の方法論を手にしたりすることができるのだ。

「自分の正解は自分しか持っていない。自分が持っているもので正解を探す。俺は下手くそだったから人よりも頑張れたし、人よりも声掛けようと思った。頭で考えて、身体を張ろうと思った。サッカーは才能で勝負が決まるわけではない。陸上競技では勝てないかもしれないけれど、サッカーなら勝てる。勝つか、どうかは自分次第。自分の練習に対する取り組みと考え方次第」と岩政特別コーチ。インターハイ王者・流経大柏の選手たちは真剣な表情でその言葉を聞き入れていた。

 この日、3回目の『NIKE ACADEMY TIEMPO MASTERCLASS』を受けた関川にとって、特別講義の中で「聞けたことだけでも良かった」という一言があった。岩政特別コーチが「(プロ入りした際、)読みでサッカーやろうと思っていたんだけど、プロに入ったらトップクラスの選手は読めない。トップクラスの選手はDFを見て、最後にパスコースとかドリブルとか変えるからね。読んだらダメなんだ」と語っていたが、現在U-17日本代表CBで、将来、プロ、世界での活躍を目指している関川にとってはこの言葉が特に印象に残ったようだ。

「読まないというのが衝撃的で。プロの選手は読んで(ボールを)取るものだと思っていた」。相手にどんな攻撃をされてもいいように、90分間常に集中、準備して、対応する力を身に着けなければならないと感じた様子だった。

 その関川は『NIKE ACADEMY TIEMPO MASTERCLASS』を経て着実に成長してきている。この日、他のAチームの選手たちとともに、トレーニングに参加。ヘディング練習では他の選手の見本となるような、早めに跳躍して落ち際にヘディングすることをしっかりと実践し、見学していた流経大柏のコーチや他の部員たちを唸らせていた。そのヘディングについてはDAY1、DAY2で教わったことを公式戦(プリンスリーグ関東)でも試行錯誤しながら挑戦中。2日前に行われた前橋育英高戦では前半上手く表現することができなかったものの、「後半は相手との距離おいて斜めに跳ぶようにした」ことで改善することができたのだという。

 岩政特別コーチはその関川について「彼も(教わったことに対して)ちゃんと取り組んでいると思いましたよ。やっぱり(もう一人の受講者である)馬目(裕也、尚志高)もそうですけど、素直で聞く耳がある。この年代で伸びる選手に共通するものですね」と分析。今後も「反復でやることによって彼の中にインプットされていくでしょうから。試合や練習の中で彼が取り組んでいくこと」と自分の感覚としてモノにしていくことを期待していた。

 評価された関川だが、連続して考える部分で遅れが出てしまっていることを課題に挙げていた。教わったことで自分の守備の方法論となると感じた部分を磨く一方で、岩政特別コーチの教えだけでなく、味方にボールを取りに行かせるコーチングなど、自分のやり方が正しいと思っているものの精度も上げていく意気込みだ。

 この日、6対2からポジション練習、3対2、5対5プラスフリーマン…とトレーニングが変化する中、流経大柏はDFの良いプレーが増え、同時にアタッカーの良いプレーも増加。本田監督は「どのスポーツでもそうだけれど、ディフェンスが良くなると、攻撃も良くなる」と守備の重要性について口にしていた。

 主力CB瀬戸山俊(3年)は強みではなかったというヘディングなど、この日新たに学んだことが多かった様子。そして、「印象に残っているのは、ヘディング。ジャンプして落ちてくるところでヘディングすること。カバーは何でもいいから声を出して、もっとしゃべれたらいい。そして、考えるのが大事だと言われていたのでプリンスリーグ、選手権があるので考えて一個先に動けたりしたらいいのかなと思います」と語ったように、夏の全国王者・流経大柏の各選手たちにとって『NIKE ACADEMY TIEMPO MASTERCLASS』のトレーニングは自分たちの意識を高める、より考える意味で効果があったようだ。

 関川は次回、DAY4のクリニックで鹿島の練習に参加する予定だ。岩政特別コーチとのトレーニング、そして日々守備の方法論を考えることでまた成長してきているU-17日本代表が「どれだけ通用するのか。プロのレベルは高い。貴重な体験だと思いますし、一番は楽しみ」という貴重な機会で自分が今できることを全力で出して、自身の現在地を確認する。

(取材・文 吉田太郎)

岩政特別コーチが流経大柏でクリニック後に“特別講義”、注目CB関川が「聞けたことだけでも良かった」という一言も

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