日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年10月11日水曜日

◆ロシアW杯決めたのに空席目立つハリルJの代表戦のなぜ?(THE PAGE)





 国内最大となる7万2327人を収容できる日産スタジアムが舞台ゆえに、日本代表戦では珍しい空席がどうしてもクローズアップされる。ハイチ代表を迎えた10日のキリンチャレンジカップ2017の公式入場者数は4万7420人と、キャパシティーの約65.6%にとどまった。

 ホーム側のゴール裏は1階がほぼ満杯となったが、2階とアウェイ側のゴール裏の1・2階は空席が目立った。日本代表戦では久々となる当日券も登場。日産スタジアムの東西チケット売り場に約3000枚が用意され、コンビニエンスストアやプレイガイドのオンラインでも販売された。

 6大会連続6度目のワールドカップとなる、来年6月開幕のロシア大会出場を決めてから初めて迎える日本国内での国際親善試合シリーズ。苦戦を強いられたアジア最終予選を突破し、ロシアへの新たな一歩を踏み出す戦いで目の当たりにする数字や事象を、どのようにとらえるべきなのか。

 まずは日産スタジアムにおける、日本代表戦の公式入場者数と比較してみる。ワールドカップ・ブラジル大会以降では、2014年9月9日にベネズエラ代表戦、2015年6月11日にはイラク代表戦が開催され、前者が6万4007人、後者が6万3877人を記録している。

 ベネズエラ戦は火曜日夜の開催で、ハビエル・アギーレ前監督が指揮を執って2戦目だった。選手起用を含めた采配に注目が集まるなかで、代表2試合目のFW武藤嘉紀(当時FC東京、現マインツ)と代表デビューのMF柴崎岳(当時鹿島アントラーズ、現ヘタフェ)が初ゴールを決めている。

 イラク戦は木曜日夜の開催で、八百長疑惑で解任されたアギーレの後任として招へいされた、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の3試合目だった。この一戦で奪った大量4ゴールのなかには、FW原口元気(ヘルタ・ベルリン)の初ゴールも含まれている。

 ともに就任したばかりの指揮官が、どのようなサッカーをピッチに具現化させるのか、という期待感があった。翻ってハイチ戦はハリルジャパンとして戦う31試合目であり、3連休明けの火曜日夜という開催条件も、客足を鈍らせる一因になったとも考えられる。

 招集されたメンバーのなかで、初顔はDF車屋紳太郎(川崎フロンターレ)だけだった。これまでハリルジャパンに招集されながら、出場機会をなかなか得られなかった選手たちが大半を占めたこともあって、フレッシュさに欠ける点は否めなかったと言っていい。

 ハイチ戦前日の段階では、観客数は4万人を超える程度になるのでは、と予想されていた。そこで立ちあがったのが選手たちだ。まずはDF吉田麻也(サウサンプトン)が、前日練習前に自身のインスタグラムとツイッターを更新。「明日!」と簡潔な表現で、ハイチ戦の開催を告知した。

「チケットがあまり売れていないと聞いたからです。満員のスタジアムでプレーするほうが、誰だって嬉しいじゃないですか」

 当日券の販売告知にまでひと役買った理由を、吉田は苦笑いしながら明かしてくれた。ちなみに、吉田のインスタグラムのフォロワーは約16万人。そして、告知の輪は練習後にチームメイトたちへと広がっていく。再び吉田が説明する。

「僕がアップしたのを確か(長友)佑都君が見て、それで『みんなでやったほうがいいんじゃないか』といった感じになったかと思います」

 DF長友佑都(インテル・ミラノ)に続いて、Jリーガーのなかで誰よりもSNSを駆使していると自負するDF槙野智章(浦和レッズ)らが、練習後に選手全員で撮った集合写真を添えて続々とインスタグラムを更新。日産スタジアムへの来場を熱く呼びかけた。

 空席こそ目立ったものの、最終的には4万7420人に到達。6日のニュージーランド代表戦(豊田スタジアム)の3万8461人を超えたのは、選手たちの頑張りが奏功したのかもしれない。

 日本テレビ系で生中継されたニュージーランド戦の視聴率は、ビデオリサーチ調べによれば関東地区で13.2%だった。2‐0で快勝し、ロシア大会出場を決めた8月31日のオーストラリア代表戦(埼玉スタジアム)の24.2%に比べて、大きく数字を落としている。

「ワールドカップ予選に比べたら、関心が落ちるのは普通のことだと思います」

 チケットが完売し、5万9492人の大観衆が詰めかけた大一番の後では、さすがに小休止だと吉田は言いたかったのだろう。そこへ対戦相手のネームバリューの小ささが拍車をかける。特にハイチは国際舞台での実績が乏しいゆえに、試合前は日系人のMFザカリー・エリボーが注目されただけだった。

 しかし、いざ試合が始まれば、アフリカ系黒人の長いリーチ、しなやかな身体能力、意外性に富んだプレーに日本は大苦戦を余儀なくされる。2点のリードを一時は逆転され、後半アディショナルタイムのMF香川真司(ボルシア・ドルトムント)のゴールで辛うじて引き分けにもち込んだ。

 10月の国際Aマッチデーはヨーロッパ、南米、北中米カリブ海でワールドカップ予選が佳境を迎え、マッチメークに苦慮した。同じ大陸内で試合を行わなければいけないFIFA(国際サッカー連盟)の規約もあり、格下だという批判を受けながらもニュージーランドとハイチを招へいした。

「皆さんからいろいろと言われていたマッチメークにうんぬんに関して言えば、ハイチは強かった。もちろんニュージーランドもそうでしたけど、球際も激しかったし、地力のあるチームだったと認めざるを得ないし、今日は本当に負けなくてよかった」

 日本サッカー協会の田嶋幸三会長も試合後に安堵の表情を浮かべた。FIFAランクが48位と、日本の40位よりも下のハイチに負ければランクも下がり、ワールドカップ本大会の組み合わせ抽選にも影響してくるからだ。田嶋会長はこうも続けている。

「これが6‐0などのスコアで勝っていたら、皆さんがおっしゃる通りでいろいろあったかもしれないですけど。ウチのスタッフは、よくマッチメークしてくれたと思っています」

 11月シリーズではヨーロッパへ遠征し、ブラジル、ベルギー両代表と対峙する。日本協会の主催試合となるブラジル戦はハリルホジッチ監督の自宅があるフランス・リールで、日本国内のファンやサポーターが見やすいように、日本時間の11月10日午後9時(現地時間午後1時)にキックオフされる。

(文責・藤江直人/スポーツライター)

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