日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年11月28日火曜日

◆鹿島アントラーズの目指すファンディベロップメント〜スマートスタジアム化とその先へ〜(サッカーキング)




 今年の夏、鹿島アントラーズのホームスタジアムである茨城県立カシマサッカースタジアムは大きく生まれ変わった。Jリーグとの協業で高密度Wi-Fi網「Antlers Wi-Fi」が設置され、「スマートスタジアム」としての第1歩を踏み出したのだ。来場者が多く賑わうスタンド及びコンコース、また待機列の出来る各ゲート近辺を確実にカバーするため、そのアクセスポイントは455を数える。この高密度Wi-Fi網を活用して、今夏から様々な取り組みを実施。「Antlers Wi-Fi」にアクセスした来場者のみが楽しめる、専用ポータルサイト「Antlers Wi-Fi Portal」では試合ハイライトやゴール集、そして当日の試合前解説や試合後フラッシュインタビューなどの動画コンテンツの充実化を図った。また当日のアクティビティーでもARやVRなど、高密度Wi-Fi網が設置されているからこそ、来場者が快適に楽しめるコンテンツを増やした。



 Jリーグのデジタル戦略の一環として推進される「スマートスタジアム化」だが、アントラーズにとってはそれは決して”目的”ではない。ご存じの通り、アントラーズのホームタウンは鹿嶋市を中心とする鹿行地域だが、高齢過疎化も進み、スタジアムを中心とする50km圏内の人口を比較すると他のJ1クラブとの差は圧倒的だ。そのため、集客の半分は首都圏のサポーターに頼らざるを得ないところだが、その交通手段は自家用車、または高速バスが中心となる。そしてカシマスタジアムへの平均アクセス時間は100分を超え、主要J1クラブの平均の2倍。これに高速バスの待ち時間や渋滞待ちなどを入れると、往復で実に8時間を超える”旅”を経てスタジアムへ駆けつけるサポーターも多くいる。





 ここまでして、ともに戦ってくれるサポーターを、カシマスタジアムでいかにもてなすか。来場体験の充実と来場者の満足度を最大限に高めることこそが、クラブの”目的”であり、「スマートスタジアム化」はその”手段”に過ぎない。来季へ向けて、現在、アントラーズが取り組んでいるのは年間指定席と駐車場が付随されている、ファンクラブの最高グレードであるSOCIOメンバーとファンクラブ限定のシーズンチケットの販売拡大。特に駐車場の権利も有するSOCIOメンバーからは、「着いてからの駐車場の心配もなく、確実に観戦できることが大きなメリット」という声が多く聞こえる。過去20年以上、地元行政や関係各所と取り組み続けているアクセス問題が、短期的に改善されることは期待できない。その状況下で、2〜4時間というカシマスタジアムでの滞在時間を楽しんでもらい、「また来よう」と思ってもらえるか。来場者に対するメールマガジンでのフォローアップなど、試合日以外でのアプローチも重要になってくる。時間とおカネを使ってもリピートしてもらえる、”夢の舞台”THE DREAM BOXの実現へ向け、アントラーズとカシマスタジアムの挑戦は続く。







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