日刊鹿島アントラーズニュース

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2018年7月29日日曜日

◆2018明治安田生命J1リーグ 第18節(オフィシャル)


町田浩樹 Koki.Machida


明治安田J1 第18節

鹿島、G大阪と悔しいドロー。町田が初得点も、痛恨の失点で勝ち点1。

真夏の大阪2連戦、第2章は悔しいドローに終わった。長居での激闘から中2日、J1第18節のガンバ大阪戦。パナソニックスタジアム吹田に乗り込んだ鹿島は、41分に町田のプロ初得点で先制に成功する。しかし70分に同点ゴールを許すと、最後まで勝ち越すことはできず。1-1の引き分けで、勝ち点1を得るにとどまった。

3日前、熱帯夜のヤンマースタジアム長居。19時を回っても30度を上回る、高温多湿のピッチで、鹿島は会心の勝利を収めた。C大阪戦、2-0。まずは57分、鈴木がセンターサークル内からのドリブルで敵陣を切り裂き、冷静沈着なループシュートを決めて先制に成功する。そして3分後、途中出場の町田が鮮やかなラストパスを供給し、土居が飛び込んで2点目。終盤は猛攻を受けたが、クォン スンテが鬼神のビッグセーブを繰り返してチームを救ってみせた。22日の柏戦に続く勝利で、7位まで位置を上げた。

C大阪戦前日に金崎の移籍が決まり、長居の夜に昌子が負傷交代を強いられた。それでも鹿島は今、若き才能たちが自覚と責任をピッチに解き放ち続けている。左サイドを切り裂く安西と安部のコンビ、そして腕章を巻いてミドルゾーンを制圧する三竿健斗。さらにC大阪戦では、昌子の負傷で急遽ピッチに立った町田が初めてJ1での勝利を掴み、犬飼は加入後初の無失点試合を演じてみせた。切磋琢磨の成果を勝利という形で結実させた事実が、個々の成長と進化を促す。そんなチームで献身の意味を示し続ける土居は「自信を持ってやれているし、自信を持っていいと思う」と頷いていた。

息つく間もなく、試合は続く。次なる戦いは中2日、吹田でのナイトゲーム。チームは大阪にとどまり、J-GREEN堺でトレーニングを行った。新加入のチョン スンヒョンも合流し、競争意識はさらなる高みへと導かれる。試合前日の最終調整、グラウンドは活気に満ちていた。ポゼッションのトレーニングでは大声での指示が飛び交い、競り合いは激しさを増していく。総力戦で挑む90分へ、チームは集中力を研ぎ澄ましていった。



わずかな準備期間を経て、大岩監督は3名の先発変更を施した。「調子の良さ、コンディションなどを総合的に考えて」メンバー選考を行うと語っていた指揮官は、右サイドバックに内田を指名。昌子が離脱したセンターバックには町田、ボランチの一角には永木を起用し、鉄壁の守備構築を託す。その他、GKはクォン スンテ、最終ラインは内田、町田とともに犬飼と安西が形成。ボランチは永木と健斗が務める。そして攻撃陣は中村、安部、土居、鈴木が並び、今夜も虎視眈々とゴールを狙う。そしてベンチにはGKの曽ケ端、新加入のスンヒョン、西、伊東、レオ シルバ、田中、山口が座る。








台風12号の影響が懸念された週末、J1は3試合の延期が決まった。大阪は朝から曇り空に覆われたものの、13時過ぎに試合開催が決定。アントラーズレッドが続々と足を運び、待機列を成していった。時間を追うごとにボルテージが高まり、高揚感がスタジアムを包んでいく。天候の影響で参戦が叶わなかった仲間たちの思い、気迫のシュートブロックとともに離脱を強いられた昌子の無念、そして確かに宿りつつある自信――。全てを糧に、勝利だけを目指す一戦だ。ウォーミングアップへ向かう選手たちに、青黒を凌駕する熱量が降り注がれた。

19時3分、キックオフ。立ち上がりから、ボールポゼッション率を高めたのはホームチームだった。鹿島はブロックを組んで応戦し、機を見たプレスで応戦。今節を前に指揮官を交代し、非公開練習を重ねてきたG大阪の出方を、まずはしっかりと見極める序盤の戦いだった。両サイドの背後を狙われる場面が多かったものの、内田と安西が献身的なカバーリングを繰り返し、スライディングでのブロックでピンチの芽を摘んでいく。センターバックを務める犬飼と町田も激しいボディコンタクトと迫力満点の空中戦を敢行。起点を作らせなかった。





鹿島のファーストシュートは7分に生まれた。左サイドを起点とした攻撃で右サイドへ展開し、内田がクロスを供給。ゴール前で跳ね返されたものの、セカンドボールに反応した永木が左足ダイレクトボレーで狙う。惜しくも枠を逸れたものの、ゲームキャプテンを託された背番号6がゴールへの意欲を示してみせた。



ただ、その後は我慢の時間が続いた。9分には自陣でのパス交換でプレスを受け、ボールを奪われてカウンターを受ける。ペナルティーエリア内からフリーでシュートを打たれたが、枠を逸れて事なきを得た。流れは変わらず、15分、そして20分が経過しても、鹿島は前線で起点を作ることができず、G大阪に押し込まれる展開に。激しいボディコンタクトを容認する傾向のレフェリングだったこともあり、試合は次第に肉弾戦の様相を呈していった。





7日間で3試合目、アウェイでの連戦。相変わらず蒸し暑かった大阪で、鹿島は鋭いカウンターを敢行できずにいた。30分経過後は敵陣でボールをキープする時間を増やしていったものの、決定機はゼロ。土居が絶えずスペースを突いて潤滑油となり、安西と安部の若き左サイドが突破口を見出そうと腐心していたが、なかなか効果的な攻撃を仕掛けることができなかった。









前半はスコアレスで御の字か――。そんな思いが脳裏によぎる、我慢のアウェイゲーム。だが、均衡を破ってみせたのはビクトリーホワイトだった。主役は、己の存在価値を示すべく戦い続けるセンターバック陣。41分、敵陣左サイドからのFKを永木がファーサイドへ送ると、ゴールライン際まで走り込んだ犬飼が右足ダイレクトでゴール前へ。鋭い折り返し、そこへ詰めていたのは町田だった。ゴールネットが揺れる。青黒が沈黙する。28と39、歓喜の抱擁。町田のプロ初得点で、鹿島が1-0とリードを奪って前半を終えた。









アントラーズレッドのスタンドへと攻める後半、鹿島は開始早々に一瞬の歓喜を迎える。49分、永木の右CKからファーサイドの町田が詰めてゴールネットを揺らした。しかし、得点は認められず。以後はホームチームがボールポゼッション率を高める展開で推移した。それでも鹿島は連動したプレスで相手に自由を与えず、緩急をつけた攻撃で敵陣へ進出。50分には左サイドの安西が突破、パスを受けた安部がロングボールでサイドを変えると、内田と中村の連係でペナルティーエリアに入る。縦パスはわずかに合わなかったが、両サイドを広く使った攻撃で可能性を示してみせた。



だが、次第に運動量が落ちて中盤に広大なスペースが生まれるようになると、G大阪の圧力を受ける形になってしまった。激しいタックルを繰り出してきたホームチームに応戦し、肉弾戦を戦い抜く覚悟を全選手が示していた。鈴木が前線で体を張り、健斗と永木も鋭いプレスを連発してミドルゾーンを制圧しようと奮闘していた。





だが、70分に思いがけない形からスコアを刻まれてしまった。鹿島の左サイドから米倉が蹴ったボールは、クロスのような軌道を描いてファーサイドへ。スンテの頭上を越え、枠に吸い込まれた。1-1。痛恨の同点被弾で、試合は振り出しに戻った。







残り20分、消耗の色が濃い選手たちは必死にゴールを目指した。オープンな打ち合いとなってカウンターを受け、ゴール前へ殺到される場面も増えていく。それでも、犬飼と町田が必死のカバーリングを繰り返し、攻撃陣に希望を託した。右サイドに投入された西と伊東、終盤に前線へ送り込まれた山口も推進力となるべくボールを追ったが、最後まで歓喜の時は訪れなかった。1-1。非常に悔しい引き分けに終わった。



次戦は4日後、8月1日のFC東京戦だ。大阪2連戦は1勝1分。4ポイントを手に、チームは鹿嶋へと帰還する。3試合ぶりのホームゲームを前に、暫定2位につける青赤との勝ち点差は8となっている。重要な意味を持つ聖地での戦いへ、照準を合わせて準備を進めていく。反撃の夏は8月を迎える。ここからさらに加速しなければならない。

【この試合のトピックス】
・J1でのG大阪戦は昨年7月5日のJ1第13節から4戦負けなしとなった。
・J1でのアウェイG大阪戦は2016年2月28日の第1節から3戦負けなしとなった。
・吹田Sでの公式戦は通算6回目で、初めて勝利を逃した。
・町田が今季のJ1で2度目の先発出場。初得点を記録した。
・内田が公式戦4試合ぶりの先発復帰。J1での先発出場は5月2日の第12節長崎戦以来だった。
・新加入のチョン スンヒョンが初めてメンバー入りを果たした。




監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・守備の時、行くところと行かないところをはっきりさせること。
・もっとボール動かして、相手を走らせよう。
・攻守において一体となり、全員で戦おう!

ガンバ大阪:宮本 恒靖
・守備はしっかり、スライドを続ける。
・攻撃は早く、ポジションをみつける。
・セットプレーの折り返しのボールに気をつける。

[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
前半は選手たちが非常にアグレッシブにプレーしてくれて、攻守において切り替えも早く、やるべきことをやってくれたと思う。後半になって少しテンションが下がってしまった中で、あのような失点につながってしまった。しっかりとリカバリーをして次の試合に臨みたい。

Q.アントラーズの右サイドから攻撃を受ける時間が長かったと思うが、強度を保つために手を打てない要因があったのか?

A.いろいろな要因がある。ここでは言えないことも当然あるし、戦術面もある。相手が右サイドを突いてきていたのは把握していたが、あのタイミングで何とか盛り返す時間を作りたいと考えていた。終盤は右サイドからチャンスを作ることができたので、得点につながるプレーを出せれば良かった。

Q.同点に追い付かれてドローだったが、連戦の中で負けなかったことは評価できるか?

A.評価はしているが、勝ち切る気持ちを当然持っていた。(同点に追い付かれてから)もう1回前に出る、スイッチを入れるプレーがなかなか出なかった。

ガンバ大阪:宮本 恒靖
監督が代わったというタイミングで、選手がしっかりとした意欲と意識の高さをもって練習から取り組んでくれていた。それをしっかりと試合に出すという決意を持って入っていったと思う。練習してきた守備の部分は実際に見られた。もったいない失点があったが、頭を下げずに後半に入って、同点に追い付いてからは多くのチャンスを作り出した。選手の頑張りは称賛に値すると思う。これからもっともっとやっていくという雰囲気が試合後のロッカールームにはあった。これを続けていきたい。


選手コメント

[試合後]

【町田 浩樹】
得点やアシストよりも、無失点に抑えて勝ちたい。試合を重ねるごとに良くなってきている手応えはあるけど、勝たせることができていない。結果を残していかないといけない。

【安部 裕葵】
個の力で点を取って、チームを助けることができれば良かった。失点した後にペースを握られてしまったことが反省点だと思う。

【内田 篤人】
勝たなければいけなかった。アウェイで終盤に押し込まれるのはよくあることで、それを跳ね返して勝たないといけない。負けなかったことを良しとしてはいけない。アウェイでも3ポイントを持って帰らないといけない。

【永木 亮太】
前半途中から内容が良くなってポゼッションもできていて、いい流れで点を取れた。後半は足が止まってしまった。

【安西 幸輝】
後半は選手間の距離が良くなくて、イージーなミスが増えてしまった。早めに追加点を取れていれば、もっと楽に試合を運べたと思う。失点後の戦い方も良くなかった。

2018明治安田生命J1リーグ 第18節

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