日刊鹿島アントラーズニュース

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2020年8月8日土曜日

◆不振の鹿島はどこへ向かう? ビルドアップとハイプレスに挑戦も…見えない“完成予想図”(FOOTBALLZONE)







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【識者コラム】“変革期”のザーゴ新体制、従来の原則や選手の質から離れすぎている?


 鹿島アントラーズの不振は今季の異変だろう。

 最下位こそ脱したが、J1リーグ8試合を終えた時点で2勝1分5敗の12位。ルヴァンカップに敗退した後、「ハートの問題」というジーコの発言が報道されていた。それは的を射ているのかもしれないが、不振のチームに精神論が出てくるのはあまり良い兆候ではない。

 これは取材者の間での「あるある」的な定説なのだが、「バーベキュー・パーティーをやると危ない」というのがある。選手、スタッフがバーベキューで結束を図るのは、上手くいっていないチームがよくやることなのだが、それで効果があったためしがないという話である。

 鹿島はザーゴ新監督の下、変革期にあるようだ。

 鹿島の伝統を人から人へ伝承していく手法が、中心選手の海外への移籍によって維持するのが難しくなっていた。プレースタイルを明確化して、選手の入れ替わりに対応できるようにという意図があるとも言われている。

 ただ、ザーゴ監督になってからの変化といっても、そんなに大きな変化ではないと思っている。

 主な変更ポイントは自陣からのビルドアップと敵陣でのハイプレスだが、この2つは程度の差こそあれ、どのチームでも取り組んでいる事柄なのだ。しかし、鹿島のような落ち込み方はしていない。鹿島の従来の原則や選手の質から離れすぎていて、言い方は悪いが罰ゲーム化しているのかもしれない。

 ビルドアップとハイプレスは、ポゼッション型のチームにとっての両輪だ。パスがつながるので押し込める、押し込めるので敵陣からプレスするほうが理にかなっている。両輪が上手くリンクすれば、強みを生かしたプレーができる。昨季の横浜F・マリノス、今季の川崎フロンターレはまさにそうなのだが、鹿島はポゼッションに強みのあるチームではない。

 オーソドックスな4-4-2、ミドルプレスとカウンターアタックを基調としながら、ポゼッションもある程度できる。何かに特化しない、いわば普段着のサッカーが鹿島の強みで、それでクラブワールドカップにおいてレアル・マドリードとも渡り合っていた。


二つの変更点が上手くいった時、その先に何があるのか


 システムは4-4-2(または4-2-3-1)のままで、ハイプレスを行っている。実質的には4-2-4のプレスに近い。このやり方はホルヘ・サンパオリ監督の頃のセビージャ、現在のRBライプツィヒのような成功例もあるが、第一列の4人のところを外されると、中盤中央のスペースが大きすぎるという弱点がはっきりしている。

 2ボランチの対人守備の強さを生かすという面では、鹿島に適しているようにも思える守り方だが、そこまでリスクをかける必要があるのかという気がする。サイドバックのプレス位置も高く、センターバックへの負担も大きい。ハイプレスは、今のところそれほどハマっていない。

 ビルドアップのほうは、自陣からつなごうとするためにミスが多発している。パスをつないで押し込み、それによってハイプレスを機能させようという意図だとしたら、むしろラフなロングボールを敵陣に蹴り込んで押し上げたほうが簡単だろう。ポゼッションして敵陣まで丁寧に運ぶのには、それなりの理由があるはずなのだが、今のところそれが見えてこない。

 ハイプレスのリスクを負いきれず、ビルドアップが覚束ない。ただ、むしろ疑問はこの二つの変更ポイントが上手くいったとして、その先に何があるのかだ。川崎になろうとしているわけではないだろうから、別の何かがあるはずなのだが、それが全く見えてこない。そろそろ「これが目指しているサッカーだ」という、サンプルになる試合を見せなければいけない時期だと思うのだが……。







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