日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年9月24日日曜日

◆鹿島はなぜ”常勝”でいられるのか?【石井正忠×岩政大樹#4】(サッカーダイジェスト)


国内2冠&クラブW杯準優勝。好成績を収めた2016年末に何があったのか?


 鹿島OB対談の第4回は、いよいよクラブの深層へと迫る。なぜ、鹿島は常勝軍団でいられるのか。その理由を熟知するふたりが語り合う。

岩政 石井さんは、スタジアムの雰囲気や感謝の気持ちがチームを勝たせるという信念をお持ちですね。そういう想いを形に表してもいます。サポーターの方たちと一緒に写真を撮ったりして。
 
石井 現役時代にジーコから「自分たちが給料をもらえるのは、サポーターがお金を払ってチケットを買ってくれるからだ」と教えられたのが、身体に染みついているんです。常にそういう気持ちはあるし、「サッカー選手である前に、住んでいる社会のひとりとして生きるべきだ」という心構えや、地域の人に愛されるチームにしたいという想いもありました。
 
岩政 別のクラブの監督になったら、鹿嶋という地域と一時的に離れることになります。寂しくないですか?
 
石井 寂しいかもしれませんね。
 
岩政 石井さんは、地域の人たちと関りが深いですからね。
 
石井 深いですよね。深すぎるかもしれない(笑)。
 
岩政 クラブワールドカップ準優勝は、石井さんの今後のキャリアに大きな影響を与えると思います。あの戦いのなかで対世界という意味で感じたものはありますか?
 
石井 日本は組織力が優れていると感じました。アフリカのチームは、かなり攻撃的だった半面、守備が緩かった。南米代表のアトレティコ・ナシオナルも同じですね。決勝のレアル・マドリーには攻められる時間が長ったんですが、組織でしっかり守れたので、そういう強みが日本にはあると感じました。
 逆に足りないのは、動きながらの基本技術。海外の強豪チームは、そこがしっかりできているからこそ、プレー中に相手が見える。特にレアル・マドリーと戦った時は、自分たちが動かされる感覚を覚えました。
 
岩政 私も指導者として「相手を見よう」とよく言うんですが、結局ボールを止める技術がなければ相手は見えないんですよね。
 
石井 本当にそう。痛感しました。
 
岩政 Jリーグのチャンピオンシップからクラブワールドカップ、そして天皇杯まで一気に駆け抜けましたが、あの期間に何があったんですか?

鹿島は「必ず日本人のアシスタントコーチを置いてきたのも大きい」。


石井 チャンピオンシップの流れがクラブワールドカップにつながり、クラブワールドカップの成績が天皇杯にも続いたのかなと。だから、チャンピオンシップの戦い方が上手くいったのが、一番のポイントになったと分析しています。
 
岩政 なるほど。では、チャンピオンシップで「行けそうだな」と思った瞬間はありましたか?
 
石井 準決勝の川崎戦の前に2週間くらいインターバルがあったので、そこで守備のトレーニングを徹底的にしました。相手が川崎なので引いて守る時間が多くなるのを想定しながら、前から奪いに行くところとしっかり引くところの整理を、もう一度やり直したんです。そこが上手くいった要因のひとつだと思います。全体練習の後に選手同士で話し合うことが増えたし、これはいけるんじゃないかと。
 それに、川崎戦は(柴崎)岳の足の怪我が治るか治らないかというところでした。そこで勝負して川崎戦で使わず、決勝の浦和戦まで引っ張ったのも上手くいったと思います。
 
岩政 チームの原点である守備を見直したうえで、石井さんが重視する自主性も見られるようになったんですね。。
 
石井 あとは、(大岩)剛コーチがビブス組に発破をかけて、自分たちがどういう立ち位置なのか働きかけてれました。それも素晴らしかったです。
 
岩政 剛さんは石井さんとはタイプの違う監督だと思いますが、どう見ていますか?
 
石井 やるべきことをしっかり伝えているのが試合を見ても分かります。3バックを試すなど、トライもしている。チームが好調なので期待して見ています。
 
岩政 鹿島は監督交代が上手いですよね。パウロからオリヴェイラの流れもそうですし、セレーゾから石井さん、石井さんから剛さんへの流れもそう。傾いたバランスを戻すのが上手い。そういった部分をどう感じていますか?
 
石井 必ず日本人のアシスタントコーチを置いてきたのも大きいと思います。監督が変わっても、コーチが選手と話をして、今までの流れを継続できましたからね。オズワルドが就任した時に、コーチだった私はキャンプでいろいろとチームの様子を聞かれました。前の監督はどういった練習をしていたのか、どんなシステムを採用していたのか、と。その流れを汲んでいるのも大きいと思います。

選手との距離が離れて行った時は「やっぱりちょっと寂しかった」。


岩政 今、Jリーグではコーチから内部昇格して監督になる流れが増えてきましたが、メリットがあると感じますか?
 
石井 あると思います。
 
岩政 一方で難しさもありませんか? 今までコーチの立場で接していて、次の日から突然監督になるわけです。もちろん、継続性というメリットはありますが、選手との関係は再構築になりますよね。
 
石井 私は自分の立場が変わることで、選手の反応も自然に変わってくるのではないかと思っていました。「監督と呼ばずに石井さんでいいよ」と話していても、やっぱり選手からしたら監督であることに変わりはない。実際にどんどん距離が離れていくのが分かりました。
 
岩政 やっぱり、そうなんですね。
 
石井 自然にそうなるとは思っていたんですが、やっぱりその通りになったかと。ちょっと寂しかったですね(笑)。
 
岩政 そうですよね。寂しい気持ちは分かります。もし、他のクラブの監督になったら鹿島と対戦することもあります。どこをポイントに鹿島を攻略しますか?
 
石井 考え方としては、レアル・マドリーと対戦する鹿島のような形ですね。あの時はもっと自分たちからボールを奪いに行ってもよかったと後悔している部分もあるので、どんどんボールを奪いに行って、王者・鹿島にプレッシャーをかけたいです。
 
岩政 積極的にプレッシャーをかけてくる相手に、意外と鹿島はてこずりますよね。逆に相手が引くと(小笠原)満男さんが好きなことをし始めるから、鹿島のペースになる。当時は引いてくる相手を見て、「満男さんに良い形で入れさせないほうがいいのにな」と思ったりもしていました。
 
石井 そういうのを勝手に妄想するのも、今は楽しいですね。
 
<<第5回『ジーコが鹿島に残したもの。クラブ創成期には衝撃的な光景が』は23日13時公開予定>>
 
【プロフィール】
石井正忠(いしい・まさただ)/1967年2月1日、千葉県出身。91年に住友金属(現・鹿島)に移籍加入し、97年まで在籍。98年に福岡に移籍し、そのまま現役を引退した。99年からは指導者として鹿島に復帰。以降はコーチ、監督とステップアップし、17年5月末に解任という形でクラブを去った。鹿島在籍期間は、現役時代を含めてのべ26年。まさに常勝軍団を知り尽くした男だ。
 
岩政大樹(いわまさ・だいき)/1982年1月30日、山口県出身。J1通算290試合・35得点。J2通算82試合・10得点。日本代表8試合・0得点/鹿島で不動のCBとして活躍し、2007年からJ1リーグ3連覇を達成。日本代表にも選出され、2010年の南アフリカW杯メンバーに選出された。2014年にはタイのBECテロ・サーサナに新天地を求め、翌2015年にはJ2岡山入り。岡山では2016年のプレーオフ決勝に導いた。今季から在籍する東京ユナイテッドFCでは、選手兼コーチを務める。


鹿島はなぜ”常勝”でいられるのか?【石井正忠×岩政大樹#4】

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