日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年10月7日土曜日

◆「オレがここにいるという存在感を出すこと」「壁にぶち当たった時に何をするか」鹿島CB昌子、大岩監督が高校生へアドバイス(ゲキサカ)




「『オレがここにいる』という存在感を出すのは、物凄く大事」。鹿島アントラーズの日本代表CB昌子源は、今後プロを目指したり、Jリーグクラブへ練習参加したりする高校生たちに向けたアドバイスを口にしていた。

 9月27日、『NIKE ACADEMY TIEMPO MASTERCLASS』第4回受講のために、流通経済大柏高DF関川郁万(2年)と、尚志高DF馬目裕也(2年)が鹿島の練習に参加。2人の身体能力の高さを認めていた昌子だが、1時間という短い練習時間の中でも、もっと積極性を出して欲しかったようだ。

 昌子自身も高校2年生の時に鹿島へ練習参加。「最初、一言も喋らずに練習終わりましたもん。思い出したら、(確かに)無理やと思います」と苦笑していたが、一方で「遠慮はもったいない。こういうちょっとした練習でスカウトが見てたりする。例えば、一発目の練習で声出す選手はいない。ヘディングする時に『オーケー!!』と言って競ったら違いますよ」と声を出してアピールすること、周囲に自身を印象づけたりすることの重要性を説明していた。

 実際、試合でもCBのファーストプレーは大切と言われる。その中で大声を発しながら、ヘディングで跳ね返すことができれば、相手に威圧感を与えることもできるという。どこで誰が見ているか分からない。昌子が「自分の時には無かったですから。羨ましい」と語る『NIKE ACADEMY TIEMPO MASTERCLASS』でプロにアピールするチャンス。もっと活かして欲しいという思いがあった。プロの練習に参加した際に臆すること無く、自分の武器を思い切り発揮できれば、もしくは、大声を発して存在感を出すことができれば、それだけで周りに十分なインパクトを与えることができるからだ。

「高校生は恥ずかしいと思うけれど、大きな声を出して競りに来たら、周りの選手から『オマエ、いいよ!』と言われるし、気に入れられると思います。FWだったら『オーケー!!』って言ってシュート打って、決めたら『シャーっ』と言ったら『いいよ!』となる。そういうアピールが大事ですよ」

 昌子は米子北高1年時にCBへコンバートされた。高校時代はなかなかそのポジションを楽しむことができなかったという。だが、後に川崎F入りするFW谷尾昂也(元川崎F、鳥取。現ヴァンラーレ八戸)や先輩FW山本大稀(元栃木、鳥取。現アミティエSC京都)とひたすら1対1を繰り返して自信をつけたという。2年時にはインターハイで準優勝し、同年の全日本ユース(U-18)選手権でもベスト8。そしてプロのステージへと駆け上がっていった。

 高校生相手に抜群の強さを発揮していた昌子でも、鹿島へ練習参加した際に当時鹿島に在籍していたFW興梠慎三(現浦和)に「度肝を抜かれた」と言い、「いずれあの人を止めると思っていたのを覚えています」と振り返る。高校時代に自信を持っていたというヘディングは、プロ入りしてみると全く通用しなかった。当時は高校とプロの競り方の違いなどを痛感したが、それでも、まず「高校では絶対に負けないところを身に着けた方がいい」と昌子。それを強い相手と対戦し、競り負けたりするたびに工夫しながら勝つ術を磨くことを期待していた。

 プロ1年目、昌子は自分の武器が通用しなくても、「ダメだ」と思うのではなく、角度を変えて、必死にプロで生き残るための術を考えてきた。「(当時鹿島のCBには)岩政(大樹)さんや伊野波(雅彦)さんがいて、(1年目に)伊野波さんに似ていると言われたことがある。(自分も)どっちかというと伊野波さんだなと思ったので、毎日ずっと一緒にいて、学べるもの全てを学んでやろうという感じでした」。壁を乗り越えるための努力をした昌子は伊野波や岩政、さらにDF中田浩二らのプレーから吸収し、プロで戦う力を身に着けていった。

 昌子をルーキー時代から指導している大岩剛監督も「昌子や植田(直通)も超高校級と言われて入ってきて、でも壁にぶち当たる訳ですよ。それを経験することが大事です。今はできることを精一杯やる、すると、課題が見つかってくると思うので、それを自分で考えて、修正していくことがレベルアップに繋がる」と語る。

 日本を代表するCBも経験してきた壁。それに阻まれた時に諦めるのではなく、何をするか。普段から自分の武器を工夫しながら磨き上げて、それが通用しなかった時に考えて、また壁を乗り越えて行くこと。それはプロで活躍する選手たちが経験してきた道だ。「例えば高校の全国大会で自分の課題を見つけて、駆け引きを身に着けていく。プロでできなかったら、その課題をまた工夫していく。その連続だと思うんですよ」(大岩監督)。『NIKE ACADEMY TIEMPO MASTERCLASS』を受講した2人だけでなく、育成年代の選手へ向けられたアドバイス。声のアピール、そして自分を見つめて、常に考え、工夫して行くことが、今後のサッカー人生を変えるかもしれない。

(取材・文 吉田太郎)

「オレがここにいるという存在感を出すこと」「壁にぶち当たった時に何をするか」鹿島CB昌子、大岩監督が高校生へアドバイス

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