いい具合に力の抜けたフォームで左足を振ると、鋭い弾道のシュートがスパーンと飛ぶ。右足でのシュートは力んでコロコロ転がることもあったが、左から放つシュートは次々とゴールネットを揺らす。結局、全体練習が終わったあとの有志だけで行っていたシュート練習で、土居聖真(写真)が放った左足のシュートはすべてゴールネットを揺らした。
「最近、試合前のアップでも左足の方がよくて。うまく力が抜けてる。それだけに右の方がイライラする」
そう言って土居は何ともいえない表情を見せた。
シーズン途中にセルジーニョが加入して以降、ベンチから試合を眺める回数が増えている。それまではほとんどの試合で欠かさず起用されてきた選手が、急に出番が減ったのだ。気持ちに変化がないわけがない。それを、練習のなかでぶつけていく。
大岩剛監督はそれを見逃さなかった。
「彼も悔しさが当然あると思う。決してネガティブにならず、ポジティブに取り組んでくれた」
指揮官は、他の選手の手本になる姿勢を示したことを喜んでいた。
ルヴァンカップ準々決勝第2戦では、川崎Fから会心の勝利を得た。しかし、土居は「そんなにいい内容だと思わなかった」と言った。自分が出ていればもっといい試合にできた、という意地がある。それでも、チームの雰囲気が一気によくなったことは感じている。
「いい流れの時にさらに流れに乗れないのが続いている。良くなってきたかなと思ったら続かないのが今シーズン。難しいけど続けることが大事」
試合前日、土居聖真は主力組に入っていた。やるべきことはもうわかっている。
文:田中滋(鹿島担当)
明治安田生命J1リーグ 第26節
9月14日(金)19:00KO カシマ
鹿島アントラーズ vs 湘南ベルマーレ
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