日刊鹿島アントラーズニュース

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2019年5月24日金曜日

◆【鹿島】伊藤2発で決勝T!「王者の経験値」が生んだ2分間の逆転劇を「読み解く」(報知)



伊藤翔 Sho.Ito


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◆アジア・チャンピオンズリーグ2019 1次リーグE組最終節 鹿島2―1山東(22日・カシマスタジアム)

 E組の鹿島は山東(中国)に2―1で逆転勝ちし、同組2位で決勝トーナメント(T)に進出。途中出場のFW伊藤翔(30)が3分間で2得点を挙げ、大会連覇へ前進した。王者の経験値が生んだ2分間の逆転劇を、岡島智哉記者が「読み解く」。

*  *  *

 アジア王者の貫禄が詰まった2分間だった。0―1で迎えた後半23分、途中出場の伊藤が同点弾。歓喜の10秒後、選手たちが真顔になって状況を確認する。突破条件はドロー以上。このまま守り切るか、2点目を奪いにいくか。出した結論は後者だった。レオシルバは「相手にジャブを何本も打っていた。この勢いなら勝てるとみんなで共有した」と振り返る。

 その結論が正解だったことは、わずか2分後に証明された。レオシルバが仕掛けた速攻。持ち場を捨て、選手たちが2点目を奪いに駆け上がる。左に開いた伊藤が右足アウトサイドで芸術的ゴールを沈めた。絶叫しながらピッチに倒れた伊藤は「自分のゴールで勝利に貢献したかった」と喜びを爆発させた。

 前半11分に先制点を献上。直後から相手は強固な壁をゴール前に敷いた。だが「あの守り方が90分持つはずがない」とシュートまで至らなくても、攻めの姿勢を貫いた。レオシルバが言うところの「ジャブ打ち」だ。今季清水から加入し、ACL経験の少ないMF白崎が焦りから無理なパスを通そうとすると、大岩剛監督(46)から「じれるな!」と怒声が飛んだ。

 去年のACL準決勝水原三星戦(2戦合計6―5)を思い出した。ホーム戦、アウェー戦ともに先制点を与えた。だがその時も「ジャブ打ち」が実を結んだ。逆にリードを守りにいった水原三星は“ドン引き作戦”で徐々に足が止まり、集中力を切らしていった。

 レオシルバは「私たちは王者なので、去年より相手が守りを固めてくるようになった」と語る。他クラブの鹿島への警戒心は明らかに去年以上。既にE組首位突破を決めていた山東にとって、この試合は消化試合。だが元ベルギー代表MFフェライニ、元イタリア代表FWペッレを先発に並べた。決勝Tで再戦の可能性のあるアジア王者の息の根を止めにきた。だが鹿島には血肉を削って頂点に上りつめた昨季の「経験値」がある。

 ACL3度制覇のGK権は「胸に刺しゅうされたチャンピオンバッチを意識してこれからも戦っていく」と力を込めた。次戦は広島との日本勢対決。2004~05年のアルイテハド(サウジアラビア)以来2度目の大会連覇へ、王者の誇りを胸に再び頂点まで駆け上がる。(岡島 智哉)


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