日刊鹿島アントラーズニュース

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2019年5月23日木曜日

◆鹿島復調の陰に新左サイドハーフあり。 白崎凌兵の能力は日本代表級(Sportiva)




白崎凌兵 Ryohei.Shirasaki


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 Jリーグ第12節。鹿島アントラーズが5-0で松本山雅に勝利した一戦は、久しぶりに見る一方的な試合だった。鹿島がよすぎたのか、松本が悪すぎたのか。

 要因を鹿島側に求めようとすると、外せない選手は、試合後、ヒーローインタビューを受けていた白崎凌兵だ。今季、清水エスパルスから移籍してきた26歳。この日は偶然にも誕生日だった。

 先発を飾ったのは第9節の横浜F・マリノス戦から。この松本戦はその4試合目にあたった。

 鹿島といえば選手層の厚いチームとして知られる。メンバーをフレキシブルに入れ替えるターンオーバー制を敷き、さらには複数のポジションをこなすことができる多機能型選手を数多く擁している。アジアチャンピオンズリーグ(ACL)に常に出場しているチームなので当然かもしれないが、ベストメンバーの定義がこれほど難しい、混沌としたチームも珍しい。

 そこに加わることになった白崎。彼がプレーする左のサイドハーフ(SH)は、開幕から、今季から背番号10をつける安部裕葵がスタメンを張ってきた。売り出し中の20歳が、てっきりこのポジションを不動のモノにするかと思われたが、事はすんなり進まなかった。

 SHというポジションに、安部はいまだ馴染めずにいる。今季の初ゴールを挙げたのは10戦目(清水エスパルス戦)。高校時代までトップ下を務めていたという安部は、左を維持しながら攻撃に絡んでいくコツをまだつかめていない様子だ。

 その間隙を縫うように白崎は登場した。初スタメンの横浜FM戦こそ、チームはまさかの逆転負けを喫したが、清水戦からは3連勝。松本戦は先述のとおり5-0の大勝だった。白崎が左SHの座に就いたことと関係ありだ。実際、この試合で白崎は2ゴールを叩き出し、事実上のマン・オブ・ザ・マッチだった。

 レオ・シルバのパスを左足のインサイドできれいに合わせた後半2分の2点目と、土居聖真の右からの折り返しをヘディングで合わせた後半20分の4点目。それぞれ周囲がお膳立てしたチャンスに合わせただけと言えばそれまでだが、ポジショニングにセンスを感じたことも確かだ。

 長いパスを送ることができる視野の広さがあり、懐が深く、細かなボール操作術に優れる。身長がそこそこある(181cm)わりに、巧緻性もある。サイドに起点を作り、攻撃に立体感を醸し出すことができる、SHらしい選手。鹿島には他にはいないタイプだ。能力的には日本代表に選ばれても不思議ではない水準にある。鹿島が今季獲得した選手のなかで、一番の実力者だ。

 逆に、昨季まで所属した清水にとってこれほど痛い話はない。鹿島では41番という大きな背番号をつける白崎だが、清水時代の背番号は10番だった。鹿島と、10番を鹿島に持って行かれた清水が直接対決したのは第10節で、清水が0-3のスコアで完敗する姿は哀れを誘った。翌第11節、清水は川崎フロンターレに敗れるとヤン・ヨンソン監督を更迭。今季の清水が苦戦するのは、当然の帰結かもしれない。

 白崎が清水時代に華々しい活躍をしていたかといえば、そうでもない。10番をつけてプレーした2017年、2018年の2シーズンでさえ、出場時間はチームで7、8番目だった。清水といえば若手がひしめくチーム。注目は、北川航也、金子翔太、立田悠悟、松原后など、白崎より若い世代の選手に集まっていた。白崎はそうした意味で蚊帳の外にいた。

 山梨学院高校2年の時、冬の高校選手権でベスト8入り。大会の優秀選手に選ばれたことで、その名前は知れ渡ることになった。卒業後、清水に入団。2、3年後にはトップチームでバリバリ活躍しそうな、スジのよさが目に留まった。ところが当時の監督、アフシン・ゴトビの評価は低かった。出場機会を求めて白崎はJ2の下位チーム、カターレ富山にレンタル移籍を強いられる。いつしか裏街道をいく”騒がれない”選手になっていた。

 2015年に清水に復帰。昨季まで4シーズンで評価を徐々に上げていったが、それでもチームの評価(出場時間)を考えると、実力の割に評価が低い選手に見えた。周囲の目は若手に向きがちで、森保ジャパンになると北川が日本代表に招集された。チームの10番、年長の実力者にとって、これは移籍のタイミングであることを示唆していた。

 これまで騒がれてこなかった、時代の波に乗ることができなかった実力者。そんな白崎とポジションを争う10番の安部は、6月の日本代表コパ・アメリカ遠征メンバーに選出される見込みだという。U?20の選手にとってこれはうれしいニュースかもしれないが、その間、所属チームでは白崎というライバルの台頭を許すことになる。

 安部も白崎も複数のポジションをこなす多機能型なので、ライバル関係は必ずしも強烈なものではないかもしれないが、売り出し中の安部にとっては、心中穏やかではないはずだ。

 安部と白崎。今季の鹿島で出場時間を増やすのはどちらか。争いのレベルが高いほど、鹿島の成績は上昇する。




◆鹿島復調の陰に新左サイドハーフあり。 白崎凌兵の能力は日本代表級(Sportiva)





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