日刊鹿島アントラーズニュース

Ads by Google

2017年8月12日土曜日

◇GKを困らせる夏場のサッカーの特徴(スポニチ)




【大西純一の真相・深層】この時期、猛暑の中でサッカーをするのはたいへんだ。運動量が落ちて、集中力も欠けるし、失点が多くなるのもうなずけるが、それ意外にも原因があった。

 あるGKが教えてくれたのだが、実は「夏はボールが変化しやすくなり、GKを困らせる」のだという。試合前、多くのスタジアムでピッチに水をまく。ボールがなめらかに転がるようにするためだが、特にパスサッカーを目指しているチームは、ホームゲームの試合前、入念に水をまく。「ボールがぬれて、湿度も高いので、ボールが少し柔らかくなる。芯を食うとぶれ球になりやすく、よく変化する」と言う。グラウンダーのパスをキャッチミスしたり、イージーなシュートが入ってしまったり、思わぬ失点につながっている。

 特にミドルシュートには悩まされるという。至近距離からのシュートはボールのスピードがあるものの、GKも体を動かす範囲が狭いので、ボールに触れる可能性が高くなる。しかし、ミドルシュートはシュートの距離が長くなる分、GKも2、3歩ステップを踏まなければならなくなるので、ボールに触れない可能性が高くなる。つまり近くからのシュートの方が、跳ぶタイミングさえ合っていれば、止められる確率は高くなるということだ。ボールがぶれたり、ぬれてすべりやすくなっていたら、ミドルシュートは、さらにGKがキャッチしにくくなる。

 日本人選手はパスをつないできれいにくずしてシュートを打とうとする意識が強く、ミドルシュートはあまり打たない。GK目線で見れば、「夏場のミドルシュートほど嫌なものはない」ということになる。海外の選手のようにもっと積極的にミドルシュートを打つことが、サッカーを面白くし、チームを勝利に導くことになる。 (専門委員)

 ◆大西 純一(おおにし・じゅんいち)1957年、東京都生まれ。中学1年からサッカーを始める。81年にスポニチに入社し、サッカー担当、プロ野球担当を経て、91年から再びサッカー担当。Jリーグ開幕、ドーハの悲劇、ジョホールバルの歓喜、W杯フランス大会、バルセロナ五輪などを取材。

GKを困らせる夏場のサッカーの特徴

Ads by Google

日刊鹿島

過去の記事