日刊鹿島アントラーズニュース

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2018年5月10日木曜日

◆AFCチャンピオンズリーグ2018 ラウンド16 第1戦(オフィシャル)




AFCチャンピオンズリーグ ラウンド16 第1戦

前半90分、3-1。鹿島が上海上港に先勝、聖地で公式戦3連勝!

「こえる」ための戦い、第1章。聖地で迎えた“前半90分”で、鹿島が力強く勝利を掴んだ。AFCチャンピオンズリーグ・ラウンド16 第1戦。カシマスタジアムに中国の上海上港を迎え撃つと、43分に鈴木、49分に西とセットプレーから2得点を挙げる。さらに75分には安西のクロスからオウンゴールで3点目。直後に1点を返されたが、3-1と先勝した。

4日前の浦和戦、鹿島は金崎のPK弾を守り切って1-0と完封勝利を収めた。満員の聖地で気迫をみなぎらせ、演じてみせた魂のウノゼロ。「力を出し切れたかと言われれば、そういうわけではない」と遠藤が振り返ったように、試合運びに課題が残ったことは事実だ。それでも、勝利という一点に全員のベクトルを集中させ、90分を闘い抜いた事実はこの上ない価値がある。鬼迫のファインセーブを連発した曽ケ端は「みんなの気持ちが入っていた。今後もしっかりと意思統一をしながら試合を進めていきたい」と、勝利の意味を噛み締めていた。

長崎戦に続いて、聖地で掴んでみせた勝ち点3。まだ余韻の残るカシマスタジアムで、土居は次なる戦いを見据えていた。「今日も大事だったけど、次はアントラーズの歴史にとって大事な試合になる」。視線の先には、中国の難敵と対峙する光景があった。ACLラウンド16、上海上港との激突。今季こそ、アジアの頂へ――。クラブの歴史に新たな栄光の頁を書き加えるべく、総力戦で挑むノックアウトステージだ。

つかの間の充電期間を挟み、選手たちは7日にトレーニングを再開した。冬のような寒さが戻った鹿嶋だが、クラブハウスのグラウンドは熱を帯びる。試合前日の公式練習を終え、植田は「第1戦をホームで戦えることを活かして第2戦に向かえるようにしたい」と、勝利を誓っていた。そして夕方の記者会見。指揮官は「このクラブの歴史において、ラウンド16をいかに突破するか、いかにして壁を乗り越えるか。そのことにフォーカスして、集中して臨みたい」と決意を刻んだ。そして三竿健斗も「アントラーズはACLのタイトルをまだ獲ったことがない。クラブとして壁を乗り越えるという目標がある」と言葉を重ねている。思いは一つだ。「壁を乗り越える」。

浦和戦から中3日で臨む“前半90分”へ、指揮官は2名の先発変更を断行。ゴールマウスをクォン スンテに託し、攻撃陣の一角に鈴木を復帰させた。最終ラインは前節と同じラインナップで、右から西、植田、昌子、安西が並ぶ。ボランチは健斗、そして浦和戦で左サイドハーフとして気迫に満ちたプレーを見せた永木が入った。2列目には鈴木ともに遠藤が並び、前線は土居と金崎のコンビだ。そしてベンチにはGKの曽ケ端、伊東、犬飼、小笠原、ペドロ ジュニオール、山口、そして復帰を果たした安部が座る。

週明けから厳しい寒さが続く鹿嶋は、大一番の水曜日も厚い雲に覆われた。雨が降ったり止んだりという不安定な天気、そして冬のような冷え込み。しかし、聖地を包むのは高揚感と勝利への決意だ。背番号12が続々と足を運び、ボルテージを高めていった。「この180分に全てを懸けろ!壁を打ち砕け!」。選手たちの闘争心に火をつけるメッセージが掲げられ、GK陣、そしてフィールドプレーヤーがウォーミングアップに姿を現す。ビッグマッチ直前の緊張感がピッチを覆い、そこへアントラーズレッドの情熱が降り注がれた。



19時ちょうど、キックオフ。ホーム側スタンドを背に攻める鹿島は、開始わずか2分で決定機を作り出す。演出したのは、キャプテンマークを巻いた遠藤だった。右CKのクリアボールを拾うと、角度のないところから左足を振り抜く。内巻きの回転とともにゴールへ飛んだコントロールショットは、惜しくも左ポストを直撃してしまった。アイデアとテクニックの結晶がネットを揺らすことはなかったが、早々と上海上港を脅かしてみせた。



鹿島は以後も攻勢をかけ続け、上海上港を押し込んでいく。ボールポゼッション率で相手を圧倒し、敵陣でのプレーを続けた。4分には鈴木が相手DFにプレスをかけ、ボールを奪ってカウンターを発動。金崎のパスを受けてペナルティーエリアに入ったが、切り返したところでカットされてしまった。



5分足らずで2つのチャンスを作り出した鹿島だが、落とし穴が待っていた。9分、中盤右サイドで西がボールを失い、カウンターを受ける。ペナルティーエリア内で昌子がクリアしたボールをオスカルに拾われ、至近距離から狙われた。しかし、世界屈指のプレーメーカーが放ったシュートが結実することはなかった。スンテ、起死回生のビッグセーブ。背番号1が左手で弾き出し、鹿島を救った。





守護神が見せた、魂のシュートストップ。勇気を注入された鹿島は以後も攻め続けた。12分には永木が敵陣中央で前を向き、迷うことなく右足を振り抜く。強烈なミドルシュートは枠を捉えたが、相手GKに阻まれてしまった。20分には西が最終ラインの背後へ抜け出し、中央の鈴木へグラウンダーでラストパス。雨に濡れたピッチを計算して高速クロスを転がしたが、カバーに戻った相手DFにスライディングでクリアされてしまった。



スコアレスのまま、30分を経過した。上海上港に攻め込まれる場面も増え始めたが、昌子と植田が鋭いタックルと冷静なカバーリングを繰り返してピンチの芽を摘んでいく。スンテは安定感抜群のキャッチングを繰り返してチームに秩序を与え、ミドルゾーンでは永木と健斗が激しいボディコンタクトを連発した。土居は巧みなスペースメイクで攻撃の潤滑油となり、鈴木は気迫満点のポストプレーを繰り出した。全選手が勝利のために全身全霊を傾け続けていた。



そして、待望のスコアが刻まれた。43分、永木が蹴った左CK。昌子が競り合ったボールがゴール方向へ飛ぶと、ライン上で阻まれたところに背番号9が走り込む。豪快な右足シュートがゴールネットを揺らした。1-0。前半のうちに欲しかった1点を、セットプレーから奪ってみせた。





1点リードで迎えたハーフタイムを終え、ホーム側のスタンドへ攻める45分が始まった。歓喜の瞬間は4分後。49分、右CKのキッカーを務めた遠藤がニアサイドへ鋭いボールを送り込むと、ゴール前の密集から西がこぼれ球に反応する。常に冷静沈着な背番号22の選択は右足アウトサイド。ニアサイドを射抜くテクニカルショット、揺れるアントラーズレッド――。2-0。またもセットプレーからスコアを刻み、鹿島がリードを広げた。





しかしここから、鹿島は劣勢を強いられることとなった。圧力を強めたビジターチームに押し込まれ、ボールポゼッション率で圧倒されてしまう。69分には自陣でのクリアミスからこぼれ球を拾われて強烈なシュートに襲われたものの、右ポストに救われた。71分からは7プレー連続でCKを与えるなど、苦しい時間が続く。それでもスンテがビッグセーブを繰り返し、クリーンシートを保ってみせた。









必死に耐え続けた鹿島、信じて叫び続けた背番号12に3度目の歓喜が訪れる。75分、安西が左サイドを縦へ突破し、右足に持ち替えてクロス。ファーサイドへ飛んだボールを鈴木が競り合うと、相手DFの頭に当たったボールがゴールへ吸い込まれた。オウンゴール、3-0。今季の公式戦で初めて3得点を奪い、聖地が沸騰した。





だが、中国の難敵は一筋縄ではいかなかった。3得点目の直後、ペナルティーエリア内での混戦からパスをつながれ、エウケソンに1点を返される。重要な意味を持つアウェイゴールを1つ奪われてしまった。

これ以上の失点を喫するわけにはいかない。鹿島は以後も押し込まれ続けたが、ゴール前でのバトルを繰り返して時計の針を進めていく。打たれたシュートは実に21本。ラストプレーも絶体絶命のピンチだった。それでも、至近距離から放たれた一撃は枠を越えていった。



前半90分終了、3-1。ホイッスルが鳴り響くと、背番号12はタオルマフラーを掲げた。上海での後半90分へ、アントラーズファミリー全員で乗り込むという意志が鹿嶋の夜空に響き渡る。敵地に乗り込む第2戦は1週間後。大車輪の活躍を見せたスンテは「今日と同じ運動量では勝てない。油断を見せてはいけない」と気を引き締めた。総力戦で挑む、敵地での戦いへ――。チーム一丸での歩みは続く。

【この試合のトピックス】
・上海上港とは初対戦で、初勝利を挙げた。
・今季のACLホームゲームで初勝利を挙げた。
・中国のクラブとACLで対戦するのは通算15試合で、8勝3分4敗となった。
・ACLで中国クラブとホームで対戦するのは通算8試合目で、7勝1分となった。
・鈴木が今大会2得点目を挙げた。
・西が今季の公式戦初得点を挙げた。



監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛


上海上港:ヴィトール ペレイラ


[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
2試合のうちのホームで戦う1試合を、勝利で終えたことを非常に評価している。しかし、第2戦は上海に乗り込んで戦うので、非常に難しい試合になる。しっかりと勝ち切る準備をしたいと、気持ちは切り替わっている。

Q. リードした後半、試合をコントロールしきれていなかった。そういう試合が続いていると思うが?

A. リードしてからのゲームコントロールは、現在の課題だと感じている。今日は特に、2点をリードしてからのコントロールが非常に難しかった。選手たちは、少し後ろに重たくなることを自分たちで認識しながらも、前に出ていく力がなかった。ボールホルダーに対してのアプローチ、最終ラインの押し上げ、その両面でパワーがなかったと感じている。ここは第2戦に向けてしっかり改善しなくてはいけない。しっかり意思統一をして試合に臨みたい。

Q. コントロールが難しい状況で、経験のある小笠原選手を早く入れることは考えなかったか?

A. 後ろを重たくするか、前を増やすかという選択になるが、小笠原の経験と統率力は非常に頼りにしている。もう少し早い段階で入れていれば、試合を落ち着かせることができたと感じている。次の試合では生かしたい。

Q. 選手にどのような声をかけて試合に臨んだか?

A. 試合の立ち上がりも我々の課題であり、しっかり入ろうと話して選手を送り出した。相手のストロングポイント、ウイークポイントを踏まえて、狙うところを伝えていた。選手がセットプレーでのポイントをしっかり把握して、自分たちで判断して得点に結びつけてくれた。

Q. 第2戦のポイントはどこにあると考えるか?

A. 同じ相手であり、選手を代えるなど、いろいろなことを踏まえたうえで、分析したい。狙うところ、注意しなくてはいけないところをもう一度洗いなおして、しっかり準備して臨みたい。


上海上港:ヴィトール ペレイラ
3失点したことが受け入れがたい。このような高いレベルの戦いで、3失点することは考えられない。なぜだという気持ちだが、後半は私たちのサッカーを見せることができた。多くのチャンスを作り、1得点ではあったが、多くのチャンスを作った。上海で行われる第2戦を2-0、もしくはそれ以上で勝つことは可能だと思う。後半のサッカーを見せ、得点機をしっかり決めれば、問題ない。


選手コメント

[試合後]

【クォン スンテ】
今日は勝てたけど、油断を見せてはいけない。中国での試合は独特な雰囲気がある。相手より走らないといけないし、今日と同じ運動量では勝てない。満足せずにやっていきたい。

【鈴木 優磨】
ホームなのでアグレッシブに行こうと思っていた。立ち上がりから非常にいい試合ができたし、いい時間帯で得点を取れたことが良かったと思う。

【西 大伍】
ゴールの場面はニアに入るのが遅れたと思ったけど、ボールがこぼれてきた。前半はある程度はボールを持てたけど、本当はこれを90分、ある程度はできるようにしたい。相手はホームとアウェイで全然違うと思う。また新たな気持ちでやりたい。

【植田 直通】
自分たちで試合を苦しくしてしまった。失点するまではいい形で試合を運べていた。後半は引く形になった中で守りきれればいいと考えていたけど、相手に勢いを与えてしまった。次に活かしていきたい。まだ前半が終わったばかり。2戦目はアウェイなので別物として考えないといけない。

【永木 亮太】
3点を取れたことは良かった。バイタルエリアで相手のプレッシャーが来なかったのでボールを回せたし、ミドルシュートを打てると思っていた。3点を取ると重心が後ろになりがちだけど、無失点で終わらないといけなかった。中国のクラブはホームになるとガラッと変わる。声援を力に変えるし、ホームに強い印象。集中してやりたい。

【三竿 健斗】
3点を取れたのは大きいけど、アウェイゴールはもったいなかった。今日のことは早く忘れて、0-0として考えるように切り替える必要がある。中国でのアウェイは観客も多く入るし、相手は勝たないといけないので圧力もある。相手を上回る形で臨まないといけない。

【昌子 源】
まだ前半が終わっただけ。次はアウェイなので、相手は勢いに乗ってくる。3-1という結果をどう捉えるか、メンタル面でどのように受け止めるかにが大事になってくると思う。

【安西 幸輝】
攻撃面ではある程度の手応えは掴まている。でも、自分のミスから失点しそうになった場面もあったし、修正しなければいけない。

【遠藤 康】
相手の個人技にやられた部分もあったけど、周囲の選手がうまくカバーし合えていた。それが機能したことが良かったと思う。




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