日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年7月22日土曜日

◆中村充孝とフランコ・バスケス…鹿島とセビージャのチャンスメーカーを徹底比較(GOAL)




22日に行われる『明治安田生命Jリーグワールドチャレンジ2017』で、鹿島アントラーズとセビージャ(スペイン)が対戦する。両チームの司令塔である中村充孝とフランコ・バスケスを、サッカージャーナリスト河治良幸が比較分析する。

Jリーガーたちが世界トップレベルの選手に挑む――。

鹿島アントラーズは22日の『明治安田生命Jリーグワールドチャレンジ2017』でスペインのセビージャと対戦する。

チームとしての激突も去ることながら、注目されるのが“個と個のぶつかり合い”だ。ヨーロッパリーグを計5回制覇した実績を持つ強豪には、世界トップレベルのプレーヤーが在籍している。彼らと対じし、鹿島の選手たちはどんなプレーを見せるのか?

今回はスタッツとプレースタイルをベースに、中盤で攻撃のタクトを振るうチャンスメーカーを比較し、試合の見どころを紐解いていく。

■チャンスメーカー色が強い中村

中村充孝とフランコ・バスケスは、同じくチャンスメーカーでありながら、タイプが異なる。中村が生粋のチャンスメーカーなのに対し、フランコ・バスケスはチャンスメーカーでありながら、一流のフィニッシャーでもあるのだ。

それはシュート数を見ると一目瞭然で、中村が1試合平均0.8本に対し、フランコ・バスケスは同1.8本を記録。つまり中村は1試合で1本打つかどうかだが、フランコ・バスケスは2本近く打っているのだ。

中村が[4-4-2]のサイドハーフを基本ポジションとする一方で、アルゼンチン出身のイタリア人MFであるフランコ・バスケスはトップ下でほぼ固定される。ベリッソ新体制で臨んだセレッソ大阪戦では、サンパオリ時代の基本システムだった[4-2-3-1]より中盤のポゼッションを重視した[4-3-3]のインサイドハーフに配置されたが、中央のプレーが多くなることに変わりはない。

ただし、鹿島はサイドハーフの選手がかなりの頻度でバイタルエリアの中寄りに流れるため、その基準で言えば中村にもシュートチャンスは十分にあるはず。それでも中村は自分でミドルシュートに持ち込むより、より良いポジションの味方を探し出してパスを通す意識が高く、それがデータにも表れている。それでも、いざシュートを打てば枠内シュートが67パーセントという数字が示す通り、正確なシュートでゴールを狙うことができる。明治安田生命J1リーグ第14節・サンフレッチェ広島戦で決めたペナルティエリア中央からのゴールが象徴的だ。

さらに中村を大きく特徴付けるのが、チャンスの起点として、周りの選手とさまざまな距離感で絡んでいくセンスだ。ドリブルは1試合平均1.2回でフランコ・バスケスの同2.3回より少ないが、チャンスクリエイトは同1.5回でフランコ・バスケスの同1.03回を上回る。時に攻撃的な左サイドバック・山本脩斗のクロスやインサイドに走り込むプレーを、また時にレオ・シルバのミドルシュートを引き出す。

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■注目ポイントは中村の攻守のバランス

いわゆる「攻撃のリンクマン」的な役割をこなす中村に比べ、フランコ・バスケスはポゼッションを高める役割をこなしながら、高い位置でボールを持って前を向ければ、個の力で打開しようとする意識が高い。ただ、自分のところでタメを作り、相手のディフェンスを引き付けて周囲に味方が使うスペースを作るプレーも得意としている。ケース・バイ・ケースだが、1対1なら仕掛け、複数のディフェンスが来ていればタメて周りにつなぐというイメージで間違いはない。

基本ポジション、パスとシュートの優先度、個人とコンビネーションの割合などに違いがある両者だが、攻撃陣のキーマンになりうる存在であることに変わりはない。キープ力とパスセンスに優れ、ミドルシュートも狙えるフランコ・バスケスは鹿島の守備陣にとっても要注意だが、同時に中村の特徴は、俊敏で連動意識が高いプレーに慣れないセビージャを驚かしうる。

来日間もない状態でC大阪を相手にボールポゼッション70パーセントを超えたセビージャに対し、鹿島も守備の時間が長くなれば中村の攻守のバランスもJリーグとは変わってくるかもしれない。その中でいかに効果的にチャンスを演出できるか注目だ。

文=河治良幸



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