
日刊鹿島アントラーズニュース
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2018年4月15日日曜日
◆内田篤人のW杯代表復帰への思い。西野ジャパン誕生はどう影響するか?(THE PAGE)

聞き手の意図を察するように、鹿島アントラーズの右サイドバック・内田篤人は、悪戯小僧のような笑顔を浮かべながらポツリとつぶやいた。
「何か監督が代わったらしいし」
2月25日の開幕戦以来、48日ぶりに戦列復帰した14日の名古屋グランパスとのJ1第8節を、勝利で終えた直後のカシマサッカースタジアムの取材エリア。質問のテーマがアントラーズから、日本代表に移ろうとした瞬間だった。
ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督の電撃解任が、日本サッカー協会(JFA)から発表されたのが9日。後任に決まったJFAの西野朗・前技術委員長の就任会見が12日に行われてから、初めて迎えるリーグ戦で内田は右太もも裏の違和感を乗り越えてピッチに戻ってきた。
しかも、西野新監督は選手選考の基準について「過去の経験、実績にプラスして、ここ1ヶ月の状況を正確に見極めたい」と明言している。ワールドカップ代表に2度選出され、古豪シャルケのレギュラーとしてブンデスリーガ1部やUEFAチャンピオンズリーグの舞台で戦ってきた内田は、経験や実績は十二分に満たしている。
残された条件はコンディションのみ。ゆえにグランパス戦で先発し、後半32分までプレーした結果を受けて、メディアから「(リーグ戦が中断するまでの)あと1ヶ月、ガンガンと」と聞かれた直後に飛び出したのが冒頭の言葉だった。
「オレはどちらかと言うと、試合に出ないと話にならないので。みんなとはやっぱり違うからね。それで(自分を)見てくれれば、というだけなので」
週2試合の過密日程が続いていく今後へ向けて、静かなる闘志をのぞかせた内田は、約7年半ぶりにアントラーズへ復帰した今年1月以来、日本代表に関する質問をこんな言葉でかわしてきた。
「よく聞かれるんですけど、代表にはだいぶ入っていないので。オレが何か言える立場でもないし、鹿島に戻ってきたからには、鹿島のために一生懸命働きます」
最後に国際Aマッチのピッチに立ったのは、ハリルホジッチ前監督が指揮を執って2試合目となる、2015年3月31日のウズベキスタン代表戦までさかのぼる。直後の同6月に痛めていた右ひざの膝蓋腱にメスを入れ、過酷で孤独なリハビリの日々をスタートさせた。
ヨーロッパがシーズンオフに入ると、古巣アントラーズへ戻ってリハビリを継続させた。ハリルホジッチ前監督も気に留めて、復活を待っていたのか。2016年5月下旬に千葉県内で行われた、ヨーロッパ組を対象とした日本代表候補合宿に内田を招集している。
「グループに加わることでいい雰囲気になるし、彼らもウチダが戻ってきたことで喜んでいる」
全体練習に加われないことを承知のうえで、それでもハリルホジッチ前監督が内田を呼び寄せた理由を、技術委員長に就任した直後の西野氏も共有していた。
そして、順調な回復を遂げるもシャルケで出場機会を得られなかった内田は昨夏にブンデスリーガ2部のウニオン・ベルリンへ、さらに今年1月にはアントラーズへ完全移籍した。
「皆さんは知らないと思うけど、オレはドイツでずっと練習もしていたし、右ひざがどうのこうの、というのはまったく問題ないと思っています」
長期離脱を強いられる原因となった右ひざの具合を聞かれるたびに、時には語気をやや強めながら内田はこう語ってきた。それを証明する場となったピッチで、実は内田と西野氏は邂逅している。
上海緑地申花(中国)をホームに迎えた、2月14日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のグループリーグ初戦。内田は右サイドバックで先発フル出場し、相手GKの美技に防がれたものの、後半終了間際には果敢な攻めあがりから強烈なシュートを放っている。
「体もそれほど重くなかったし、どんどんよくなっている気がする。ゲーム体力やボールタッチはある程度戻ってきたけど、オレの場合は1試合だけじゃ復帰だなんて言えないからね」
大きな手応えをつかんだ、アントラーズ復帰後では初めてプレーした公式戦を、技術委員長だった西野氏が視察に訪れていた。スタジアムを後にする際には、長いブランクを乗り越えてフル出場した内田の姿に思わず表情を崩している。
日本代表の右サイドバックは、酒井宏樹(オリンピック・マルセイユ)が絶対的な居場所を築いている一方で、2番手が長く不在の状態だった。ワールドカップという厳しい戦いに臨むうえで、不慮の故障や出場停止などを考慮した場合、ひとつのポジションに2人は必要となる。
実際、酒井宏を故障で欠いた3月下旬のベルギー遠征では、宇賀神友弥(浦和レッズ)と酒井高徳(ハンブルガーSV)が代役を務めたものの、及第点に達するパフォーマンスを残せなかった。指揮官が代わっても、右サイドバックを取り巻く状況が変わることはない。
J1開幕戦を終えた後に右太もも裏の違和感を訴え、戦線離脱を強いられた内田だったが、実は復帰当初から想定していた故障だった。右ひざの古傷そのものは問題ないが、真剣勝負から長く遠ざかっていた反動が必ず体に起こると覚悟していた。
「小さな筋肉系のけがが、これから多少はあると思うよ。そういうのもケアをして、適当にごまかしながら上手くやっていくしかない」
再復帰まで予想よりも時間を要したものの、今月9日の完全合流後は紅白戦でもプレー。満を持してリーグ戦のピッチに戻ってきたからこそ、立ち止まっているつもりはない。
代表監督交代でチャンスは広がったと思うか――グランパス戦後にこう問われた内田は、首を縦に振って現役選手全員の思いを代弁しながら、こんな言葉を紡いでいる。
「(広く)見てくれると思うよ、オレは。やれるということがわかれば、(自分のことを)気にはしてくれると思う」
淡々とした口調から漏れ伝わってくるのは、2010年の南アフリカ、2014年のブラジル両大会に続く3度目のワールドカップ出場へかける熱き思い。復帰前に30歳になった、知性と強さ、速さを兼ね備えた右サイドバックが静かなるチャレンジを加速させていく。
(文責・藤江直人/スポーツライター)
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