日刊鹿島アントラーズニュース

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2018年10月21日日曜日

◆2018明治安田生命J1リーグ 第30節(オフィシャル)



大岩剛 Go.Oiwa


明治安田J1 第30節

西が先制ボレーも、後半に3失点。鹿島、浦和に逆転負け。 

再び始まる連戦の日々、その幕開けを勝利で飾ることはできなかった。J1第30節、浦和レッズ戦。埼玉スタジアム2002に乗り込んだ鹿島は38分に西が鮮やかなボレーを突き刺して先制に成功したものの、後半に3失点。1-3と逆転負けを喫した。 

6日前、鹿島は失意とともにタイトルを一つ失った。ルヴァンカップ準決勝第2戦、横浜FM戦。ホームでの“前半90分”を1-2で落とし、逆転突破を目指して乗り込んだ三ツ沢で、あと1点が届かなかった。ビジタースタンドを埋め尽くしたアントラーズレッドの情熱がトリコロールを凌駕する中、0-2から土居とセルジーニョの得点で2-2に。突破条件である3得点以上での勝利に迫り、猛攻を仕掛け続けた。山口が果敢な突破を繰り返し、終盤には昌子が戦いの場へと帰還。背番号3がチームを、そしてサポーターを鼓舞し、全員でゴールを目指した。だが、及ばなかった。 

残された大会で全てを出し尽くし、そしてタイトルを獲るしかない。2ヶ月ぶりに確保された5日間の準備期間、まずは2日間のチームオフで心身の充電に努めた。そして水曜日、クラブハウスに再集合した選手たちはコンディションを高めていく。過酷な連戦の爪痕が残る中、それぞれが己の課題に正面から取り組み、次なる戦いへと照準を合わせていった。代表での活動を終えた三竿健斗とチョン スンヒョンも木曜日に合流。試合前日の金曜日には、紅白戦とセットプレーの練習を実施した。実戦形式のメニューに数多く取り組み、グラウンドは熱を帯びていた。 

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前日練習を終え、大岩監督は浦和との対峙を「ビッグゲーム」と表現した。敵将として2度目の対戦となるオズワルド オリヴェイラ監督への思い、そして勝利への決意を胸に埼玉へと向かう。目前の90分に全てを注ぎ、勝利とともに突き進む――。再出発を遂げるため、総力戦で挑むアウェイゲームだ。 

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中5日で迎える大一番へ、大岩監督は5名もの先発変更を断行した。ゴールマウスにクォン スンテを復帰させ、センターバックはスンヒョンと昌子のペア。そしてボランチには小笠原を指名し、前線にはセルジーニョを起用した。その他、両サイドバックは西と山本、ミドルゾーンには永木と遠藤、安西、そして前線には土居が並ぶ。そしてベンチにはGKの曽ケ端、犬飼、小田、今季J1で初のメンバー入りとなった久保田、鈴木、金森、山口が座る。 

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朝早くから背番号12が足を運び、ビッグマッチ特有の高揚感がスタジアムを包んでいく。リーグ戦は残り5試合、勝負の終盤戦に突入。意選手たちがウォーミングアップに姿を見せると、アントラーズレッドがビジタースタンドから情熱を降り注いでいった。数では及ばなくとも、その熱量はホームスタンドの赤を凌駕する。久しぶりの先発復帰を果たした昌子、小笠原への信頼が叫ばれ、ピッチは熱を帯びていく。そして16時4分、ホイッスルが鳴り響いた。 

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立ち上がりは我慢の展開となった。浦和にボールキープを許し、パス交換から深い位置まで進入される場面が続く。開始15分間、鹿島は大半の時間を自陣で過ごすこととなった。だが、スンテを中心とした守備陣が集中力を切らすことなく、ゴール前の攻防で粘り強く対応を続ける。永木と小笠原もペナルティーエリア手前のスペースを消しつつ、機を見たプレスを敢行。スンヒョンと昌子のセンターバックコンビも激しいボディコンタクトを繰り返し、起点を潰していった。耐えしのいだ先で、必ずチャンスは訪れる――。そう信じて、ビジタースタンドとともに必死に体を張り続けた。 

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鹿島が敵陣でのプレータイムを増やしたのは、20分を経過してからのこと。24分、左サイドでボールを持った山本のパスを受けた安西が瞬時の加速でペナルティーエリアに入ると、迷うことなく右足を一閃。強烈な一撃は相手GKの正面を突いたが、最初のチャンスを作り出してみせた。28分には敵陣中央のスペースで安西が前を向き、高速ドリブルで浦和を切り裂く。エリア内からのシュートはブロックされてしまったが、背番号32の果敢な仕掛けが突破口を見出しつつあった。 

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コンタクトプレーのたびに怒号が鳴り響き、一瞬の隙をも許されない一進一退の攻防。均衡が破られないまま、30分を経過した。激しい競り合いでFKを与える場面も増えていたものの、ゴール前の攻防で自由を与えることはない。最終ラインでのパス交換から攻撃を組み立てるプレーも多く、虎視眈々とチャンスを窺っていた。 

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そして、38分。待望の瞬間が訪れた。敵陣左サイドのパス交換から安西がペナルティーエリア手前で粘ると、セルジーニョが左側のスペースへパス。ペナルティーエリア左側で待っていた山本が緩やかな軌道のクロスを送ると、ゴール前の密集を越えたクロスに走り込んだのは西だった。背番号22の選択は右足アウトサイド、ダイレクトボレー。地を這う一撃がネットを揺らす。ホーム側スタンドの沈黙、そしてアントラーズレッドの沸騰――。1-0。前半唯一の決定機を仕留め、鹿島が1点リードでハーフタイムを迎えた。 

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ビジタースタンドへと攻める後半、鹿島は開始早々から積極的な姿勢を見せた。47分、遠藤がミドルシュート。50分にもペナルティーエリア手前でのパス交換から安西がFKを獲得するなど、攻勢をかけていた。だが、52分に痛恨の失点。スンテが至近距離からのシュートを弾き出した直後のCKから、岩波にヘディングシュートを決められてしまった。 

1-1。セットプレーからゴールネットを揺らされ、同点に追い付かれた。勢いに乗る浦和に対し、鹿島は機を見た攻撃でチャンスを窺っていく。だが、次のスコアもホームチームのものだった。60分、武藤の左足ミドルシュート。1-2と逆転を許し、ビハインドを負ってしまった。 

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だが、反撃の時間は残されている。大岩監督はすぐに鈴木を送り出し、得点への希望を託した。公式戦3試合ぶりの復帰を果たした背番号9は、気迫に満ちたポストプレーと迫力満点の突破を繰り返して推進力となっていく。67分には相手GKへ鋭いプレスを仕掛けて右CKを獲得。直後の交錯でイエローカードを提示されると、ビジタースタンドから怒号が鳴り響いた。 

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鹿島はセカンドボールをことごとく拾い、攻勢をかけていった。66分に投入された小田が右サイドバックを務め、果敢な突破で光明を見出すと、中盤に位置を上げた西が卓越したゲームコントロールを見せてピッチを支配。敵陣でのプレータイムを増やし、ゴールを狙っていった。 

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70分、鈴木のポストプレーから西がペナルティーエリア手前でボールを持つ。背番号22のアイデアと技術が詰まったスルーパスがエリア右奥へ。走り込んだ土居が前を向いた瞬間、長澤のチャージで背番号8がピッチに転がった。だが、笛は鳴らなかった。土居は信じられないという表情を見せ、ビジタースタンドからは大ブーイングが鳴り響いた。ベンチから複数の選手が飛び出し、ピッチ内の面々は主審へ確認を行う。判定は変わらない。

1-2のまま、残りは20分。鹿島は必死に攻撃を仕掛けたが、最後の一線を割ることができない。82分に送り出された山口、サイドバックに位置を下げた安西も果敢なドリブルで突破口を見出そうと腐心した。84分には小田のクロスからセルジーニョ、85分にも永木のFKから西がヘディングで狙ったが、ネットを揺らすには至らない。 

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すると後半アディショナルタイム、次のスコアを刻んだのもホームチームだった。カウンターから武藤にドリブルシュートを決められ、1-3。反撃の時間は残されていなかった。浦和相手に味わう、8試合ぶりの屈辱。勝ち点を積み重ねることはできなかった。 

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次戦は4日後、24日に行われるACL準決勝第2戦だ。チームは明日、クラブハウスでのトレーニングを実施。リカバリーメニューで回復に努め、月曜日に韓国へと発つ。水原三星と対峙する、“後半90分”。ファイナルの切符を掴み取るため、一丸となって準備を進めていく。 

【この試合のトピックス】 
・浦和との公式戦で7試合ぶりに敗れた。 
・西が今季のJ1で3得点目を挙げた。 
・昌子が7月25日の第14節C大阪戦以来となる先発出場を果たした。 
・小笠原が8月5日の第20節清水戦以来となる先発出場を果たした。 
・小田が4月25日の第10節神戸戦以来のJ1試合メンバー入りを果たし、途中出場で今季4試合目の出場を記録した。 
・久保田が今季のJ1で初のベンチ入りを果たした。 
・今季登録のフィールドプレーヤー全員がJ1での試合メンバー入りを記録することとなった。 


監督コメント
[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・相手DFの裏をタイミングよく狙っていこう。 
・プレスのスピードを全体的にあげること。 
・全体のプレーの質を上げ、絶対に勝とう!

浦和レッズ:オズワルド オリヴェイラ 
・まず落ち着こう。そして逆転しよう。 
・よいプレーは出来ている。チャンスを生かそう。

[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
結果的に残念な試合になってしまったが、選手たちは非常によく走って、勝利を諦めずに最後まで戦ってくれた。「その姿勢を次の試合に活かそう」という話をした。アウェイの中で、いろいろなシチュエーションを想定してきたが、3失点目は絶対にあってはいけないものだった。今後に活かすためにもしっかりと反省をしなければならない。次の試合に活かしたい。 

Q.川崎Fの結果次第では優勝が厳しくなるが? 

A.その結果が出てから考えたい。仮定の話ではなく、前を向いて次の試合に向けて準備をしたい。 

Q.前半は猛攻を受けながらも耐えて点を取った。水原三星戦に向けた、いいシミュレーションになったのでは? 

A.シミュレーション云々というよりも、あのような試合の入りになるであろうという想定をしていた中で、選手たちが少しずつ修正をして、いいカウンターから得点につなげた。非常に評価できる部分だと思う。前半始まってすぐのピンチから少しずつ修正していったことについては、次の試合でも起こり得る状況だと思う。その部分では、選手の修正力を評価したいと思う。 

Q.負傷者や出場停止の選手がいる中で、メンバー選考で重視したことと交代策について 

A.浦和とのアウェイゲームという状況下で、起こり得る全てのことを想定して先発メンバーと交代選手を選んだ。この試合と次の水原三星戦に向けて、ケガ人が多い中で 用できる選手をどう組み合わせるかを考えて、送り出した。 

Q.ルヴァンカップで復帰した昌子選手が今日は先発したが、評価は?終盤には負傷したようだが? 

A.トレーニングをなかなか行えない中で、昌子も含めてだが、小笠原やケガ明けの選手のコンディションを上げていかなければならないという状況を踏まえて、しっかり 
とコミュニケーションをとったうえで送り出した。昌子のケガについてははっきりはわかっていない。明日になれば状況は把握できると思う。当然、彼はチームの中心なので、出場できる状況であるのなら、しっかりと見極めたうえで自信を持って送り出したいと思う。 

Q.後半になって盛り返す展開になったが、今までもそのような試合が多いように思う。試合展開のイメージについてどのように考えているか? 

A.試合が始まってから、いろいろな状況がある。ケガ人も含めて想定外のことも含めて、シミュレーションをした中で選手を送り出している。ケガ人がいる中で出場できる選手、若い選手を使うにあたって、前半は慣れるまでの時間、試合に入っていくまでの時間がある。そういうものも含めて90分のプランを組んでいる。今日は(前半に)失点しなかったことはよかったが、崩された部分や反省すべき部分はある。そう 
いうものはない方がいいに決まっていて、ポジショニングで未然に防ぐことを含めて修正していかなければいけない。後半になってギアを上げることは、選手交代も含めてだが、選手の中で自信を持ってできていることだと思う。選手の自信が大きいと思う。精神的な部分も含めて、ギアを上げるという作業はしっかりとできているのだと思う。 


浦和レッズ:オズワルド オリヴェイラ 
非常にいいゲームだったと思う。前半は失点はしたが、非常にいい形を作れていた。後半は落ち着いて前半のプレーを継続することができたので、得点につながったと思う。前半も多くの決定機を作っていたので、ハーフタイムには「落ち着いてプレーをしなさい」と伝えていた。

選手コメント
[試合後]

【西 大伍】 
入りのテンションは悪くなかった。(ゴールは)ちょうど歩幅が合ってよかった。脩斗くんがよく見ていてくれた。90分を通してやることをはっきりさせることが必要。どこかで途切れてしまう。今日で言えば、1点目のセットプレーを抑えられればよかった。 

【小田 逸稀】 
自分とスンヒョンの間を興梠選手が狙っていたので、そこを閉じることを監督から言われていた。もう少し高い位置でタイミングのいい抜け出しができれば、もっとよくなっていくと思う。イージーミスがいくつかあったけど、1対1で仕掛けることはできていた。最初から使ってもらえるように、練習からアピールしていきたい。 

【山本 脩斗】 
前半は押し込まれる形を想定していたので、そこまで慌てることなく、声を掛け合いながら連動してプレーできていた。狙い通りにカウンターから1点を取れたけど、後半に失点して相手の勢いに押され、追加点を取られたのが痛かった。悔しい。すぐに試合は来る。今日の負けも、ルヴァンで負けた悔しさも忘れてはいけない。 

【安西 幸輝】 
相手は勢いよく来てチャンスを作られたけど、前半は悪くなかった。でも後半の入り方が悪く、失点してしまった。リードしていたので慌てる状況ではなかった。もったいない。みんな、いつも以上にテンション高く試合に入ったけど、負けたので何も言えない。 

【土居 聖真】 
押し込まれるのはわかっていた。攻められていても、やられなければワンチャンスはあると思っていたので、前半はプラン通り。後半は相手がトーンダウンして入ってきて、それに合わせてしまった。PKを取ってもらえなかったし、運のない試合だった。相手もPKと諦めていたのに、主審が笛を吹かなかった。 

【昌子 源】 
前半は想定内。勝っている時の戦い方を考えなければいけない。セットプレーでの失点も、2点目の失点の時間も悪かった。下を向いていたらすぐに試合が来る。切り替えないといけない。


◆2018明治安田生命J1リーグ 第30節(オフィシャル)


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