日刊鹿島アントラーズニュース

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2018年2月25日日曜日

◆新連載・アントラーズ「常勝の遺伝子」。 生え抜き土居聖真は見てきた(Sportiva)


遺伝子 ~鹿島アントラーズ 絶対勝利の哲学~(1) 
土居聖真 前編

「ピッチが凍っていて、カッチカチだった。スパイクが刺さらず浮いているような状態。みんな慎重にプレーせざるを得なかった。しかも、前半は守備がハマらなくて、難しい入り方になってしまった。でも、ハーフタイムのロッカールームでみんなが修正しようと、声を出し合っていたのが、すごくよかった」

 2月21日、韓国・水原ワールドカップスタジアム。マイナス2度の気温のなか、AFCアジアチャンピオンズリーグの第2節。水原三星に1-2で勝利した鹿島アントラーズの昌子源がそう試合を振り返る。

 ホームで戦った第1節、対上海申花戦では早々に失点し、その後、猛攻を続けながらも1点しか返せず、ドロースタートだっただけに、アウェーで勝ち点3の意味は小さくない。同時に2試合連続先発の鈴木優磨や、初戦は左、この試合では右と両サイドバックを務めた新加入の安西幸輝、昨シーズンからボランチに定着した三竿健斗など、若手選手が勝利に貢献できたのも大きな収穫となった。

「やっぱり、ゴールを決めないとね」

 柳沢敦コーチは笑顔を見せたが、その一方、羽田憲司コーチは「勝ったからよかったけれど……」と終了間際の失点を悔やんでいる様子だった。現役時代のポジション、今の担当部門によって、表情に微妙な差があった。そして、大岩剛監督は「初勝利だね」と安堵感を漂わせていた。

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 プロサッカーリーグが誕生して25年が経ち、日本代表が5大会連続でワールドカップ出場を重ね、日本サッカー界は新時代を歩き続けている。そんななか、この国で唯一変わらぬスタイルで歴史を綴るチーム、クラブがある。それが鹿島アントラーズだということに異を唱える人はいないだろう。数々のタイトルを重ねて、常勝軍団と胸を張れるキャリアを歩んできた。

 昨季はACL敗退直後に監督が交代。コーチから昇格した大岩監督以下、現体制で再スタートしたが、あと一歩のところでリーグ優勝を逃した。そして、今季は、内田篤人の復帰はあったものの、他は若い選手を補強した。それは、新時代へ向けた構想とも考えられる。捲土重来を賭けたクラブにとって新たな時代のスタートとなるのか? 

 選手、スタッフ、OBなどのインタビューとともに、過去を振り返り、現在を追い、未来を探っていきたいと思う。

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 ホームタウンの人口の少ないクラブにとって、下部組織からの生え抜き選手をトップ昇格させるのは困難だ。ましてやトップチームが強豪であれば、なおさら難しくなる。

 鹿島アントラーズはホームタウン5市の人口が約28万人。高体連出身の選手が多いのもそれが理由のひとつだろう。しかし、プロ化に伴い、学校の部活ではなく、多くのタレントがJクラブでのプレーを選択するようになった。才能の獲得競争のターゲットが若年層へ向かうスピードは、年々加速度を増している。

 昨年日本代表デビューを飾った土居聖真(しょうま)は、鹿島アントラーズジュニアユース、ユースという生え抜き選手だが、実は小学6年生まで山形のOSAフォルトナ山形FCでプレーしていた。中学進学を前に鹿島の一員となった土居は、当時クラブではレアなケースだった。




――どういういきさつで、鹿島のジュニアユースへ加入したのでしょうか?

「小学6年生の秋くらいに、最後の大会として出場したフットサルの全国大会が終わったときに指導者から『アントラーズのセレクションを受ける気があるか?』と聞かれたんです。アントラーズのコーチから声をかけたられたと。すでに、卒業後に行くクラブも決まっていたから、冗談だろうと思っていたら、後日、自宅に電話もかかってきて、『これ、本当の話なのか』って(笑)。

 当時、鹿島はジュビロと2強と言われていた。あまりにも遠い存在過ぎて、そのジュニアユースへ行けるのかというよりも、関東のクラブへ行けば、レベルの高いなかでサッカーができるという気持ちのほうが強かったですね。関東のチームは巧いだけじゃなくて、とにかく強かったので。そのセレクションに合格し、鹿島でサッカーをしたいと覚悟を決めて、母親と一緒に鹿嶋で暮らすことにしました」




――山形を出るという決断に迷いはなかったですか?

「自分でもレベルの高い場所に身を置きたいと思っていたので、山形を出ることに迷いはなかったです」

――新天地でのサッカーはどうでしたか?

「同学年のなかでは巧いほうだったけれど、僕はとにかく身体が小さかったんです。だから、中3の先輩とプレーすると、大人と子どもみたいな感じでした。スピードと技術だけでは、どうしようもない差を感じました。

 しかも、走るのが苦手でスタミナもないのに、毎日毎日走る練習ばっかりだったんです。あとは基礎練習。毎日、学校が終わると自転車で練習場へ向かいながら、『今日はボール使えるかなぁ』と考えていましたね。その練習場もクラブハウスとは違う場所で、環境が整っているわけでもない。

 とにかく、苦しかったというのが中学時代の思い出です。でも、サッカー選手としてどうこうというよりも、規律とか責任感とか、人間として大切なことを教わった3年間でした。それに、いつもビリを走っていた僕が、気づくと真ん中くらいを走れるようになったのは良かったですね、今思うと(笑)」

――ユースに上がると寮生活が始まります。

「僕の高校3年間はちょうど鹿島が3連覇したときだったので、寮で、みんなで応援していました。ゴールが決まると『ウォ~!』って、廊下を走り回ったりして。そして、シーズン前のキャンプの時なんかに、トップの練習にも参加させてもらえたんです。

 マルキーニョスがいて、モトさん(本山雅志)、野沢(拓也)さん、(小笠原)満男さん……スタメン組は本当にすごかった。早くその中でもまれたいといつも思っていました。練習参加といっても、キャンプ中だからフィジカルメニューが中心で、ゲームをやってもいっしょにできる環境ではなかったんです。それでも、プロというものを身近に、現実的に感じられるようになりました」

――わずかな時間でも刺激になりますね。

「宇佐美(貴史/デュッセルドルフ)や小野(裕二/鳥栖)、宮吉(拓実/札幌)、杉本健勇(C大阪)、小林祐希(ヘーレンフェーン)なんかが同期なんですけど、当時、年代別の代表合宿で一緒だった彼らが、トップチームに二種登録されたり、トップで練習していると聞くと焦りましたね。宇佐美は別格だったけど、ほかの選手と自分との差が大きいという感じはなかったから」

――トップチームがどういうレベルにあるのか、そういう部分にもよりますよね。

「それは理解していました。優勝を争う状況で、そう簡単にユースの選手に経験を積ませるというわけにもいかないだろうから。でも、(年代別の)代表に行って、鹿島のユースへ戻るとやっぱりレベルが全然違う。U-17ワールドカップのメンバーが固まるなか、だんだん呼ばれなくなったりして、しょうがないことだとわかっていながらも、このままじゃダメなんじゃないのかと思いました。

 僕は子どもの頃から、いつも上の年齢の人たちと一緒にサッカーをしてきたんです。敵わない相手とやることの楽しさのなかで、成長してきた。ユースでも1年生のときは、3年生とやれば、引っ張られてうまくなれると思えたけど、3年生になったら、自分のチームに追うものがなくなったような気がしました」

――ユースはトップチームのそばで練習もしています。

「はい。だから、本当に近くて遠い存在でしたね。でも、横でプレーしている別次元のトップの選手をいつも見ていました」

――そして、トップ昇格が決まります。

「高3の夏ですね。だからといって、一緒に練習できるわけではなかったんですけど(笑)。僕の代から昇格できた選手は僕しかいなくて、ほとんどの選手は大学へ進学しました。最初はわからなかったんですけど、自分がトップの試合に出るようになって、同期のみんなが自分のことのように喜んでくれているのを知って、仲間の想いを託されているんだなって感じるようになりました。とはいえ、みんななかなか連絡くれないんですけどね(笑)」

(つづく)


新連載・アントラーズ「常勝の遺伝子」。生え抜き土居聖真は見てきた


◆今季の主役になるのは?2018・Jリーグで見ておくべき注目選手5選!(MF&FW編)(GOAL)






今季のJリーグで活躍が期待される注目の選手5名をピックアップする。

1993年5月15日、国立競技場で産声を上げたJリーグは四半世紀の時を経た2018年、25周年を迎えた。この25年にわたる長い年月のなかで数多くの名プレーヤーたちを輩出してきたJリーグ。開幕直前の今回は、そんな名プレーヤーたちの仲間入りが期待される注目選手をポジション別にピックアップ。MF&FW編では日本の将来を担うであろう神童や新天地で大ケガからの復帰を目指すドリブラー、名門で一時代を築いたベテランなど、5選手を紹介する。

■久保建英[MF/FC東京]

昨年11月にFC東京U-18から昇格。16歳のプロになったのを機に通信制高校へ転校し、原則午前中に行われる練習に参加できる状況を整えた。2月上旬には恒例のJリーグ新人研修に出席。最後に提出した5年後の自分に宛てた手紙には、スケールの大きな夢がしたためられている。

「サッカー選手として大きな存在でありたい、というのはあります。『久保選手を見てサッカーを始めました』と言ってもらえるような、より大きな影響を周囲に与えられるような、ひと言で表現すればすごい選手になることが僕の目標でもあるので」

FCバルセロナの下部組織で注目を浴びた逸材は、開幕前の対外試合6戦で4得点をあげて長谷川健太新監督へアピールした。それでも「シーズン前に数字を掲げるのは、自分はあまり好きではないので」と具体的なゴール数などを封印。心憎いほど冷静に、12月まで続く長丁場の戦いを見すえている。

■齋藤学[MF/川崎フロンターレ]

キャプテンと「10番」を担った横浜F・マリノスから、ホームタウンが隣接するJ1王者へ、それも契約満了に伴ういわゆる「ゼロ円移籍」で加入したことで、激しいバッシングを浴びた。すべて覚悟の上だった。

「最終的には周りがどうこうより、自分にとって一番厳しい道を選ぼうと。これだけ強く、ポジション争いが激しいチームで、自分が挑戦するという意味でここだと」

新天地で背負う「37番」に不退転の決意を込めた。マリノスユース時代に2種登録された2008シーズンに用意された背番号を、「一から始める時につけるにはいい番号かな」と自ら望んだ。

昨年9月に右ひざの前十字じん帯を損傷。全治8カ月と診断されたが、「タイミングとして(ワールドカップの日本代表入りへの)可能性を残せるくらいの時期に復帰しようと思っている」と明言。ドリブルという個の能力を、J1屈指の攻撃陣に与えられるシーンを思い描きながらリハビリを進めていく。

■中村敬斗[FW/ガンバ大阪]

高校2年生にしてプロの世界へ挑むことに不安はなかった。むしろ一刻も早く、高いレベルでさらに心技体を磨き上げたかった。

昨秋にインドで開催されたFIFA・U-17ワールドカップ。ホンジュラス代表とのグループリーグ初戦で達成したハットトリックを含めて、チームトップの4得点をあげた点取り屋は三菱養和SCユースでの最後の1年を残して、飛び級でガンバ大阪とプロ契約を結ぶ道を選んだ。

今シーズンから指揮を執る、レヴィー・クルピ監督の存在が決め手になった。セレッソ大阪監督時代に香川真司(現ボルシア・ドルトムント)らの若手を、積極的に起用しながら育てた64歳のブラジル人監督が描く今シーズンの青写真には、すでに中村も含まれている。

180cm、75kgのボディに決定力、三菱養和SCで磨いたドリブル、そして無限のポテンシャルを搭載した17歳は「勝ちにこだわり、得点やアシストでチームに貢献できるように頑張りたい」と、まったく物怖じすることなく日々の練習を楽しんでいる。

■前田大然[FW/松本山雅FC]

昨シーズンのJ2戦線に、大きな衝撃を与えたストライカーの一人と言っていいだろう。期限付き移籍した水戸ホーリーホックで、36試合に出場して13得点をマーク。山梨学院大附属高からプロの世界に飛び込んで2年目で、大ブレイクを果たした。

50mを5秒8で走破するスピードだけでなく、トップスピードに到達するまでの加速時間の短さでも群を抜く。坊主頭の韋駄天ぶりは、瞬く間にJ2の名物となった。

「素晴らしいサポーター、そして松本山雅に関わる全ての皆様と一緒に、J1昇格に貢献したいという思いが強くなり戻ることを決意しました」

飛躍するきっかけを与えてくれた水戸へ感謝しながら、戦いの場を松本山雅FCへ戻す今シーズン。173cm、67kgの体に搭載された旺盛な闘争心と、武者修行で身につけた成果を4年ぶりのJ1昇格のためにぶつける20歳のホープは、2年後の東京五輪に挑む森保ジャパン入りも視野に入れている。

■本山雅志[MF/ギラヴァンツ北九州]

18年間も所属し、2002シーズンからは神様ジーコの象徴だった「10番」を背負った鹿島アントラーズを2015シーズン限りで退団。新天地に選んだ生まれ故郷のギラヴァンツ北九州ではケガの連鎖に苦しみ、まだゴールを決めていない。

2016シーズンは終盤に右ひざの前十字じん帯を損傷。チームも最終節で敗れてJ3へ降格した。復帰間近だった昨夏には右ひざの半月板を損傷。2度の手術を乗り越え、6月には39歳になる今年は副キャプテンを任されている。

チームで最も大きな「43番」を望んで背負う。強豪・東福岡高に入学した1995年。最初の練習試合で手渡されたユニフォームに「43」が記されていた。

「東福岡は僕が飛躍したチーム。そこでつけた最初の背番号のもとで、原点に戻ってサッカーをやりたいな、という気持ちがありました」

森下仁之新監督のもとでJ2復帰を目指す戦いで、鹿島仕込みの勝者のメンタリティーを宿らせるベテランは必ず存在感を放つはずだ。


今季の主役になるのは?2018・Jリーグで見ておくべき注目選手5選!(MF&FW編)


◆リベンジに燃える鹿島…充実の選手層を武器に全タイトル制覇へ【J1戦力分析:鹿島アントラーズ編】(GOAL)




2018明治安田生命J1リーグが2月23日に開幕した。昨季、J1最終節で川崎フロンターレに逆転優勝を許した鹿島アントラーズ。勝負強い鹿島らしからぬ失態であったが、選手たちの胸には「あの悔しさを忘れない」という強い想いが残った。今季こそは――。リベンジへの準備は整った。



■内田復帰で「小笠原の後継者問題」に終止符へ

昨季はまさかの結末だった。最終節でジュビロ磐田からゴールが奪えずスコアレスドロー。最後の最後で川崎フロンターレにかわされ、手の中にあったリーグ連覇を自ら取り逃してしまった。勝負強さを武器としてきた鹿島アントラーズとは思えない大失態だった。

そのため、オフの間から監督や選手だけでなくクラブ全体から「あの悔しさを忘れない」という声が聞こえてきた。クラブとしても昨季の主力をほぼすべて残留させることに成功し、さらに3連覇の中心選手だった内田篤人をドイツから呼び戻す。他にも東京ヴェルディから安西幸輝、清水エスパルスから犬飼智也らを獲得することで、ポジション内での争いが比較的少なかったセンターバック(CB)とサイドバック(SB)にも激しい競争をもたらした。

特に、内田にかかる期待は大きい。鹿島で3連覇を経験しただけでなく、日本代表でもワールドカップに2回出場し、ドイツでも7年間プレーしてきた選手が語る言葉は重い。これまでチームの中心を担ってきたのは小笠原満男だが、さすがに試合に出場する数も減り、ピッチ内外でチームをけん引するのが難しくなってきた。そこでクラブが白羽の矢を立てたのが内田。「小笠原の後継者に」とクラブの強化責任者である鈴木満常務取締役が熱烈なラブコールを送って呼び戻した。昨季終盤、勝ち切ることができなかった鹿島にとっては最高の人材を獲得できたと言えるだろう。

安西の存在も大きい。ここ数シーズン、鹿島の左SBは山本脩斗が一人で担ってきた。しかし、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)などが絡み連戦が増えると、替えの効かない山本に多くの負担がかかっていた。昨季は湘南ベルマーレから三竿雄斗を獲得したがいまひとつ力を出し切れないまま来ていた。そこで様々なポジションをこなせる安西を獲得したのだが、ここまでプレシーズンマッチだけでなく、すでに開幕したACLでも2試合で先発出場。すばらしいプレー内容で驚きを与えている。これにはSBとしての大先輩である内田も「技術がある。一個前のポジションもできるな、というボールタッチもするし、走れるし、右もできるからね。良い選手が来たな、と思います」と称賛した。

ゲームメイクができるボランチが小笠原しかいない編成なだけに、質の高いSBが揃っていることは、ビルドアップの精度にも大きく関わってくる。昨季までその役割は西大伍が担ってきたが、昨季最終節で右ひざ内側側副じん帯断裂という大ケガを負い現在はリハビリ中。さらに、本人は中盤での起用を希望しており、その希望どおりに2列目やボランチで使うためにも内田と安西の加入は、チームの幅を広げる効果が期待されている。

CBにも、昌子源や植田直通と同世代の犬飼智也が加わった。当初、クラブはベテラン選手の獲得も構想していたが、ポジション争いを促すために昌子や植田とポジションが争える選手に変更。互いが切磋琢磨してさらに選手として成長する環境を整えた。ヘディングの強さではリーグ屈指の成績を残す犬飼は鹿島らしい選手と言えるだろう。日本代表入りを目指す犬飼にとっても大きなチャレンジとなる移籍となった。

■攻撃陣最大の補強は既存選手の“成長”となるか

充実した陣容が固まった守備陣とは対象的に、攻撃陣はほとんど顔ぶれに変化はない。阪南大から山口一真を獲得したのみで大きな補強はなかった。昨季、優勝した川崎Fとは勝点72で並んだが、得失点で17もの差を付けられた。終盤に勝ちきれなかったのも、チャンスを決めきれなかったことが響いており、攻撃力アップはリーグタイトル奪還のためにも必要不可欠な事項と思われた。しかし、クラブは敢えて手を付けなかったのである。ここに実績のあるFWを連れてくれば、これから主力としてチームを担っていくことになる鈴木優磨や安部裕葵、金森健志、そして新人の山口一真の出場機会を奪うことにつながる。そこで、敢えて誰も獲得せず、彼らの成長に期待を示す編成で今季に臨む。

そして、その期待に鈴木がしっかり応えている。プレシーズンから3試合連続でゴールを決めるだけでなく、先日のACL水原三星(韓国)戦でも活躍。期待に違わぬパフォーマンスを見せている。金崎夢生、ペドロ・ジュニオールといった実績十分の選手が揃うなか、「僕たち若手が刺激を与えないといけない」と本気でポジションを奪いに行く姿勢が、良い影響をもたらしている。

昨季途中でチームを任された大岩剛監督は、初めてキャンプから指揮を執る。宮崎で行われたキャンプのなかでは攻撃力の向上に着手。相手ディフェンスの間にポジションを取る攻め方を示すと、ACLの2試合のなかでも随所に狙いどおりの崩しが見られた。1試合目の上海申花(中国)戦では25本のシュートを放ったが1-1に終わったが、その試合後に内田が「年始からチームは始動しましたけど、いい準備をしたからこういうゲームができたと思う。やっていることは間違ってない」と強調すると、その言葉どおり2試合目の水原三星戦では美しい崩しから金崎が先制点。2-1で勝利した。

今季前半はACLとリーグ戦が並行し、最大で15連戦という超過密日程が待っているが、そのために豊富な戦力を揃えた。いまだ、どのクラブも成し遂げたことのない全タイトル制覇を本気で目指す。

写真・文=田中滋


リベンジに燃える鹿島…充実の選手層を武器に全タイトル制覇へ【J1戦力分析:鹿島アントラーズ編】











◆【清水 vs 鹿島】 ウォーミングアップコラム:新たな守備のリーダー、ファン・ソッコ。古巣相手に熱くかつ冷静に下克上を狙う(J's GOAL)





昨年は最終節で辛くもJ1残留を決めた清水エスパルス。今季はチーム再生を誓い、新たな指揮官にヤン・ヨンソン監督を迎えて、再スタートを切ろうとしている。
ただ、6週間の準備期間で臨む最初の相手は、難敵・鹿島アントラーズ。戦力だけでなくチームの成熟度も非常に高く、今季も有力な優勝候補であり、すでにACLで2つの公式戦を経験している。
そこに挑む清水は、まだ新たなサッカーを構築している過程にあり、現時点では守備の修正に重点を置いている。チームとして最低限の目標は残留争いから脱することだが、そのためには昨季J1ワースト3位の54失点を減らすことが絶対条件だからだ。
攻撃のほうでは、確実にパスをつなぎながらさまざまな角度から崩していくサッカーを目指しているが、今の段階ではまだまだ成長過程。この開幕戦では、相手が鹿島ということもあってポゼッションでは上回られる可能性が高いが、その中でチーム一丸となってゴールを守り抜き、限られたチャンスを生かしてゴールを奪うという形が、清水が勝利するためのシナリオとなりそうだ。

というわけで、清水が勝つためにはまず失点を0に抑えることが欠かせない。そして、そのためのカギを握る存在が、新たに加入した元韓国代表センターバック、ファン・ソッコだ。2015〜16年には鹿島に在籍してリーグ優勝も経験しており、昨季は中国・天津泰達でプレーした経験豊富な28歳。鹿島に移籍した犬飼智也の穴を埋めるだけでなく、それ以上の働きが期待される新たなディフェンス・リーダーだ。
ファン本人も「自分が求められている役割は失点を減らすことなので、失点の確率を減らすプレーをすること、自分の経験をみんなに伝えること、チームに良い風が吹くように自分のところから良い言葉を発信していくことを心がけています」と語る。
フィジカルや1対1の強さ、高さ、速さなどDFとしての基本能力は申し分なく、それに加えてコーチングや統率力を年々確実に進化させてきたことを、彼を広島時代からよく知る関係者も証言する。そうしたファンの積極的な声かけもあって、守備陣のコミュニケーションはより活発になり、練習試合などでも一体感のある組織的な守りができ始めている。

ファンを中心とする守備陣が失点を0に抑え続ければ、ACL水原戦(アウェイ)の疲れを残す鹿島に終盤で消耗や焦りが出始める可能性は高い。そうなれば、鄭大世、クリスラン、北川航也といった一発のあるFW陣が大きな一仕事を見せてくれる期待感も十分にある。
「ホームゲームだからといって前からイケイケになれば、鹿島の思う壷になってしまうでしょうし、向こうは水原戦の疲労も残っていると思うので、相手の出方や状態をよく見ながら、自分たちがボールを握れる時間帯は握って、相手の急所を突くという部分でもしっかりとしたゲームプランが必要だと思っています。僕自身、鹿島が相手で非常に燃える部分がありますが、冷静にゲームを運ぶという部分も声をかけ合いながらうまくやっていきたいと思っています」(ファン)
人一倍熱い闘志を胸に秘めながら冷静に守備を統率する新たな守備の要。彼の一挙手一投足に注目することも、清水の試合を観るうえで新たな楽しみとなる。

文:前島芳雄(清水担当)


明治安田生命J1リーグ 第1節
2月25日(日)13:00KO アイスタ
清水エスパルス vs 鹿島アントラーズ

【清水 vs 鹿島】 ウォーミングアップコラム:新たな守備のリーダー、ファン・ソッコ。古巣相手に熱くかつ冷静に下克上を狙う


◆【鹿島】J1開幕戦・清水戦へ最終調整 内田「普通にやる」三竿健「高い強度で」(報知)




 鹿島は24日、Jリーグ開幕戦の清水戦(25日・アイスタ)に向けて鹿嶋市内で最終調整を行った。

 すでにACLで公式戦2試合を戦っていることもあり、セットプレーの確認を行った後はFW鈴木優磨がDFラインを務め、DF植田直通が前線に張り付くなどレクリエーション要素の強い全選手参加・14対14のハーフコートゲームで調整した。

 先発が予想されるDF内田篤人は「(開幕戦は)大事だと思いますけど、普通にやれれば」と平常心を強調し、MF三竿健斗は「ACLで勝てたことは自信になりましたけど、もう切り替えている。緊張感もあって堅い試合になるかもしれないけど、いつも通りに高い強度でやっていきたい」と語った。

 清水とのリーグ戦通算対戦成績は24勝24敗6分けと互角。昨季は鹿島の2戦2勝だった。

予想スタメンは以下の通り。

◆GK クォン・スンテ

◆DF 内田篤人、植田直通、昌子源、安西幸輝

◆MF 三竿健斗、レオ・シルバ、安部裕葵、遠藤康

◆FW 金崎夢生、鈴木優磨


【鹿島】J1開幕戦・清水戦へ最終調整 内田「普通にやる」三竿健「高い強度で」



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