
日刊鹿島アントラーズニュース
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2020年9月2日水曜日
◆プロになれるのはほんの一握り。だからこそ学生時代に身につけておくべきこと(サカイク)

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鹿島アントラーズ所属時にはクラブワールドカップでレアルマドリード相手に2点を決め世界最高峰の相手に鮮烈な印象を残すなど、中盤の選手として技術、判断力に優れる柴崎岳選手。
前編では、ご両親のかかわり方や幼少期から負けず嫌いだったこと、試合では考えている暇はないので練習で定着させる必要があることなどを伺いました。
後編では学生時代に身につけておくこと、海外生活で大事なことなどを語ってくれました。
(取材・文:松尾祐希)
■プロになれるのはほんの一握り。だからこそ学生時代に身につけておくべきこと
柴崎岳選手は青森山田高を卒業後、プロ世界へ足を踏み入れます。鹿島アントラーズでは1年目から出場機会を掴み、主軸として目覚ましい活躍を見せました。2年目にはナビスコカップ(現ルヴァンカップ)で最優秀選手に輝き、Jリーグでもベストヤングブレーヤー賞を受賞。2014年の9月には日本代表デビューを飾り、2016年にスペイン2部リーグのテネリフェに活躍の場を求めました。
プロの世界で着実にステップアップを果たしていった柴崎選手。幼い頃に培った質問する力と自分で判断して実行に移すバランス、挑戦する姿勢、礼儀作法などは夢を叶える上で欠かせないものでした。では、幼少期に何を学ぶべきなのでしょうか。柴崎選手が最も重要だと考えているのは、人としてのあり方です。
「高校サッカーはサッカーを通じて部活動の中で自身を高める場所ですが、本分は学生としてどうあるべきかです」
と断言します。
「黒田剛監督も今はサッカーの監督として有名ですが、本職は教師です。『教師として1人の人間をどう育てていくか』を一番に掲げています。そのことはサッカー部のスタッフも重々理解しているはずですし、選手も学生であることを忘れずに寮生活や学校生活を過ごすことが大切です。挨拶を含めた礼儀は社会に出ていく上で最低限持っておかないといけません。選手たちもそれを意識して取り組み、当たり前のこととして身に着けて欲しいですね。何故ならば、サッカー選手になれなかったとしても社会人として大事な事だからです。全ての人がサッカー選手になれるわけではなく、むしろなれない人がほとんどだということを忘れてはいけません」
プロサッカー選手になれるのはほんの一握り。多くの人が一般社会で生きていきます。人としてどうあるべきか――。しかし、挨拶、礼儀も含めた人としての振る舞いは大人になれば勝手に身に付くものではありません。だからこそ、柴崎選手は人間性を磨く重要性を強調します。
「サッカーを失ったら何も残らない。この状態は好ましくありません。高校を卒業して10年経ちますが、改めて大事な事だったと感じています。僕はサッカー以外を二の次にし、プロになるために幼い頃からやってきました。プロで活躍するため、海外でプレーするため。自分はプロ入り後を見据えて自分の目標ラインを置いていたのでプロになることはある種当たり前のことでした。自分はプロになることができましたが、先ほども言ったように全員がプロになれるわけではありません。子どもたちにとってサッカー以上にパーソナリティーの部分が大事なので、そこを意識しながら生活をしてもらいたいですね」
■海外生活で大事なのは周りに流されないこと
現在、柴崎選手は海外で生活をしています。日本で学んだ事がなければ、今はありません。ただ、異国での暮らしは困難が付き物です。具体的には何が一番違ったのでしょうか。
「海外に行って良かったと感じているのは、自分の基準を持つ事です。自分は周りに流されない性格なので、そこは良かったなと思います。人種も文化も過ごし方も言語も違います。その中で自分と周りの環境を考えながらバランスを取らないといけません。自分だけが快適でも不快であってもいけないので、周りとの関わり方が重要だと知りました。ただ、日本での礼儀や習慣は海外では必要なく、邪魔になることもあります。逆に学んだことが生きるところもありますが、そこは難しい部分ではありますね」
実際に柴崎選手もスペインで文化の違いを感じました。特に人々の気質は日本にないものだったそうです。
「スペインでは育成年代の試合を中継するのですが、幼い選手も試合後のインタビューに答えています。育成年代からそういう環境があることに驚きました。そういう環境があるので喋るスキルを身に付けられます。状況を説明して、自分が思っていることを話す。そこは日本と違う部分なのかなと思います。国民性も違いますし、スペイン人と比べると日本人は大人しい部類に入るかもしれません。チームの規模が大きいので各々がYouTubeチャンネルなどを持っており、育成年代まで情報伝達ができています。情報の量と質が揃っている。そのような環境があるからこそ、『子どもたちが育っていくんだな』と感じました」
語学も当然、海外でプレーをしたいと考えているなら日本にいるときから勉強しておくなどの準備はした方が良いですが、柴崎選手はそれだけではないと言います。
「語学はもちろんやっておいた方が良いですが、たとえ言葉が完璧に通じなくても理解しあうことはできます。そのためには、相手の発言をよく聞きその意図を理解すること、そして自分の意見を伝えるという、言葉以前の要素が大事だと思います」
と、海外で生活したことで実感したコミュニケーションの基本の大切さを語ってくれました。
■自分のプレーを見て憧れを持ってもらう
そうした積み重ねが今の柴崎選手を支えています。現在28歳。現役を退くのはまだまだ先かもしれませんが、今後はどのような形でサッカーに関わっていくのでしょうか。最後に柴崎選手へ引退後のキャリアについて尋ねました。
「今が選手として一番いい時期。だからこそ、子どもたちに指導できていると思う時があります。プロサッカー選手としてプレーすることが、子どもたちの模範になるからです。自分を見て憧れを持ってもらう。これが一番の指導になるかもしれません。監督やコーチになった時に今と同じプレーを見せられる訳ではないからです。そして、引退後はどのような形か分かりませんが、子どもたちにサッカーを伝えていければいいなと思います。監督として指導に関わりたいという思いは少なからず持っているので、今もそういう目線で見ることもあります。指導者になった際は、自分が持っている経験を生かしながら、サッカー界に貢献できるようにやっていきたいですね」
サッカーを通じて1人の大人へと成長した柴崎選手。人間性を磨くことが自立へとつながり、子供たちの将来を豊かにしていくのではないでしょうか。

◆「両親は自分の取り組みや考え方を尊重してくれた」日本代表 柴崎岳選手が振り返る両親のかかわり方(サカイク)

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サッカーでは、試合中に攻守が目まぐるしく変わり、予想外の事の連続です。そんなとき、いちいちピッチ外の監督やコーチの指導を仰ぐことはできません。だからこそ、自分で判断し動くことができる選手になることが大事になります。自分で考える力はサッカーだけでなく社会においても必要なスキルです。
今回は、日本代表の中盤で優れた状況判断力で味方に正確なパスを通して攻撃のコントロールを担う柴崎岳選手に、幼少期の事を振り返っていただき、考える力やご両親のかかわり方などのお話を伺いました。
(取材・文:松尾祐希)
■とにかく負けず嫌いだった
日本代表として活躍し、現在はスペインのデポルディポ・ラコルーニャに所属する柴崎岳選手。日本代表としても長きに渡ってプレーし、2018年のFIFAワールドカップ・ロシア大会では中盤の主軸を担うなど世界の舞台で活躍する柴崎選手がサッカーに出会ったのは幼少期の頃。9つ上の兄と3つ上の兄がサッカーに興じていた影響でした。
産声を挙げた時からボールに触れられる環境があった中で、本格的に競技を始めたのは小学校1年生の冬。3つ上の兄が所属する野地辺SSSでサッカー人生をスタートさせました。雪国・青森出身のため最初はフットサルに興じ、メキメキと力を付けていきます。当時を振り返り、柴崎選手は負けることが嫌いな少年だったそうです。
「サッカーに関しては相当な負けず嫌いでした。ゲーム形式では気持ちを出していて、自分が得点して勝つことだけを考えるような子どもで、大人しい感じではなかったと思います。とにかくサッカーに打ち込んでいました」
負けず嫌いの性格はピッチ外でも顔を覗かせ、「スポーツや体育の授業などは本当に負けたくなかった。勉強では勝ち負けを考えていませんでしたが、成績は悪くありませんでした」と、スポーツ面ではとにかく負けず嫌いだったと振り返ります。
サッカーの技術、負けず嫌いな性格を持ったきっかけの1つも兄たちだったと教えてくれました。
「2人の兄の存在は大きかったですね。さすがに9つ上の兄には勝てませんでしたが、基本的な技術を一緒にやって教えてくれました。3つ上の兄は同じチームに所属していたので、より実践的な1対1やボールの奪い合いをしていた記憶があります」
そうした環境が負けず嫌い精神を育てたようです。
「小学校時代に保護者や監督などとミニゲームを行なう機会がありました。技術面では自分たちの方が上手いのに、体格でどうにかされてしまうジレンマがあったのを覚えています。大人との対格差やパワーはどうしようもできないんですけど、フィジカル面で負けているのが本当に悔しかったですね」
■自分の考えを言語化できる力をつけるためには「考える」習慣が大事
年上にも果敢に勝負を挑んだ少年時代。そこで養ったメンタリティは中学年代以降に大きな意味を持ちます。負けたくないから技術を向上させる。そのために指導者とコミュニケーションを取る。この力が自然と身に付いていたからです。
「小学校の時と青森山田中学や高校で状況は異なりますが、小学生の時はプレーすることに夢中で感覚的に負けないためにどうすべきかを考えていました。年齢を重ねる毎に言語化できる能力や技術が身に付き、中学生の頃から監督やコーチと会話したり質問をする機会が増えたんです」
柴崎選手にとって"聞く力"は自身の成長に欠かせませんでした。ただ聞くだけでは意味がありません。どこまで行動に移すかのバランス、判断が重要だと言います。
「僕はバランスが大事だと考えています。改めて振り返ると、監督やコーチに質問して帰ってきたアドバイスを全部取り入れるのではなく、知識として頭に入れますが、実行することとしないこと、アドバイスを"聞きすぎない"部分がうまく保てていました。そういう意味でバランスが良かったと思います。
やはりプレーすることが何よりも重要です。口で言うのは誰でもできる部分。まずはやってみる。頭で理解するよりもプレーに挑戦していくスタンスが大事です。その上で会話を通じ、サッカーを頭で理解すべきではないでしょうか。
指導者に尋ねることや教えてもらうことは良い事です。ただ、試合中は考えながらプレーする暇はほとんどありません。だからこそ咄嗟の判断ができるように普段の練習で考える癖を付ける必要があります。
少し逆説的にはなりますが、考える作業を感覚にしていくのが日々の練習。それをプレーの中で理解していく。そこの切り替えやバランスをうまくコントロールする力が大事になると考えています」
■両親は自分の取り組みや考え方を尊重してくれた
このバランスは会得していく中で、ご両親はどのように接しいていたのでしょうか。当時を振り返り、柴崎選手はあまり親に干渉された記憶はないと言います。
「思い返すと、両親は自分に多くの言葉を掛けませんでした。僕自身も言われることが嫌で、自分の親もそのスタンスを分かってくれていましたね。言いたい事柄は色々とあったはずですが、両親はぐっと飲み込み、自分で考えさせてくれました。どこまで干渉するか、その線引きは上手かったのではないでしょうか。もちろん、やってはいけないことがあれば叱られていました。社会人になる上で良くない価値観に関しては指摘をされましたが、それ以外の部分に関してはなるべく見守ってくれたんです。自分の取り組みや考え方を尊重してくれたのは自分にとって大きかったですね」
格差やパワーはどうしようもできないんですけど、フィジカル面で負けているのが本当に悔しかったですね」
■青森山田で印象に残っているのは「ピッチ外」の指導
また、柴崎選手のパーソナリティーを形成していく上で大きかったのが、青森山田で過ごした中高の6年間でした。
「青森山田の6年間ではピッチ内の指導より、ピッチ外での指導の方が印象に残っています。人に対する接し方や挨拶。人として基本的な部分を指導してもらえました。また、僕は中学から寮生活をしていたので身の回りのことを自分でする癖が付きましたね」
人として大きく成長する中で、柴崎選手は以降もサッカーに打ち込んでいきます。"プロサッカー選手として活躍する"。この目標を叶えるべく、ギアをさらに上げていきました。
「当時の僕はプロになる目標を持っていました。ただ、プロで活躍するために足りない部分が明確にあったので、その課題を克服する意思を常に持っていました。"練習が好き"。この表現は言い過ぎかもしれないですが、"さらにプレーヤーとして向上したい"。その欲求があったので、朝練習やチーム練習の後の自主練習では与えられたメニューを消化した上で課題克服のために時間は惜しみませんでした」
高校時代を象徴するエピソードがあります。早朝のトレーニングです。これは、同校の黒田剛監督も「自分も5時台にはグラウンドに出るのに柴崎はすでに来ていた。一体何時から朝練しているんだ、と驚いた」と語っていましたが、早朝トレーニングを行うようになったきっかけは何だったのでしょうか。
「僕の寮は3人部屋で、そのうちの1人がBチームにいる同級生でした。彼もすごく真面目で向上心があり、Aチームのメンバーに入りたい想いを誰よりも持って朝練習を行っていました。そんな彼に引っ張られ、僕も彼の次にグラウンドへ着くようになったんです。みんなよりも早く練習場に行き、自分がトレーニングできる時間を確保しようという気持ちはありましたね」
いかがでしたでしょうか。サッカーに夢中だった幼少期のお話、プロになりたいという夢を叶えた柴崎選手自身が語るご両親のかかわり方など、サカイクの読者の皆さんも参考になるのではないでしょうか。
後編では幼少期に身に付けておくべき能力や、海外生活で学んだことについて迫ります。

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