日刊鹿島アントラーズニュース

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2021年5月21日金曜日

◆鈴木優磨が悩んだ“ストライカーのジレンマ”「でも俺は自分のためだけにサッカーをするのは、無理だなって」(Number)






「年齢的な部分が大きい。正直、もう残るという選択肢はまったくなくて。ここはどんな状態でも勝負しに行かなくちゃいけない」

 それ以前にも複数のオファーが欧州から届いていたなかで、2019年の夏、7カ月にも及ぶリハビリ中だった鈴木優磨はそう宣言して、鹿島アントラーズからベルギーのシント・トロイデンへ移籍した。

 そして、2シーズンが終わり、鈴木は今、シント・トロイデンからの移籍が決定的だ。今季は34試合に出場し17得点をマーク。1部残留に貢献している。その活躍に数十のクラブから関心が寄せられているという報道もある。鹿島を出立したときの言葉を体現するようなステップアップが実現しそうだ。

 25歳のストライカーは、ベルギーで過ごした2シーズンで何を思ったのか? シーズンが終わりに差し掛かった某日、ベルギーとオンラインを繋ぎ、本人に話を聞いた(全2回の1回目/#2に続く)。

◆◆◆

――ベルギーでの2シーズンが終わろうとしています。今季は17得点をマークしました。昨季との違いを教えてください。

「ベルギーへ来る前は、環境にもすぐに馴染めるだろうと思ってたんですけど、実際は違いましたね。想像していたこととのギャップも多かった。俺自身もほぼ1年間リハビリをしていて公式戦から離れていたというのも大きかったと思います。

 あとはベルギーのサッカーに慣れるのも大変だった。なんかこう、今まで自分のストロングポイントだと考えていたところが、なかなか通用しないなというのを感じて……。これは色々と変えていかないといけないなと、1年目のシーズンが終わって深く考えましたね」


「手放す」のではなく「どう通用させるか?」


――日本で培ったストロングポイントが通用しなかった?

「ペナルティエリア内での動きというのが自分の良さだと思っていたけど、なかなか上手くいかなかった。でもその動きこそがストライカーにとっての勝負の醍醐味なんです。だから手放すのではなくて、どうやって通用させるかを考えました。




 それ以外でも、日本ではDFに直接身体を当てられても負けなかったのに、ベルギーには俺よりも強くていい選手は山ほどいるんで、飛ばされることが増えました。だから、いかに相手(DF)に触らないで、フリーでボールを受けられるかというのを考えるようになった。今のピーター・マース監督からも就任当初(2020年12月)は、スペースを見つけて動くことを強く要求されました」


「基本的には、パスを出したらもう返ってこないですね」


――鈴木選手は、鹿島時代に「徳を積むような汗をかくプレーがゴールにつながる」という話をされていました。欧州では必ずしもそういう選手ばかりではない印象があります。実際にベルギーではどうでしたか?

「基本的には、パスを出したらもう返ってこないですね。みんな点を獲りたいという気持ちが強いから。特にベルギーリーグは、選手の入れ替わりが激しくて、いいプレーをしたらすぐに良いクラブへ行ける“チャンス”に溢れている。ましてやシント・トロイデンのようなチームには、有望で野心家の若手が揃っているので、『ゴールを獲りたい』『ステップアップしたい』という想いがとても強いんです。

 それは選手であれば当たり前だし、同時に僕はチームの勝利に貢献したいという気持ちもあるから……。なので最初は『チームと自分とのバランス』っていうのがすごく難しかったですね」

――そういうなか、自分の存在価値を示していくうえで、どんなことを意識していましたか?

「とりあえず、基礎となるプレーを意識していました。周囲からも『こぼれ球に詰めろ』という声もあったので。極端にいえば、ラッキーなところを狙うしかない。いつこぼれて来るかもわからないけど、狙い続ける。そういう意識はしていました」

――その一方で、チームのためのプレーは……?

「なかなか評価されづらいけどやらないわけにはいかないので、もうやり続けました。そうしていたら、冬に加入してきたベテラン選手2人がそこをすごく評価してくれたんです」

――ストライカーのジレンマですよね。得点がもっとも高い評価を得られるけれど、それ以外のプレーはなかなか評価を得づらい。

「スタメンで出ている選手には最低2桁のゴールが求められる。得点とかアシストとか目に見える結果以外、基本的には認められないですよね。でもやっぱり、汗をかくプレー、ハードワークすることも大事なんです。こっちは得点だけを求める選手が多いから、ハードワークできる選手はなお受けがいいんです」




ベルギーでは「本能のままにサッカーをしている感じ」


――そもそもベルギーのサッカーは、日本とはどう違いますか?

「とにかく縦に速いですね。日本みたいに、5本も6本も7本もパスを繋がない。2本でゴールに行けるなら、2本で行きます。それでたとえ失敗しようと、ラストパスの確率が10%だろうと。たとえば横パスを出せばその確率が100%になったとしても、10%を狙います、確実に」

――なによりもまず、ゴールへ向かおうとする。

「パスが1本通ったらゴールだよって考えるリーグです。だから展開もすごく速い。ある意味、試合は『行ったり来たり』なんですね。チームの戦術がないというわけではないけど、選手の個に頼っているチームが多いので、ときどき化け物みたいな選手がいます」

――ある意味、原始的なサッカーなのかもしれません。

「そうですね、本能のままにサッカーをしている感じ。自分を表現する場所という感じがします。

 鹿島のときは戦術的なところで、FWは裏を獲ったり、流れる動きが求められていました。そのおかげでキープ力がついたり、いい面もたくさんあった。だけど、今のほうが本当にやりたいFW像に近いかな。俺はどっちかっていうとペナルティエリアで勝負したいFWなので。ペナルティボックスの幅で動くというところに特化できるようになったのは、ベルギーに来てすごく大きく変わった点だと思います」

――欧州の絶対的ストライカーというイメージです。

「やっぱり、日本人はFWにいろんなことを求めすぎているんだなっていうのを、ベルギーに来てすごく感じるようになりました。あと、日本は『キープができる』とか、そういうところに良さを感じすぎている。収まるとかもそうですね。

 でも、極端なことをいえば、こっちのFWでボールを収められない選手はいっぱいいます。でも点を獲れるから評価される。だから、FWの評価基準も日本とヨーロッパとではまったく違うなと感じます。得点に直結するプレーが大事なんだと、改めて気づかされたというか」

――ただ日本代表が世界と戦うためには、いろんなプレーをしなくちゃいけない部分もあります。

「確かに世界を相手にするうえでは、個人能力じゃ絶対に勝てない。だから、日本代表のFWにいろいろ求められることは理解できます。でも(元日本代表の)ハリルホジッチ監督が求めていた1トップのFWは、欧州のストライカー像でしたよね」


鹿島時代から「勝たないと納得できないんです」


――海外には我の強いストライカーも多いですが、鈴木選手は見た目ほど破天荒じゃないでしょう? 4月の試合でPKのキッカーを相棒のイロンベ・エンボヨ選手に譲ったことは、現地でも「心優しい」と報道されていましたし。

「自分のパートナーが(ゴールから遠ざかり)苦しんでいたら、普通に譲りません? 実質的にそれをきっかけに、残留へ向けて良い流れになったし、俺はいいと思うんですよ。それがチームのためにちゃんと働いたから。

 謙虚じゃなきゃいけないところは、謙虚ではあるべきだと思うけど、自分が譲れないと思うところは、譲らなくてもいい。日本では、日本人っぽくあるべきだと思ってたけど、こっちに来て、欧州でストライカーとして生き残るためには、強くなきゃいけないところは、強くならないといけないって思うんです。でも、同時に、俺は自分のステップアップのためだけにサッカーをするのは、無理だなってどっかで思っていて」




――まさに「チームのために」汗をかくプレーですね。

「だって、やっぱりチームが勝たないとダメだから。鹿島にいたせいかもしれないけど、勝たないと納得できないんです。自分が点を獲っても勝たないと全然納得できないから。自分だけが点を獲っても全然嬉しくない。チームを勝たせるゴールを獲らないとダメなんです」


観戦も大好き・鈴木優磨が語る“5大リーグの違い”


――ところで、日本でも欧州サッカーをよく観ていた鈴木選手ですが、リアルタイムで観戦できるのは嬉しいんじゃないですか?

「今は時差がないし、めちゃくちゃ観てますよ! 1週間に3、4試合は軽く観ているかな。欧州チャンピオンズリーグがある週は楽しいですね。日本だと朝4時とかに起きなくちゃいけないけど、今は普通に夜見られるので。欧州の各リーグを見ていると、本当にリーグによって、スポーツが違っちゃうくらいにサッカーが変わるなって思いますね」

――そんなに変わりますか?

「全然違いますね。そもそも日本とベルギーでもこんなに違うのかっていうくらいに違うし。だとしたら、5大リーグはどれだけ違うんだろうと思います。しかも5大リーグもそれぞれが全く違うから。最近は、そのリーグの特徴をいかに早く掴むかが活躍するための重要な鍵なのかもしれない、と思っています」

――今、最も注目しているリーグはどこでしょう?

「ストライカーとしてはイタリアへ行ってみたいんですよね。ドイツよりハードワークは求められないかもしれないけど、ボールを奪われると、素早く自分のポジションにリトリートする。前からボールを獲りに行くというよりも、相手が入ってきたところから守備が始まるイメージです。だから守備が硬くて、頭のいいFWが多いので、すごく学べることが多そうじゃないですか?

 あとフランスも面白いですよ。いま、フランスのサイドハーフで活躍する選手って、どこへ行ってもやれるって言われているんですよ。プレミアでフランス人のサイドハーフを獲るのが流行っていて。技術の高さがハンパない(笑)。だから、フランスで長くやっている酒井宏樹さんは本当にすごいなって思って見ています。

 ドイツももちろん見てますよ。インテンシティが高くて、技術も高いし、すごくハードワークが求められるリーグですね。でもなぜかスペインにはあまり魅力を感じないんですよね。行きたいと思ったことがない。たしかにGKからFWまで全員上手い。……なんだけど、試合もクラシコ以外はほとんど観ていないんですよね」





「俺、本当に好きなんですよ、サッカー」


――それは珍しいですね(笑)。でもやっぱり一番は、鹿島を出るときから目標に掲げていたプレミアリーグですか?

「やっぱり僕にとっては最高峰ですね。プレミアでプレーしたいという気持ちは今も変わりません。レベルの高い選手、戦術に長けた監督が揃っていて、そのなかでどれだけ自分ができるのかなってワクワクするんですよ」

――欧州に渡って2年目が終わります。サッカーに対する想いも変わっていませんか?

「サッカーへの愛情は変わらないです。日本にいるときからMAXなんで。俺、本当に好きなんですよ、サッカー。こんなに好きな人いるのかなぁって思うくらい、好きなんです」





◆鈴木優磨が悩んだ“ストライカーのジレンマ”「でも俺は自分のためだけにサッカーをするのは、無理だなって」(Number)





◆鈴木優磨25歳が明かす“未来予想”「高望みの移籍は100%しない」「俺みたいな選手が1人くらいいても……」(Number)






 鈴木優磨25歳。金色に染めた髪、その激しいプレーは、ときに「ふてぶてしい」といわれることもある熱血漢。プロデビュー戦の翌々年には鹿島のエースナンバー背番号9を担ったが、アンダーカテゴリーも含めて、日の丸を背負ったことは一度もない。2018年に招集されるも、負傷で辞退。結局、そのリハビリ中の2019年夏、ベルギーのシント・トロイデンへ移籍する。

 ベルギー1年目のシーズンは7得点、2シーズン目となった今季は17得点をマーク。来季は新天地への移籍も噂されるほど結果を残している。そして、日本代表の森保一監督も4月の会見で、「代表にも当然絡んでくるだけのプレーを今、見せてくれているかなと思っている」と高評価を受けたのも話題となった。

 鈴木は、来季以降の自身の未来予想図をどう描いているのか? 本人に話を聞いた(全2回の2回目/#1から続く)。

◆◆◆

――シント・トロイデンへの移籍が発表されたとき、もっと上のクラブへ行けるのではないか? という声もあったと思いますが……。

「俺の考えでは、試合に出られる場所へ行くことが一番大事。サッカー選手は試合に出てなんぼだと思っているので。もし1年間、試合に出られなければ選手の市場価値はすぐに下がるけど、逆に試合に出ながら、少しずつであってもステップを踏めば、ちょっとずつでも大きくなりますよね? 場数を踏んで経験を積めれば、市場価値も上がっていくはずだから」

――たとえば、プレミアへ行くにしても、ベルギーから行くのはハードルが高い。遠回りになるのではないかという危惧もあると思うんですよ。

「たとえば、最初にブンデスへ行けたとしてそこで試合に出られなかったら、どうするのか? っていうと、選択肢は1つしかない。日本へ帰るしかなくなるんですよ。実際、そうやって日本に戻った選手も少なくない。そう考えたときに、目標には遠回りに見えるかもしれないけど、シント・トロイデンから始めたほうがいい。

 実際、シント・トロイデンで活躍して、日本代表の中心選手になっているのが、(遠藤)航くんであり、冨安(健洋)、(鎌田)大地だと思います」





――ブンデスへ行って試合に出られなくて、一旦下がって、そこから這い上がる日本人選手は少ないかもしれませんね。

「それで成功した日本人は、大地以外にはいないと思う。大地がブンデスへ戻って、試合に出られたときは、『特例だな』って思いましたよ。だからこそ、5大リーグに比べればベルギーリーグのレベルは低いかもしれないけど、ステップを踏むのはやっぱり大事だなって」


「高望みの移籍は100%しない」


――移籍会見でも、土台を作るという話をしていましたね。

「俺のなかで、ヨーロッパで戦える準備をすることが大事だと考えていて、シント・トロイデンで2シーズンやって、その土台がひとつ作れたと思っています。もちろん、考え方は人それぞれだと思います。一発でレベルの高いビッグクラブへ行って、もまれて成長したい人もいるでしょう。でも俺は試合に出られるところを選んで、積み重ねで成長したいって思っているんです」

――目標であるプレミアリーグへ行くために必要な時間だったと。

「たとえば、今、ベルギーからプレミアリーグへ行く選手の移籍金は、5、6億円で、高くても10億円くらいだと思います。でも、ブンデスの強豪を挟んでから、プレミアリーグへ行けば、もっと移籍金は高くなる。移籍金は高ければ高いほうが、チームは選手を大事にするじゃないですか? そのためにも、ステップを踏むことは大事だと思っているんです。だから、俺は高望みの移籍は100%しないと思う。出られないかもしれないというようなクラブへ行くことは絶対にないですね」

――バイエルンからオファーが来ても?

「100%行かないですね。もちろん、バイエルンでやったというのが欲しい人もいるだろうし、そういう人を否定するつもりもないです。ただそれは、今、俺が考える生き方じゃないかな。上は常に見ているけれど、地に足をつけて、足元を見ながらステップアップしていきたい。高望みはしない」

――ずっと目標として掲げているプレミアリーグからオファーが来たとしても?

「今行って活躍できるかと言われたら、まだ難しいと思う。だから多分、行かないですね。その前に、ドイツやフランス、イタリアへ行けたとして、そこで2桁獲って行くならまだ理解できます。ベルギーで十何点獲れたからプレミアへ行くというのは、俺の設計図ではまったく考えていないです。それだけ、海外で長くプレーするためには移籍のタイミングやどこへ行くのかは絶対に大事だと思っています」





2桁獲って代表キャップがないのも「面白い」


――日本で想像していたよりも、欧州にいると移籍の実例をリアルに見ていると思うんですが、そういう意味で、サッカー選手としての可能性を改めて感じているのでは?

「俺より若い選手が移籍金30億とかで移籍しているのを見ると、やっぱり実感しますね。単純にJリーグでプレーしていたら、30億もつかないので。日本で点を獲るのと欧州とでは、全く違うなっていうのは、こっちへ来て感じたかな」

――考えてみると、代表に選ばれないまま海外へ移籍したわけですが、それも珍しいですよね。

「俺は、クラブで結果を残して上へ行くというパターンもありだよねっていう例を作りたいんですよ。そんな人はこれまでいなかったから新しいじゃないですか? 俺はあまのじゃくなんで、そういうのがなんかいいなって思っちゃうんですよね。たとえば、5大リーグで2桁(ゴールを)獲っている選手に代表の出場経歴がないとなれば、俺だったら面白いなって思うし、同じように思う人も何人かはいるだろうなと。

 日本人で、俺みたいな選手が1人くらいいてもいいんじゃないかな、とは思っていますよ」

――移籍時の鹿島での会見では、「ワールドカップよりもチャンピオンズリーグに出たい。優勝したいのは、チャンピオンズリーグ」という話をされていました。

「クラブで活躍して上へ行きたいんです。だからこそ、5大リーグで結果を残す人ってすごいなぁって改めて思いますね。岡崎(慎司)選手のブンデスでの15点もそうだし、(内田)篤人さんのチャンピオンズリーグベスト4もそう。やっぱり、こっちへ来たからこそ、リスペクトの想いは強くなりました」

――そういえば、Jリーグでファーストゴールを決めた試合でも、「好きなFWは岡崎慎司」と言っていましたね。

「俺にとっては神様みたいな存在です。そもそも岡崎さんのこと、嫌いなFWなんているんですかね?(笑)」

――なにがそんなに魅力的なんでしょう。

「なんだろうな……。ゴール前での泥臭さというか。もちろん、岡崎さんは器用だし、技術も持っている選手なんですけど、まだ中学生か高校生だった僕は岡崎さんを見て、『器用じゃなくてもちゃんとしたやり方をすれば、ゴールは獲れるんだ』というのを思い知ったんですよね」


「5大リーグで1トップをはるというのは、正直難しい」


――ただ岡崎選手もそうですが、欧州では日本人ストライカーは「器用でハードワークができるから」という理由で、2列目やサイドMFで起用されてしまうことが多いです。ストライカーとして生き抜くのが難しい。

「それは、俺もすごく難しい問題だと思っていて、こっちに来てからめちゃくちゃ考えてるんですけど……俺の考えを言っていいですか? 日本人FWが5大リーグで1トップをはるというのは、正直難しいと思うんです。俺もできないと思う。突然、(ロメル・)ルカクみたいな選手が出てきたら話は別ですけど。

 だから、これまでの成功例を振り返って、じゃあ日本人の強みはなんなのか? って考えた時に、岡崎さんのレスター時代や大迫(勇也)さんのケルン時代もそうですけど、良い相方と2トップを組んでいるときが日本人選手の良さも活かせるし、一番輝けると思うんですよ」




――レスターのジェイミー・ヴァーディみたいな怪物とパートナーを組むと。

「20点超えるような得点を決める相方の存在は、悔しさも大きいと思うけど、自分よりも点を獲るなら認めざるを得ない。だからこそ、レスター時代に自分を変えた岡崎さんってすごいと思うんですよ。ヴァーディのために汗をかいて、簡単に言えば、ヴァーディのために死ねるみたいな覚悟がある。チームの怪物のために守備もして、なおかつ1シーズンに5、6点獲る。それってチームメイトからしたら、めちゃくちゃありがたい選手だから」

――ということは、鈴木選手もそういう怪物が相方だったら、命を捧げるんですか?(笑)

「気持ちとしては1トップをはりたいって思っていますよ! でも、守備とかを頑張って、その人のこぼれ球を狙って、10点獲るというのが現実的かもしれない。日本人選手のそういう生き方がストライカーとして、ヨーロッパでは認められると思うし、かつこっちで長く生き抜く方法だと思いますね」


「ゴールした喜びがまったく違うんです」


――ヨーロッパで長くプレーしたいですか?

「正直、最初に来たときは、すぐにチャンピオンズリーグ出場という夢を叶えて、プレミアへ行って、日本へ早く帰りたいと思っていたんです(笑)。でも、今はできるだけこっちで長くやりたい」

――やっぱり楽しい?

「日本とは、ゴールの喜びがまったく違うんです。大きいとか小さいとか、上とか下とかじゃなくて。もう種類が違う。ベルギーでそれを感じているくらいだから、5大リーグで決めるゴールなんてもっと気持ちいいのかなって。そう考えるとできるだけ長くヨーロッパでプレーしたいなって思います」

――2シーズンしか経っていませんが、ベルギーリーグに爪痕は残せましたか?

「爪痕残したというか、一番下の土台を1個作れたという感じで、これからどんどん進んでいくだけです」

――その土台には、もう家は建ちますか?

「まだかな。一気には建たないとは思います。その代わり強い土台を作って行くので」





立つ場所ではなく、いかにそこで生きているか


 わずか2シーズンだ。

 10シーズン近く欧州でプレーしている選手たちを取材してきた経験からいえば、この言葉に尽きる。鈴木の良さを理解してくれるベテランFWの存在が、今季の活躍を後押ししてくれたのも事実だろう。恵まれた環境を導いたのは鈴木自身の苦悩が結実したことも否定はしない。しかし、理不尽な現実がいとも簡単に訪れる可能性も小さくはない。契約が足かせとなって、身動きが取れなくなるケースもあるし、怪我という不幸もあるかもしれない。

 そんなネガティブな想定を鈴木も描いてはいるだろう。

 だからこそ、実直に着実にステップアップをしたいと考えているのだ。

 欧州での選手生活の成功は、立つ場所ではなく、いかにそこで生きているかだ。納得はできずとも、それがたとえわずかであっても、希薄なものであっても、納得感を得るためにもがく日々。その過程にこそ、意味がある。

 日の丸を背負い、世界と戦う鈴木優磨も見てみたい。

 彼の未来はいつだって白紙だ。そのキャンバスにどんな絵を描くのか? それは誰にもわからない。



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◆鈴木優磨25歳が明かす“未来予想”「高望みの移籍は100%しない」「俺みたいな選手が1人くらいいても……」(Number)





◆鹿島MFファン・アラーノが鼻骨骨折で手術(ゲキサカ)









[故障者情報]

 鹿島アントラーズは20日、MFファン・アラーノが鼻骨骨折で手術を行い、約1~2週間で練習復帰予定と発表した。

 ファン・アラーノは19日、ルヴァンカップグループステージ第6節札幌戦で鼻骨を骨折し、20日に手術を行った。今季はリーグ11試合、ルヴァンカップ2試合に出場していた。




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◆U-24代表選出鹿島GK沖悠哉「リベンジを果たせるチャンス」(ニッカン)






6月5日のガーナ戦、同12日のジャマイカ戦に望むU-24日本代表に選出された鹿島アントラーズGK沖悠哉(21)が20日、オンライン取材に応じ3月の代表活動からのリベンジを誓った。3月のアルゼンチン戦に挑んだU-24日本代表活動は、招集メンバーで唯一、試合出場がなかった。沖は「悔しい思いを持って、その後の試合や練習に取り組んできた。自分の中でリベンジを果たせるチャンス。そこに気負いすぎることなく代表での毎日を充実できるように、日々の練習を頑張りたい」と意欲を見せた。

今回のU-24日本代表の招集メンバーはオーバーエージを含め27人。東京五輪は18人の狭き門だ。沖は「自分の臆測ですが、ここから本戦メンバーが決まると思っている。そこはもう、みんなライバルでもある」とサバイバルの意識を口にする一方で「意思や気持ちをピッチの中で表現しつつ、試合の中でチームとして助けられるようにできれば」とチームファーストの心もしっかり意識している。

3月のアルゼンチン戦でピッチに立ったのは広島GK大迫と湘南GK谷だった。「技術的に自分が足りていないことを、客観的にその場で見たり感じたりすることが出来た。現実的に受け止めることが出来たし、試合に出られないときの立ち居振る舞いはその場では大事にしていた」と振り返る。チームに戻ると、佐藤洋平GKコーチ、曽ケ端準GKアシスタントコーチと話し、すぐさまレベルアップの課題を掲げ練習に取り組んだ。「悔しい感情はもちろん、ちょっと違った感情を覚えて。リベンジというか、復讐というか…。自分の中の感情を表現できるのはそれしかないと。その気持ち、悔しさを忘れることがなかった。やり続けることが結果につながる」と前を向いている。

4月14日に相馬直樹監督が就任後、チームは無敗を続けている。沖も3戦連続完封勝利に貢献するなど、最後方から安定した守備を支えている。「招集されたことはうれしく思いますが、鹿島での試合の結果を見てもらっての招集。鹿島の名に恥じないようにプレーする。まずは目の前の試合に向けて1つずつやっていけたら」と地に足を付け、チームへの貢献を誓った。【岩田千代巳】




◆U-24代表選出鹿島GK沖悠哉「リベンジを果たせるチャンス」(ニッカン)





◆鹿島・沖、U―24代表選出に気合「鹿島の名に恥じないようにプレー」(スポニチ)






 日本サッカー協会は20日、東京五輪世代のU―24日本代表27選手を発表。鹿島からはFW上田綺世(22)、DF町田浩樹(23)、GK沖悠哉(21)の3選手が選出された。この日、練習後にオンライン取材対応した沖は「自分の中での(3月の)リベンジを果たせるチャンスだと思う。鹿島の名に恥じないようにしっかりプレーすること」と力を込めた。

 前回3月に行われたU―24アルゼンチン代表との国際親善試合では、選出されたGK3選手のうち唯一、出場機会が得られなかった沖は「悔しいとは違った感情を覚えた」と振り返る。「リベンジというか、感情を表現するためには、もう一度選ばれてピッチの上で表現するしかない。その気持ちを忘れることはなかった」と、自チームに戻ってからも悔しさがバネとなってきた。

 先月14日に相馬監督が就任以降、チームは公式戦10戦負け無し。リーグ4連勝中と波に乗るチームを、沖は最後尾から支えてきた。代表活動の前には、上位陣との大事な連戦が控えているだけに「まずは目の前の試合をひとつひとつ戦いたい」。自チームでの勢いそのまま、勝負の代表戦へと乗り込む。


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◆G大阪次期監督に元鹿島監督の大岩剛氏が急浮上 近く交渉開始か(ニッカン)






ガンバ大阪の次期監督候補に20日、18年に鹿島アントラーズ監督としてACL優勝に導いた元日本代表DFの大岩剛氏(48)が急浮上した。同氏は今秋、U-18日本代表監督に正式に就任予定だが、関係者によると日本協会の許可が下りれば、近く交渉が開始される可能性が高いという。

開幕からJ2降格圏18位に沈むG大阪は、宮本前監督を事実上解任。14日に強化責任者の松波監督が兼務で暫定的に就任したが、6月開幕のACLへ、ACLで指揮経験がある日本人を最上位の条件に候補者を探してきた。

現役時代も主に鹿島で育った大岩氏は、17年5月に鹿島のコーチから監督に内部昇格。18年のACLでは初優勝に導き、同年のアジア年間最優秀監督賞に輝いた。神様と呼ばれるジーコ・テクニカルディレクターの下、常勝軍団の哲学や勝者のメンタリティーを学んできた。理論と情熱を併せ持った指導者だ。

現在のG大阪は鹿島と同様、ブラジル人中心のチーム編成になっており、当時鹿島で主力だったDF昌子が在籍するなど、大岩氏を受け入れやすい環境にある。代表級が多くそろうタレント軍団ながら、土台がぐらつき始めたG大阪にとっては、鹿島のDNA導入はカンフル剤にもなる。

G大阪関係者によると、ここでの人選の失敗はJ2降格に直結するだけに、慎重に作業を進めているという。その中で大岩氏は限りなく理想に近い人物で、今後の行方が注目される。

◆大岩剛(おおいわ・ごう)1972年(昭47)6月23日、静岡県生まれ。清水商、筑波大、名古屋、磐田、鹿島にDFで在籍、J1通算386試合10得点。名古屋でベンゲル監督の指導を受け、磐田ではJ初の3連覇も経験。日本代表は3試合無得点。鹿島監督としてJ1通算50勝20分け20敗の実績があり、19年限りで退任。180センチ、75キロ。


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◆G大阪次期監督に元鹿島監督の大岩剛氏が急浮上 近く交渉開始か(ニッカン)





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