日刊鹿島アントラーズニュース

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2020年1月12日日曜日

◆静岡学園、令和初王者に王手 MF松村が“サヨナラPK弾”「自分の信じた方向に蹴った」(スポニチ)






読み出したら止まらない! 英語 おもしろ雑学 意外な由来、独特の言い回し、知らず...


第98回全国高校サッカー選手権第6日 準決勝   静岡学園1―0矢板中央 ( 2020年1月11日    埼玉スタジアム )


 準決勝2試合が行われた。静岡学園(静岡)は矢板中央(栃木)と対戦。後半終了間際、J1鹿島に内定しているMF松村優太(3年)が得たPKを自ら蹴り“サヨナラ劇弾”で24大会ぶりの決勝進出を決めた。前回王者の青森山田(青森)はFW田中翔太(3年)らのゴールで帝京長岡(新潟)を2―1で撃破し、連覇に王手をかけた。決勝は13日に埼玉スタジアムで行われる。
 最後の最後にドラマが待っていた。後半アディショナルタイム4分、MF松村は中央からドリブルで運びMF小山とワンツー。再びボールを受けた瞬間、相手DFに足をかけられPKを獲得した。

 「外したら負ける、くらいのつもりで。GKは全然見ていない。周りの音はシャットアウトして自分の信じた方向に蹴った」

 エースが蹴り込んだボールがゴール右下に吸い込まれると、試合終了のホイッスルが響き渡った。ここまで4戦無得点だった松村は「今日は点を取れると思っていた。終わりの笛が聞こえないくらい興奮した」とJ1鹿島内定の実力を見せつけた。

 終始ボールを保持した静岡学園に対し、矢板中央は自陣に11人が引いた状態でブロック。「最初から固めてくることは分かっていたけど、攻めあぐねた」と1人に2、3人のDFで対応してくる堅守に苦戦した。それでも「攻める姿勢を貫いて点を取れたのはよかった」と放ったシュートは24本。攻撃の手を緩めず静学スタイルを貫いた姿勢が、最後の最後に勝利を呼び込んだ。

 仲間たちとの再会も大きな力になっていた。松村は昨年12月、U―18日本代表候補の合宿に参加。約6カ月ぶりの代表合流で、帝京長岡FW晴山らとともにプレー。同校とは準々決勝まで宿舎も同じで「がんばろう!」と選手権での活躍を誓い合っていた。

 決勝戦では前回王者の青森山田と対戦する。J1浦和に内定しているMF武田との“10番対決”に、松村は「もちろんプロ内定選手には負けたくない」と鼻息は荒い。「ここまで来たら日本一しか狙っていない。自分たちで歴史をつくれるように」。95年度以来24年ぶりの頂点へ、そして初の単独優勝へ。エースが再びゴールを目指す。




◆静岡学園、令和初王者に王手 MF松村が“サヨナラPK弾”「自分の信じた方向に蹴った」(スポニチ)





◆U23の“ドラミちゃん”相馬 大一番シリア戦でサイド制圧宣言!「仕留め切り 守り切る」(スポニチ)






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U-23アジア選手権1次リーグB組   日本―シリア ( 2020年1月12日    パトゥムタニ )


 U―23アジア選手権に参加中のU―23日本代表はきょう12日、1次リーグ第2戦のシリア戦に臨む。勝てば決勝トーナメント進出へ望みがつながり、負ければ史上初の1次リーグ敗退が決まる背水の大一番。先発の可能性が高いウイングバックのMF相馬勇紀(22)が、ヨガで身につけた柔軟性を武器に力強くサイドを制圧する。
 ウイングバックの相馬が、シリア戦でチームを救う。「サッカーで一番大事なのは、仕留めきれるところで仕留めきれる力と、守り切れるところで守り切る力。ゴール前の際の質は特にこだわってやっていきたい」。大一番で、得点に関わるプレーを宣言した。

 愛らしいルックスとがっちりした体形から、これまで親しみを込めて呼ばれた愛称は「豆タンク」に「ドラミちゃん」。身長1メートル65、体重68キロ。重心の低い力強いドリブルでサイドを駆け上がる。小柄ながら馬力のある体を自在に操れる秘けつは、ヨガにある。

 意識しているのは「柔軟性」だという。早大時代の恩師から習うヨガを毎日自宅で20~30分間行う。遠征中も宿舎で実施。丸太を使い、バランス感覚を鍛えるトレーニングもする。ぶれない軸足から振りの速いクロスやシュートを放てるのも、成果の一環だ。

 五輪世代初招集となった昨夏のトゥーロン国際では大会ベストイレブンに選出された。A代表初招集となった昨年12月のE―1選手権では、鋭い縦への切り込みと再三のクロスで攻撃を活性化。日の丸を背負った過去2度とも結果を残してきた。

 負ければ史上初の屈辱が待つ背水の一戦。「こういう大会になってくると結果が全て。結果に関わる数字を意識して、数字をしっかり取れるようにプレーしたい」と誓った。


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◆U23の“ドラミちゃん”相馬 大一番シリア戦でサイド制圧宣言!「仕留め切り 守り切る」(スポニチ)


◆鹿島の「勝負強さ」はどこへ? 天皇杯も準優勝で昨季無冠。新体制で挑む変革の決意(REALSPORTS)






ジダン監督のリーダー論〜チャンピオンズリーグ3連覇の軌跡〜 [ フアン・カルロス...


2019年、すべてのコンペティションで優勝を狙える位置まで近づきながらも無冠に終わった鹿島アントラーズ。3年連続で国内主要タイトルを逃す結果となった。

勝負強さが売りだったはずの“常勝軍団”鹿島に何が起きたのだろうか。そして迎えた2020年、新たにどのような変化が起きつつあるのか?


(文=田中滋、写真=Getty Images)


天皇杯も準優勝で終わった鹿島に何が起きたのか?


現代サッカーは立ち位置をめぐる戦いである。ボールを自陣から運ぶビルドアップも、ゴール前を崩すためのポジショニングも、プレスの罠にはめるための位置取りも、相手より優位な立ち位置を確保することで、自分たちが狙いとする攻撃や守備をピッチの上に描いていく。

その意味で、天皇杯決勝は象徴的な戦いだった。3-4-3の布陣を敷くヴィッセル神戸は、4-4-2の鹿島アントラーズの守備を組織的に分断していく。常に2つ以上の選択肢を迫る位置を取り、鹿島がマンマークの色合いをハッキリさせればさせるほど必ず空く選手が生まれる形をつくった。

鹿島が喫した2失点は、いずれも不運な形だったかもしれないが、1失点目は自陣右サイドの深い位置で1対1の形をつくられ、2失点目は自陣に押し込まれたあと素早く左サイドに展開されたところから鋭いクロスを許したもの。いずれも守備組織は崩されており、ゴール前は2対2もしくは3対3の形になっており、鹿島の攻撃が、神戸守備陣をゴール前から引き剥がせなかったのとは対照的だった。

これで2019シーズンの鹿島はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)がベスト8、JリーグYBCルヴァンカップをベスト4、明治安田生命J1リーグが3位、天皇杯を準優勝で終わることとなった。すべてのタイトルで惜しいところまで迫りながら、すべてのタイトルを逃す結果となった。勝負強さが売りだったはずの鹿島に何が起きたのだろうか。


古き良き“ブラジル流”の限界


いくつもの要因が考えられるなかで、最も大きなものは避けようのない時代の変化だ。サッカーそのものの変化と言ってもいいかもしれない。

Jリーグができて27年。鹿島はジーコの教えを忠実に守ることで、他に類を見ないクラブをつくりあげてきた。その間に、鹿島が獲得したタイトルの数は20。国内19冠に加え、2018年にアジアチャンピオンに輝いた1冠を加えた20というタイトル数が、このクラブの歩みが正しかったことを証明する。

しかし、時代は変わった。クラブの強化責任者である鈴木満フットボールダイレクターは、その変化を強く認識する。

「サッカーそのものも変わってきている。ジーコがいたこともあって、これまではブラジル流を重視しながらやってきたところはあるけど、今のサッカーはヨーロッパが中心になってきている」

ブラジル流とは、すなわち選手の能力や判断を生かすサッカーのこと。個性のある選手を集め、彼らの独創性やインスピレーションを融合させたサッカーは再現性が低いものの、選手の意図が噛み合ったときの攻撃力は高い。次から次にタレントが生まれてくるブラジルにならい、鹿島も個性のある選手を集め、特に攻撃面では彼らの即興性に任せてきた。たとえ相手に押し込まれる展開となっても、90分も時間があれば、相手が見せた隙を突き必殺の攻撃を繰り出せる絶対の自信があった。

必然的に、守備意識は高くなる。自分たちの流れが来るまで相手にゴールを許さないためには、全員が一致団結してゴールを守ることが重要だった。球際の意識が強調され、結果が出なければ「相手のほうが戦っていた」「球際で負けていた」と結論づけられた。

ところが、いくら球際の意識を高く持っても試合を優位に運べないことが多くなる。2019シーズンの開幕戦では、昇格組の大分トリニータに1-2で敗れたが彼らは鹿島の守備を剥がすために周到な準備を重ねてきた。また、その他の試合でも対戦相手にポゼッションを握られる試合が多くなり、特に川崎フロンターレにはまったく勝てなくなっていく。2017シーズンから公式戦の対戦成績は1勝4分5敗と圧倒的に負け越す。つまり、適切な立ち位置を取ってくる相手に手も足も出ないことは、天皇杯決勝で完敗を喫する以前から見られていた。

それでも選手の個性が噛み合ったときはまだ強く、4つのコンペティションで勝ち進むことができた。ただし、選手同士の即興性は選手のコンディションや構成メンバーの個性と相互理解の深さに左右されやすく、同じメンバーが組めなくなると少しずつ歯車が狂い出す。

ACLの広州恒大戦では、敵地でアウェーゴールを奪えず、ホームでもうまくゴール前をこじ開けることができない。ルヴァンカップでは立ち位置に優れた川崎の前に手も足も出ず完敗。せめてリーグタイトルを、と臨んだリーグ終盤戦だったが、試合内容の薄さが自信の欠如を生む。勝ちきれない試合が続き、優勝争いから脱落。最後に残された天皇杯も、強烈な個性と明確なゲームプランが組み合わさった神戸に、頂点を譲るのは妥当な結果だった。


日本を代表するサイドバックが揃った新陣容


どのようにゴールに迫り、どのようにゴールを奪うのか。ゲームプランを明確に掲げたチームづくりはJリーグでもスタンダードになりつつある。トレーニングの段階からそうした共通の絵をチームや選手にどれだけ落とし込めるのか。ピッチ上の勝敗を左右するのは、選手のイマジネーションだけでなく、それ以前にチームとしてどれだけ準備を積んできたかに移りつつある。

2019シーズン、鹿島は親会社の変更など多くの変化が訪れた。ただ、ここまでの動きを見る限り、新シーズンはさらに一歩踏み込むことになるだろう。

新監督にはアントニオ・カルロス・ザーゴが就任する。ヨーロッパのASローマやシャフタール・ドネツクでアシスタントコーチを務めた経験もあるザーゴは、少し成績不振が続くとすぐに監督がすげ替えられ若手監督が育たないブラジルのなかでも異色の存在。主導権を持って戦うゲームモデルを、トレーニングのなかで落とし込める力を持ち、「主導権を持って、主体性を持ったサッカーに変えていきたい」(鈴木満フットボールダイレクター)という、鹿島が求める監督像に合致する人物である。

安西幸輝がポルトガルのポルティモネンセに移籍したあと、大岩剛前監督も選手起用に頭を悩ませたサイドバックに補強を敢行。ベガルタ仙台から永戸勝也、横浜F・マリノスから広瀬陸斗、湘南ベルマーレから杉岡大暉を獲得。安定してタイトルを獲得した時代には、相馬直樹・名良橋晃、新井場徹・内田篤人、山本脩斗・西大伍と、必ず日本を代表するサイドバックが揃っていた陣容を取り戻す。

ブラジル人選手もレベルアップ。センターFWのエヴェラウドやフアン・アラーノは、かつてであれば手が出ないレベルの選手だろう。


クラブのなかに生まれ始めた新たな変化


1990年代半ば、バブル崩壊にともないJリーグ全体が縮小傾向に向かうなかで、鹿島はそれと逆行してレオナルドやジョルジーニョといった世界的選手を獲得した歴史がある。そこで常勝のブランドを確立させたことが現在の礎となった。

当時のように赤字覚悟の出資、ということではないだろうが、親会社がメルカリになったことで、クラブの姿勢も180度変わろうとしている。

「小泉(文明)社長からは『勝つためにはこれだけ必要、というのをまず言ってほしい』と言われている。これまでの殻を破っていかないといけないと感じている」(鈴木満フットボールダイレクター)

つまり、決められた予算のなかで人件費を算出し、そのなかに収まる選手を獲得しなければならなかったクラブ運営のやり方は過去のものになった。本気で4つのタイトルを獲得するために必要な予算を算出し、そこに向かってクラブ全体が努力していく形になってきた。

とはいえ、メルカリが選手獲得に必要な予算を肩代わりしてくれるわけではない。クラブ全体で利益を高める努力を積まなければならない。「ビジネスで得た資金をチームの強化に当てていく」(小泉文明社長)という基本姿勢に変わりはない。ただ、クラブのなかも如実な変化が表れている。

「働き方改革はすごく進んでいる。会社全体で変わった感じもすごくあるし、4カ月でこんなに変わるのかというくらい変わってきてる」(鈴木満フットボールダイレクター)

タイトルを取ることで選手を引きつけ、サポーターを引きつけてきた鹿島。“常勝鹿島”という立ち位置までも手放してしまうと、クラブの存続が危うくなる。

2003年から2006年まで、過去4年間国内タイトルから見放されたことがあったが、2017、2018、2019と3年間国内の主要大会で優勝から遠のくのは、それに続く不名誉な記録である。遅まきながらも現代的な姿に生まれ変わろうとする選択は、鹿島にどんな結果をもたらすだろうか。 

<了>




◆鹿島の「勝負強さ」はどこへ? 天皇杯も準優勝で昨季無冠。新体制で挑む変革の決意(REALSPORTS)


◆天皇杯・元日決勝は破綻している。鹿島を窮地に追い込む本末転倒な現状も、次回は再び元日開催(REALSPORTS)






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ホーム開幕戦のカードが発表され、早くも新シーズンへの期待が膨らむ2020シーズンのJリーグ。各チームが続々と始動する中、異常事態ともいえる窮地に追い込まれているのが、鹿島アントラーズだ。もはや破綻しているといっても過言ではない、天皇杯の元日決勝。この本末転倒な現状はなぜ起きているのか、是正する術はないのか。あらためて考えてみたい。


(文=藤江直人、写真=KyodoNews)


まるで罰ゲームのような鹿島の日程


こけら落としマッチを迎えた新国立競技場の真新しいピッチで、ヴィッセル神戸がクラブ史上で初めてとなるタイトルを獲得して歓喜の雄叫びをあげる。2019シーズンのエンディングを飾った元日決戦の記憶が色濃く残るJリーグから、早くも「始動」の二文字が伝わってきている。

2020シーズンのJ1を戦う18チームでは、3分の2にあたる実に12チームが11日までに始動した。そのうち10チームは昨年12月7日の明治安田生命J1リーグ最終節でシーズンを終えているので、日本代表に選出された選手を除けば、最低でも1カ月のオフを取った計算になる。

J1参入プレーオフ決定戦に回り、徳島ヴォルティスと引き分けて残留を決めた湘南ベルマーレがシーズンを終えたのが先月14日。始動が10日だったから26日間はオフを確保できた計算になるが、対照的に鹿島アントラーズのオフはわずか6日間と桁違いに短い。

天皇杯決勝でヴィッセルに屈してから1週間後の今月8日に茨城県鹿嶋市内で始動し、10日からは宮崎県内でキャンプをスタートさせた。今シーズン初の公式戦、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のプレーオフが今月28日に県立カシマサッカースタジアムで控えている日程から、ギリギリのタイミングでの始動となった。

もっとも、始動日にクラブハウスに姿を現した選手はわずか16人だった。そのうち2年目のMF名古新太郎、ルーキーのFW染野唯月(尚志高)はけがのため室内で別メニュー調整。14年目を迎えた31歳のベテラン、MF遠藤康もピッチには姿を現したものの別メニューで終えた。

キャプテンのDF内田篤人に加えて、元日までフル稼働したGKクォン・スンテ、DF犬飼智也、ブエノ、MFレオ・シルバ、永木亮太、土居聖真、三竿健斗、白崎凌兵、FWセルジーニョ、伊藤翔の主力組はそろって不参加だった。クラブ側が熟慮した末に、引き続きオフを優先させたためだ。

現役時代に柏レイソルでプレーした経験を持つ、ブラジル人のアントニオ・カルロス・ザーゴ新監督に率いられるチームに合流するのは、20日まで行われる宮崎キャンプ終盤の16日に設定されている。最悪の場合、チーム作りがACLのプレーオフに間に合わない可能性もある。

「もうちょっと早く(全員で)始めたいという考えも、もちろんありましたけど」

こう振り返るアントラーズの鈴木満常務取締役強化部長は、Jリーグ統一契約書のなかに明記されている「最低でも2週間のシーズンオフ」を主力組に与え、全体での始動をあえて遅らせることを決めた理由を明かす。天皇杯決勝翌日から15日までで、ちょうど2週間になる計算だ。

「昨シーズンの終盤戦を見ていても、フィジカル的にまるでオーバートレーニング症候群のような状態になり、メンタル的にも集中力を欠いてパフォーマンスが上がらなかったところがあった。こうした状態が3年も4年も続いてきたなかで、どこかでメリハリをつけなければいけないとずっと考えてきた。選手たちも人間なので、今年は思い切って休ませよう、という決断を下しました」

対照的に天皇杯を制したヴィッセルの始動は、J1勢のなかで最も遅い今月22に設定された。3週間のオフで鋭気を養い、J1王者の横浜F・マリノスと対峙する来月8日のFUJI XEROX SUPER CUP、同12日にグループリーグが幕を開けるACLにそれぞれ初めて挑む。

元日の風物詩として位置づけられて久しい天皇杯決勝で勝てば、十分とは言えないまでも、3週間のオフを取れる。一方で負ければまるで「罰ゲーム」とばかりに、慌ただしい始動を強いられる。今回はアントラーズが英断を下して主力を休ませたが、そもそもこうした不公平が存在していいものなのか。


柴崎岳、小泉文明社長も警鐘を鳴らす事態


不公平を生み出す源泉をたどっていけば、天皇杯決勝が元日で固定されている国内のサッカースケジュールに行き着く。本来ならば各チームがほぼ同じ時期にオフへと入り、来る新シーズンへ向けて備えるべきところで、天皇杯決勝の元日開催がチーム間のばらつきを導いている。

今回の天皇杯決勝から一夜明けた2日にアントラーズのOBで、ラ・リーガ2部のデポルティボ・ラ・コルーニャでプレーする日本代表MF柴崎岳が投稿したツイート(@GakuShibasaki_)が、4000件を超えてリツイートされるなど非常に大きな反響を呼んだ。原文をそのまま記すと下記のようになる。

<何が原因か分からないが、休む事への意識が欠けている。僕が日本にいた時は確か契約書に選手は最低2週間オフシーズンを過ごす権利があると書かれていた様な… それでも短いけど。今回は鹿島や神戸(神戸のオフ期間は分かりませんが)ですが、どのJリーグチームが犠牲になってもおかしくない>

昨年8月末にアントラーズの新しい筆頭株主になった株式会社メルカリの取締役会長で、アントラーズを運営する株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シーの代表取締役社長を務める小泉文明氏も、柴崎のツイートを引用する形で、翌3日に自身のツイッター(@Koizumi)にこんな文面を投稿している。

<過密日程については鹿島は毎年ひどい状況で、選手もスタッフもオフが少なすぎる状況が続いてます。Jリーグを通じて日本サッカー協会に天皇杯の日程の前倒しを要請してます。大事な選手を守らなければ長期的な強化、発展は望めないと危機感を感じてます。>(原文ママ)

天皇杯決勝が国立霞ヶ丘陸上競技場、いわゆる旧国立競技場を舞台として、元日に開催されるようになったのは1968年度の第48回大会からだった。それまでは開催時期だけでなく決勝の会場もばらつきがあり、静岡県の藤枝東高校や広島県の国泰寺高校のグラウンドで開催された年もある。

折しも産声を上げて間もない日本サッカーリーグ(JSL)が、集客に苦慮していた時期だった。銅メダルを獲得した1968年のメキシコ五輪で日本代表監督を務め、後に日本サッカー協会(JFA)の第8代会長に就任する長沼健氏(故人)をはじめとする幹部が、こんな思いを託して元日の旧国立競技場開催を実現させた。

「元日の明治神宮に約250万人の参拝客が来る。初詣帰りの1%でも決勝に来てもらえないだろうか」

集客面だけでなく興行面でも狙いは的中し、1980年代後半まで続く日本サッカー界の冬の時代において、旧国立競技場を舞台にした天皇杯決勝は元日の風物詩として定着。財政面でも日本サッカー協会へ安定をもたらしたことで、1972年度の第52回大会からのオープン化を実現させた。

Jリーグが発足した1993年度の第73回大会以降は、プロとアマチュアが戦う唯一の大会として広く認知された。英知を絞り出した先達たちへの畏敬の念が、いまもなお強いのだろう。天皇杯を主催する日本サッカー協会内には、決勝の元日開催に帯するこだわりが依然として強く残っている。

ただ、メキシコ五輪で得点王を獲得した不世出の名ストライカー、釜本邦茂を擁するヤンマーディーゼル(現・セレッソ大阪)が、1-0で三菱重工(現・浦和レッズ)を撃破。旧国立競技場のピッチで初優勝の喜びを爆発させた1969年の元日から、実に半世紀以上の時間がたっている。

当時は画期的だった元日開催もプロの時代が幕を開け、ACLに代表される新たな国際大会が創設されて久しい、いま現在のサッカー界にはそぐわなくなった。オフのばらつきが生み出された結果として、選手たちに不必要な負担を強いる存在となっている現状は、まさに本末転倒となる。


プレミアリーグでもブンデスリーガでもほぼ同時にオフに


つまり、プレーヤーズファーストの視点で考えれば、元日に決勝戦を開催するスケジュールは破綻状態にあり、日程を再考すべき段階を迎えている。ゆえに半世紀の間に2度だけ、元日から前倒しされて決勝が開催された2014年度の第94回大会、2018年度の第98回大会は大いに参考になるはずだ。

いずれも翌年1月上旬にAFCアジアカップが開催された関係で、日本代表の活動期間を確保する目的で元日決戦が回避された。2014年はJ1最終節から1週間後の12月13日に天皇杯決勝が開催され、2018年は同じく最終節から中3日の12月5日に準決勝、再び中3日の同9日に決勝が行われた。

J1参入プレーオフ決定戦や、JクラブがACLを制した場合のFIFAクラブワールドカップとの兼ね合いもあるだろう。それでも、例えばプレミアリーグやブンデスリーガでも、リーグ戦の全日程を終えた次の週末にFAカップやDFBポカールの決勝戦が行われている。すべてのクラブがほぼ同時にオフに入るためには、12月第1週にリーグ戦を終えた翌週末が一つのポイントになってくる。

実際にプレーする選手たちは、目の前にあるすべてのタイトルを獲得したいはずだ。特にACLに対しては、日本サッカー協会およびJリーグから毎年のように大きな期待を託されている。ACL本戦へ進出するためのプレーオフへ、手探り状態で臨むアントラーズにとっても苦渋の決断だったはずだ。

「そこ(プレーオフ)は何とかうまくやり繰りして勝って、次につなげないといけない。ただ、今シーズンは監督やスタッフが替わり、選手も大幅に入れ替わったことも考えれば、最初からというのはちょっと難しいかも、と覚悟しなきゃいけない。ゆっくり、少しずつチームを作りあげながら、秋口から勝負をかけられるような状態になれば、とも考えています」

昨シーズンに本田圭佑が在籍したことでも知られる、メルボルン・ビクトリー(オーストラリア)が勝ち上がり、対戦相手になると予想される一発勝負のプレーオフをにらみながら、アントラーズの鈴木強化部長はスタートダッシュを度外視した、我慢のシーズンになる覚悟も決めている。

柴崎がツイートで懸念した<Jリーグチームが犠牲になっても――>が、現実のものとならないためにも特に日本サッカー協会には現実を直視し、アントラーズの小泉社長がすでに要請している天皇杯日程の前倒しを真剣に議論すべき時期に直面している。しかし、残念ながらと言うべきか。第100回の記念大会となる次回の天皇杯決勝も、2021年の元日に開催されることがすでに決まっている。

<了>


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