アジアサッカー連盟(AFC)チャンピオンズリーグができたのは2002年だ。アジア各国プロリーグのチャンピオンが出場するアジアクラブ選手権と各国サッカー協会(FA)カップ大会優勝チームが競うアジアカップウィナーズカップを統合して設立された。AFCチャンピオンズリーグは国家対抗戦のアジアカップと共にAFCの2大メジャー大会だが、国内では国家対抗戦より関心が低い。とはいえ今まで全北現代、浦項スティーラース、城南一和(現城南FC)、蔚山現代などが優勝している。
AFCチャンピオンズリーグが今年ほど注目されたことがあったのだろうか。しかし関心は水原三星-鹿島アントラーズ(日本)の準決勝に限定され、その背景も外部の要因にあった。
ホームアンドアウエー方式の準決勝第1戦は4日に日本の鹿島で行われた。試合中に鹿島のGK権純泰(クォン・スンテ)と水原のMF林相協(イム・サンヒョプ)の間でもめごとが生じた。鹿島のゴール前で混戦中、両選手の間で接触があった。権純泰は林相協に頭突きをするように挑発し、非紳士的行為で警告を受けた。実際、痛みを訴えた林相協(イム・サンヒョプ)の行動もシミュレーション(オーバーアクション)だった。
波紋が広がったのは、試合後に権純泰が日本の取材陣のインタビューで「韓国のチームなので必ず勝ちたかった」と話したと報道されてからだ。権純泰はあっという間に「李完用(イ・ワンヨン)級」の民族の反逆者になった。関連インターネット記事では権純泰を露骨に非難するコメントが続いた。一部の人は権純泰をナカムラ・ジュンタイ(中村純泰)と呼んだ。権純泰のソーシャルメディアにも誹謗中傷が続いた。一部のインターネットメディアは権純泰の家族の写真をダウンロードし、「権純泰の妻がどれほど美しくて…」「権純泰の息子への愛を見ると…」など「検索ワードビジネス」を始めた。準決勝の第2戦(24日)のために水原に来た権純泰はあるインタビューで「日本の取材陣に話した言葉は前後が切れていて発言の背景と脈絡が変わった」と釈明した。それでも非難は終わらなかった。
言うべきことは言っておかなければいけない。「中村純泰」でもなく「祖国」を阻止することでもない。権純泰はKリーグ(全北)のようにJリーグでも所属チームのために懸命にプレーした。情熱が少し行き過ぎただけだ。
メディアと世論が「祖国」「民族」を売って裏切り者にする事例は少なくない。2002釜山(プサン)アジア競技大会柔道男子81キロ以下級で秋山成勲(秋成勲)が韓国選手を破って金メダルを獲得すると、スポーツ新聞が「祖国を投げつけた」と歴史に久しく残る見出しを付けた。2014年ソチ冬季オリンピック(五輪)ショートトラックで(ロシアに帰化した)アン・ヒョンスが3冠王になると「祖国を抑えた」という表現が出てきた。本当に使い勝手のよい「祖国」と「民族」だ。
チャン・ヘス/スポーツチーム次長
◆【コラム】祖国と民族を売ったのは誰か=韓国(中央日報)