日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年1月2日月曜日

◆故障の影響で途中出場、鹿島学園FW上田綺世「自分が情けない」(ゲキサカ)


[1.2 全国高校選手権2回戦 鹿島学園0-1東海大仰星 ニッパツ]

 呆然と立ち尽くした。鹿島学園高(茨城)はシュート1本で終戦。全国高校選手権2回戦で東海大仰星に0-1で敗れ、2回戦敗退となった。鹿島学園高の“絶対的エース”FW上田綺世(3年)は初戦で左足股関節を痛めた影響で途中出場。後半21分から投入されたが、勝利を引き寄せることはできず。試合終了と同時に両手を腰に当て、宙を見ていた。

 2得点の活躍をみせた1回戦・高川学園戦(2-1)で左足股関節を負傷。「怪我のことは、自分が一番よくわかっていて、あの時間帯くらいが今の状態では限界」と言うように、この日の2回戦はラスト20分のプレーが精一杯という状況だった。

 0-0の後半21分に投入され、ゴールを目指した。鹿島学園の仲間たちは試合前に約束した「(上田が出るまで)絶対にゼロで抑える」を守ってくれていた。だからこそエースは結果で応えたかった。しかし、なかなかシュートが打てない。後半35分にMF島村風雄(3年)の左クロスにファーサイドで合わせたヘディングシュートが唯一のもの。上田投入後に前がかりになっていたチームは、最後の一瞬を突かれて後半40分に失点。0-1の敗退となった。

 試合終了のホイッスルが鳴ると、ハーフウェーライン付近にいた上田は呆然と立ち尽くした。挨拶に来た相手選手と握手を交わすも、目は泳いだまま。敗戦の事実を受け入れられない様子だった。「実感がなかったのはあります。勝たせてあげられなかったという絶望感、脱力感……という感じでした」。鹿島学園の絶対的エースは敗戦の責任を背負い込んだ。

「自分が情けないなと思います。どんな状況でもチームを助けられないといけなかったし、ああなる前に自分が得点するべきだった。取れなきゃいけなかった。1回戦で怪我をして、こうなってしまったのは自分が悪いですし、チームに迷惑しかかけていないので申し訳ないです。痛みはありましたけど、それ以上に勝ちたかったし、チームを勝たせたかった。情けない」

 悔しさを伴って上田の高校サッカーは幕を閉じた。春からは関東大学リーグ1部所属の法政大へ進学予定。鹿島アントラーズの下部組織で育ったFWは「大学で頑張って、またプロを目指してやっていきたいです」と先へ目を向ける。

 この先もプロになる日を信じ、努力を続けていく覚悟を口にしたストライカー。共に戦ってきた後輩たちを想っては「今日も2年生が二人出ていて、頼れる後輩なので。これからも活躍してほしいし、自分たち以上の結果を出してほしいと思います。来年頑張ると後輩たちも言っていたので、自分たち以上の結果を出して、自分たちに悔しい思いをさせてほしい」と語っていた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 片岡涼)

http://web.gekisaka.jp/news/detail/?206925-206925-fl

◆東福岡、悪夢払拭の1勝 藤井V弾「仲間に感謝」(ニッカン)




<高校サッカー:東福岡1-0東邦>◇2回戦◇2日◇等々力

 東福岡が連覇へ向けてスタートを切った。

 得点こそ1点止まりだったが、東邦相手に12本のシュートを浴びせるなど力の差を見せつけた。守備でも相手にシュートを1本も打たせなかった。昨夏インターハイで初戦で敗れた悪夢を吹き払う勝利だった。

 虎の子の1点は後半16分。左サイドからJ鹿島入りが内定しているDF小田逸稀(3年)が上げたクロスに、FW藤井一輝(3年)が頭で合わせた。それまで決定的なシュートを外していたエースストライカーだが「相手DFより前でボールを触ることを意識した。(シュートを)外していてもクロスを上げてくれた仲間に感謝したい」と笑みを浮かべた。

 森重潤也監督(51)も胸をなで下ろした。「正直、初戦勝ってホッとしている。まだ始まったばかりだし連覇までこれを続けていかないといけないし、今日の反省点を見直して気を引き締め直して頑張りたい」と勝利に酔いしれることなく、気持ちを切り替えていた。【浦田由紀夫】

http://www.nikkansports.com/soccer/news/1759998.html

◆内田、古巣・鹿島の小笠原を絶賛「かっこいいよね、選手としても人としても」(報知)




 シャルケ04DF内田篤人が2日、クリスマス休暇を終え、所属クラブに合流するため、成田空港から出国した。元日に行われた天皇杯決勝で古巣の鹿島が6年ぶり5度目の優勝。延長戦までテレビで観戦した内田は「久しぶりに1試合ちゃんと見させてもらいました」とし、鹿島を「憎いくらい強い」「相手だったら邪魔でしょうがない」と試合の印象を語った。

 「川崎も本当に粘って粘って、いい試合を見させてもらいました。川崎にとってはチャンスだったと思うんですね。もちろん知り合いが多い分、鹿島を応援していた訳ですけど、鹿島は連戦だったし。だけど、鹿島は本当に勝つ。よく勝つわ。すげえわ。強いなって思ったし、さすがです」

 静岡県生まれで、鹿島に加入するまでは磐田を応援していた内田。「静岡でジュビロを応援してたんで。そのときもね、よく鹿島が優勝をかっさらって。嫌いだったな。邪魔だなって。嫌なチームだなって。取れるもんは全部取っていくし。何だろう、取り慣れている。何回も見たもん。ああやってカップあげているところ」と見慣れた光景を再び目にし、「やっぱ強いな」と改めて感じさせられた。

 ボールをぶつけられ、MF小笠原満男が川崎のMF中村憲剛に向かって、突進したシーン。小笠原は「パフォーマンスの1つ」と明かしているが、内田は「迫力あったね。やっぱり周りは小笠原さんが行くならって思うよ。永木くんとか、(昌子)源とか。背中を見られるからね。ああいう人の」と分析。「やっぱり見ると鹿島は小笠原だなって」と話した。「ああいう風になりたいな、とは思うけど、あきらかに性格違うからね。かっこいいよね、選手としても人としても」と最後まで鹿島の主将を絶賛していた。

http://www.hochi.co.jp/soccer/world/20170102-OHT1T50119.html

◆永木「身体が鹿島のスタイルに動けるようになってきた」 1年で中心選手に成長した理由(サンスポ)


永木「身体が鹿島のスタイルに動けるようになってきた」 1年で中心選手に成長した理由

 鹿島アントラーズの日本代表MF永木亮太はシーズン最後の試合をタイトル獲得で終えられたことを喜んでいる。

 鹿島は1日、天皇杯決勝で川崎フロンターレと対戦。延長戦の末に2-1で勝利した鹿島は5度目の戴冠を果たした。永木は試合後「本当に、これ以上ないシーズンになりましたし、タイトルも2つ獲れたので。このチームに来て、自分の力も出せた上のタイトルなので、すごく嬉しいです」と喜びを語った。

 また、永木自身にとっても大きなシーズンとなった。湘南ベルマーレから移籍してきて、鹿島の中心選手としてタイトルを獲得し、日本代表に招集されるほどの選手となった。加入後の変化について問われた永木は以下のように話している。

 「悔しい思いも味わったし、そのうえでレギュラー争いというのも本当にレベルの高いところで味わうことができました。それを勝ち取ってタイトルを獲れたという気持ちもあるので。しっかり日頃の練習からそういう強い気持ちを持って取り組んだことが、このような結果につながっていると思うので。自分一人の力じゃないですけど、自分に携わってくれた人たちの気持ちも汲んで、本当に良いシーズンだったと思います」 

 わずか1シーズンで永木は鹿島らしい中盤で戦える選手に成長した。常勝鹿島に移籍し、難しい部分もありながら、馴染もうとした結果、選手としても大きく成長できたことを明かしている。

 「言葉では表せないですけど、やっぱりそういう雰囲気だったり。それは選手にしか感じることができないと思いますけど、シーズンの最後では、そういうのをすごく感じることができて、すごく良かったと思います」

 「あとは練習から鹿島のスタイルにいち早く溶けこめるように。そういうのをずっと意識しながらやってきたので。いろいろ難しいところもありましたけど、そういう苦しいときを乗り越えて、ようやく少し板についてきたというか、身体が勝手に鹿島のスタイルに動けるようになってきたというのが、一番良かったことなんじゃないかなと思います」(Goal.com)

http://www.sanspo.com/soccer/news/20170102/jle17010213590003-n1.html

◆鹿島FW「経験が生かされた」 強さの秘訣は「言葉では表せないもの」(ゲキサカ)




[1.1 天皇杯決勝 鹿島2-1(延長)川崎F 吹田S]

 鹿島アントラーズが6年ぶり5回目の天皇杯制覇を飾った。リーグとの2冠は9年ぶり。これで国内通算19冠となった。

 1試合の中で苦しい時間帯があろうとも、最後はしっかり勝ち切る。「僕らがチャンピオンということを見せつけることが出来た。たくさん厳しい戦いをしてきた。延長戦でも経験が生かされた」。FW土居聖真は鹿島らしさを見せつけての勝利に胸を張った。

 これが伝統の力か。常勝軍団の血は下部組織から昇格した土居らにも受け継がれ、土居がトップ昇格した2011年以降も鹿島は毎年のようにタイトルを獲得している。強さの秘訣については「言葉では表せないもの」と表現する。24歳FWは「言葉では表せない、メンタルなど全部含めたもの。それが自信、気持ちの余裕に繋がっている」と自信満々に答えていた。

(取材・文 児玉幸洋)

http://web.gekisaka.jp/news/detail/?206916-206916-fl

◆鹿島イレブンに浸透していた今すべきこと…CWCで磨かれた勝負どころの見極めが天皇杯で命運分ける(サンスポ)


鹿島イレブンに浸透していた今すべきこと…CWCで磨かれた勝負どころの見極めが天皇杯で命運分ける

 元日に行われた第96回天皇杯決勝は、まさに鹿島アントラーズの“勝負強さ”を見せつけられる一戦だった。延長にまでもつれた試合は、鹿島が川崎フロンターレに2-1で勝利を収め、6年ぶり5度目の優勝を飾った。もちろん120分に及ぶ激闘の中では、両者ともに特徴を活かして好機を作り出していた。敗れた川崎も後半9分には小林悠が同点となるゴールを決め、後半20分にも再び小林がポストに直撃する惜しいシュートを放った。ただし、終わってみれば鹿島が勝利を収めた結果には、ただただ“勝負強さ”を感じずにはいられなかった。特に痛感させられたのは、得点シーンである。

 鹿島の先制点は前半42分、右CKから遠藤康のクロスを、山本脩斗が完璧に頭でとらえた得点だった。また、1-1の同点に追いつかれて突入した延長戦で、ファブリシオが挙げた決勝弾もセットプレーからだった。延長前半4分、やはり右CKの流れから西大伍のヘディングシュートがポストに当たりクリアされると、拾った永木亮太がヘディングでつなぎ、最後は西のパスを受けたファブリシオがゴールに叩き込んだ。

 試合は間違いなくパスワークに秀でた川崎がボールを支配していた。一方、鹿島はチャンピオンシップから続くFIFAクラブワールドカップ(以下CWC)、さらに天皇杯といった1カ月で10試合を戦う過密日程の影響もあって、いつもより明らかに運動量は少なかった。普段ならば、前線の2トップから激しく追うはずのプレスもやや緩く、川崎のテンポの良いパス回しに翻弄される場面もあった。だが、そうしたチームの苦しい状況を察知してか、キャプテンの小笠原満男は、川崎の攻撃の要である中村憲剛と大島僚太を激しくチェイス。まさに相手の要所を潰したのである。前半19分に起きた小競り合いについても「パフォーマンスのひとつ。怒っていたわけではない」と小笠原は説明したが、すべては勝つための術(すべ)であり、相手を威嚇もしくは萎縮させるひとつの手段だった。

 また、それは小笠原だけに限った話ではなく、鹿島はピッチにいる11人全員が、自分たちが勝つために何をすべきかを把握していた。リードを奪った延長戦の戦い方も然りである。川崎の運動量が落ちてきた状況でならば、リードを守り切れるという自信はひしひしと感じたし、パスひとつとっても、時間を稼ぐプレーひとつにしても、それぞれが今、やるべきことを熟知していた。CSに続き天皇杯も制して二冠を達成した石井正忠監督は、その強さを「タイトルを獲った者だから分かる勝負どころでしかないと思います」と語った。

 惜しくもタイトルに手が届かなかった川崎のキャプテンである中村も、「ちょっとの差が天と地と言えるほどの結果を生んでしまう」と話し、鹿島のセットプレーの強さや身体を張る老獪さについて悔しさを滲ませた。

 2トップの一角として先発した鹿島の赤崎秀平は、チームの成熟についてこう発言した。

 「CWCのときから相手にボールを持たれてもやれる戦い方が身についていたので、焦りはなかったですし、必ず点は入ると思っていた。その思いが全員にあったので、不安なかったですね。前半0-0で行けば勝てるという自信もありましたし、あわよくば1点取れれば、さらに有利になるという自信はあった」

 先制点を挙げたものの、CWCで痛めた足に開始15分の時点で違和感を持ち、自ら申し出て前半を終えて交代した山本も同様だった。

 「自分たちのサッカーを貫くところと、それが無理だったときにしっかりと引く部分を使い分けられた。特にCWCでは相手の攻撃が、パワーもスピードもうまさも今までに経験したことのない迫力があった。その中でどう対応して、うまく自分たちでやればいいのかを考えてきたことがつながっている」

 流れが悪くとも耐えしのげば、チャンスはやって来る。押し込めなければ、リスタートに活路を見出せばいい。まさにセットプレーから決めた2得点は、そうした鹿島の戦い方であり、勝利の方程式でもあった。石井監督の言う「勝負どころ」をピッチにいる選手たちが見極めていた結果こそが、鹿島に19回目となるタイトルをもたらしたのである。

 そして「大事なのは本当にこれから。来シーズン、これで勝てなくなったら意味がない」と試合直後に小笠原が話したように、早くも次を見据えていることも鹿島の“強さ”である。土居聖真をはじめ、今後の鹿島を担っていく選手たちが、小笠原と同様に次への欲について言及していたところに鹿島の伝統がある。

 文=原田大輔(Goal.com)

http://www.sanspo.com/soccer/news/20170102/jle17010214020004-n1.html

◆鹿島国内19冠に見た、重ねてきたクラブのレガシー(ニッカン)




 「鹿年」で16年シーズンが幕を閉じた。鹿島がJリーグチャンピオンシップ(CS)を年間勝ち点3位から下克上優勝。クラブW杯でもアフリカ、南米王者を完封し、決勝では欧州王者Rマドリードに一時は2-1とリード。延長で敗れたが、世界を驚かせた。天皇杯でも決勝で初タイトルを狙う川崎Fを退けて2冠。国内19冠目を獲得した。

 私が担当したのは、11月から。中身の濃い2カ月間だった。リーグ戦は4連敗で終えた時、「正直、勝ってないから雰囲気は良くないよね」。選手たちに自信に満ちた表情はなかった。だが、天皇杯4回戦神戸戦前に主将の小笠原が発起人となり、選手だけの決起集会を開いた。全員が一言ずつ思いを言葉にした。第2ステージで結果を出せていなかったエースFW金崎は冗談を言いながら盛り上げた。「本当の戦いはここからだ。全員でタイトルをとりにいこう」。主将の言葉で心が1つになった。なぜか。DFリーダーの昌子源が神戸戦の勝利後、口にした言葉が印象的だった。

 「(小笠原)満男さんや、ソガさん(曽ケ端)の背中を見ていると、なんかいけそうな気がしてくるんですよね。それが、この鹿島にはあるんですよ。タイトルを積み重ねてきた歴史って言葉にしてしまうと簡単なんですけれど、どうすればタイトルをとれるかという、重ねてきたクラブのレガシー。だからこそ、僕らもたくさんその経験をして、次の世代に受け継いでいかないといけない。その責任、使命がある」。

 前身の住友金属工業時代は選手、監督として活躍し、Jリーグ創設後は長年強化担当を務めてきた鈴木満常務に「何で鹿島はタイトルがとれるのか?」とクラブW杯後に聞いてみたこともある。その1つで印象的だったことが「チームのスローガンって、1回も決めたことがないんだよね」。Jクラブは開幕前にそのシーズンのスローガンを掲げるのが通例。「やらなきゃいけないことって毎年一緒じゃない。全部勝つこと。それって1年通して同じことばかりじゃないんだよね。相手によっても違うし、大会によっても違う。実際にタイトルをとることでクラブも選手も学んできた。勝って強くなってきたというか、優勝しないと成長できない。2位じゃだめ。あえて言うなら自在性ってのがスローガンかもね」。臨機応変に戦い方を替え、瞬時に判断ができることが、国内19冠から得た鹿島の強みではないだろうか。

 16年、J開幕戦で決勝ゴールを決め、クラブW杯でのゴールパフォーマンスでも注目を浴びたFW鈴木優磨も20歳で鹿島の強さを、身をもって実感できた。天皇杯決勝後「試合中、負ける気がしなかった」と言い切った。「どの時間帯に何をすべきか共有できていることが差。優勝するチームと、できないチームの差がはっきりした」。この体感は17年シーズン、そして将来のエースとして心と体に刻まれたはずだ。

 「酉年」はリーグ連覇、ルヴァン杯奪還、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)初制覇でクラブW杯のリベンジ。すべてを“とり”にいくのが鹿島の使命となる。茨城県出身の私にとっても、鹿島は地元初のプロクラブ。高校時代の93年、初年度のCSを国立競技場で生観戦したジーコやアルシンド、そして石井正忠の戦う姿は、今でも鮮明に記憶に残っている。勝って強くなるのは、記者も同じ。原点に戻り、しっかり勝者の根源を学ぶ1年にしたい。【鎌田直秀】


 ◆鎌田直秀(かまだ・なおひで)1975年(昭50)7月8日、水戸市出身。土浦日大-日大時代には軟式野球部所属。98年入社。販売局、編集局整理部を経て、サッカー担当に。相撲担当や、五輪競技担当を経験し、16年11月にサッカー担当復帰。16年はリオ五輪の卓球・福原愛や、Jリーグ鹿島などの下馬評を覆す躍進を体感。17年の目標はフルマラソン完走。その前に、まずは減量。

http://www.nikkansports.com/soccer/column/writers/news/1759938.html

◆決勝で明らかになった「Jクラブの多様性」 天皇杯漫遊記2016 鹿島対川崎(Sportsnavi)


鹿島と川崎、それぞれの「タイトルへのこだわり」

今大会の決勝は52年ぶりに関西で開催。関東勢同士の対戦でチケットは売り切れとなった

 2017年の元旦は、京都で迎えた。昨年12月29日に大阪・長居での天皇杯準決勝を取材して、そのまま東京に戻らずに年の瀬の京都を楽しんでから、吹田スタジアムでの天皇杯決勝に備えることにした。関西在住の同業者は例年、東京のホテルで年を越し、天皇杯決勝と高校選手権を取材することが多い。今年は立場が逆になったわけだが、たまには旅先で新年を迎えるというのも悪くない。関東勢同士の決勝ということで集客面が心配されたが、会場が「話題のサッカー専用スタジアム」であることも動機づけとなって、チケットはソールドアウト。公式入場者数は3万4166人と発表された。

 あらためて、鹿島アントラーズと川崎フロンターレという、今回の決勝のカードについて考えてみたい。鹿島の決勝進出は6回目、川崎は前身の富士通時代を含めて初めてである。ちなみに鹿島は、6回の決勝のうち4回に優勝。こうした過去の実績に加え、昨年11月のJ1チャンピオンシップ(CS)から続く堅実な戦いぶりを考えるなら、鹿島有利というのが大方の見方であろう。とはいえ、一発勝負の天皇杯決勝は何が起こっても不思議ではない。実際、鹿島は過去2回の決勝で敗れているが、その相手は横浜フリューゲルスと京都パープルサンガ(現京都サンガF.C.)。とりわけ後者については、戦前は「圧倒的に不利」と思われていた。

 鹿島が常にタイトルに貪欲であることは周知のとおり。しかしながら対戦相手の川崎もまた、この決勝で初タイトルを渇望する明確な理由がある。それは彼らにとり、2016シーズンは大きな「区切り」であったからだ。クラブは設立20周年。5シーズンにわたりチームを率いてきた風間八宏監督は、今季いっぱいで退任することが決まっている。また、4シーズンの間に3年連続(13−15年)で得点王に輝いた大久保嘉人も、来季はFC東京に移籍することを明言。幾多の感動的なゴールを生んできた、中村憲剛とのホットラインもこれで見納めである。川崎の関係者の誰もが、この決勝に期するものを感じていたのは当然である。

 この日の鹿島のスタメンは、2人を除いて準決勝と同じ。FIFAクラブワールドカップ(W杯)以降、ずっとコンディション不良だった西大伍と遠藤康がメンバーリストに名を連ねた(ただし金崎夢生は決勝もベンチ外)。一方の川崎は、守備的MFのエドゥアルド・ネットが累積警告で出場停止。代わって、10月22日のリーグ戦を最後に戦列から離れていた大島僚太が、実に2カ月ぶりにスタメン復帰した。両チームとも、何人かのキープレーヤーは不在であるが、ほぼベストな陣容と言って良いだろう。

様式美を見ているかのような鹿島の先制ゴール

前半終了間際の42分、山本(16)のゴールで鹿島に先制点が生まれる

 試合序盤は、川崎がチャンスをつかんだ。前半13分、大久保がドリブルで抜け出してシュートを放つが、これは鹿島がブロックし、浮き上がったボールをGK曽ヶ端準が辛くもはじき出した。18分、今度はエウシーニョからのパスを受けた小林悠が右足でシュートを放つも、これも曽ヶ端がセーブする。この直後、小笠原満男が小林のファウルで倒れたところに、たまたま中村が蹴ったボールが当たったことから小笠原が激高。小競り合い寸前にまで発展する。

 もっとも、小笠原は試合後に「あれは一種のパフォーマンス。あいつ(中村)に怒っていたわけじゃない」と語っている。押し込まれる展開が続く中、キャプテンの自分が闘志をむき出しにする姿勢を見せることで、若い選手の奮起を促そうとしたのだろう。1ミリでも勝利に近づくためであれば、そうしたパフォーマンスも厭わない。それができるのが小笠原であり、常勝軍団のメンタリティーである。なおこの直後、競り合った際に西の足が登里享平の後頭部に当たり、再び両者がにらみ合い。元日の決勝で、これほどエキサイトするシーンが続くのもめずらしい。

 そんな中、前半終了間際の42分に鹿島の先制点が生まれる。右サイドでのゴールラインぎりぎりのポジションから、西が目ざとく中村にボールを当ててCKを獲得。遠藤の左足から放たれたボールに、DFの山本脩斗がヘディングで反応すると、ボールは川崎GKチョン・ソンリョンのグローブをはじいてゴールに吸い込まれてゆく。CKのもらい方からゴールの歓喜に至るまで、さながら様式美を見るような鹿島の先制ゴールが決まり、前半は1−0で終了。ハーフタイム、両チームは最初の交代カードを切る。鹿島は負傷していた山本に代えてファン・ソッコ。川崎は登里を下げて三好康児を起用し、3バックから4バックにシステムを変えた。

 この両者の交代が、川崎の同点ゴールの伏線となる。後半9分、大島のパスに小林がスルー。受けた三好が小林にパスを送り、右足でファーサイドをぶち抜く。この時、ファン・ソッコが小林にプレッシャーをかけていたが、試合の流れに入りきれていなかったのか、中途半端な対応となってしまった。小林は後半20分と42分にも際どいシュートを放ったが、それぞれバーと相手DFに阻まれて追加点はならず。結局、1−1のまま90分で決着はつかず、試合の行方は延長戦に委ねられることとなった。

川崎にとって未体験ゾーンだった延長戦決勝

川崎にとって、決勝での延長戦は未体験ゾーンだった

 延長戦に入るまでのインターバル、鹿島と川崎の様子を双眼鏡で確認する。川崎のベンチでは、試合に出ていた選手のほとんどがピッチ上に横たわり、スタッフから入念にマッサージを受けていた。これに対して鹿島は、寝そべってマッサージを受けているのは永木亮太のみ。他の選手たちは、すっくと立ったまま戦術の確認をしている。その表情は「まだまだ戦える」というエネルギーが充実していた。90分の戦いを終えて、疲弊し切っている川崎の選手たちとは、明らかに対照的である。

 この差は、いったい何に起因するのであろうか。ひとつ考えられるのは、経験値の差である。川崎にとって、カップ戦ファイナルでの延長戦は、まさに未体験ゾーン(過去3回のナビスコカップ決勝は、いずれも90分で敗れている)。対する鹿島は、ナビスコカップで3回、天皇杯で2回、それぞれ決勝での延長戦の経験がある。そして何より、つい先月にはクラブW杯の決勝で、レアル・マドリーを相手に延長戦を戦っているのだ。実際、石井正忠監督も「クラブW杯の決勝で120分戦った経験が、ここで生きたと思います」と明言している。結果として2−4で敗れたものの、そこで力尽きてしまったことへの悔悟と反省が、天皇杯決勝の延長戦で生かされたのは間違いないだろう。

 延長前半、鹿島で最も躍動していたのが、3人目の交代選手として後半43分に投入されたファブリシオである(OUTは小笠原)。3分、後方からの山なりのパスを受けて放ったループ気味のシュートは、エドゥアルドの間一髪のクリアに阻まれた。しかしその1分後、右CKからのチャンスからボールが流れ、ゴール前で西が相手のスライディングでシュートし損ねたところを、ファブリシオが思い切り右足を振り抜く。弾道は一直線でゴール右上に突き刺さり、これが鹿島の勝ち越しゴールとなった。余談ながら、この延長前半の15分で鹿島は5本のシュートを記録(120分トータルでのシュート数は14本)。そのうち4本がファブリシオで、いずれも枠内だった。

 対する川崎は、90分間で温存していた2枚のカードを、延長戦で一気に放出する(延長前半8分に田坂祐介OUT/森谷賢太郎IN、延長後半開始時に大島OUT/森本貴幸IN)。より攻撃的にシフトチェンジした相手に対して、鹿島はいつもの老かいな戦術で対抗。人数をかけて相手のシュートコースをふさぎ、激しい寄せでシュートの精度を狂わせ、そして前掛かりの相手にカウンターを仕掛けながら時間を消費させてゆく。こうなると、もはや川崎に勝ち目はない。ファイナルスコア2−1。鹿島が5回目の天皇杯優勝と2016シーズンの2冠、そして通算19回目のタイトル獲得を実現させた。

鹿島と川崎との「彼我の差」は何に起因するのか?

延長戦を制した鹿島が今季の2冠を達成。主将の小笠原(左端)に促されて石井監督がカップを掲げた

 終わってみれば、大方の予想通りの結果。とはいえ、単に「強い鹿島が優勝した」という一言では済まされない、非常に興味深いファイナルであった。もちろん川崎も、果敢に戦った。そして知力と体力と能力を振り絞って、最後まで諦めることなく鹿島に挑んでいった。しかしながら、どうにも埋めがたい「彼我の差」が、両者の間には横たわっていたように思えてならない。それは、試合後の両監督のコメントからも感じ取ることができる。

「今日は選手が最後まで勝ちたい気持ちを出してくれていました。実際、チャンスは多く作れましたし、われわれのサッカーを見せられたと思います。結果だけは残念ですが、次につながると思いますし、選手たちの成長を見ることができました」(川崎・風間監督)

「この歴史ある天皇杯で、6年ぶり5回目の優勝ができて良かった。CSからクラブW杯、そして天皇杯。1カ月ちょっとで10試合をしてきましたが、クラブW杯決勝でレアルに敗れて、悔しい思いをしたなか、この天皇杯を取ることが2016シーズンの締めくくりだと思っていました。その試合を、しっかり勝ち切れて良かったと思います」(鹿島・石井監督)

 事実として述べるなら、風間監督は4年半の任期のうちにタイトルを1つも獲得することがかなわなかった。それに対して石井監督は、15年7月の就任以来、わずか1年半の間に、ナビスコカップ、CS、そして天皇杯と3冠を制している。もちろん、風間監督が川崎というクラブで残してきたもの──独自の攻撃的なスタイル、若い選手の成長、見ていて楽しいサッカー、といったものを否定するつもりは毛頭ない。が、クラブが渇望して止まないタイトルに、結局は手が届かなかったのは紛れもない事実である。

 19冠を達成した鹿島と、またしても「永遠の二番手」で終わってしまった川崎。とはいえ、たとえ監督の立場が入れ替わったとしても、石井監督が川崎でいくつもタイトルをもたらすとは思えないし、風間監督が鹿島で4年半の任期を保つのも難しかっただろう。鹿島と川崎のコントラストは、ただ監督の手腕に帰するのではなく、両クラブが培ってきたフィロソフィーやカルチャーに解を求めるべきである。

 もちろんどのクラブも、タイトルを手にするために努力も投資もしている。ただし鹿島は、どのクラブよりもタイトルへのこだわりが強烈に強かった。それに対して川崎は、タイトル以外にも大切にしているものがあったのである。それに付言するなら、すべてのクラブが鹿島を目指す必要もないし、川崎のような「楽しさ」を追求するクラブがあってもいい。Jリーグが誕生して今年で四半世紀。2017年元日の天皇杯決勝は、ただ「鹿島の強さ」のみならず、クラブ間の多様性がより明確化していることを示したという意味でも、記憶に残る一戦となった。

http://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201701010003-spnavi

◆【コラム】鹿島は真の黄金時代に突入できるか?…2冠王者が乗り越えるべきハードル(サッカーキング)

鹿島アントラーズ

  スーツにネクタイを締めた選手もいれば、ジャージー姿のままの選手もいる。6大会ぶり5度目となる天皇杯全日本選手権大会制覇で歓喜の雄叫びを上げて、9年ぶりとなる国内タイトル二冠を達成した直後のロッカールーム。波乱万丈に富んだ戦いの軌跡を刻んできた鹿島アントラーズが、2016シーズンの解団を迎えた。

 ホームタウンの茨城県鹿嶋市に戻ることなく、延長戦の末に川崎フロンターレとの元日決戦を2‐1で制した市立吹田サッカースタジアムで、選手たちは思い思いの服装に身を包んで解散。延長4分に決勝弾を叩き込んだヒーローのFWファブリシオは期限付き移籍の満了に伴い、この日が最後の顔合わせとなる。

 一抹の寂しさを胸の奥底に秘めながら、キャプテンのMF小笠原満男は静かな口調ですぐに訪れる次なる戦いを見すえた。

「本当に大事なのはこれから。次のシーズンで勝てなくなったら、(二冠獲得も)意味のないことになる。ただ、日程的なものを含めた中で勝ち切ったこの経験は必ず財産になる。J1は1ステージ制になるので安定した力が求められるし、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)もあるからこういう日程も増える。こういう時の勝ち方を覚えて、過密うんぬんではなく当たり前と言えるように、もっとタフで強いチームにならないといけない。自分もタイトルを取って成長してきたから、今いる選手たちももっと成長して、鹿島の伝統というものを繋いでいってほしい」

 新チームの始動日は今月17日に設定された。明治安田生命J1リーグ・ファーストステージが開幕したのが昨年2月下旬。長いシーズンを戦い抜いた上に、特に明治安田生命Jリーグチャンピオンシップ準決勝が行われた同11月23日からの39日間で、2つの延長戦を含めた10試合を消化してきた。

 その中には死闘の記憶がまだ残る、レアル・マドリードとのFIFA クラブワールドカップ ジャパン 2016決勝も含まれる。「今したいことは」と聞かれれば、誰もが異口同音に「休みたい」と返す。待望のオフがわずか15日間となっても、選手会長のDF西大伍はジャージー姿で涼しい表情を浮かべる。

「オフが長かったとしても、本当に身体を休める期間は同じくらいなので。今年は自主トレがなくなる、と思えばいいんじゃないですか」

鹿島アントラーズ

 フィールドプレーヤーではただ一人、39日間で10試合、合計960分間にフル出場。最終ラインの中心でチームを鼓舞してきたDF昌子源はネクタイにスーツ姿で「まあ、休みがあるだけましかな」と苦笑いを浮かべながら、図らずも終盤戦で鹿島が注目された状況に気を引き締めた。

「この39日間で8勝2敗ですか。同じような成績を、次のシーズンの始めから継続していかないと。特に僕らは4連敗でセカンドステージを終えてからのチャンピオンシップ入りやったけど、次のシーズンからはチャンピオンシップ制度もなくなる。チャンピオンシップを取った勢いでウチはここまで来られたけど、なかったら本当に難しいシーズンだった。去年は何かと『鹿島の年』と言われたかもしれないけど、続けて『やっぱり鹿島だね』と呼ばれるような年にしないと。まずはしっかり休んで、終わったばかりのシーズンをすべて忘れること。去年がよかったから同じことを続ければ勝てると、一人でも思えば特にACLでは絶対に勝てない。新たな気持ちで、向上心をもっていかないと」

 昌子の記憶にはファーストステージを制しながら、年間勝ち点が59にとどまる原因となったセカンドステージの不振が刻まれている。下克上として注目された年間王者獲得も、安定した実力のバロメーターとなる年間勝ち点は1位の浦和レッズの74、2位の川崎の72にそれぞれ大差をつけられた。

 何よりもクラブワールドカップは次回大会から、舞台をUAE(アラブ首長国連邦)移す。開催国代表がUAE王者に移るため、再び世界の強豪を熱い戦いを繰り広げるにはACLの頂点に立つしかない。国内三大タイトル数は今回の天皇杯獲得で「19」と、他のJクラブの追随を全く許さない鹿島だが、翻ってACLではラウンド16の壁すら打破していない負の歴史が続いている。

 メインスタンドで選手たちが天皇杯を掲げる姿を見つめていた鈴木満常務取締役強化部長も、2月には幕を開ける新シーズンへ目を向けると、感無量の表情に危機感を交錯させている。

「この1ヶ月ちょっとはいいサッカーをして、タイトルも2つ取って、若い選手というか経験の浅かった選手たちがすごく伸びてきている部分はある。でも冷静にシーズンを分析すればセカンドステージはあんな結果になっているし、YBCルヴァンカップでもグループステージで敗退している。ひとつサイクルが乱れると、まだまだあのようなサッカーになりうるチームなんですよ」

 元日をもって強化部長職に在任すること22年目を迎えた、常勝軍団の生き字引でもある鈴木常務はここ4年間の年間勝ち点の推移をとりわけ重視している。2013シーズンが59、2014シーズンが60、2015シーズンが59と横ばい状態が続いている。

 昨シーズンに至ってもファーストステージを勝ち点39で制しながら、11位にあえいだセカンドステージでは20しか上積みできなかった。連覇のかかったYBCルヴァンカップでも、グループリーグの6試合でわずか1勝しかあげられなかった。20日間の空白が生まれたセカンドステージ最終節とチャンピオンシップ準決勝との間で「一度膿みを出させた」と、鈴木常務は振り返ったことがある。要は喝を入れたわけだ。

「チームが集中できるのはだいたい1ヶ月くらいだから、そういう流れに持っていければ、という確信みたいなものはあった。今はギリギリで上手く戦えば勝てるけど、まだ他チームとの差がない。ウチとジュビロ磐田が争っていた時代みたいに、頭が抜きん出たチームにしたいという思いがあるので。次のシーズンで優勝すればJリーグからの配分金も増える。次に勝って勝ち組に入るのとそうじゃないのとでは、どんどん差がついていく。その意味でも、来年は少し無理をしてでもやらなきゃいけない」

 来シーズンの新戦力には、J1で屈指のボール奪取術を誇るボランチのレオ・シルバ(アルビレックス新潟)をはじめ、ペドロ・ジュニオール(ヴィッセル神戸)と金森健志(アビスパ福岡)の両FW、そして天皇杯決勝でも山本脩斗の代わりがいない点を露呈した左サイドバックの候補となる三竿雄斗(湘南ベルマーレ)がすでに発表されている。

 特にレアル・マドリード戦で2ゴールをあげたMF柴崎岳に関して、鈴木常務は「(海外からの)オファーはあると思っている。(移籍の)覚悟はしているし、そのために対策も立てている」と明言。柴崎のヨーロッパ移籍に備えて、レオ・シルバを獲得したことを認めている。

柴崎岳

 一方でイギリスの動画配信大手パフォーム・グループが提供するスポーツのライブストリーミングサービス『DAZN(ダ・ゾーン)』と締結した、10年総額約2100億円にのぼる放映権契約を原資として2017シーズンから均等配分金が1億8000万円から3億5000万円、J1優勝賞金が1億円から3億円にそれぞれ増額され、さらに優勝すれば3年間で最大15億円となる理念強化配分金も新設される。つまり、来たる2017シーズンを制すれば21億5000万円が分配される。

 2016シーズンもファーストステージ優勝で5000万円、年間勝ち点3位で2000万円、チャンピオンシップ準決勝で1500万円、同優勝で1億円、クラブワールドカップ準優勝で4億7000万円、そして天皇杯優勝で1億円と合計7億5500万円の賞金を獲得したが、来シーズン以降はまさに桁が違ってくる。鈴木常務が苦笑いしながら続ける。

「2016シーズンの賞金は今年度の決算になるから、投資に回せるといっても難しいんだけどね。ただ、次のシーズンでも勝てばいろいろな配分金や賞金も入ってきて、投資というか、いいサイクルが生まれるので。年間勝ち点の壁を打ち破れないでいるという現状から、競争を激しくするような補強をして、上手くすれば勝てるというチームから、力で勝ち取れるチームを目指していこうということ」

 近年にない積極的な補強に、20歳のFW鈴木優磨は「来シーズン優勝するために、多少借金をしてでもいろいろな選手を取りに行っている。ウチは常に優勝しなきゃいけないクラブなので」と表情を引き締めた。レオ・シルバとポジションが重なるMF永木亮太も「鹿島に良い選手が揃うのは、去年も変わらなかったことなので。お互いに戦いながらできるので楽しみです」と早くも闘志を高ぶらせる。

 新チームは体作りを終えた後の1月下旬にタイ遠征を行い、1月末からの宮崎合宿を経て、J2水戸ホーリーホックとのプレシーズンマッチ、浦和との富士ゼロックススーパーカップ2017、ACLグループリーグ第1戦、そして2月25日のJ1開幕といきなりの過密日程を迎える。

「次はもっと打倒アントラーズで来るチームが多くなる。その中でもちろんJ1連覇を目指すし、一度でもタイトル獲得を味わうと『もうやめられん』というか、もう一回取りたくなる。去年も当初の目標は三冠であり、そこにクラブワールドカップ制覇も加わった。その中で二冠に終わったことは鹿島としては不甲斐ないし、反省するところでもあるので」

 昌子がチーム全員の思いを代弁する。勝って終われたからこそ待ち受ける過密日程を、小笠原が指摘したように「当たり前」と思えるために。確かに身体は疲れているが、メンタルの部分ではすでに鹿島の選手たちは、真の黄金時代を迎えるためのハードルを乗り越える準備を整えている。

https://www.soccer-king.jp/news/japan/jl/20170102/535277.html?cx_cat=page1

◆いまだ破られぬ高校サッカーの金字塔…1大会10ゴールの大迫勇也「早く自分の記録を抜いてほしい」(ゲキサカ)




 全国高校サッカー選手権大会が12月30日に開幕した。出場48校が日本一を目指して、1月9日の決勝まで熱戦を繰り広げる。今年で第95回を迎えた“冬の風物詩”だが、この大会を機に全国区で大ブレイクを果たし、今なおプロで活躍し続けている現役選手は数え切れない。2007年度の第86回大会で流通経済大柏高(千葉)のエースとして全国制覇を成し遂げ、自身も大会得点王に輝いたFW大前元紀(清水)。翌2008年度の第87回大会で1大会最多得点記録を更新する10ゴールを挙げ、鹿児島城西高(鹿児島)を準優勝に導いたFW大迫勇也(ケルン)。2人の選手権得点王に高校時代の思い出、選手権という大会の持つ意味などについて聞いた。

―大迫選手が高校2年生のときの全国高校選手権で得点王に輝いたのが、当時高校3年生だった大前選手でした。年齢は一つ上ですが、当時の大前選手、流通経済大柏高の印象はありますか?
「僕は普段からあまりテレビとかを見ていなかったんですが、それでも大前選手の名前はよく耳にしていました。それぐらい大きな大会でたくさん点を取っていた選手だと思いますし、1学年上にはこういう選手がいるんだなというのはずっと思っていました」

―大前選手から大迫選手への質問も預かっていますので、いくつか質問させてください。一つ目が『選手権で得点王になる自信はありましたか?』という質問です。
「あまりそういうことは考えないほうでしたね。1試合1試合、積み重ねていくことしか考えていなかったですし、それは今も変わらないですね」

―2つ目は『チームの中ではどんな存在でしたか?』という質問です。
「どんな存在だったんでしょう(笑)。自分ではよく分からないですけど、チームでは自由にさせてもらっていたので、チームメイトにはすごく感謝しています」

―次は『同い年の選手でライバルはいましたか?』という質問ですが……。
「あまりそういうのでメラメラするタイプではなかったので(笑)。だれにも負けたくはないですけど、『こいつはライバルだ』みたいな選手はいなかったですね」

―最後は『俺ら(大前選手のいた流通経済大柏)の試合を見ていましたか? 見ていたらどんな印象ですか?』という質問です。
「大前選手もそうですが、比嘉(祐介)選手も印象に残っていますね。すごい(顔の)濃いやつがいるなって(笑)。先ほども言いましたが、僕は昔からあまり試合を見るほうではなかったんですよね。鹿児島で生まれ育って、プロの試合が毎週末、地元で行われているわけではなかったですし、年に一回、ジュビロとかが来るぐらいだったので。見るより、するほうが多かったですね」

―『得点王は考えていなかった』ということですが、1大会の最多得点記録を塗り替えたことも意識していなかったんですか?
「まったく考えていなかったので、終わってから、『あ、そうだったんだ』という感じでしたね」

―1大会で10得点というのは今も塗り替えられていない記録です。
「たくさんの選手がいた中での記録なので、それは素直にうれしいです。でも、早く自分の記録を抜いてほしいなという思いもあります。すごい選手が出てくるのは日本サッカーにとっていいことですから、どんどん抜いていってほしいなと思っています」

―チームは決勝で広島皆実に敗れ、準優勝でした。
「あそこで満足できなかったから良かったのかなと。自分自身、もっとやらなきゃと思いましたし、その気持ちが出たというのは、今となってはすごく良いことだったのかなと思っています」

―1回戦から決勝まで6試合連続ゴール。1回戦から準々決勝までは毎試合、2点ずつ決めました。
「監督からはずっと『1試合2点取れ』と言われていました。“1点で満足するな”ということだったのだと思います。最後のほうはずっと『2点取れ』『2点取れ』と言われていたので、自分の中では“2点取ったら終わり”ぐらいの感覚でした(笑)」

―大迫選手にとって高校選手権はどんな大会でしたか?
「楽しかったですね。楽しくサッカーをできましたし、あっという間に終わってしまった大会でした。あのときはもうちょっと長くやりたかったなと思いましたね。一瞬だったなって」

―高校生にとって一番の目標ですよね。
「子供のころから正月はおじいちゃんとおばあちゃんの家に行って、鹿実(鹿児島実業)とかの試合を見て、育ってきました。そこで自分が試合をできるというのは素直にうれしかったですね」

―鹿児島城西は攻撃的なサッカーでしたが、練習も攻撃面が中心だったんですか?
「そうですね。あまり守備の練習はしなかったかもしれません。攻撃に重心を置けるのは、フォワードとしてはうれしかったですね」

―点を取るためにどんな練習をしていましたか?
「基本的にゴール前の1対1で勝てれば点は取れると思っているので、中学、高校と、ずっと監督やコーチと1対1をやっていましたね。大人と体をガツガツぶつけ合って、柔道のような、相撲のようなサッカーをしていました(笑)。でも、そのおかげで体の預け方や体の使い方を学ぶことができたと思っています。1対1で勝てば、シュートまでは持っていけますから。そういう考えは常にありましたね」

―高校時代の経験で今に生きていると思うことはありますか?
「高校サッカーって、常にいいことばかりではないですし、理不尽なこともあれば、きついこともあります。でも、そのおかげで精神面が鍛えられたのかなと。ドイツに行って、日本人ということだけで批判されたりもしますけど、そういうことも受け入れながら頑張れるというか、それもまたパワーに変えられるようになったのかなと思いますね」

―母校の結果は今も気になりますか?
「気になりますよ。勝ってほしいですし、日本一になってほしいなとも思っています。大変なのは分かっていますが、頑張ってほしいですね。当時のチームメイトとは今も鹿児島に帰ったら一緒にご飯に行ったり、みんなでバーベキューをしたりしていますよ」

―大迫選手は2015年2月にアシックスと契約しましたが、今の高校生がスパイクを選ぶにあたって気を付けてほしいポイントはありますか?
「どうしても派手なスパイクに目が行ってしまうと思いますけど、自分が履いたときにフィットするスパイクを履いてほしいなと思いますね。ケガが一番怖いので、体のバランスを崩さないように、自分に合ったスパイクを選んでほしいです」

―大迫選手自身のスパイクへのこだわりはありますか?
「蹴りやすさだったり、フィット感だったり、いろいろありますよ。アシックスのスパイクは、フィット感は素晴らしいですし、ドイツはグラウンドが緩いのですが、そのあたりもしっかりケアしてもらっています」

―昔からこだわりは強かったんですか?
「アシックスのスパイクを履くようになってからですね。それまでドイツの試合で滑ることが多かったんですが、足元が大事ですし、一番前のポジションなので、踏ん張るところで踏ん張れないといけないですから。そこで負けたらダメなので、そこは一番大事にしています」

http://web.gekisaka.jp/news/detail/?206475-206475-fl

◆AFCチャンピオンズリーグ2017 グループステージ 浦和レッズおよび川崎フロンターレのグループ確定(JFA)


AFCチャンピオンズリーグ2017 グループステージ 浦和レッズおよび川崎フロンターレのグループ確定

第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会の決勝が1日(日)に大阪府吹田市の市立吹田サッカースタジアムで行われ、鹿島アントラーズが優勝しました。

この結果により、未定となっていました浦和レッズおよび川崎フロンターレのAFCチャンピオンズリーグ2017グループステージのグループ分けが下記のとおり確定しましたのでお知らせいたします。

AFCチャンピオンズリーグ2017 グループステージ(東地区)
<グループ分け>

グループE ①鹿島アントラーズ(日本)、②ムアントン・ユナイテッド(タイ)
③東地区プレーオフ勝者4※、④東地区プレーオフ勝者1※

グループF ①FCソウル(韓国)、②浦和レッズ(日本)
③ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ(オーストラリア)、④東地区プレーオフ勝者3※

グループG ①広州恒大(中国)、②水原三星ブルーウィングス(韓国)
③川崎フロンターレ(日本)、④イースタンSC(香港)

グループH ①アデレード・ユナイテッド(オーストラリア)、②江蘇蘇寧(中国)
③全北現代モータース(韓国)、④東地区プレーオフ勝者2※

※東地区プレーオフ出場チーム
1:済州ユナイテッド(韓国)、傑志(香港)、ハノイT&T(ベトナム)
2:ガンバ大阪(日本)、バンコク・ユナイテッド(タイ)、ジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)
3:上海上港(中国)、スコータイFC(タイ)、ヤダナボンFC(ミャンマー)
4:上海申花(中国)、ブリスベン・ロアー(オーストラリア)、グローバルFC(フィリピン)、タンピネス・ローバーズ(シンガポール)
<マッチスケジュール(出場日本チーム関連のみ)>
プレーオフ
2017年2月7日(火)
ガンバ大阪(日本第4代表)対 バンコク・ユナイテッド(タイ)またはジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)
※キックオフ時間および試合会場(ガンバ大阪のホーム)は未定

<グループE>
鹿島アントラーズ(⽇本)、ムアントン・ユナイテッド(タイ)、東地区プレーオフ勝者4、東地区プレーオフ勝者1
  試合日 キックオフ ホーム アウェイ 試合会場
MD1 2月21日(火) 未定 鹿島アントラーズ 東地区プレーオフ勝者1 未定
MD2 2月28日(火) 未定 ムアントン・ユナイテッド 鹿島アントラーズ 未定
MD3 3月14日(火) 未定 鹿島アントラーズ 東地区プレーオフ勝者4 未定
MD4 4月12日(水) 未定 東地区プレーオフ勝者4 鹿島アントラーズ 未定
MD5 4月26日(水) 未定 東地区プレーオフ勝者1 鹿島アントラーズ 未定
MD6 5月10日(水) 未定 鹿島アントラーズ ムアントン・ユナイテッド 未定

<グループF>
FCソウル(韓国)、浦和レッズ(日本)、ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ(オーストラリア)、東地区プレーオフ勝者3
  試合日 キックオフ ホーム アウェイ 試合会場
MD1 2月21日(火) 未定 ウェスタン・シドニー
・ワンダラーズ 浦和レッズ 未定
MD2 2月28日(火) 未定 浦和レッズ FCソウル 未定
MD3 3月15日(水) 未定 東地区プレーオフ勝者3 浦和レッズ 未定
MD4 4月11日(火) 未定 浦和レッズ 東地区プレーオフ勝者3 未定
MD5 4月26日(水) 未定 浦和レッズ ウェスタン・シドニー
・ワンダラーズ 未定
MD6 5月10日(水) 未定 FCソウル 浦和レッズ 未定

<グループG>
広州恒⼤(中国)、水原三星ブルーウィングス(韓国)、川崎フロンターレ(日本)、イースタンSC(⾹港)
  試合日 キックオフ ホーム アウェイ 試合会場
MD1 2月22日(水) 未定 川崎フロンターレ 水原三星ブルーウィングス 未定
MD2 3月1日(水) 未定 イースタンSC 川崎フロンターレ 未定
MD3 3月14日(火) 未定 広州恒大 川崎フロンターレ 未定
MD4 4月12日(水) 未定 川崎フロンターレ 広州恒大 未定
MD5 4月25日(火) 未定 水原三星ブルーウィングス 川崎フロンターレ 未定
MD6 5月9日(火) 未定 川崎フロンターレ イースタンSC 未定

<グループH>
アデレード・ユナイテッド(オーストラリア)、江蘇蘇寧(中国)、全北現代モータース(韓国)、東地区プレーオフ勝者2
  試合日 キックオフ ホーム アウェイ 試合会場
MD1 2月22日(水) 未定 アデレード・ユナイテッド 東地区プレーオフ勝者2 未定
MD2 3月1日(水) 未定 東地区プレーオフ勝者2 全北現代モータース 未定
MD3 3月15日(水) 未定 東地区プレーオフ勝者2 江蘇蘇寧 未定
MD4 4月11日(火) 未定 江蘇蘇寧 東地区プレーオフ勝者2 未定
MD5 4月25日(火) 未定 東地区プレーオフ勝者2 アデレード・ユナイテッド 未定
MD6 5月9日(火) 未定 全北現代モータース 東地区プレーオフ勝者2 未定

http://www.jfa.jp/news/00012277/

◆ゼロックス杯の対戦カード決定…2冠の鹿島とリーグ2位の浦和が激突へ(サッカーキング)


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 Jリーグは1月1日、「富士ゼロックススーパーカップ2017」の対戦カードが、鹿島アントラーズ対浦和レッズに決定したと発表した。

 2017シーズンの幕開けを告げる一戦は、2016明治安田生命J1リーグチャンピオンと第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会の優勝チームが激突する。1月1日に開催された天皇杯決勝では、鹿島が川崎フロンターレに2-1で勝利。6年ぶり5度目の天皇杯制覇を達成した。

 この結果、鹿島がJ1リーグ戦と天皇杯を2冠を獲得することとなった。そのため、「富士ゼロックススーパーカップ2017」では、J1リーグ戦2位の浦和が、鹿島と対戦することが決定した。

 同試合は2月18日、日産スタジアムにて13時35分にキックオフを迎える。試合は日本テレビ系全国ネットで生中継される。

https://www.soccer-king.jp/news/japan/jl/20170101/534402.html?cx_cat=page1

◆鹿島小笠原ファウルに激高は「あえての部分もある」(ニッカン)




<天皇杯:鹿島2-1川崎F>◇決勝◇1日◇吹田S

 鹿島が2-1で川崎Fを延長の末に退け、Jリーグに続く今季国内2冠を果たした。通算でも19冠目達成。そのうち16冠に貢献してきた主将のMF小笠原満男(37)は、試合後に、思いを語った。

 「最後にタイトルをとれてうれしい。この気持ちを全員で持ち続けたい。来シーズンは、さらに強いチームをつくりたいと思います。苦しんだ中で勝ちきってきたことが、良い経験になる。大事なのはここから。内容を見れば、ピンチもある。もっと高いレベルを求めないと。失点しなかったから良かったではない」。

 来季はアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)にも、Jリーグ王者として挑む。今季終盤は、CS、クラブW杯、天皇杯と、昨年11月23日を皮切りに、40日間で10戦を戦い抜いた。中2日や中3日の連戦も何度も経験し、8勝2敗。優勝、準優勝、優勝と結果も出してきた。Jリーグでは、年間勝ち点3位からの下克上優勝に満足はせず、クラブW杯決勝でRマドリード(スペイン)相手に2-4と大善戦しても、負けた悔しさが上回った。

 「結果は出たけれど、すごい良い試合をしたわけではない。ACLも(含めて)週に2試合することが、どれくらい続くか分からないけれど、タフになって勝ちきらないといけない」。

 試合序盤から、川崎Fの初タイトルへの気持ちに、押し込まれる展開も多かった。だが、その流れを一瞬で替えたのも小笠原の経験だった。前半19分、相手のファウルに激高。川崎FのMF中村憲剛(36)に対して闘志をむき出しにした。両軍入り乱れる、騒然とした雰囲気。空気は張り詰めた。37歳のベテランの熱い姿勢に、選手らは気持ちがさらに引き締まる。勝利のために、何をすればいいのかを、ピッチの中で伝授する1場面だった。

 「あれも、あえての部分もある。細かいところにこだわって、流れを引き寄せることも大事なこと。そういう駆け引きもチームには必要」。

 後半43分、MFファブリシオ(26)と途中交代には、もちろん納得していない。120分間ピッチに立てなかった悔しさはある。だが、延長前半4分、ファブリシオの試合を決めた勝ち越し弾には、自分が決めた以上に喜びを感じ、感謝した。

 「自分たちは11人だけでプレーしているわけじゃない。ファブリシオもそうだし、同じスタメンでは、ずっと戦ってこなかった。普段の紅白戦をみても、競争があったからこそ、今日2冠を決められた。試合に出られなくても、一生懸命やることを彼が示してくれた」。

 表彰式では天皇杯を日本協会の田嶋幸三会長から受け取った。だが、自身が掲げるのではなく、まずは石井正忠監督を指名。次には今季限りでチームを離れるスタッフ、期限付き移籍の契約が満了するファブリシオらにも中央でカップを掲げさせた。

 来季は神戸からFWペドロ・ジュニオール(29)、新潟からはボランチのMFレオ・シルバ(31)らの加入が決定している。小笠原にとってもチーム内の競争が待っている。「最後までピッチに立てるように勝負していきたい」。20冠に王手をかけ、チームにも自身にも、さらなる強さを求めた。【鎌田直秀】

http://www.nikkansports.com/soccer/news/1759869.html

◆鹿島が通算19冠! 小笠原「一丸となって戦えるのがチームの強さ」/天皇杯(サンスポ)


優勝し、天皇杯を掲げる鹿島・石井監督(手前中央)、柴崎(前列右から3人目)、小笠原(前列左)ら=市立吹田サッカースタジアム(撮影・甘利慈)

 天皇杯全日本選手権最終日(1日、鹿島2-1川崎、吹田ス)鹿島が延長戦の末、2-1で川崎に競り勝ち、6大会ぶり5度目の優勝。通算19冠目の年間Vを手にした。

 元日決戦は120分の熱戦となった。鹿島は昨年、Jリーグを制した後に準優勝したクラブW杯でも試合を重ねており、選手の疲れも残っていた。それでも、勝てつ。ベテランMFの小笠原は「本当に選手、スタッフ、サポーターが一丸となって戦えるのがこのチームの強さ」と強調する。柴崎は「フロンターレさんもいいサッカーをして難しい部分もあったけど、優勝したいという思いをピッチの上で選手が表現できた」と充実感を漂わせた。

http://www.sanspo.com/soccer/news/20170101/jle17010117100009-n1.html

◆鹿島小笠原「勝ちにこだわった戦い方が出来た」(ニッカン)




<天皇杯:鹿島2-1川崎F>◇決勝◇1日◇吹田S

 鹿島が6年ぶり5度目の制覇を成し遂げ、国内19冠を達成した。

 試合後、小笠原は「石井監督をはじめ、チーム1年間通してやってきて、勝ちにこだわりタイトル獲りを目標にしてやってきて、最後にこの天皇杯が獲れて非常にうれしかった。(苦しい展開だった)いろんな要素があったが、勝ちにこだわった戦い方が出来たと思います。(交代し若い選手がよく走ったが)信頼して見てましたし、頼もしかった。(国内19冠達成し)選手、サポーターが一丸となって戦えるのがチームの良さですし、さらにタイトルを重ねていけるように頑張っていきたい」と話した。

http://www.nikkansports.com/soccer/news/1759811.html

◆鹿島主将・小笠原、天皇杯優勝は「非常に嬉しい」…来季も「さらにタイトルを」(サッカーキング)


SUITA, JAPAN - JANUARY 01:  (EDITORIAL USE ONLY) Mitsuo Ogasawara of Kashima Antlers (R) and Yoshito Okubo of Kawasaki Frontale compete for the ball during the 96th Emperor's Cup final match between Kashima Antlers and Kawasaki Frontale at Suita City Football Stadiumon January 1, 2017 in Suita, Osaka, Japan.  (Photo by Masashi Hara/Getty Images)

 第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会決勝が1月1日に行われ、鹿島アントラーズは川崎フロンターレに2-1で勝利を収め、6年ぶり5度目の同大会制覇を達成した。試合後、鹿島のキャプテンを務めるMF小笠原満男がコメントを残している。

 DF山本脩斗の得点で、前半の内にリードを奪った鹿島。しかし後半に同点ゴールを献上し、試合は延長戦までもつれ込む展開に。それでも迎えた94分、途中出場のMFファブリシオが豪快に右足を振りぬき、勝ち越しゴール。結局このままタイムアップを迎え、クラブ通算19個目のタイトルを手にすることとなった。

 天皇杯優勝に際して小笠原は、「石井さんをはじめ、チームが1年間を通して勝ちにこだわってタイトルをとりにいくことを目標にやってきて、最後天皇杯をとれて非常に嬉しく思います。選手、スタッフ、サポーターが一丸となって戦えるのがこのチームの良さです」とクラブが一つになって掴んだタイトルであることを強調した。

「勝ちにこだわってやる、そういう戦い方ができたと思います」と試合全体を振り返った小笠原。自身がベンチに下がった後のチームメートのプレーに関しては、「信頼して見ていましたし、頼もしかったです」とコメントしている。

 来シーズンは、J1リーグ戦や天皇杯などに加え、AFCチャンピオンズリーグ2017にも参加する鹿島。小笠原は、「さらにタイトルを重ねていけるように頑張っていきたいと思います」と意気込んだ。

https://www.soccer-king.jp/news/japan/emperorcup/20170101/534335.html?cx_cat=page1

◆19冠鹿島の強さ“マリーシア”…乱闘寸前も小笠原「怒っていたわけではない」(ゲキサカ)




[1.1 天皇杯決勝 鹿島2-1(延長)川崎F 吹田S]

 タイトルへの思いが激しくぶつかり合った。試合開始直後から鹿島アントラーズのMF小笠原満男は相手への激しいチャージを見せていた。すると前半19分にはついにピッチ中央で小競り合いに発展した。

 その場は収まったが、再開直後には空中戦の競り合いの中でDF西大伍の足がMF登里享平の頭部をかすめると、これに怒った川崎フロンターレの選手たちが猛抗議。乱闘寸前となった。

 ただ小笠原は冷静だったと話す。「それもパフォーマンスのひとつ。怒っていたわけではない。そういう細かいところにこだわって、闘うんだという気持ちを見せないといけない」。

 マリーシア。ポルトガル語で「ずる賢さ」を意味するこの言葉は、王国ブラジルのサッカーを象徴する言葉として使われる。鹿島はブラジルの英雄ジーコの考えを受け継ぐ。ジーコは鹿島に勝者のメンタリティを植え付けたと言われるが、こういった細かいところの徹底こそがジーコの教えなのだ。

 相手MF中村憲剛も鹿島との差は「ちょっとでも体を寄せてやらせなかったりとか。ウチがそうしなかったわけではないが、(鹿島は)体を張れていた。その差が天と地の全然違う結果を生む」と話している。

 実際、小笠原は乱闘騒ぎの中でクイックFKを蹴ろうとするなど、常に勝つためのプレーに徹している。「自分たちのサッカーが出来た」。川崎Fに初タイトルを許さず、19冠目を獲得した鹿島の強さの一端はこういうところにある。

(取材・文 児玉幸洋)

http://web.gekisaka.jp/news/detail/?206891-206891-fl

◆鹿島柴崎「優勝したという思いをピッチで表現した」(ニッカン)




<天皇杯:鹿島2-1川崎F>◇決勝◇1日◇吹田S

 鹿島が6年ぶり5度目の制覇を成し遂げ、国内19冠を達成した。

 試合後、柴崎は「優勝したかったので、チーム全員で喜びを分かち合えてよかった。(フロンターレの攻めに苦戦)難しい部分もあったが。チーム一丸となって、延長までもつれたが、勝ててよかった。チーム全員疲れもあったが、優勝したという思いを選手がピッチで表現した。(最後まで走りきれた要因は)全員で「頑張ろう」って声を掛け合ってましたし、最後まで粘って守備が出来た。今シーズン最後の締めでもありますし来季へこの流れをつなげていきたい」と話した。

http://www.nikkansports.com/soccer/news/1759808.html

◆鹿島山本が先制弾「優勝は何度味わってもいい」(ニッカン)




<天皇杯:鹿島2-1川崎F>◇決勝◇1日◇吹田S

 左サイドバックで先発した鹿島DF山本脩斗(31)が、セットプレーから貴重な先制点を挙げた。前半42分、遠藤の右CKを頭で合わせ「うまく外せてフリーで打てた。いい時間帯で取れた」と相好を崩した。

 左膝の状態が万全ではなく、自ら監督に申し出て前半だけで退いた。

 優勝の瞬間はベンチで見届けたが、リーグ戦との2冠に貢献し「優勝は何度味わってもいい。1年間やってきたものが実を結んで良かった」と実感を込めた。

http://www.nikkansports.com/soccer/news/1759834.html

◆ファブリシオ「僕の最後の試合」で延長V弾 レンタル最終日に置き土産(スポニチ)




 第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会は元日に大阪・吹田スタジアムで決勝戦が行われ、鹿島が延長戦の末に2―1で川崎Fを下して第90回大会以来6大会ぶり5度目の優勝。J1年間王者と合わせて今季2冠を達成し、史上最多を更新する19冠目のタイトルを獲得した。

 前半42分にDF山本が右CKを頭で決めて先制。後半9分に追いつかれて延長戦に突入したものの、後半43分から途中出場していたMFファブリシオが延長前半4分に豪快に決めた右足ゴールが決勝点となった。

 昨夏から期限付き移籍中のファブリシオは元日が移籍期間最終日。「チームの一員として、僕の最後の試合。何らかの形で手助けできるようにやろうと考えていた。それが得点につながって非常にうれしい」と感激の面持ちだった。

http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2017/01/01/kiji/20170101s00002011233000c.html

◆鹿島・ファブリシオは退団明言…惜別の決勝点に感慨深げ/天皇杯(サンスポ)


延長前半、チーム2点目のゴールを決めた鹿島・ファブリシオ=市立吹田サッカースタジアム(撮影・甘利慈)

 天皇杯全日本選手権最終日(1日、鹿島2-1川崎、吹田ス)後半43分から途中出場した鹿島のファブリシオが熱戦にけりをつけた。延長前半4分、西からボールが渡ると、ゴール右上に豪快に蹴り込む決勝点。ブラジル出身のMFは「献身的に謙虚にプレーしたことでチームに勝利をもたらす得点ができた」と感慨深げに言った。

 昨夏にポルティモネンセ(ポルトガル)から期限付きで加入。試合後には「鹿島の一員としてできる最後の試合だった」と退団を明言した。日本のサッカーに適応するのに苦労したといい「本来の自分の特長、プレースタイルを見せずに終わってしまった。今後についてはじっくり考えたい」と話した。

http://www.sanspo.com/soccer/news/20170101/jle17010119390013-n1.html

◆鹿島 ファブリシオ 最後に大仕事「いろいろなことを吸収 有効だった」(スポニチ)




 今季限りでの退団が決まっているFWファブリシオ(26)が、最後に大仕事を果たした。1―1で迎えた延長前半11分、ペナルティーエリア内右でDF西が倒れ込みながらつないだボールに反応。右足を振り抜いて決勝ゴールを奪い、6大会ぶり5度目のタイトルを決定づけた。「チームメート、スタッフ、フロント、どんな時も見捨てずに応援してくれたサポーターに感謝したい」と充実の汗をぬぐった。

 ポルティモネンセ(ポルトガル)から半年前の昨年7月に期限付き移籍で加入。「日本に慣れるのに難しかった部分もある」と振り返る。12年からポルティモネンセでプレー。ポルトガルと日本ではサッカーのスタイルもチームの規律や要求も違い、戸惑うことが多かった。それでも、周囲の選手や石井監督がどういう風に自身をフィットさせよう気遣ってくれていたのか、分かっていた。「いろいろなことを吸収できる時間としても有効だった」と感謝した。

 ゴールの直後は、いろいろな思いが去来したという。まず浮かんだのは家族の顔。そして「どういう風にすれば(チームの)力になれるだろうか」と考え続けた、鹿島でのサッカー生活も頭の中を駆け巡った。最後に浮かんだのは「優勝カップを持ったチームメートと喜ぶ姿」だった。その絵は、30分後に現実となった。

 鹿島との契約は今季限りで満了。今後については「まず一旦ポルトガルに戻る。いろいろな話があるので、1回休んで、じっくり家族とも話して考えたい」と話した。

http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2017/01/01/kiji/20170101s00002011253000c.html

◆決勝点の鹿島FWファブリシオ、19個目のタイトルを置き土産に退団か(ゲキサカ)




 ブラジル人助っ人が最後に大仕事やってのけた。鹿島アントラーズ対川崎フロンターレの天皇杯決勝は、1-1のまま延長戦に突入。途中出場していたFWファブリシオが延長前半4分に豪快な右足シュートをゴールネットに突き刺し、これが決勝点となった。

 母国リーグのボタフォゴや、中国の杭州緑城、ポルトガルのポルティモネンセでプレーした経験を持つファブリシオは、昨年7月に期限付き移籍で鹿島に加入。J1リーグ8試合に出場したが、得点はわずか1得点にとどまっていた。

 慣れない日本で苦しいシーズンとなったが、サポーターの応援が背中を押した。この日、最後の交代カードとして後半43分にピッチに入ると、延長前半4分にDF西大伍がPA内で粘ってキープし、こぼれたボールを右足でゴール右に突き刺し、決勝点。鹿島を6年ぶり5回目の天皇杯制覇に導いた。

「本当に日本に慣れるのにすごく難しい部分がありました。チームメイト、スタッフ、フロント、そしてどんなときでも忘れず応援してくれた素晴らしいサポーターに感謝したいと思います」

 試合後のテレビインタビューで感謝の言葉を述べたファブリシオは、クラブから具体的な期限付き移籍期間や退団の正式発表はまだないが、「チームの一員として僕の最後の試合を、しっかりと手助けできるようにそれだけを考えてやろうと思っていました。それが得点という形につながってうれしく思っています」。19個目のタイトルを置き土産にチームを去る可能性が高いファブリシオ。仮にそうなったとしてもサポーターが彼のことを忘れることはないだろう。

http://web.gekisaka.jp/news/detail/?206875-206875-fl

◆ファブリシオ、「僕の最後の試合」で決勝ゴール…周囲へ感謝の言葉も(サッカーキング)


ファブリシオ

 第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会決勝が1月1日に行われ、鹿島アントラーズが2-1で川崎フロンターレに勝利。6年ぶり5度目の天皇杯制覇を達成した。試合後、MFファブリシオがコメントを残している。

 1-1で迎えた後半終了間際の88分、MF小笠原満男に代わってピッチへ投入されたファブリシオ。すると延長戦に突入した94分、エリア内でこぼれ球を拾った同選手が思い切りよく右足でシュートを放つと、ボールはゴール右上に突き刺さった。結局これが決勝ゴール。ファブリシオはチームにタイトルをもたらす得点を決めることとなった。

 試合を終えたファブリシオは、「チームの一員として、何らかの形で僕の最後の試合をしっかりと手助けできるようにと、それだけを考えてやろうと思っていました。それが得点という形につながって非常にうれしく思います」とコメント。重要な一戦で決めた値千金のゴールを喜ぶとともに、川崎戦が鹿島でのラストゲームとなったと発言した。

 ファブリシオは昨年7月、ポルトガルのポルティモネンセSCから期限付き移籍で鹿島に加わった。2016明治安田生命J1リーグ・セカンドステージでは8試合に出場して1ゴール。その後の明治安田生命2016Jリーグチャンピオンシップ、FIFAクラブワールドカップ ジャパン 2016では得点を奪うことができなかった。同選手は、「本当に日本に慣れるのにむずかしい部分があった」と振り返った上で、「チームメイト、スタッフ、フロント、またどんな時も見捨てずに応援してくれたこの素晴らしいサポーターに感謝したいと思います。本当にありがとうございます」と周囲への感謝の言葉を並べた。

https://www.soccer-king.jp/news/japan/emperorcup/20170101/534337.html?cx_cat=page1

◆鹿島が持つ無類の勝負強さの理由は? 石井監督、天皇杯Vで語る(サンスポ)


鹿島が持つ無類の勝負強さの理由は? 石井監督、天皇杯Vで語る

 1日、天皇杯の決勝が行われ、鹿島アントラーズと川崎フロンターレが対戦した。

 元日に行なわれた試合は延長戦の末に鹿島が川崎を2-1で退け、通算5度目の優勝を果たした。鹿島を率いる石井正忠監督は試合後「歴史ある天皇杯で、5回目の優勝ができてよかった。クラブワールドカップ、そして天皇杯と1ヶ月弱で10試合。クラブワールドカップ決勝で、Rマドリードに敗れてしまって悔しい思いをしたなか、天皇杯をとることがシーズンの締めくくりだと思っていたので、これをしっかり獲ることができてよかったです。チーム、スタッフ、スポンサーの皆様、ファンの皆様のおかげだと思っています」と喜びを語った。

 短期間で多くの試合をこなした鹿島はシーズン最後の試合も120分間の激闘となったが、見事に川崎を退け、強さを見せた。その要因にはクラブワールドカップでRマドリードと渡り合った経験があったという。

 「コンディションの部分は、クラブワールドカップの決勝でも延長戦で、Rマドリードと戦った経験が活きた。守備の部分でも耐えましたし、この120分間持った要因ではないかなと思っています」

 また、鹿島のここぞという勝負強さについて問われた石井監督は「タイトルを獲ったものにしかない、勝負どころがわかるということじゃないかなと思います」と積み重ねてきた経験がチームの大きな糧になっているとした。(Goal.com)

http://www.sanspo.com/soccer/news/20170101/jle17010119050010-n1.html

◆天皇杯制覇の鹿島・石井監督、選手に労いの言葉「力を振り絞ってくれた」(サッカーキング)


石井正忠

 第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会決勝が2017年1月1日に市立吹田サッカースタジアムで行われ、鹿島アントラーズが川崎フロンターレを延長戦の末に2-1で下し、6年ぶり5度目の優勝を果たした。

 120分の激闘を制し、明治安田生命J1リーグとの2冠を達成した鹿島。試合後、石井正忠監督は、「選手たちが力を振り絞って頑張ってくれた。今日来てくれたサポーターのおかげでもあり、そういう人たちのためにも選手がしっかり働いてくれたと思います」と、選手やサポーターへの感謝を口にした。

 今季はJ1リーグ・ファーストステージを制したが、セカンドステージでは苦戦を強いられ、年間勝点3位でチャンピオンシップへ臨んだ鹿島。しかし、準決勝でこの日の対戦相手でもある川崎を破ると、決勝では浦和レッズを下し、“下克上優勝”を成し遂げた。

 そしてJ1王者として出場したFIFAクラブワールドカップ ジャパン 2016では、日本勢初の決勝進出を果たした。惜しくもレアル・マドリードに敗れて優勝は逃したが、石井監督は「クラブワールドカップ決勝で負けた悔しさがあって、このタイトル(天皇杯)を取ろうという思いが強かったので、その気持ちが表れたと思います」と、クラブW杯の敗戦が天皇杯制覇に繋がったとコメント。

「苦しいときも、選手がチームの為に本当によく働いてくれたと思います」と、シーズンを優勝で締めくくった選手に、改めて労いの言葉を送った。

https://www.soccer-king.jp/news/japan/emperorcup/20170101/534372.html?cx_cat=page1

◆Jが渇望していた鹿島への無邪気な期待(スポニチ)


 長野県諏訪市に住むわたしのいとこは、熱狂的な松本山雅のファンである。社会人になるまで、それほどサッカーに関心がなかったはずなのに、なぜアウェーゲームを追いかけるまでにハマってしまったのか。

 「やっぱり、レッズに勝ったのが大きかったなあ」

 彼が理由としてあげたのは、もちろん、09年の天皇杯である。世紀の番狂わせを起こした北信越リーグのチームは、ここから6年でJ1の舞台にまで駆け上った。サッカーの世界には、チームの運命を変えてしまう試合というものがある。

 ヘビーメタルしか聴かないわたしは一度も見たことがなかったが、さすがに存在ぐらいは知っていた国民的アイドルグループの冠番組が最終回を迎えた。その平均視聴率は23・1%。最高瞬間視聴率は27・4%だったという。その数字を聞いて、あらためて衝撃を受けた。平均視聴率26・8%、最高瞬間視聴率が36・8%だったというクラブW杯の数字に、である。

 長い間、というよりもJリーグが発足して以来ずっと、日本におけるもっとも人気のあるチーム、つまり視聴率の取れるチームは日本代表だった。Jリーグが地上波から姿を消し、選手の収入がプロ野球選手に大きく水をあけられてからも、日本代表とその周辺だけは依然として潤っていた。最近では日本代表の低下を囁(ささや)く声もチラホラと聞こえてきてはいたが、それでも、Jリーグの置かれた苦境とは次元が違っていた。

 だが、鹿島がレアルを倒しかけたあの試合は、今年行われた日本代表のどの試合よりも高い視聴率を記録した。少なくとも視聴率のうえでは、SMAPの最後よりも高い関心を集めた。

 このことの持つ意味は重要だ。とてつもなく重要だ。というのも、これからしばらくの間、鹿島は「世界2位のチーム」として見られることになるからである。

 熱心なサッカーファンであれば、クラブW杯の2位がそのまま世界の2位を意味するわけではないことぐらいわかっている。だが、そうした熱心なファン以外の層が関心を持たなくなったところに、Jリーグの苦境はあった。鹿島に向けられる無邪気で無責任な期待こそ、近年のJリーグが渇望していたものではなかったか。

 世界2位のチームは、もちろん、国内のカップ戦“ごとき”で負けるわけにはいかない。来年のJリーグも、アジア“ごとき”と戦うACLも、すべて勝利が求められる。選手からすれば、たまったものではない。現実を知ってくれ、と叫びたくなるかもしれない。

 だが、乗り越えれば、とてつもなく強くなる。

 サッカーの世界には、チームの運命を変えてしまう試合というものがある。クラブW杯の余韻がいまだ残る今年の天皇杯。レアル戦の衝撃を潰(つぶ)すか、つなげるか。ここからの1試合、もしくは2試合は、鹿島の運命を決定づける戦いとなる。(金子達仁氏=スポーツライター)

http://www.sponichi.co.jp/soccer/yomimono/column/kaneko/kiji/20161229s000023CF233000c.html

◆鹿島V ベテラン若手が融合…黄金時代再来の予感(ニッカン)




<天皇杯:鹿島2-1川崎F>◇決勝◇1日◇吹田S

 鹿島が延長の末、2-1で川崎Fに勝利し、6大会ぶり5度目の優勝を達成した。Jリーグに続く2冠。国内タイトルは通算19冠目となった。

 序盤から川崎Fに攻められたが、GK曽ケ端準(37)らを中心に守備陣が粘って攻撃に転じた。0-0で迎えた前半42分、左膝裏負傷を抱えて強行出場したDF山本脩斗(31)がMF遠藤康(28)のCKに頭で合わせて先制した。後ろに下がりながらの技ありヘッドを決めた山本は「ヘディングは意外とうまいほう。まだ、ばれていないから決められた。僕には身長は3番目か4番目くらいの選手がマークにつく」と笑顔を見せた。

 後半9分に同点とされても、焦りはまったく見られなかった。Jリーグチャンピオンシップ(CS)、クラブW杯、天皇杯と連戦が続いた疲労以上に、自信が芽生えたプレーで落ち着いた試合運びを演じた。延長前半4分、今季限りで退団するMFファブリシオ(26)が右足で豪快に勝ち越しゴールを決めた。MF永木亮太(28)の縦パスを途中出場FW鈴木優磨(20)が頭で落とす。走り込んだ右サイドバック西大伍(29)が粘ってラストパス。西は「最後のほうは、むこうのほうが(体力が)落ちてきたかな」と勝利への執念の違いを見せつけた格好となった。

 エースFW金崎夢生(27)を体調不良で欠いても、頂点に立つ強さを示した。史上初の3連覇を果たした09年の最初のスタートだった07年も苦しんだ末にリーグ戦を制し、天皇杯も勢いで制した。MF小笠原満男(37)らベテラン勢に加え、DF昌子源(24)や植田直通(22)ら若手も引っ張る今季の躍進は、当時に似ている。昌子は「元日に優勝できたことはうれしいけれど、正直、CS制度があったから、ここまで来たと思っている。今シーズンは鹿島の年になったけれど、来シーズンも鹿島が一番上だと思われるように引っ張っていきたい」と、すでに次を向いた。さらに「目標はあくまでも国内3冠だった。クラブW杯も決勝で負けた。2冠に終わったことに反省もしないといけない」と付け加え、常勝再建への意識は高い。

 わずか2週間のオフを経て、今月中旬にも始動予定だ。下旬には新設されたJリーグとタイリーグの交流大会出場のため、タイへ遠征する。2月25日のJ1開幕まで休む時間は、ほとんどない。国内20冠をかけた17年シーズンに向け、20歳の鈴木は「Jリーグはもちろん、ACL(アジア・チャンピオンズリーグ)も優勝して、またクラブW杯に出たい。ヨーロッパのチャンピオンとまたやりたい。チームではスタメンをとりたい。そうすれば、日本代表も見えてくる」と力強かった。

http://www.nikkansports.com/soccer/news/1759867.html

◆鹿島が6大会ぶり5度目の優勝!2-1で川崎を下す/天皇杯(サンスポ)


延長前半にゴールを決め、柴崎のおでこにキスをして喜ぶ鹿島・ファブリシオ=市立吹田サッカースタジアム(撮影・山田喜貴)

 天皇杯全日本選手権最終日(1日、鹿島2-1川崎、吹田ス)鹿島が延長戦の末、2-1で川崎に競り勝ち、6大会ぶり5度目の優勝を飾った。

 元日決戦で、鹿島が試合巧者ぶりを発揮した。延長前半4分、途中出場のMFファブリシオがペナルティーエリアから右足でゴールを決め、2-1とリード。延長後半には川崎の猛攻を受けたが、しっかり守った。Jリーグを制し、昨年12月のクラブW杯は準優勝、そして天皇杯も制した。

 鹿島は前半42分にDF山本のヘディングシュートで1点を先制。川崎は後半9分、FW小林のシュートで同点に追いつき、接戦となった。

鹿島・石井監督の話
「90分で決めたいという気持ちで3人投入しました。その部分では私の思ってた通りにいかなかったんですけども、でもそこからさらに30分、選手たちは落ち着いて対応してくれましたし、いい働きを見せてくれたと思います。クラブW杯に出場しましたけれども、惜しくも決勝で負けてしまって、その悔しさっていうのは選手たちには当然あって。このもう一つのタイトルのチャンスを取ろうという気持ちが強かったので、その気持ちが表れたと思います」

ファブリシオの話
「このチームの一員として何らかの形で、僕の最後の試合を、しっかりとチームの一員として手助けできるように、それだけ考えてやろうと思ったし、それが得点という形につながって非常にうれしく思っています」

http://www.sanspo.com/soccer/news/20170101/jle17010116400008-n1.html


◆鹿島、延長戦制し天皇杯制す 今季2冠&通算19冠目 川崎Fまたも初タイトルならず(スポニチ)




 第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会は元日に大阪・吹田スタジアムで決勝戦が行われ、鹿島が延長戦の末に2―1で川崎Fを下して第90回大会以来6大会ぶり5度目の優勝。J1年間王者と合わせて今季2冠を達成し、史上最多を更新する19冠目のタイトルを手中にした。

 クラブ史上初の天皇杯決勝進出を果たした川崎Fだったが、11月23日のJリーグチャンピオンシップ(CS)準決勝で敗れた鹿島にまたしても屈する結果となり、悲願の初タイトルはならず。4年半務めた川崎F監督を今季限りで退任し、J2名古屋監督に就任する風間八宏監督(55)と、FC東京へ移籍するFW大久保嘉人(34)を優勝で送り出すことはできなかった。

 お互いの意地と意地がぶつかり合う頂上決戦は、前半から激しいプレーの連続となった。前半19分には鹿島のMF小笠原満男(37)がドリブルで仕掛けたところを川崎FのFW小林悠(29)に倒され、近くにいた川崎FのMF中村憲剛(36)が戻したボールが体に当たったことから小笠原が激高し、両チームの選手が小競り合い。直後の同20分にはボールの競り合いの中で鹿島DF西大伍(29)が振り上げた右足が川崎FのDF登里享平(26)の後頭部に当たり、悶絶する登里の姿にFW大久保嘉人(34)が鹿島への怒りを露わにするなど、一触即発の緊張状態で試合が進行した。

 CS、クラブW杯、天皇杯と昨年12月だけで7試合をこなした鹿島は、過密日程の中で体調不良を訴える選手が続出。この日の決勝でもエースのFW金崎夢生(27)がベンチを外れるなどチーム状態は万全ではなかった。だが、前半42分、MF遠藤康(28)が蹴った右CKにファーサイドで反応したDF山本脩斗(31)が頭で決めて先制。12月29日の天皇杯準決勝・横浜戦(長居)で左ひざ裏を打撲し、翌30日の練習を休んでいた山本だったがゴールでチームに貢献し、前半を1―0と鹿島のリードで折り返した。

 後半9分、川崎Fの小林にゴールを決められ、試合は1―1で延長戦へ突入。だが、鹿島は延長前半4分、ペナルティーエリア内でこぼれ球に反応した途中出場のMFファブリシオ(26)が右足で豪快に決勝ゴールを叩きこんで試合をものにした。

 川崎Fは後半9分、MF大島僚太(23)のパスを小林がスルー。MF三好康児(19)のスルーパスに反応した小林が右サイドからペナルティーエリア内に進入し、切り返して相手選手をかわすと左足でシュートを放って対角線上のゴール左隅に流し込んで同点に追いついたが、延長戦で涙を飲んだ。

 なお、天皇杯優勝が鹿島に決まったため、2月18日に行われる富士ゼロックススーパー杯(日産ス)は鹿島と、J1リーグ戦2位の浦和が対戦することが決まった。

http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2017/01/01/kiji/20170101s00002011215000c.html

◆【天皇杯】鹿島、国内19冠!川崎との延長制し5度目V(報知)




 ◆天皇杯全日本サッカー選手権 ▽決勝 鹿島2(延長1―0)1川崎(1日・吹田スタジアム)

 天皇杯決勝が1日行われ、鹿島が川崎を延長戦の末、2―1で下し、チャンピオンシップ(CS)に続き、今季2冠目を奪取。国内19冠目を獲得した。

 クラブW杯で準優勝した鹿島は、エースのFW金崎夢生が体調不良で欠場。一方、初タイトルを目指す川崎は左太もも肉離れで離脱していたMF大島僚太が約2か月ぶりにスタメン復帰した。

 試合序盤、プレー中断中にMF中村憲剛がけったボールがMF小笠原満男に直撃し、両軍入り乱れて乱闘騒ぎになるなどしたが、CS準決勝でも激突した両者は互いに譲らず。

 鹿島が前半42分にDF山本のヘディング弾で先制。リードを許した川崎は後半9分、スルーパスに抜け出したFW小林が右足で豪快にネットを揺らし、同点。

 一進一退の攻防が続き、試合は延長に突入。同前半4分、途中出場したMFファブリシオが右足で決め、1点リード。同後半は川崎がGKチョン・ソンリョンを前線に上げ、パワープレーも試みたが、ゴールは奪えず。鹿島が元日決勝を制した。

http://www.hochi.co.jp/soccer/national/20170101-OHT1T50161.html

◆鹿島、6年ぶり5度目の天皇杯制覇!川崎との120分の激闘を制し19冠達成(サッカーキング)


鹿島アントラーズ

 第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会決勝が2017年1月1日に市立吹田サッカースタジアムで行われ、鹿島アントラーズと川崎フロンターレが対戦した。

 52年ぶりの関西開催となった決勝は、2016年のJリーグ王者・鹿島と同3位の川崎の対戦となった。両チームは昨年11月に行われた明治安田生命2016Jリーグチャンピオンシップ(CS)準決勝で対戦。鹿島が1-0で川崎を下して決勝に進出し、歴史的な大逆転での年間優勝につながった。しかし、この日はCS準決勝で決勝点を決めたFW金崎夢生が体調不良により欠場。FW赤崎秀平が代役を務める。一方、この試合を最後に風間八宏監督が退任する川崎は、MF大島僚太が約2カ月ぶりに先発復帰。退団が濃厚となっているFW大久保嘉人もスターティングメンバーに名を連ねた。

 序盤からボールをキープして攻勢をかけるのは川崎。13分、大久保が小林悠とのパス交換からエリア内に進入。右足でループ気味のシュートを放ったが、ここはGK曽ヶ端準がなんとか片手でカットした。さらに18分、エリア手前でエウシーニョからパスを受けた小林がダイレクトシュートで相手ゴールを脅かしたが、ここもGK曽ヶ端がなんとか弾き返した。28分には右サイドを突破した小林が中央へ折り返すと、登里享平がゴール前に飛び込んだが、シュートは惜しくも枠の左へ外れた。

 なかなか決定機を生み出せない鹿島は前半終盤にゴールチャンスを作る。36分に西大伍がヘディングシュートでゴールネットを揺らしたが、ここは山本脩斗がオフサイドポジションにいたとして得点は認められなかった。続く42分に鹿島が右CKを獲得すると、遠藤康のクロスから山本がヘディングシュート。これがゴール左下に決まり、鹿島が先制に成功した。このまま鹿島が1点をリードしてハーフタイムを迎える。

 鹿島はハーフタイムに先制点を挙げた山本を下げ、ファン・ソッコを投入。一方、リードを許す川崎は登里を下げて三好康児を投入した。すると54分、川崎は三好からエリア内右でスルーパスを受けた小林がゴール左下にシュートを蹴り込み、同点に追いつく。

 追いつかれた鹿島は61分にチャンス。赤崎が相手DFの裏に抜け出し、GKとの一対一となりかけたが、シュートはやや力がなく正面に飛んでしまった。

 一方の川崎もビッグチャンスを迎える。65分、カウンターから右サイドに抜け出した小林がドリブル突破からエリア内に進入。切り返しでDFをかわして左足シュートを放ったが、ここは惜しくも左ポストを叩き、得点には至らなかった。鹿島は67分に赤崎を下げ、鈴木優磨を投入した。

 川崎は86分に前線で小林がこぼれ球を拾い、エリア内右で中村憲剛からリターンを受ける。やや角度がなかったため、小林はクロスを選択。しかし、鹿島DFがなんとか体を張ってクリアした。鹿島は88分に小笠原満男を下げ、ファブリシオをピッチに送り込んだ。このまま90分では決着がつかず、15分ハーフの延長戦に突入した。

 延長前半立ち上がりの93分に鹿島がチャンスを迎える。川崎DFのクリアミスを拾ったファブリシオがエリア内からシュートを放ったが、エドゥアルドがなんとかゴールライン手前でクリアした。しかし直後の94分、CKの流れからエリア内でこぼれ球を拾ったファブリシオがゴール右にハーフボレーシュートを蹴り込み、鹿島が勝ち越しに成功した。

 再びリードを許した川崎は98分に田坂祐介を下げて森谷賢太郎を投入した。直後の99分、鹿島が再びCKを獲得すると、クロスボールをファブリシオが頭で合わせたが、ここは左ポストを直撃。追加点とはならなかった。

 川崎は延長後半から大島を下げて森本貴幸を投入して最後の反撃に出たが、鹿島がしっかりとブロックを組んで攻撃を跳ね返し、逆にカウンターからチャンスを作る。

 このまま鹿島が2-1で川崎を下し、6年ぶり5度目の天皇杯制覇で明治安田生命J1リーグとの2冠を達成。また、クラブ通算獲得タイトルを19に伸ばした。一方、川崎は悲願の初タイトル獲得とはならなかった。

【スコア】
鹿島アントラーズ 2-1 川崎フロンターレ

【得点者】
1-0 42分 山本脩斗(鹿島)
1-1 54分 小林悠(川崎)
2-1 94分 ファブリシオ(鹿島)

https://www.soccer-king.jp/news/japan/emperorcup/20170101/534319.html?cx_cat=page1

◆第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会 決勝(オフィシャル)


鹿島、6年ぶりの天皇杯制覇!ファブリシオの決勝弾で延長戦を制し、19冠達成!

鹿島が6年ぶり5度目の天皇杯制覇、そして9年ぶりのシーズン2冠を達成した。天皇杯決勝、市立吹田サッカースタジアムで川崎フロンターレと対戦すると、42分に山本のヘディングシュートで先制。しかし、54分に同点に追い付かれ、1-1で延長戦に突入する。鹿島は94分、途中出場のファブリシオが値千金の勝ち越しゴールを決めると、チーム一丸でリードを守り切った。2-1。120分の激闘を制し、6年ぶり5度目の天皇杯制覇を果たした。

鹿島は12月29日、ヤンマースタジアム長居で横浜F・マリノスを2-0で破った。相手の猛攻を受けたものの、曽ケ端と昌子、植田を中心に耐えしのぐと、41分に土居がヘディングシュートを決めて先制。そして73分、柴崎の高速クロスから鈴木が押し込み、リードを広げた。必殺のカウンターから2つのスコアを刻み、元日決勝への切符を掴み取った。

中2日で臨むファイナルへ、チームは大阪に残ってトレーニングを続けた。準備期間はわずかだが、12月に入って7試合を戦った選手たちは動じることはない。山本は言う。「ここまで来たら技術とかではなく、気持ちの問題だと思う」と。疲労を凌駕するタイトルへの渇望を胸に、シーズンラストマッチへと突き進んでいった。


指揮官は準決勝から先発メンバーを2名変更。右サイドバックに西、右サイドハーフに遠藤を起用した。前線は赤崎と土居、左サイドハーフには柴崎が入り、ボランチは永木と小笠原のコンビ。最終ラインは右から伊東、植田と昌子、山本が並び、最後尾には曽ケ端が立ちはだかる。ベンチにはGKの櫛引とファン ソッコ、伊東、ファブリシオ、中村、三竿、鈴木が控える。





2017年1月1日、青空に恵まれた大阪。元日に戦える誇りと喜びを噛み締めながら、アントラーズレッドの背番号12は朝早くから待機列を成した。タイトルマッチ特有の緊張感と高揚感がスタジアムを包む。2016シーズン最後の決戦へ、大きなチームコールが選手たちを鼓舞。そして14時3分、キックオフを迎えた。





序盤は川崎Fがボールをキープし、前線への圧力を強めていった。それでも、痺れるような戦いを繰り返してきた鹿島の選手たちが動じることはない。細かいパス交換から突破を図る相手の攻撃に対して、個々が厳しいボディコンタクトを敢行。ペナルティーエリア内では植田と昌子の若きセンターバックコンビが力強く、そして冷静にピンチの芽を摘んでいった。相変わらずの安定感を誇示し続ける曽ケ端も、時折襲う川崎Fのシュートに落ち着いて対処した。





なかなかチャンスを作れない中、鹿島のキャプテンがチームの闘志に火をつける。19分、ドリブル突破を相手のファウルで阻止されると、烈火の如く怒りを露わにし、スタジアムは騒然となった。褒められた行為とは言えないだろうが、戦う姿勢を前面に打ち出す背番号40とともに、選手たちは迫力に満ちた競り合いを繰り返していった。



25分以降、少しずつではあるが、敵陣深くまでボールを運べるようになった鹿島。赤崎や土居が最終ラインの背後を狙い続け、献身的なプレスとフリーランニングでチームの推進力となった。34分には遠藤がペナルティーエリア右奥へのパスに反応してクロスを上げ、チャンスを演出。そして36分、左サイドで高い位置を取っていた山本のクロスから遠藤が押し込んでゴールネットを揺らした。だが、オフサイドの判定で得点は認められず。スコアを動かすことはできなかったが、得点の予感が漂い始めた。

そして42分、歓喜の瞬間が訪れた。遠藤が蹴った右CKに反応した山本が、値千金のヘディングシュートをゴール左隅へ届ける。1-0。タイトルマッチにおいて極めて重要な先制ゴールは、長く険しい2016シーズンを誰よりも献身的に、そして誰よりも多く長く走り続けた背番号16によってもたらされた。セットプレーのチャンスを逃さなかった鹿島が、1点リードで前半を終えた。





1-0で迎えた後半、石井監督は痛みを抱えていた山本に代えてファン ソッコを投入。守備のユーティリティーを左サイドバックに配して必勝を期す。しかし、ビハインドを負って攻勢に出る川崎Fに押し込まれる展開が続くと、54分に同点ゴールを奪われた。ペナルティーエリア手前からスルーパスを通され、最後は小林に右足シュートを決められてしまった。







同点に追い付き、勢いに乗る川崎Fが猛攻を仕掛けてきた。しかし鹿島はしっかりと応戦し、逆転ゴールは許さない。58分には昌子が渾身のスライディングでシュートブロックを見せ、チームを救った。65分には小林のシュートがポストを直撃する場面もあったが、何とかピンチを脱した。試合は1-1のまま推移していく。

石井監督は67分に鈴木を投入。前線を活性化させて打開を図った。貪欲に突破を目指す背番号34は、力強いポストプレーでチームの基準点となり、献身的なプレスでも川崎Fを苦しめた。



互いに勝ち越しゴールを奪えないまま、試合は終盤へ。石井監督は88分、最後の交代カードを切った。小笠原に代えてファブリシオ。強力なシュートを備える背番号11はのちに、大きな仕事をやってのけることとなる。互いに譲らない戦いは、1-1のまま延長戦へと突入することとなった。交代枠を2つ残していた川崎Fに対し、鹿島はすでに3選手を交代。ピッチ上の11人が、残り30分の激闘に臨む。

延長前半、鹿島は立ち上がりから攻撃のギアを上げた。途中出場の鈴木とファブリシオが前線で力強い突破とポストプレーを繰り返し、川崎Fを押し込んでいく。93分、ペナルティーエリア内へ飛んだ浮き球に反応したファブリシオのプッシュは、惜しくも相手DFにクリアされてしまった。しかしその直後、この日2度目の歓喜が待っていた。

遠藤が蹴った右CKに反応した西のヘディングシュートはクロスバーに阻まれたが、セカンドボールを拾って敢行した二次攻撃で、鈴木が浮き球を競り合う。空中戦を制して後方に逸らしたボールは西のもとへ飛び、相手との交錯でペナルティーエリア内にボールが転がった。そこに待っていたのは、背番号11。迷うことなく右足を振り抜くと、強烈なシュートがゴール右隅に突き刺さった。94分、ファブリシオ。鹿島が2-1と勝ち越しに成功した。





再びリードを奪った鹿島は99分にも、遠藤の右CKからファブリシオがヘディングシュート。惜しくも左ポストに阻まれたが、追加点への意欲を示した。延長前半を終えて2-1。リードを保ち、残り15分の戦いへと臨む。

川崎Fは98分に森谷、延長後半開始時から森本を投入して反撃を仕掛けてきた。それでも鹿島は、土居が「あとは試合を終わらせようと思っていた」と振り返るように、しっかりと身体を張って攻撃を阻み、敵陣でのボールキープを織り交ぜながら時計の針を進めていった。機を見たカウンターでも川崎Fに脅威を与え続け、ついにその時を迎えた。







2-1。試合終了を告げるホイッスルが鳴り響くと、アントラーズレッドの歓喜が爆発した。鹿島が川崎Fを破り、6年ぶり5度目の天皇杯制覇を果たした。リーグとのダブル達成は2007年以来9年ぶりで、シーズン2冠はクラブ通算4回目。これで今季の全公式戦が終了し、ユニフォームに刻まれる星は19個となる。アントラーズファミリー全員で戦い、たどり着いた頂点。市立吹田サッカースタジアムにこだまする歓喜の歌声が鳴りやむことはなかった。鹿島が最高の形で2016シーズンを締めくくった。



54試合もの激闘の日々を終え、選手たちはシーズンオフに入る。つかの間の充電期間を経て、2017シーズンへ——。来季はアジアでの戦いも待っている。2冠王者として臨む新シーズンに向けて、さらなる進化を。鹿島の歩みが止まることはない。



【この試合のトピックス】
・2010シーズン以来、6年ぶり5度目の天皇杯制覇を果たした。
・国内三大タイトル19冠を達成した。
・シーズン2冠は2007年以来9年ぶりで、1997年と2000年(3冠)と合わせてクラブ史上4回目。
・川崎F相手の公式戦は、今季4試合で2勝1分け1敗となった。
・市立吹田サッカースタジアムでの公式戦は4試合目で、4連勝を果たした。
・ファブリシオが今大会3点目を決めた。

監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:石井 正忠
・後半も相手のボールの出し手にしっかりアプローチしよう。絶対に自由を与えるな!
・中央を絞って、相手を外に追いやろう。
・相手陣内に入ったら、焦らず確実にビルドアップしていこう。

川崎フロンターレ:風間 八宏
・冷静に落ち着いてプレーしていこう。
・ボールをシンプルに動かして相手を動かしていこう。
・守備は正しいポジションから。

[試合後]
鹿島アントラーズ:石井 正忠
歴史のある天皇杯で、6年ぶり5回目の優勝をすることができて本当に良かった。チャンピオンシップからクラブワールドカップ、そして天皇杯で、約1か月で10試合ほどをこなしてきた。クラブワールドカップの決勝でレアル・マドリードに敗れてしまって、悔しい思いをした中で、この天皇杯を獲ることが今季の締めくくりだと思っていた。その試合で勝ち切ることができて本当に良かったと思う。今年1年、アントラーズを支えてくれたチームスタッフとスポンサーの皆様、全国のアントラーズファン、サポーターの皆様のおかげだと思っています。

Q.アントラーズの選手たちは最後まで走っていたが、何がその要因なのか?コンディションなのか、気持ちの面なのか?

A.コンディションについては、クラブワールドカップの決勝でレアル・マドリードを相手に戦った経験がここで生きたと思うし、内容としても押し込まれながらも守備の部分で耐えてチャンスを狙うことがはっきりしていた。その戦い方も、120分戦い抜けた要因だと思う。クラブワールドカップを終えて、天皇杯の準々決勝が一番やりにくい試合だと思っていたが、ホームでしっかりと勝つことによって、準決勝と決勝は高いモチベーションで戦えたと思う。

Q.アントラーズの勝負強さを一言で表現するとしたら?

A.タイトルを獲った者にしかない「勝負どころがわかる」ということだと思う。

Q.守備の堅さが目立っていた中で昌子選手が非常に成長したと思うが、どう映ってい
るか?

A.彼はもともと1対1の強さを持っていて、その中でセンターバックとして安定したポジショニングやコーチングの部分が、試合を増すごとにどんどん良くなっていった。ビルドアップの部分でも、自分からミスをしてペースを乱すことがあったが、安定感が増してきたことによって、自分のプレーも安定してきているのではないかと思う。クラブワールドカップでレアル・マドリードのFW陣を抑えたことはかなりの自信になっていると思うし、プレーにも現れていると思う。

Q.小笠原選手に優勝カップを掲げるように促された時の気持ちは?

A.満男はチームのために戦うことを常に頭の中に入れて戦っている選手。ゲームキャプテンである彼が掲げるべきだと思うが、監督の私に最初にカップを持たせてくれたことは、日頃から犠牲心を持って戦っていることの現れだと思う。

Q.山本選手とファン ソッコ選手の交代の理由と、同点に追い付かれた後にファブリシオ選手を起用した狙いは?

A.脩斗に関しては、前の試合から痛めていた部分があまり良くなかった。ドクターと相談してソッコを投入した。ファブリシオについては、90分で決着をつけようと思って3枚の交代カードを切った。そこはうまくいかなかったが、チームが一体感を持ってやるべきことをしっかりとやってくれたと思う。ファブリシオ自身のパフォーマンスは、いつもしっかりと前線で時間を作ってサポートを待ちながら、相手DFの背後へ動き出すことを狙っていた。シュート力や推進力があるので、そこを期待して投入した。点を取ってくれて良かった、非常に良いパフォーマンスだった。


川崎フロンターレ:風間 八宏
選手が本当に、最後まで勝ちたいという気持ちを出してくれた。チャンスは数多く作れていたし、我々のサッカーを見せることができたと思う。結果だけは残念だけど、次につながると思う。選手たちがものすごく成長した姿をベンチから観ることができた。悔しいが、それ以上に喜びがある。逞しくなった選手たちは僕にとって喜びであり、誇りでもあると思った。


選手コメント

[試合後]

【櫛引 政敏】
チャンピオンシップ、クラブワールドカップ、天皇杯を戦ったこの1か月は、1シーズン分くらいのような感じがする。リーグと天皇杯で優勝できたことは素直に嬉しい。その半面、ピッチに立てなかったことは悔しい。良いシーズンの終わり方、そして良いスタートになったと思う。

【昌子 源】
自分は初めてだけど、クラブとしては何度も決勝に進んでいた。選手たちだけではなくスタッフも含めたクラブ全体の落ち着きがあったし、そういうところが強さだと思う。1つタイトルを獲るとやめられなくなるというか、また次も獲りたくなる。

【永木 亮太】
試合の内容はあまり覚えていない。本当に疲れたけど、うまく試合を運ぶことができて良かった。来季はACLもあるし、リーグも1シーズン制になる。しっかりと勝てるようにしていきたい。

【土居 聖真】
ホッとした。今までも厳しい戦いをしてきたし、レアルと戦った経験がかけがえのないものになっていた。この優勝でまたアントラーズが強くなるし、新しいアントラーズを見せられたのではないかと思う。

【柴崎 岳】
ポジションが変わってもチームの役割は変わるが個人の役割が変わることはない。19冠目が懸かっていたし、タイトルが取れたことが良かった。

【ファブリシオ】
(ゴールの直後は)まず家族のことが頭に浮かんだ。どうすればチームの役に立つのかということを、日々の練習から考えて取り組んでいたし、得点を決めた後は優勝カップを持ってチームメイトと喜んでいる姿しか浮かばなかった。この半年間、点を取る仕事ができたかというとそうではないけれど、今年最後の試合で点を取ることができて良かった。

【中村 充孝】
チームとして、疲れよりもタイトルを獲りたいという思いが上回っていたと思う。この舞台に立てるのは2チームしかいないわけだから、幸せなこと。そのうえでタイトルを獲ることができて良かった。

【ファン ソッコ】
しっかりと試合に入ることはできたけど、失点した後はメンタル面を整えるのが難しい時間帯が少しあった。それでも周囲のサポートがあって、しっかりと点を取って勝てたことが良かった。アントラーズの一員として前に立たせてもらってカップを掲げるのは、最高の気分だった。

【山本 脩斗】
うまくマークを外してフリーでシュートを打てた。点を取ることができて良かった。チームで連携しながらフリーの選手を作ろうと話していた。全員で掴んだ勝利だと思う。個人的にはリーグも天皇杯も初めての優勝だった。本当に嬉しいし、1年間やってきたことが実を結んだと思う。優勝は何度味わっても良いもの。また獲りたいという気持ちになっている。

【赤崎 秀平】
クラブワールドカップ以降、相手にボールを持たれても最後のところで守るという良い経験を積めていた。焦りはなかったし、全員で戦えていたから不安感はなかった。前半を0-0で終えれば勝てるという自信があったし、1点を取ることができれば優位に立てるとも思っていた。クラブワールドカップで得た自信があったし、全員で戦えていた。

【三竿 健斗】
物心がついた時から、元日の試合を夢見ていた。準々決勝に出場してチームの勝利に少しは貢献できたのではないかと思う。2016シーズンはリーグ戦やチャンピオンシップ、クラブワールドカップにほとんど出場できず、悔しい思いしかない。積み重ねてきたものを来シーズンは出せるようにしたい。

【曽ケ端 準】
決勝まで進めば、相手がどこであれ苦しい展開になる。チームとしてタイトルを獲ることが目標だったので、それを達成することができて良かった。控えの選手もモチベーションを下げずにやってくれていたし、また優勝を味わいたいとみんなが感じたと思う。それを積み重ねていきたい。

【西 大伍】
「失点さえしなければいける」と、みんなが思っていたと思う。攻められているとは感じなかった。1失点は仕方がない。セットプレーはチャンスだと思っていた。

【植田 直通】
(押し込まれても)焦りはなかった。今はこういうスタイルで戦っている。試合に出られない時期もあったけど、それを乗り越えたから今がある。その時期もすごく有意義だったと思うし、腐らずに準備をしてきたからこそだと思う。

【伊東 幸敏】
天皇杯は準々決勝、準決勝とスタメンで出場したので、19個目のタイトル獲得に少しは貢献できたと思っている。チームやスタッフ、サポーター全員で獲ったタイトルだと思う。できれば優勝をピッチで味わいたかったが、それを次のシーズンに向けた目標にしたい。

【遠藤 康】
嬉しいですね。今年を良い形でスタートできた。目の前で優勝されるというのは本当に悔しいこと。クラブワールドカップと同じ立ち位置になりたくなかったし、その思いが良い結果につながったかなと思う。同点に追い付かれても苦しくはなかった。チーム全体がバランスを崩さずに戦ったことが良かった。

【鈴木 優磨】
自分がサイドに流れて起点になればいいと思っていた。あそこで1点を取れるのがうちの強さ。優勝するチームとしないチームがはっきりした試合になったと思う。誰が何をやるのかが、はっきりしていた。DFの4人とソガさんが頼もしすぎる。あれだけ押されていても、見ていて安心感があった。2017年の良いスタートを切ることができた。

【小笠原 満男】
シーズンの最後にタイトルを獲れたことは嬉しいことだけど、これを続けていかないといけない。さらに強いチームになっていきたいと思う。

http://www.so-net.ne.jp/antlers/games/51940

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