http://www.sanspo.com/soccer/news/20161117/jpn16111712010005-n1.html
【No Ball、No Life】
ロシアW杯アジア最終予選を戦うハリル・ジャパンに朗報が届いた。DF内田篤人(28)が15日、所属するシャルケの全体練習に合流した。
内田は代表ウイークを利用して10日、ドイツから一時帰国した。午前中に日本代表チームが宿泊していた鹿嶋市内のホテルを訪れ、「(香川)真司や本田(圭佑)さん、岡ちゃん(岡崎慎司)、清武(弘嗣)と会って話してきた」と同じ欧州組を激励。スタッフに昨年6月に手術を受けた右膝の状態を伝え、チームドクターに足の状態の確認してもらったという。
険しい道のりだった。昨夏に以前から痛めていた右膝の膝蓋腱(しつがいけん)の手術を受けると、その後はリハビリの日々。早期の復帰を目指したものの、1試合も出場しないまま昨シーズンは終了した。
苦闘が続いたが、笑顔は絶やさなかった。今年5月にはバヒド・ハリルホジッチ監督(64)の「代表でやってほしいから呼んだ。けがの状態を見たかった」という考えで、国内合宿に招集された。
女性3人組Perfumeの曲を大音量で流し、仲間とともにリラックスの表情を見せ練習場へ。チームを和ませる内田のキャラクターは代表に不可欠な存在だと、誰もが感じたことだろう。
ピッチ横でスタッフと談笑しながらエアロバイクをこいでリハビリ。辛いメニューもあった。それでも、「暗い顔してやったら死んじゃうので、少しでも明るくやらないと。みんなと同じグラウンドでやらせてもらえるのはありがたい」と弱音を吐かず、取り組んでいた。
ハリルホジッチ監督も期待する、内田の武器は豊富な運動量を生かした守備力と機を見た攻撃参加だ。2012-13年シーズンの欧州チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦、ガラタサライ(トルコ)戦の第2戦。シャルケはホームで2-3で敗れて16強で敗退したが、内田はチーム2点目をアシストした。
勝ち上がれば準々決勝で当たっていたレアル・マドリード(スペイン)の分析担当者は試合を観戦し、名前こそ出さなかったが「サイドの選手がタイミングのいい攻撃参加を見せていた」とスタジアムで記者に明かしたことがあった。その内田の持ち味をいまの代表チームで見てみたいところだ。
長かったトンネルからようやく抜け出るときがきた。今回の帰国時、「この試合での復帰に向け逆算してやってきいた。鹿島だし、出たかったけど無理だった」と古巣J1鹿島の本拠地での代表戦(11日、オマーン戦◯4-0)で復帰できなかったことを悔やんだが、半面「監督の判断次第のところまで来ている」と回復をアピールした。
12月8日の欧州リーグ、ザルツブルク(オーストリア)戦でのメンバー入りの可能性も出ている。ハリルホジッチ監督待望の選手が戻ってくる。(一色伸裕)