日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年11月8日水曜日

◇武藤嘉紀同僚が珍プレー、“ノールックパス”が話題に…「視界の端に白いものが見えたからボールかと」(ゲキサカ)




 4日に行われたブンデスリーガ第11節のボルシアMG戦で、マインツGKロビン・ツェントナーが見せた珍プレーが話題となっている。アメリカメディア『ESPN』は試合後のコメントを伝えた。

 ツェントナーは前半31分、味方のバックパスを受けて、ピッチ全体を見渡しながらボールをトラップ。相手が寄せてきたためパスを出そうとしたが、バックスピンがかかったボールはすでに後方に流れており、“ノールック”でのキックが空振りに終わってしまった。

 結局、何とかボールにアプローチし、失点という最悪のケースは免れたツェントナー。それでもゴール脇でウォーミングアップ中の味方に励まされるシーンが試合の公式映像に映し出され、本人も苦笑いを浮かべていた。

 さらに試合後、このプレーの映像がSNSなどを通じて拡散。ブンデスリーガ公式も「後ろにあるよ!」などとコミカルなキャプション添えて動画を投稿し、思わぬ“珍プレー”として世界中で話題となっている。

 試合後、ツェントナーは「視界の端で白いものが見えたので、ボールだと思っていた。でも、実はそれがペナルティースポットで、ボールはどこかに行ってしまっていたんだ」と照れ笑い。レネー・アドラーの負傷で出番をつかんでいる23歳GKにとって、忘れられない週末となった。


武藤嘉紀同僚が珍プレー、“ノールックパス”が話題に…「視界の端に白いものが見えたからボールかと」

◇浦和ACL決勝チケが高額転売…“一般販売”前に声明を発表「絶対に購入しないよう」(ゲキサカ)




 浦和レッズは7日、サウジアラビアのアルヒラルをホームに迎えるACL決勝第2戦のチケットがインターネットオークションに多数出品され、高額で転売されていることを確認したと発表した。「絶対に購入しないよう、お願い申し上げます」と呼びかけている。

 ACL決勝は18日にアウェー、25日にホームで実施。すでに「REX TICKET」などにおいて、シーズンチケットホルダーや有料会員用のチケットが優先発売されている。その中で今回、多数のチケットがオークションサイトなどに出品され、高額な価格がついていることが確認されたという。

 浦和はこの問題について、すでに一定の対策を実施している。チケットの大量購入者に向けて連絡を行った他、オークションサイトに購入を依頼。さらに、これまでは購入回数に上限がなかったが、1回4枚の購入を1会員あたり1回に制限したという。

 しかし、8日からは「REX TICKET」無料会員の販売が開始。また9日からセブンイレブンでの先行販売、11日からは一般販売が始まることから、さらなる転売が懸念される。クラブは「引き続き、高額での転売が続くようならば、今後の販売方法の見直し、会員資格停止をはじめ然るべき措置を検討、実施していきます」と発表している。

浦和ACL決勝チケが高額転売…“一般販売”前に声明を発表「絶対に購入しないよう」

◆石井新監督、大宮に“鹿島流”一体感!J1残留へ“3戦契約”(スポニチ)




 異例の“3試合契約”で、チームをJ1残留に導く。大宮の石井正忠新監督(50)が7日、就任会見を行った。この日から練習の指揮を執ったが、鹿島イズムの注入でチームを変え、奇跡の逆転残留に全力を注ぐ。

 残り3試合での監督就任。J1残留というミッションの重さを表すように、石井新監督は決意を口にした。「私が持っている最大限の力を使いたい」ときっぱり。そして、残留が厳しい状況下でのオファーに「クラブの強い意志を感じた」と声を詰まらせるほどの覚悟をにじませた。

 昨年はクラブ史上最高の5位になった大宮だが、今季は低迷。5月末には渋谷洋樹監督(50)が解任され、後任に伊藤彰監督(45)が就任した。それでも、チームは好転せず、松本大樹強化本部長(39)とともに5日に2度目の監督交代となった。

 1シーズンにJ1の異なる2チームで指揮を執るのは03年のベルデニック氏以来、2人目。鹿島に続いての挑戦となる石井新監督は「悩んだ部分もあるが、前身のNTT関東に2年間在籍し、思い入れもある。残留で終わりたい。残り3試合を勝利で終わりたい。そういう気持ちでオファーを受けた」と説明。来季契約更新の可能性もあるが、この3試合だけに集中する。

 大宮に欠けているものとして挙げたのは「一体感」だ。今季途中まで率いた古巣を引き合いに「クラブが一つの方向を向いている。鹿島にはそういうものがある」と常勝の“鹿島イズム”を注入する方針。残留へ向けて監督、コーチ、選手だけでなく、フロントも一体となって、チームが残留するために「何ができるか」を求めた。

 戦い方については守備面では全体の連動性の徹底などを挙げたが、「選手の能力が出し切れていない部分がある」と微調整で臨む。次節18日のアウェー仙台戦で負けた時点で降格する可能性もある崖っ縁。クラブW杯でレアル・マドリードを苦しめた世界2位監督が奇跡を起こせるか。

 ▽大宮の次節(18日)J2降格決定条件 大宮が仙台戦に●、15位甲府が新潟戦に○なら降格が決定。それ以外は33節(26日)以降に持ち越し。

 ◆石井 正忠(いしい・まさただ)1967年(昭42)2月1日生まれの50歳。千葉県市原市出身。順大を経て89年にNTT関東入り。91年に住友金属へ移籍し、鹿島の創設メンバーとなった。98年に福岡へ移籍し、現役引退。99年から鹿島でユースやトップチームのコーチを経て15年7月に監督就任。昨季J1年間優勝へ導いたが、今季はACL敗退後の5月に解任された。

石井新監督、大宮に“鹿島流”一体感!J1残留へ“3戦契約”

◆ゴールの余韻に浸ることなく…。 「試合を閉じた」アントラーズの強さ(Sportiva)


 鹿島アントラーズの強さを垣間見たのは、得点直後だった。

 11月5日、浦和レッズがAFCチャンピオンズリーグ決勝に進出した関係で、他のカードに先立って「鹿島vs.浦和」のJ1第32節は行なわれた。



 勝てばJ1連覇を大きく手繰り寄せる一戦で、鹿島が試合を決めたのは後半35分だった。右サイドバックの西大伍が上げたクロスに、MFレアンドロが大外から走り込む。右足でうまく合わせると、GK西川周作の股間を抜く値千金のゴールを決めた。待望の得点に攻撃陣は抱き合って歓喜する。殊勲のレアンドロはベンチに駆け寄ると、同郷であるDFブエノと熱い抱擁を交わした。

 彼らが喜んでいるなかで目を引いたのは、その後の行動である。キャプテンマークを巻くMF遠藤康のほか、DF陣が中心となって自然に集まると、何やら話しはじめた。DFリーダーの昌子源がその場面を振り返る。

「まずは剛さん(大岩剛監督)に(その後を)どうするのかを聞いた。守り切るのか、それともちょっと前から行って相手にアプローチするのか、という話をしました。でも、そこは最終的に自分らで判断したところが大きい。だから、(金崎)夢生くんから判断して、(前から守備に)行くところと行かないところもあった。そこはうまく対応できたかなと思います」

 得点した余韻に浸ることなく、すぐさま鹿島の選手たちは、その後どう戦っていくかを話し合っていたのである。それも自然に……。

 結果的にレアンドロの得点を守り切った鹿島は、1-0で勝利する。アディショナルタイムを含めれば約15分。FW高木俊幸やDF森脇良太を投入して反撃に出てくる浦和に対して、ほぼシュートすら許さず、危なげなく試合をクローズした。レアンドロの得点直後にDF伊東幸敏と交代した遠藤も、リードを奪ったことに安んじることなく、すぐに切り替えたチームメイトに頼もしさを感じていた。

「こういうプレッシャーのかかった試合で、みんなの成長というのをすごく感じましたね」

 昨季、リーグ優勝や天皇杯優勝を経験したMF土居聖真やDF山本脩斗が「決勝戦のようだった」と表現した試合は、いわゆる「硬い試合」(土居)となった。それだけに前半から際立ったのは、互いに攻撃ではなく守備だった。

 前半は最終ラインでボールを回して好機をうかがっていた浦和に対し、鹿島は前線からうまくプレッシャーをかけてボールを奪っていった。だが、互いに運動量が落ちてきた後半になるとオープンな展開となり、浦和がボールを前に運ぶ回数も増えた。それだけに鹿島にとっては、決して内容が伴っていた試合ではないことは、土居も認める。

「シーズンを通して考えると、うまくいかない試合ってあるじゃないですか。今日はそのうちの1試合だった。前半はよかったけど、特に後半は相手も失点したなかで、ずっといい守備をしていたから、(自分たちは)チャンスというチャンスが作れていなかった」

 それは守備の要である昌子の証言を聞いてもわかる。

「後半に関しては、時間が経つのが長く感じました。それはもしかしたら、自分が追い詰められていたのか、それとも体力的にまだまだいけると思っていたからなのかはわからないですけど、長く感じましたね」

 実際、鹿島の選手たちは、浦和の反撃の圧力を感じていたのだろう。それでも焦ったり、慌てたりしないところに鹿島の強者たるゆえんがある。ふたたび土居が言う。

「流れが悪いからといって、チーム自体も悪いというメンタルにならない。ここを我慢すれば、自分たちの流れが来るというのをみんながわかっている。そこは本当に経験だと思います。

 昨季の経験が確実にチームに浸透している。悪いときにどうしなければならないかというのを、ひとりやふたりではなく、チーム全員がわかっているというか。それは毎試合じゃないけれど、前節のコンサドーレ札幌戦も含めて、今季はより多くの試合で感じている。今日のように決勝戦みたいな硬い試合でほしかったのは、結果だけ。内容なんていらないですから」

 白熱したゲームは、最少得点差で決着がついたように、決して一方的な展開だったわけではない。前半終了間際にはFWラファエル・シルバがゴール前で決定機を得るなど、浦和にもこのパスがつながれば、通ればという好機はあった。

 ただ、鹿島は相手に流れが傾きかけた後半も、選手ひとりひとりがそれを理解し、把握していたからこそ、耐えるところは耐え、仕掛けるところは仕掛けるという適切な働きをした。終わってみれば、浦和のシュートが3本だったことが、その表れであろう。結果的に、彼らは後半、相手に決定機を許さなかった。

 昌子が勝敗を分けたポイントについて言及する。

「試合前に剛さんが、『今日の試合は、見ている人や、やっている人も気づくか気づかないかくらいの小さな、細かいディテールで勝敗が決する』と言っていた。それは横1センチのポジショニングかもしれないし、僕らの攻撃だったり、レアンドロの外が空くという一瞬の隙だったりするのかもしれないけど、そういう小さなことで試合は決まったと思います」

 大岩監督や昌子が言う「小さいこと」の差こそが、得点後すぐにチームとしての戦い方を示し合わせていた姿にも見て取れた。得点が決まる直前には、オーバーラップしてFW金崎夢生との連係からゴール前に侵入するなど、攻守に貢献した山本が言う。

「集中して決勝のような戦い方がみんなできていたのではないかと思う。本当にみんな落ち着いていたし、こういう舞台で緊張するようなチームじゃないですからね。プレッシャーがあるなかでも、しっかり自分たちのプレーというのができたかなと思います」

 浦和戦に勝利したことで、2位・川崎フロンターレとの勝ち点差は7に広がった。これにより、18日に行なわれる試合で川崎Fがガンバ大阪に敗れれば、鹿島のJ1優勝が決まる。遠藤は「早く優勝を決められればいつでもいいですけど」と言いつつ、「僕らはもう1月1日まで試合ができる状況にないので、あと2試合勝ちたい。特にホーム最終戦は」と話してくれた。

 土居にしても「残り2試合は勝ちたい」と言い、山本も「少し期間は空きますけど、あと2試合勝てるように準備したいと思います」と語り、スタジアムを後にした。

 細部にこだわる――。得点後も、勝利後も、勝敗が、優勝が決まるまで、結果にこだわる鹿島に慢心など存在しない。そこに、鹿島の鹿島たる強さがある。

ゴールの余韻に浸ることなく…。「試合を閉じた」アントラーズの強さ

◆鹿島V字回復のキーマン三竿健斗。常勝軍団の心臓部託された21歳ボランチの献身(フットボールチャンネル)


鹿島アントラーズがJ1連覇に王手をかけた。浦和レッズがAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝に進出した関係で、1試合だけ分離開催された5日の明治安田生命J1リーグ第32節で、5人の日本代表擁するACLのファイナリストから完封勝利をゲット。シーズン途中から指揮を執る大岩剛監督のもとでボランチのファーストチョイスとなり、常勝軍団を鮮やかにV字回復させるキーマン的な存在となっている21歳の新星、三竿健斗にスポットライトをあてた。(取材・文:藤江直人)


大岩剛監督就任後、ボランチのファーストチョイスに

大岩監督が就任以降、出場停止を除いてすべての試合で先発フル出場を果たしている三竿健斗

 目指してきたゴールが、はっきりと輪郭をなして見えてきた。ヨーロッパ遠征に臨んでいる日本代表に最多となる5人を輩出し、全員が先発フル出場した浦和レッズをシュート3本に封じ込めた。

 守備陣が体現し続けた粘り強さに応えるように、後半35分にMFレアンドロが虎の子の決勝弾をゲット。通算14度目となる完封勝利でJ1連覇へ王手をかけた鹿島アントラーズの心臓部で、先発メンバーでは最年少となる21歳のボランチ、三竿健斗は安堵の表情を浮かべていた。

「自分自身のプレーはあまりよくなかったけど、最終的にはチームが勝てたので。お客さんがたくさん入っていたなかで、すごく緊張感のある試合でした。サポーターの方々の応援もすごく感じるものがあったし、本当に心強かった。みんなが笑顔で帰れるように、と思っていたので」

 言葉は控えめながら、いまや勝利を手にするために欠かせない存在となった。コーチから昇格した大岩剛監督が指揮を執った6月以降の20試合で、三竿は累積警告で出場停止だった9月23日のガンバ大阪戦を除いて、19試合で先発フル出場を果たしている。

 そのうち3試合は植田直通が故障離脱した穴を埋めるため、急きょセンターバックに回っている。それでも主戦場のボランチとして出場した16試合、1440分間はレオ・シルバ、永木亮太、そしてキャプテンの小笠原満男を大きく上回っている。

 石井正忠前監督が指揮を執った5月末までは、5試合、わずか104分間にとどまっていた。アントラーズ自体も7勝5敗といまひとつ波に乗れなかったが、大岩体制下では一転して16勝1分け3敗と鮮やかなV字回復を遂げている。

 実力者が集う最激戦区のボランチで、指揮官のファーストチョイスとなった三竿こそが常勝軍団を蘇らせたキーマンなのでは――こんな問いかけに、今度は恐縮した表情を浮かべる。

「紅白戦でも毎回のように競争があるし、ポジションが確立されたとは思っていません。周りからの評価というのは僕が決めることじゃないし、特に気にしたこともありません。チームが勝てればいいし、僕自身は大事な場面でのパスミスが何本もあったし、まだまだ課題だらけなので。

 ただ、試合に出場し続けることで自信というものがついてきているし、監督からすごく信頼されている、というのも感じている。試合に出ることによって新たな課題が出るし、そうなると練習への取り組み方も変わってくる。すごくいい循環ができているのかな、と思っています」

ヴェルディ時代、中後を通じて触れていた“鹿島イズム”

東京ヴェルディのアカデミーで育ち、プロデビューを果たした

 小学生年代のジュニアから所属した東京ヴェルディの下部組織時代から、テクニックをあわせもつ大型ボランチとして注目されてきた。高校を卒業した2015シーズンには、ユースからトップチームに昇格。ルーキーながらJ2でいきなり39試合に出場した軌跡が、アントラーズの目に留まった。

 完全移籍で常勝軍団に加入した昨シーズン。J1の舞台では4試合、わずか30分間の出場に終わったものの、ファーストステージ制覇やJリーグチャンピオンシップ優勝、FIFAクラブワールドカップでの快進撃、そして天皇杯との二冠獲得を間近で見届けた。

「タイトルを取り続けているベテランの選手たちやスタッフが大勢いるので、その意味ではすごく安心感があります。選手の一人ひとりもすごく高い向上心をもっていて、試合で出た課題を次の練習でこう改善していこうとか、みんながそう思っているので」

 アントラーズのボランチに定着してから、ヴェルディでのルーキー時代をダブらせることがあるという。2015シーズンにボランチのコンビを組んだ中後雅喜は、駒沢大学から2005シーズンに加入したアントラーズで、ジェフユナイテッド千葉へ移籍するまでの4年間で69試合に出場している。

 2012シーズンからはヴェルディに活躍の場を求めた、今年5月には35歳になったベテランのプレースタイルには、アントラーズのいわゆる“イズム”が凝縮されていたと三竿は振り返る。

「サイドチェンジのパスを多く出していたし、球際でもすごく戦っていたところも、僕にとってすごくいい経験になりました。チュウさん(中後)も(小笠原)満男さんのことをすごく尊敬していたし、その意味でもこっちに来たときに『そういえば鹿島らしかったな』と思えたので」

 中後を介するかたちで、無意識のうちにアントラーズのサッカーに触れていたことで、出場機会が増えた今シーズンの戦いにおいてスムーズに順応することができたのか。原点となったヴェルディ時代にもらった、中後からのアドバイスをいまでもよく思い出すという。

「いろいろと考えるよりも、自分にできることを精いっぱいやれといつも言われていたので。僕の場合は、まず守備で頑張れと言われているんだと思っていました」

年齢には不釣り合いなほど落ち着き払った立ち居振る舞い

札幌戦ではJ1初ゴールを決めた

 181センチの長身はレオ・シルバと並び、173センチの小笠原と永木を大きく上回っている。最終ラインの前で発揮される対人の強さ、空中戦でボールをはね返す力が、大岩監督のなかで描かれていたボランチの序列を変更させたのだろう。

 年齢には不釣り合いなほどに、落ち着き払った立ち居振る舞いをピッチ内だけでなく外でも見せる三竿は、出場時間が増えるなかで自分自身の変化を感じ取っている。

「以前よりも駆け引きをして、ボールを奪う回数が増えてきていると思う。意図をもった守備ができているからこそ、綺麗に奪うことが多くなっているのかなと。周囲との関係がよくなってきたことももちろんありますけど、個人戦術の部分でも守備力が上がってきているんじゃないかと」

 カシマサッカースタジアムにレッズを迎えた5日の一戦では、ハリルジャパンに初選出されたインサイドハーフの長澤和輝がボールをもち運んでくればすぐに間合いを詰めた。自らの存在を常に長澤に意識させることでホープに決定的な仕事をさせず、レオ・シルバとのコンビネーションで柏木陽介も封じ込めた。

 結果として昌子源や植田が最も警戒していた、20ゴールで得点ランキングのトップを走る日本代表FW興梠慎三を孤立させ、レッズの攻撃を手詰まりにさせた。守備面で深まりつつある手応えは、自ら課題としてあげてきた攻撃面にも相乗効果を及ぼしている。

 敵地で北海道コンサドーレ札幌を下した10月29日の明治安田生命J1リーグ第31節では、後半開始早々に先制点となる待望のJ1初ゴールをゲット。ペナルティーエリア内に積極的に顔を出し、こぼれ球に対して迷うことなく右足を振り抜いた。

「柴崎の穴」は感じさせず。目だたずとも力強い下支え

 ヴェルディ時代は周囲の先輩選手からかけられる声やアドバイスに耳を傾けすぎるあまりに、思い描いていたプレーができない場面も少なくなかった。一転していまでは「自分のやりたいことができている」と、ちょっぴり笑顔を浮かべた。

「以前よりもシュートを打つ回数も増えているし、それは自分のやりたいプレーでもあるので。守備でも自分がやりたいように周りの選手たちを動かすとか、何を言われても特に気にすることなく、ぶれることなくプレーできているので、徐々にですけど、成長できているのかなと思います」

 レッズがACL決勝に進出した関係で、本来ならば18日に行われる明治安田生命J1リーグ第32節が分離開催された5日の大一番でしっかりと勝利を手にした。アントラーズの試合のない18日に2位の川崎フロンターレが敗れれば、その瞬間に通算9度目のJ1制覇が決まる。

 たとえ他力での優勝が決まらなくても、柏レイソルをカシマサッカースタジアムに迎える26日の同33節で勝てば歓喜の瞬間を手繰り寄せることができる。まさにフィニッシュは目前に迫ってきた。

 しかも、大きな付加価値もついてくる。すでに年間23勝をあげたアントラーズは2007シーズンのクラブ記録22勝を更新し、18チーム制となった2005シーズン以降のJ1記録にも並んでいる。

 白星をあとひとつ積み上げればJ1新記録となり、ふたつならば勝ち点を「76」に伸ばし、過去最多だった2015シーズンのサンフレッチェ広島、昨シーズンのレッズの「74」をも更新する。強さを物語る、記録尽くめのシーズンの真っただ中にいる三竿は“いま”を楽しめているのか。

「うーん、半々ですね。緊張感はものすごくありますけど、それでも精神的にはそんなに慌てることなくプレーできている。どうしよう、と思う場面もないし、リラックスできているのかなと」

 ラ・リーガへ新天地を求めた、MF柴崎岳が抜けた穴が心配された今シーズン。それでも通算20個目の国内タイトル獲得へカウントダウンに入ったアントラーズを、柴崎がルーキー時代から背負った「20番」を受け継いだ三竿が決して目立たないながらも、それでも力強く支えている。

(取材・文:藤江直人)

【了】

鹿島V字回復のキーマン三竿健斗。常勝軍団の心臓部託された21歳ボランチの献身

◆鹿島レアンドロが王国語る セレソン変えたチチ偉大(ニッカン)




 鹿島の元ブラジル代表MFレアンドロ(24)が、10日に日本代表と対戦するブラジル代表の強さに、昨年6月に就任したチチ監督(56)の求心力を挙げた。南米予選6位の低迷状態から、FWネイマール(パリサンジェルマン)らスター軍団がフォアザチームの精神でまとまり、世界最速でW杯ロシア大会切符を獲得。V字回復した王国の現状を聞いた。【取材・構成=鎌田直秀】

 MFレアンドロが記者が開いていたパソコンを凝視した。日本戦に臨むブラジル代表メンバーをチェック。「ネイマール、パウリーニョ…一緒にセレソンでプレーしたよ。マルキーニョスとGKのエデルソンとは世代別でやっている。ガブリエルジェズスはパルメイラスでね」。懐かしむようにつぶやいた。だが、声を大きくしたのはチチ監督の名前だった。

 レアンドロ チチ監督になってから、見違えるほど変貌し、ブラジルの力強さを取り戻したと思う。よく言われるのが、先発だけじゃなく、ベンチ、ベンチ外の選手までも尊敬を抱かせる監督だということ。「選手の頭の中くらいに入って心臓を動かせる監督」なんて表現もされている。国のためはもちろんだけれども、一番身近な監督のために頑張る。全員がフォアザチームの精神で、組織力の中で個が台頭していく状況をつくり出しているのではないかと思う。

 選手の招集も欧州主要リーグだけでなく、世界各国で活躍する選手に目を光らせている。当初はサッカー発展途上国でプレーする選手のコンディションに疑問を持つ声もあったが、結果を出して一掃。今回も北京国安レナトアウグストや、昨季まで広州恒大でプレーしたパウリーニョらが主力を形成している。

 レアンドロ 信念を持って選び続けて結果を出し続けたし、選手からも信頼を得た。昔であれば中東やアジアに移籍したら代表は諦めていたが、今はチャンスも生まれるようになった。私もその目標をしっかり持っていたいし、代表の扉は開いていると思う。そのためには鹿島で結果を出し、タイトルをとりたい。

 日本代表のW杯出場も喜び、母国との対戦も楽しみに待つ。

 レアンドロ 当然ながら個の比較をすると差がある。でも、必ずしも勝つ確率の高いチームが勝つわけではないのが現代サッカー。日本代表も全員の一体感と、勝ちたい気持ちが大事。もしブラジル代表がバラバラになっていたら、チャンスはあるかもしれないよ。

 ◆レアンドロ(本名ウェベルソン・レアンドロ・オリベイラ・モウラ)1993年5月12日、ブラジリア生まれ。11年にグレミオでプロ契約。パルメイラス、サントスなど強豪クラブで主力となり、17年に鹿島へ期限付き移籍。13年4月の国際親善試合ボリビア戦で代表初出場初得点。177センチ、76キロ。

鹿島レアンドロが王国語る セレソン変えたチチ偉大

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