鹿島の元ブラジル代表MFレアンドロ(24)が、10日に日本代表と対戦するブラジル代表の強さに、昨年6月に就任したチチ監督(56)の求心力を挙げた。南米予選6位の低迷状態から、FWネイマール(パリサンジェルマン)らスター軍団がフォアザチームの精神でまとまり、世界最速でW杯ロシア大会切符を獲得。V字回復した王国の現状を聞いた。【取材・構成=鎌田直秀】
MFレアンドロが記者が開いていたパソコンを凝視した。日本戦に臨むブラジル代表メンバーをチェック。「ネイマール、パウリーニョ…一緒にセレソンでプレーしたよ。マルキーニョスとGKのエデルソンとは世代別でやっている。ガブリエルジェズスはパルメイラスでね」。懐かしむようにつぶやいた。だが、声を大きくしたのはチチ監督の名前だった。
レアンドロ チチ監督になってから、見違えるほど変貌し、ブラジルの力強さを取り戻したと思う。よく言われるのが、先発だけじゃなく、ベンチ、ベンチ外の選手までも尊敬を抱かせる監督だということ。「選手の頭の中くらいに入って心臓を動かせる監督」なんて表現もされている。国のためはもちろんだけれども、一番身近な監督のために頑張る。全員がフォアザチームの精神で、組織力の中で個が台頭していく状況をつくり出しているのではないかと思う。
選手の招集も欧州主要リーグだけでなく、世界各国で活躍する選手に目を光らせている。当初はサッカー発展途上国でプレーする選手のコンディションに疑問を持つ声もあったが、結果を出して一掃。今回も北京国安レナトアウグストや、昨季まで広州恒大でプレーしたパウリーニョらが主力を形成している。
レアンドロ 信念を持って選び続けて結果を出し続けたし、選手からも信頼を得た。昔であれば中東やアジアに移籍したら代表は諦めていたが、今はチャンスも生まれるようになった。私もその目標をしっかり持っていたいし、代表の扉は開いていると思う。そのためには鹿島で結果を出し、タイトルをとりたい。
日本代表のW杯出場も喜び、母国との対戦も楽しみに待つ。
レアンドロ 当然ながら個の比較をすると差がある。でも、必ずしも勝つ確率の高いチームが勝つわけではないのが現代サッカー。日本代表も全員の一体感と、勝ちたい気持ちが大事。もしブラジル代表がバラバラになっていたら、チャンスはあるかもしれないよ。
◆レアンドロ(本名ウェベルソン・レアンドロ・オリベイラ・モウラ)1993年5月12日、ブラジリア生まれ。11年にグレミオでプロ契約。パルメイラス、サントスなど強豪クラブで主力となり、17年に鹿島へ期限付き移籍。13年4月の国際親善試合ボリビア戦で代表初出場初得点。177センチ、76キロ。
鹿島レアンドロが王国語る セレソン変えたチチ偉大