日刊鹿島アントラーズニュース

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2019年4月30日火曜日

◆「強くていやらしい鹿島」はどこへ。 内田篤人の不在が響く勝負勘の乱調。(Number)



伊藤翔 Sho.Ito


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 鹿島サポーターからのブーイングが止まらない。

 平成時代最後のリーグ戦、鹿島アントラーズは横浜F・マリノスに2-1の逆転負けを喫して5位から9位に順位を落とし、首位FC東京との勝ち点差を9に広げられた。

 それにしても、スコア以上に内容に大きな差があった。

 シュート数はF・マリノス16本に対して鹿島は5本。鹿島が良かったのは先制点を奪った一瞬だけ。何度かカウンターを仕掛けるも精度を欠き、ゴールを奪えない。F・マリノスの攻撃に対応するのに体力を奪われ、後半はほぼ自陣での試合になった。

 強く、いやらしい鹿島はどこに行ったのか――。

「相手を引きこんで守って、カウンターで点を取るのが今日の狙いでした」

 右サイドバックとして出場し、キャプテンマークを巻いた永木亮太は、そう言った。

 重心を低くした守備ブロックを敷いて自分たちの前に餌をまき、相手を引き込んでボールを奪い、カウンターで仕留める。それはF・マリノスのようなチームと対峙するには理にかなった戦術だった。

安西の先制点、鹿島ペースかと思いきや……。

 実際、前半はこの戦術がうまくハマっていた。

 前半11分にカウンターから安西幸輝がゴールを決め、先制点を奪って優位に展開していたのだ。

 強い鹿島を知る人であれば、これで完全に鹿島ペース、いや鹿島の勝利だとさえったはずだ。1-0になってからの戦い方が鹿島は抜群にうまい。相手の攻めをいなし、時には泥臭く守って勝ち点3を手にする。圧倒的な勝ち方ではないが、そうしてのらりくらり勝っていくところに鹿島の強さがあった。

 ところがF・マリノス戦は、1点リードをしているのに余裕が感じられなかった。1-0からの試合の進め方がチームの中でいまひとつ徹底されていなかったのだ。

キャプテンマークを巻いた永木の見解。

 伊藤翔は「前半はこれでいいと思っていた」と手応えを感じていたという。だが、永木の見方は少し異なっていた。

「早い時間に点が取れたんで、もう少し流動的にボールを動かしながら前でタメを作って攻撃したかったです。前に相手のスペースが空いていたんで、そこに行きたい気持ちは分かるんですけど、攻撃が単調に終ってしまうシーンが多い。それ(前後に行き来する)をやっているとどんどん疲労がたまってきてしまう。もっと落ち着いてボールを回す時間があっても良かったかなと思いました」

 0-0の時点では戦術通りに試合を進められたが、リードしてからもう少しフレキシブルな対応ができれば、サイドハーフの負担が軽減されると永木は見ていたのだ。

 また、1失点目のシーンは意思統一が欠けていた。

 それまでGKは前線を狙って蹴っていたが、この失点の時はGKから犬飼智也にパスが出て、最終ラインからボールをつなごうとした。だが、サイドの安部裕葵に入ったところを3人に囲まれ、苦し紛れに出したパスを喜田拓也に拾われてそのまま失点につながった。

「この時間帯、うしろから回していくというか、ポゼッションするところではなかった。ワン(犬飼)だけじゃなく全員の意思統一が出来ていなかった」

 2点目もラインコントロールの遅れのミスから背後を突かれ、逆転された。2点とも鹿島らしからぬ失い方だったのだ。

内田離脱中は、誰が旗振り役に?

 また、ボールの出し手と受け手のタイミングが合わず伊藤が孤立、全体的にミスも多かった。永木は「基本的な技術が鹿島は高いけど、ちょっとあれっていうシーンがあった。簡単なミスが多いんで余計な体力を使ってしまう。そこは個々が考えてやっていかないといけない」と渋い表情を見せた。

 鹿島の強さは技術の高さもさることながら、ピッチ上で相手の出方や自分たちの状況を判断して戦い方を変えられるところだ。その旗振り役が例えば昨年引退した小笠原満男だったし、今でいえばドイツから戻ってきた内田篤人だ。そうして試合の流れを読める主力選手の声でチームは動きを変えるのだが、今はその内田がケガで離脱中だ。

「鹿島に怖さはなかった」

 ピッチ上でコントロールできる選手が不在の上に、選手交代も後手を踏んだ。

 前半は守備重視でプレスを掛けてカウンターを狙うため、中盤にブラジル人選手ではなく連動して守れる白崎凌兵、安部、土居聖真を置いたのは効果的だった。だが、守備にエネルギーを使っていた白崎と安部は、後半に入るとかなり疲弊していた。安部が交代したのは後半29分、白崎が交代したのは後半37分だった。

 後半、マリノスは点を取るために前掛かりになっていたので、2点目を奪い、試合を決めるためには、もう少し早い時間にレアンドロとセルジーニョを入れる選択肢もあったはずだ。直線的なスピードがある彼らの方がカウンターには適している。少なくとも、同点にされた時点で交代があってもよかった。

 試合後、F・マリノスの三好康児が「終始、鹿島に恐さはなかった。逆転できると自信を持って戦えた」と語ったが、相手にまったく恐怖感を与えられずに負けているのも鹿島らしくないだろう。

 思い返してみると、鹿島は昨年も9節まで3勝4敗2分で波に乗り切れていなかった。前年と同じことを繰り返していることも、どうにもらしくない。

「今はうまくいっていない。これで公式戦2連敗だけど、3連敗は許されない。もう後がないくらいの気持ちで試合に出ている選手はやっていかないといけない」

 永木は厳しい表情でそういった。

“いやらしい鹿島”を取り戻すには?

 試合後、水の入ったペットボトルを数本持ち、ピッチ前に出て戦った選手を待っていたのは曽ヶ端準と遠藤康だった。鹿島の伝統を知るベテランが、そういう姿勢を見せているところに救いがある。

 永木も試合終了間際、レアンドロをついた天野純を押し返すなど仲間思いの熱いところを見せた。その永木を含め、「チームのために」という意識が高い2人を起用するなり、何かしら“変化”を打ち出していくべきだろう。

 攻撃の形が作れない、複数得点を取れない、小さなミスが多い、大事なところで意思統一ができていないなど課題は多い。

 1-0で粘り強く勝ち切るいやらしい鹿島を選手は取り戻すことができるか。

 いつも鹿島は選手の力で立て直してきた。今度も選手の力が問われることになる。




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FOOTBALL PEOPLE 小笠原満男特集号 レジェンドの物語。〜鹿島アント...


【ベスト11選出理由】
 常勝を志向してきた鹿島ゆえ、タイトルを獲得したチームにいかに貢献したか、その功績を重視しながらベスト11を導き出した。監督は在任5年で6冠を手にしたオリヴェイラを推す。
【鹿島アントラーズの平成史】
 住友金属工業蹴球団を母体とする鹿島のクラブ創立は平成3年、つまり91年の10月だ。Jリーグ創設時の「オリジナル10」では唯一JSL(日本サッカーリーグ)2部からの参加で、チーム力がもっとも不安視されていた。そんなクラブを牽引したのが世界的なスーパースターのジーコだった。
 徹底的に勝負にこだわり、クラブの結束力を重視するジーコイズムが血となり、肉となり、的確な戦力補強も相まってJリーグ初年度はファーストステージの王者に輝く。96年にJリーグ初優勝を果たすと、18年のACL初制覇まで他の追随を許さない通算20冠を数えてきた。

 これまでに成し遂げてきたのは、いくつもの“史上初”だ。00年に国内3大タイトルを総なめ、07年からはJ1で3連覇の偉業を果たし、16年にはクラブワールドカップで準優勝と、歴史の扉を開いてきた。
 それでも選手を含めた関係者が一向に満足した様子を見せないのが、このクラブの伝統だ。時代の流れとともに監督や選手が入れ替わっても、掲げる目標は「全てのタイトルを獲りにいく」。脈々と受け継がれてきたジーコイズムは、今もしっかりクラブに息づいている。
取材・文●小室 功(オフィスプリマベーラ)

『サッカーダイジェスト』5月9日号(4月25日発売)では、Jリーグ厳選20クラブの平成30年史を特集。番記者が選んだ「平成ベストイレブン」のほか「平成5大ニュース」「名勝負ベスト3」などをお届けする。




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◆先発復帰でさすがの存在感も…鹿島MF三竿「今日は自分の責任」(ゲキサカ)






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[4.28 J1第9節 横浜FM2-1鹿島 日産ス]

 昨季終盤に発症したグロインペイン症候群の影響で出場時間を抑えていた鹿島アントラーズMF三竿健斗が、待望の今季初先発を果たした。持ち味のハードタックルと読みの良いインターセプトはこの日も健在。それでも追加点につながる決定機を逃し、「自分の責任」と敗責を背負った。

 AFCチャンピオンズリーグ(ACL)では3試合に先発していたが、J1リーグ戦は試合中盤以降の起用が続いていた三竿。この日は今季8試合目の出場にして、初めてキックオフのホイッスルをピッチ上で迎え、立ち上がりから安定したパフォーマンスを発揮していた。

 ところが1-1で迎えた後半32分、途中出場のFWレアンドロがペナルティエリア右に抜け、マイナス方向への折り返しに反応した三竿だったが、シュートはGK朴一圭がストップ。その5分後に相手の勝ち越しゴールが決まったことで、後悔が募った。

「あれくらいできないと上には行けないし、僕が出ている意味はボールを奪うところ、チームを安定させるところ、勝たせるところ。あとはあのシュートを決めるところだけだったので今日は自分の責任」(三竿)。

 守備では横浜FM対策に取り組んだことで「前よりも守備の形はうまくなっていると思うので、たとえ負けたとしてもこれから先もやり続けることが大事」とポジティブな指摘も。それだけに「完全にあの場面で点を決めていればゲームが終わっていたのでそれは力不足」と最後まで自らに責任を向けた。

(取材・文 竹内達也)


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