日刊鹿島アントラーズニュース

Ads by Google

2024年9月27日金曜日

◆“ジーコ・スピリット”の継承者 鹿島一筋20年…電撃移籍を決断させた感動の一言とは?【インタビュー】(FOOTBALLZONE)






「“ジーコ・スピリット”は一言では言い表せないですけど、勝利に対する執着心は分かってもなかなか言動で示すのは難しいし、パワーもいる。それを1年間通してやっていくことは、並大抵のことじゃ成し遂げられません。それを成し遂げたからこそ今の自分があるというか、成長させてもらった。勝っていようが、負けていようが、引き分けていようが、試合終了の笛が鳴るまで諦めずに戦うというのは、中学生年代から口酸っぱく言われてきました。日々の練習から力を出し切り、どんな状況でもチームの勝利のために行動する。アントラーズのおかげで、今の土居聖真があります」


【参考】1回目はこちら


全文はこちらから
◆“ジーコ・スピリット”の継承者 鹿島一筋20年…電撃移籍を決断させた感動の一言とは?【インタビュー】(FOOTBALLZONE)





土居聖真が鹿島で継承した“ジーコ・スピリット”


 元日本代表MF土居聖真は今夏、プロ入りから14年間を過ごしたJ1鹿島アントラーズを離れ、J2モンテディオ山形へ移籍した。「自分にとって、アントラーズは人生そのものでした」。そう断言するほど、特別だった鹿島での時間。そのなかで、最も印象深かったことを訊いた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小田智史/全2回の2回目)

   ◇   ◇   ◇   

 土居聖真が故郷である山形県を離れ、茨城県・鹿嶋にやって来たのは中学1年生の時。ジュニアユース、ユースと鹿島アントラーズのアカデミーで過ごし、県立カシマサッカースタジアムでボールボーイを務めた経験も持つ少年は、2011年にトップチームへ昇格して“常勝軍団”の一員となった。

 土居は小笠原満男、野沢拓也、増田誓志、本山雅志ら偉大な先輩たちから学び、2014年にはレギュラーへ成長。15年からは小笠原や野沢拓也が背負った「8番」を託された。

 今年7月25日にJ2モンテディオ山形への完全移籍が発表されるまで、鹿島一筋14年でリーグ戦332試合に出場。J1リーグ優勝1回(2016年)、ルヴァンカップ優勝3回(11年、12年、15年)、天皇杯優勝1回(16年)、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)優勝1回(18年)を経験した。

 土居が鹿島で学んだのは、どんな状況でも、最後までボールを諦めずに追いかけ、対戦相手に向かって戦うこと。すべては勝利のため――、“ジーコ・スピリット“と呼ばれるマインドだ。

「“ジーコ・スピリット”は一言では言い表せないですけど、勝利に対する執着心は分かってもなかなか言動で示すのは難しいし、パワーもいる。それを1年間通してやっていくことは、並大抵のことじゃ成し遂げられません。それを成し遂げたからこそ今の自分があるというか、成長させてもらった。勝っていようが、負けていようが、引き分けていようが、試合終了の笛が鳴るまで諦めずに戦うというのは、中学生年代から口酸っぱく言われてきました。日々の練習から力を出し切り、どんな状況でもチームの勝利のために行動する。アントラーズのおかげで、今の土居聖真があります」


上田綺世からかけられた「僕が帰って来るまで引退しないでください」の言葉


 鹿島での14年間で印象に残っている出来事を土居に尋ねると、タイトル獲得の喜び以上に、偉大な先輩たちの引退が脳裏に焼き付いているという。

「やっぱり先輩方の引退は自分にとっても転機でした。先輩方は偉大すぎて、1人抜けるというのはチームにとってはすごく大きなことで、変わらなきゃいけないタイミングでした。(2018年の小笠原)満男さん、ソガさん(曽ヶ端準/2020年)、内田さん(内田篤人/2020年)の3回はチームとして難しい時期に来たなと感じました。苦楽をともにしてきたからこそ、いざ離れるのが感慨深かったというか、一緒にタイトルを獲った選手、それが1回ではなく、5回、6回となれば、いろんな重みが特別でした」

「8番」の先駆者でもある小笠原からは、改まってのメッセージはなかったという。しかし一方で、後輩である日本代表FW上田綺世(現フェイエノールト)が、2022年7月に鹿島からベルギー1部セルクル・ブルージュへ移籍する際にかけてくれた言葉が忘れられないと土居は明かす。

「満男さんは口下手なので、『頼んだよ』くらいのことしか言わないです(笑)。でも、きっと彼を超えるような選手は今後なかなか出てこない。それくらい、ピッチ内外でチームにいろんなものをもたらした選手かなと思います。印象的だったのは、上田綺世が海外に行く時に、『僕が帰って来るまで引退しないでください』と。彼が覚えているか分からないですけど、また一緒に同じピッチに立ちたいと言ってもらえて、僕の心に残っている。彼がまた日本に戻って来るまでプレーし続けたいですね」

 18歳でプロの世界に飛び込んだ土居も、今年5月で32歳になった。プロ14年目、ベテランと言われる域に入り、故郷の山形で新たなチャレンジをスタートさせたが、「『まだ若いよ』という感覚はあります」と笑い飛ばす。

「これからのキャリアビジョンは……全然考えていないです(苦笑)。32歳でまさか山形に移籍するとも考えていなかったので。1年、1日1日に意味があると思うので、本当に大事にしないといけない。毎年印象に残るシーズンにしたいし、少しずつでも山形のために何かをもたらしていければと思います」

 プレーする場所こそ変われど、土居の中に根付く“勝利のDNA”は、きっと新天地でもチームや選手たちに継承されていくはずだ。

(文中敬称略)

[プロフィール]
土居聖真(どい・しょうま)/1992年5月21日生まれ。山形県出身。鹿島ユース―鹿島―山形。J1通算332試合52得点、J2通算8試合4得点、日本代表通算2試合0得点。卓越したビジョンとセンスあふれるパスで攻撃に違いを生み出す技巧派。アカデミー時代から一筋で過ごした鹿島を離れ、故郷・山形で第2のサッカー人生を歩み出した。移籍後はDF安部崇士と一緒に過ごす時間が多いという。愛犬はヨークシャーテリアの「べにまる」。

(FOOTBALL ZONE編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)



Ads by Google

日刊鹿島

過去の記事