日刊鹿島アントラーズニュース

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2024年1月3日水曜日

◆佐野海舟が田中碧とも話し合い後半に修正「距離感が良くなり、パスのテンポが上がった」、タイ戦で初の日本代表フル出場、アジア杯メンバー入り(サカノワ)



佐野海舟


アジア・ナンバーワンを決める舞台へ「やるしかない」。


[TOYO TIRES CUP2024]日本代表 5-0 タイ代表/2024年1月1日14:00/国立競技場

 サッカー日本代表(SAMURAI BLUE)が初めて元日に試合を行った国立競技場での国際親善試合「TOYOタイヤカップ2024」のタイ代表戦、田中碧、中村敬斗、川村拓夢、南野拓実の得点とオウンゴールで、5-0の勝利を収めた。

 この試合、鹿島アントラーズの佐野海舟がボランチとして日本代表で初めて先発し、フル出場を果たした。そのあと発表されたアジアカップでも森保ジャパンのメンバー入り。11月の追加招集から、一気に飛躍を遂げている。

 前半は起点にはなるものの、タテパスなども弾かれ、タイのカウンターも何度か浴びた。佐野はミスが多かったと振り返る。

「自分自身のミスが多く、テンポだったり、リズムだったり、なかなか自分自身で作れませんでした。課題や反省がたくさんあります。(ミスは少なかったのでは?)めちゃくちゃ多かったし、前半(チームとしても)上手くいっていなかった時間が多く、そこで自分がボールを受けてリズムを作り出せればと思いました。ボールタッチの感触もよくなかったし、単純のミスも良くなかったです」

 それでも堂安律、中村敬斗が投入された後半に入ると、佐野はやや低めの位置取りながらも、より広範囲へのパスで散らし、相手にも的を絞らせず。チームとしてもピッチを広く使えるようになり、堂安→伊東純也→田中碧の先制ゴールが生まれる。そこから一気に5ゴールを奪ってみせた。

 前線の2選手を交代した後半だが、佐野自身はどのような点でより良くなったと感じたのか。

 23歳のボランチは次のように言った。

「距離感が良くなり、パスのテンポが前半よりも上がったと感じました。それを前半からやらなければいけなかったと思います」

 ボランチを組んだ田中碧ともハーフタイムに話して距離を取り合い、リズムを作り出せたそうだ。そこで「流動性やスピードもできました。そこは良かったと思います」と、その修正は奏功したと頷いた。

 中村敬斗が決めたチーム2点目。佐野が中村とのパス交換からペナルティエリア内のハーフスペースを攻略し、そのマイナスのクロスを経て決まったものだった。

「なるべく(中盤の)底でバランスを見ることを意識し、上がっていける時には上がり、ゴールにつながる攻撃参加ができたのは良かったです。(中村敬斗の得点の起点となったが)あのゾーンを狙うことを、チームとしても、個人としても意識していました。もっと回数を増やしていきたいです」

 そして佐野はアジアカップの日本代表メンバーにも選出された。この取材時にはまだ発表されていなかったが、「選ばれたらやるしかありません。自分のやるべきことは変わりません。そこをブレずに成長していきたいです」と語っていた。

 日本は14日にアジア杯グループステージ初戦、ベトナム代表と対戦する。佐野が今度はアジアの舞台でボールを奪いまくり、日本に多くのチャンスをもたらすはずだ。


◆田中碧、鎌田大地の選外で一気に期待感が高まった佐野海舟。急成長ボランチがアジアカップで求められるもの(サッカーダイジェスト)



佐野海舟


ゴールに直結する仕事も遂行


 史上初の元日での日本代表戦となったタイ戦。直後に控えるアジアカップを視野に入れ、チームの底上げが求められる一戦だった。

 代表経験の浅い選手中心の陣容で、コンディション面のバラツキもあり、前半の日本は思うようにゴールに迫れず苦戦。キャプテンマークを初めて巻いた伊東純也(スタッド・ドゥ・ランス)の圧倒的な個の力ばかりが際立つ印象だった。

 2024年の幕開けの試合で停滞した状況を続けられない。森保一監督は後半のスタートから堂安律(フライブルク)と中村敬斗(スタッド・ドゥ・ランス)を投入。堂安が中央のポジションで細谷真大(柏)や伊東と好連係を見せつつ、攻撃をテコ入れし、田中碧(デュッセルドルフ)の先制弾を引き寄せる。

 そして勝負を決定づけたのが、72分の中村のチーム2点目。この場面で光る動きを見せたのが、ボランチで先発した佐野海舟(鹿島)だった。

 中村とパス交換した彼は、機を見てペナルティエリア左奥に侵入。ボールを受けると鋭いマイナスのクロスを送った。これが南野拓実(モナコ)に通り、シュートにつながり、GKが弾いたボールを中村が押し込んだのだ。

 このシーンのみならず、佐野の縦への配球、攻撃のお膳立てへの意欲の高さは目を引いた。前半は主に中盤の底に位置してセカンドボールを拾い、組み立てることに比重を置いていたが、後半は前に出ていくシーンも増加。ゴールに直結する仕事もできた。

「バランスを見ることを意識しながら、上がっていける時は上がっていかないといけなかった。ゴールにつながる上がりができたのは良かったです」と本人も安堵感をのぞかせた。

 2023年に町田から鹿島に赴き、岩政大樹前監督に重用された佐野は、これまでボール回収力、対人守備の強さなどディフェンス面が注目されがちだった。しかしながら、11月に日本代表に初招集され、遠藤航(リバプール)や守田英正(スポルティング)ら主力ボランチ陣の攻守両面の強度、鋭さ、的確な判断、発信力を目の当たりにし、「このままじゃいけない」と意識が劇的に変化したという。

 それが今回のタイ戦に表われた。鹿島の先輩・柴崎岳を彷彿させるような攻撃的パフォーマンスを披露し、フル出場で5-0の勝利に貢献。ライバルと目された川村拓夢(広島)、伊藤敦樹(浦和)を抑えて、カタールで開催されるアジアカップのメンバー入りを果たすことに成功したのである。


本職のボランチは3人だけ




 タイ戦後に森保監督が発表した26人のリストには、タイ戦でボランチコンビを組んだ田中碧が不在。トップ下、インサイドハーフ、ボランチをこなせる鎌田大地(ラツィオ)も選外となった。代わってマルチプレーヤーの旗手怜央(セルティック)が入ったが、本職のボランチは遠藤と守田、そして佐野だけだ。

 DF陣に渡辺剛(ヘント)が加わったことで、板倉滉(ボルシアMG)と冨安健洋(アーセナル)の怪我の具合次第ではあるものの、板倉や谷口彰悟(アル・ラーヤン)をボランチに上げる余裕も生まれたのも確か。

 だが、やはり本職には本職としてタスクを確実に遂行してもらわなければいけない。佐野にかかる責任やタスクはより大きくなるのだ。

「(アジアカップに)入ったらやるしかないし、入れなくてもやるべきことは変わらない。どうなったとしても、自分がやることをブラさずに成長していきたい」と、本人は地に足を着けて取り組んでいく構えだ。

 が、万が一、遠藤や守田にアクシデントが生じた場合は、佐野がチームを担っていくくらいの覚悟と統率力が求められる。そこは偉大なキャプテン・遠藤から学ぶべきところだ。

「航さんはずっと見本にしています。ただ、自分の奪い方があると思うので、自分の像っていうのをもっともっと作っていければいい。身体が大きくない分、駆け引きで奪うところで勝負しないといけないですね。

 守備で良さを出さないといけないし、攻撃の部分でもできることを増やしていく必要があると思います」と佐野自身も語っていたが、アジアカップの約1か月間で世界基準に近づければ、森保監督も躊躇することなく、彼を大一番に送り出せるようになるだろう。

 2019年UAE大会を振り返っても、ボランチのアクシデントが続発。大会前に守田が離脱し、塩谷司(広島)を追加招集したものの、冨安を初戦でボランチ起用する事態に陥った。途中には青山敏弘(広島)が離脱。最終的には遠藤も怪我をしてしまい、決勝のカタール戦で不慣れな柴崎・塩谷コンビのギャップを突かれて敗れるという結末になっている。

 それだけボランチというのはチームの命運を左右する重要ポジション。何が起きても絶対に安定感を欠いてはならない。第3のボランチに浮上した佐野は、自身が担う役割の重みを今一度、頭に叩き込んでカタールに向かうべきだ。

 今回の代表活動に帯同した中村憲剛ロールモデルコーチから指導された「常に首を振って情報を収集しながらプレーする」ことを体得し、多彩な仕事をこなせる佐野海舟へと変貌を遂げてくれることを、大いに期待したいものである。

取材・文●元川悦子(フリーライター)




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