日刊鹿島アントラーズニュース

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2019年12月23日月曜日

◆【川本治氏 天皇杯決勝展望】神戸の“ほこ”か鹿島の“たて”か ビジャの出場が鍵(スポニチ)






天皇杯決勝   鹿島―神戸 ( 2020年1月1日    国立 )


 リーグ戦の終盤を3連勝で終えた神戸に対し、鹿島は1勝1分け1敗。第33節の直接対決は神戸が快勝しており、勢いがある。決勝は神戸の攻撃力と鹿島の守備力が勝負のポイントで、準決勝を見る限りは互角だろう。

 神戸はイニエスタがゲームをコントロールしており、前線にいいパスを出すだけでなく、この試合のように、遠めからゴールも狙ってくる。ビジャが出場すればホットラインができて決定力が増すし、古橋や藤本も生きてくるだろう。この試合の出来なら鹿島も簡単には抑えられない。逆にMFサンペールが守備で2度大きなミスをしたが、鹿島も狙うはずで、課題といえる。

 一方、鹿島はタイトルの獲り方を知っている名門だが、長崎に2失点したように、以前ほど守備の安定感はない。DFははね返す力はあるが、簡単なミスが目立ち、守備ラインの裏を突かれると弱い。ビジャが出場すると対応に苦慮する可能性もある。一発勝負はわずかなミスが勝敗を分けると思う。(スポニチ本紙評論家、元ジェフ市原強化部長)


◆【川本治氏 天皇杯決勝展望】神戸の“ほこ”か鹿島の“たて”か ビジャの出場が鍵(スポニチ)





◆小笠原満男が子供達に伝える主張力。 「違うと思うなら言葉にすればいい」(Number)



小笠原満男 Mitsuo.Ogasawara


「Eu(エウ)!」

 ピッチ上にポルトガル語が飛び交う。そこかしこで15歳のブラジル人の子どもたちが、目の色を変えて叫んでいる。

 今年8月、小笠原満男は鹿島アントラーズジュニアユースが参加したブラジルでの日伯友好カップに同行し、相手となった現地強豪クラブの選手たちに釘付けとなった。

「Eu(エウ)って、ポルトガル語で“私”という意味なんだけど、浮いたボールをヘディングで競り合うときに必死に叫ぶことで、“俺が競るんだ”っていう強い気持ちを感じた。日本だとセンターバックの選手は競れるけど、それ以外は跳んで競る振りをすることが多い。でも、ブラジルの選手たちは、攻守に渡って100%で競り勝とうとする。競り勝てば、ボールを飛ばす飛距離もある。空中戦のすごみが違った」

 根っこは、“負けない、俺がやってやる”という気持ちだ。誰もがそれを前面に押し出すがゆえ、そこかしこで激しい球際の戦いが繰り広げられる。特に競り合いにおいて、目を見張るものがあった。小笠原自身、実際に自分の目で子どもたちの主張を見て、改めてサッカー王国ブラジルのすごみを体感した瞬間でもあった。

「“俺にパスを出せよ”っていう要求がとにかくすごい。日本人だとフリーでも呼ばないことがある。そもそも、ボールを欲しがる選手がいなければ、パスも回らない。プレッシャーが早いなかで、ビビってボールを受けないで隠れちゃったり、フリーなのにもらおうとしなかったり。この差はでかい」


代表選手に囲まれた新人時代。


 小笠原自身、岩手県の大船渡高校を卒業して鹿島アントラーズに加入した当時、ライバルとなるチームメイトは、日本とブラジルの代表選手たちだった。自分という存在をアピールするために、紅白戦に出るために、試合に出るために。とにかくアピールするしかなかった。

「俺がアントラーズに加入した当時は、本田泰人さん、秋田豊さん、奥野僚右さん、ジョルジーニョ、ビスマルクをはじめ錚々たる選手たちがいた。それでも、関係なく自分が求めることを声に出した。だからかなぁ、いつも喧嘩ばかりだった(笑)」


ぶつかることによって多くを学ぶ。


 いつも、前提があった。

「自由にやっていいぞ」

 そう先輩に言われて多くのチャレンジをした。それなのに怒られる。言っていることと違うじゃん。いつもそう思っていた。

「俺自身、たくさんぶつかった。でも、今だから分かることだけど、それによって多くのことを学んだ。この時間にこのプレー、この場所でこのプレーは間違っている。そう言われ続けることで、だんだんとサッカーを分かっていった。当時はチームのことなんて一切考えず、いつも自分がやりたいことを主張していた。でもそうすることで、一つひとつサッカーを分かっていけたんだと思う」

 主張することは、自分の考えを相手に伝えること、とも言える。ブラジルの子どもたちのピッチ上での主張は、小笠原にとって自らの若かりし頃を思い出させたのかもしれない。


自分の言葉に生じる責任。


 特に前線の選手とディフェンスラインとのやりとりは激しかった。

「ラインもっと上げろよ!」

「前からプレスにちゃんと行くなら上げてやるよ!」

 ケンカや言い争いに見える口調も、一方は何くそと思いプレスをかける。一方はプレスをかけているのを最後方から見て、「やれるじゃん」とラインを上げる。お互いがお互いの主張を行動で示すことで、チームは成り立っていった。小笠原自身、その積み重ねによって、全体がより良い方向にまとまっていくのを体感し、タイトルを獲り続けてきた。

「まず言葉にしてみるのはいいことだと思う。相手に自分の考えが伝わるし、何より言った自分に責任が生まれる。それに、どうしたらチームがうまくいって、試合に勝つことができるのかを、みんなで考えるキッカケにもなる。そういうやり取りの積み重ねは、試合になれば必ず結果として出るものだから」


「間違っていてもいいんだよ」


 いつ、どのタイミングで言えば伝わるかを考えるようになったのは、「年を重ねてからだ」という。だからこそ、試合出場のために無我夢中で過ごした時期を、今改めて振り返ると正しかったと結論づける。

「自分が間違っていてもいいんだよ。違うと思ったら、まず言葉にしてみればいい。そこから次が見えてくるものだから」

 その意味で、ブラジルの子どもたちが見せた主張は、たくましく見えた。昔の自分と重ね合わせ、そっと微笑んでしまうような光景だった。


中学生を見て感じたブラジルとの差。


 勝負がかかった試合で見つけたものは、それだけではない。

「工夫する力、勝ちに持っていく力というのはブラジルの方があると感じた。日本の選手たちは、やれることを一生懸命にやっていたけど、ブラジルはカウンターでチャンスとなれば、サイドバックもボランチもゴール前に駆け込んで、人数をかけて点を取りにいく。危ない場面では、プレーを切ったり、体を投げ出してファウル気味になってでも止める。ブラジルの方がここっていうところでチャンスや危ないシーンを見極める力があった」

 何をしないといけないか、何をしたら勝てるのか。展開が流れ続けるサッカーにおいて、その瞬間の判断がゲームを左右する。

「15歳といえども、サッカーをよく分かっている。止めて蹴るはもちろん、体を張るというのは、どこのチームもやっていた。そうでないとブラジルでは生き残れないから」

 今の時代では“主張すること=わがまま”と捉えられることもある。ただ、サッカーにおいて、試合に勝つためにおいては、自らの意思を発信していかなければいけない。ブラジルで勝利のために必要なことを学ぶなか、ピッチ上で大切なものを、ふと思い出した瞬間だった。


“今まで通り”ではいけない。


「もちろん、今回参加したことでアントラーズの選手たちの成長を感じるよ。でも、止めて蹴る技術はもちろん、勝ちに持っていく力、ゴール前の質は全然違う。ブラジルの選手はゴール前では必ず勝負して、シュートまで持っていく。その技術をもって、強い気持ちで戦ってくるんだから。それを体感できたのは貴重な経験になったと思う。だからこそ、帰国したら“今まで通りに戻ってしまった”ではもったいない。この高い基準を維持し続けないといけない」

 ピッチを眺めながら、小笠原はボソッとつぶやいた。

「まだまだ日本とブラジルには大きな差があるよ」

 現役時代、誰よりも勝ちを、誰よりもタイトルを求めた男は、15歳の少年たちに純粋で揺るぎない勝利への追求を見た。


◆小笠原満男が子供達に伝える主張力。 「違うと思うなら言葉にすればいい」(Number)





◆【J1クラブ通信簿】終盤失速で3年連続のリーグV逸…故障者続出と主力流失のエクスキューズ《鹿島アントラーズ》(超WORLDサッカー!)




セルジーニョ Serginho


優勝争いから残留争いまで手に汗を握る接戦、熱戦が続いた2019シーズンの明治安田生命J1リーグ。超ワールドサッカー編集部は、J1全18クラブの通信簿(チームMVP、補強成功度、総合評価)をお届けする。第16弾は3位の鹿島アントラーズを総括!


◆MVP
土居聖真(27)
明治安田生命J1リーグ32試合出場(先発31試合)/5得点



今シーズンのMVPは土居聖真に送りたい。複数の攻撃的ポジションをこなし、あらゆるプレーが高水準の土居は、クレバーかつ臨機応変な立ち回りでチームの潤滑油に。ケガ人や夏の主軸流出でなかなか戦力が整わないチームを大いに助けた。

得点数こそ5ゴールにとどまったが、アシスト数は8つ。ユーティリティ性を生かしてケガ人続出の苦しい台所事情を支えた永木亮太も評価に値するが、育成年代から鹿島で育った背番号「8」は大きな輝きを放った。


◆補強成功度【C】


開幕前にレンタルバック組を含めて9選手を獲得。さらに、夏の移籍期間に前倒し加入の上田綺世を含む3選手を補強した。そのなかで、伊藤翔、白崎凌兵がシーズン頭から主力として稼働し、ブエノもセンターバック陣に故障者が続出した時期に補って余りある活躍を披露。途中加入組の上田も途中出場が主だったが、4ゴールという結果を残した。

ただ、今シーズン、新たな得点源として期待された伊藤においては、もっとゴールゲッターとしての役割を遂行してほしかったのが正直なところだ。シーズン序盤こそ上々の滑り出しをみせたが、調子の波が激しく、最終的に7ゴール。タイトルを狙うチームの点取り屋としては、物足りなさを残した感が大いにある。

また、シーズンを通じて故障者に泣いたサイドバックにおいて、小池裕太がその穴埋めたが定位置奪取に至らなかった。2年間の武者修行から満を持して鹿島復帰を果たした平戸太貴もサイドバックで試されたが、リーグ前半戦は1試合に出場したのみで、夏に古巣の町田へ。これが1年間を通じてサイドバックのやりくりに苦労した1つの背景となった。

そのほか、シーズン半ばに名古屋からレンタル加入した相馬勇紀は、同じ時期に海外挑戦を果たした安部裕葵、鈴木優磨に代わる新たなアタッカーとしての加入だったが、出場した5試合全てが途中出場。第23節の大分戦でこそ決勝ゴールを決めたが、柏から加入した小泉慶と共にほぼ試合に絡めなかった面を考えると、大幅な後押しとはならなかった。


◆総合評価【C】

優勝に迫っただけでは許されないのがJ最多タイトルホルダーの鹿島だ。「4冠」を目指した大岩体制3年目の今シーズンは、前年と同じ3位でフィニッシュ。第30節終了時点で横浜F・マリノスとFC東京を抑えて首位に立ち、リーグ優勝を予期させたが、ラスト4試合を1勝1分け2敗と大失速。これが大きく響いて前年と同じ3位に終わり、リーグタイトルを逃した。これにより、大岩体制は3年連続のリーグタイトル逸となった。

その要因の1つは明らかで、負傷者の多さだ。毎節のように複数主力をケガで欠いた今シーズン、1年間を通して30試合以上スタメンを張り続けたフィールドプレーヤーは31試合の土居聖真のみ。安西、安部、鈴木ら主力のシーズン途中移籍もかなり痛かったが、シーズンを通じて軸としての働きが期待された主力の大半が試合に出られ続けなかったのがチームとして誤算だった。

とはいえ、今シーズンは全体4位タイの総得点「54」に対して、総失点数は4位の「30」。いずれも前年を上回る数字(50得点、39失点)であり、悪くないではなく、むしろ向上した。ただ、12得点のセルジーニョしか二桁得点者がいなかった部分は全体トップの総得点数を武器に1リーグ制覇を成し遂げた横浜FMとの差に。勝ち切れない試合も多かった今年、伝統的な鹿島の勝負強さにも影を落とした感は多いにある。

過密日程に身を置くなかで、そうした課題も見受けられた1年だったが、全体的にみると、今シーズンは4つのコンペティション全てでタイトルに迫る成績(J1リーグ3位、ACLベスト8、YBCルヴァンカップベスト4、天皇杯決勝進出)を収めた。また、ACL出場権も手中に収めており、天皇杯に関してはタイトル獲得の可能性もある。今シーズンの苦しい台所事情を鑑みると、評価できる結果という見方もできる。

ただ、J屈指の常勝軍団と呼ばれる鹿島というクラブの性質上、優勝以外は意味を成さず、それを示すかのように、1人2役的な選手起用でやり繰りの上手さをみせ、あらゆるコンペティションで上位に導いた大岩監督の今シーズン限りでの退任が決定。他クラブであれば、合格点を与えてもおかしくない成績だが、この決断は勝利への徹底的なこだわりを持つ鹿島らしいものと言えるだろう。

とにかく、来シーズンも「4冠」を目指す戦いになり、すでにいくつかの補強に関する噂も飛び交っているが、まずはまだ今シーズンのタイトル獲得の可能性が残っている天皇杯を制することが大事になる。名門の意地を見せるのか、それともこのまま無冠に終わるのか。クラブ21個目のタイトルを手にして、来シーズンを迎えることができれば、新体制への弾みになるはずだ。


◆【J1クラブ通信簿】終盤失速で3年連続のリーグV逸…故障者続出と主力流失のエクスキューズ《鹿島アントラーズ》(超WORLDサッカー!)




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