日刊鹿島アントラーズニュース

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2019年8月1日木曜日

◆メルカリ 16億円で鹿島の経営権取得「スマート化」で常勝軍団に新たな血(スポニチ)






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 フリーマーケットアプリ大手のメルカリは30日、J1鹿島の経営権取得を発表した。鹿島が発行する株式の61・6%(約16億円)について、日本製鉄から譲渡を受けることで契約を締結。この日、都内で行われたJリーグの理事会において承認された。本株式譲渡完了後(8月30日予定)、メルカリ社から新たに経営陣を加えた新体制を公表する。

 93年の開幕からJリーグをけん引してきた鹿島が、新しい時代を迎えた。住友金属工業時代の91年に行政などとクラブを立ち上げ、30年近く筆頭株主を務めてきた日本製鉄から、経営が13年創業の新進気鋭のメルカリ社に移る。歴史に残る大きな転換点だ。鹿島の庄野洋社長は「クラブとして受け継がれてきたフィロソフィーは継承していきながら、変えるべきものは変えていく」と説明。元住金でクラブの礎を築いたジーコ・テクニカルディレクターも理解を示し、現実化した。

 求めたのは、時代を先取るための経営変革だった。年間1000万人の利用者を誇るフリマアプリ「メルカリ」を筆頭に、スマホ決済サービスなどを短期間で運営、発展させてきた同社。常勝軍団を育む強化方針には全く手を触れず、同社の技術や経営術を生かして「ビジネスをしっかりと回し、そのお金でチームを補強し、さらに常勝軍団としての地位を獲得していきたい」(小泉文明社長)との思いから、17年のオフィシャルスポンサー就任以降、深い関係が築かれていった。

 経営参画に際し、鹿島が求めた条件は、本拠地の移転をしないこと。従来通り指定管理権を持つカシマスタジアム(鹿嶋市)が本拠となる。将来的にトップチームのクラブハウスをカシマスタジアムに移転して周辺一帯を発展させる構想がある。今季スポンサー契約を結んだNTTドコモとともに、顔認証システムで入場から飲食やグッズ購入まで可能になる「スマートスタジアム化」も、テクノロジーを有するメルカリ社の経営参画でさらに加速する。J開幕以来、積み上げてきたタイトルはACL含めて20冠。新たな黄金時代へ、異業種の風を取り入れる。

 ▽株式会社メルカリ 2013年2月1日設立。主な事業はスマートフォン向けフリマアプリ「メルカリ」の企画・開発・運営。17年から鹿島のオフィシャルスポンサー。18年6月期(17年7月~18年6月)の決算で売上高は約357億円(前年度比62%増)、営業損益は約44億円の赤字。資本金は695億8700万円(18年6月末時点、資本準備金含む)。山田進太郎代表取締役会長兼CEO。




◆メルカリ 16億円で鹿島の経営権取得「スマート化」で常勝軍団に新たな血(スポニチ)





◆メルカリが鹿島買収!リーグ最多8度Vの名門を16億円で(サンスポ)






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 フリーマーケットアプリ大手のメルカリが30日、サッカーJ1鹿島の経営権取得を発表した。鹿島が発行する株式の61.6%について、日本製鉄から譲渡を受けることで契約を締結した。取得額は約16億円。メルカリ側は茨城・鹿嶋市の本拠地や使用スタジアム、クラブ名や運営方針は維持するとした上で、業界トップクラスのマーケティング力でスタジアムを変えていく方針を示した。

 突然の“買収”に、衝撃が走った。茨城・鹿嶋市に本拠を置き、リーグ最多の優勝8度など日本を代表する強豪クラブのJ1鹿島の筆頭株主が、日本製鉄(旧・新日鉄住金)からメルカリに代わる。

 この日午後6時から鹿島、メルカリ、日本製鉄の3者がそろって東京都内で会見。メルカリの小泉文明社長兼COO(38)は、「鹿島は成功の象徴。ビジネス面でチャレンジして資金を獲得し、チームを強化する」と言い切った。

 2013年創業のメルカリは、17年から鹿島のスポンサーを務めてきた。小泉氏は、父親が鹿島のホームタウンの茨城・行方(なめがた)市出身でJリーグ発足時から観戦するなど個人的な縁もあり、思い入れは強い。「鹿島のフィロソフィーは大事にしたい。大物選手の獲得も現在は考えていない」。現状の強化部門や運営などは変えず、J1神戸のような大物外国選手の大量補強などによる急速な変化は求めない方針を強調した。

 鹿島といえば、Jリーグ創世時に加入したジーコ氏(66)がコーチ兼テクニカルダイレクターを務めている。鹿島の庄野洋社長(66)は経営母体が代わることをジーコ氏に事前報告したといい、「彼も住友金属時代からいてノスタルジーもあると思うが、『いいじゃないか』と言っていました」と明かした。

 なぜ経営権譲渡に至ったのか。庄野氏は日本製鉄の前身の住友金属に入社して約30年間、クラブと関わってきた。「(鉄鋼業のような)素材産業では、Jリーグの取り巻く環境の変化に対応するのは難しい」。スポーツ専門の配信サービスDAZN(ダゾーン)が参入し、モバイル事業なども複雑化。新時代のクラブ経営を、新興のIT企業に任せることとなった。

 小泉氏は共同通信のインタビューに「日本を代表する会社になる」と宣言。知名度の高いスポーツチームの経営を通じて企業ブランドを向上させる狙いが、メルカリ側にはある。今年6月期の連結決算で137億円の最終赤字になる見通しというが、鹿島を「恒常的に黒字にできる」と自信を見せた。

 具体的には今シーズン中にスタジアム内の売店で、スマートフォン決済サービス「メルペイ」を利用できるようにすると説明。チケットのキャッシュレス化や、快適なスタジアム観戦の推進などのスタジアム改革に取り組んでいく。

 「キャッシュレス化や観戦しやすい環境、それをやるのに適しているのがメルカリさんだと信じている」と庄野氏。常勝鹿島を、さらなる高みへ。令和の新時代に、鹿島も新たな歴史を積み上げていく。(宇賀神隆)

★日本製鉄、今後も経営に関与

 これまで筆頭株主だった日本製鉄の津加宏執行役員(56)は「世界で鹿島が戦い続けるには、新しい経営に移行することが最良という結論に至った」と説明。前身の住友金属の時代から親会社としてチームを支えてきた歴史に幕が下りる形。「経営の主体はメルカリに委ねるが、今後も第2位の主要株主として経営に関与していく」と強調した。

★この日の鹿島

 31日の浦和戦(埼玉)に備えて、選手たちはいつもと同じように練習を行った。午前9時から鹿嶋市内の練習場で約1時間、公開して調整。午後は埼玉県内の宿泊施設へと移動した。

★主なスポーツチームの経営権譲渡

 ◆プロ野球ソフトバンク 2004年に経営が悪化したダイエーからソフトバンクが球団を総額200億円で買収。

 ◆プロ野球DeNA 11年にTBSHDが保有していた横浜ベイスターズ株をDeNAへ譲渡。

 ◆J1神戸 03年に母体の神戸市が民事再生法の手続きを行い、楽天社長の三木谷浩史氏が所有するクリムゾングループが引き継ぎ、14年に楽天が経営権を取得。

 ◆J2町田 サイバーエージェントが18年10月に運営するゼルビア株の80%を総額11億4800万円で取得。

メルカリ

 2013年2月1日設立。本社は東京都港区。スマートフォンから誰でも簡単に売買が楽しめる日本最大のフリーマーケットアプリを日本と米国で運営。月間利用者数は1000万人超、年間売買金額は300億円以上で、昨年6月に東証マザーズへ上場した。社名の「mercari」はラテン語で「商い」を意味する。代表取締役会長兼CEOは山田進太郎氏。

鹿島アントラーズ

 1947年に住友金属工業蹴球同好会として創部。元ブラジル代表の名選手ジーコを招いて強化を進め、Jリーグ創設に参加した。J1は2016年をはじめ8度制覇、YBCルヴァン杯(旧ヤマザキナビスコ杯)で6度の優勝はいずれも最多。天皇杯は5度制覇し、18年にはアジア・チャンピオンズリーグでアジア王者となり20冠を達成。アントラーは英語で「シカの枝角」。ホームタウンは茨城県鹿嶋市など5市。本拠地はカシマスタジアム。


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◆鹿島ホーム守りメルカリ身売り 「三方良し」の経営(ニッカン)






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フリーマーケットアプリ大手のメルカリが鹿島アントラーズの経営権を取得することが30日、決まった。

この日、親会社の日本製鉄が保有していた株式72・5%のうち61・6%を、16億円でメルカリに譲渡する契約が結ばれた。日本製鉄、メルカリ、鹿島の3社は都内で会見を開き、鹿島の今後の方針について説明した。

   ◇   ◇   ◇

新しい鹿島が誕生する。17年からスポンサーを務めてきたメルカリが、鹿島の親会社になる。メルカリの小泉文明社長は、父が鹿島のホームタウンである旧麻生町(現在は行方市)出身で、自身もJリーグ発足当時からスタジアムへ足を運んでいたファン。両社はこれまで何度も話し合いを重ねており、ホームタウンを移転せず積極的に地域貢献を行うこと、鹿島の伝統を尊重した経営を順守することなどが、経営権譲渡の決め手となった。

メルカリは6月期の連結決算で7期連続の赤字を計上しているが、これは新規事業への投資を行っているから。資金調達も順調といい、鹿島を子会社化する上で問題がないことは、日本製鉄も精査済みという。

メルカリの小泉氏も「今の経営陣が作ってきたすばらしいチームがある。これまでアントラーズを経営してきた方たちの延長線に、テクノロジーをアドオン(付加)する考え方でいきたい」と説明した。加えて「チーム強化よりビジネスの部分で回してきたい」と、あくまでかじを取るのは、ピッチ外の事象であることも強調した。

具体的に、メルカリが鹿島の親会社となることで、双方にどんなメリットがあるのか。メルカリの主要サービスであるフリマアプリ「メルカリ」やスマホ決済サービス「メルペイ」は、利用者層が20代女性だ。一方で鹿島のファン層は40代男性が多い。両者が異なる利用者、ファンを有していることで、相互の乗り入れが見込まれる。ACL王者鹿島の親会社になることは、企業のブランド力向上にももってこいだ。

一方の鹿島にとっては、メルカリのもつテクノロジーを享受できる。広告を例にあげると、実物と映像を融合させた「プロジェクションマッピング」を使った広告を打ち出すことで、これまで広告を出していなかった企業を取り付けることなどを検討しているという。小泉氏の言葉を借りれば「三方良しの経営ができる」ということだ。

今回の決定には、草創期から鹿島とともに歩み、現在テクニカルディレクターを務めるジーコ氏も理解を示したという。8月中には小泉社長が鹿島の社長に就任する見込み。スポーツ専門の動画配信サービス「ダゾーン」の参入で大きく様相を変えたJリーグが、またひとつ新しい時代に突入しようとしている。【杉山理紗】




◆鹿島ホーム守りメルカリ身売り 「三方良し」の経営(ニッカン)





◆小倉智昭氏、メルカリの鹿島アントラーズ買収に「メルカリって新興企業。若干不安がある」(報知)






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 31日放送のフジテレビ系「とくダネ!」(月~金曜・前8時)でフリーマーケットアプリ大手のメルカリ(東京・港区)と日本製鉄(東京・千代田区)がJ1鹿島の経営権を譲渡することで合意したことを報じた。

 メルカリは日本製鉄が保有していた発行済み株式72・5%のうち、61・6%を15億8800万円で取得。8月30日にも、メルカリ取締役社長兼COO(最高執行責任者)の小泉文明氏(38)が鹿島社長に就任し、新体制が発足する。

 小倉智昭キャスターは「これ、メルカリで鹿島アントラーズが買えるって、そういう話じゃないですよね」とジョークで笑わせた。今回の買収を「はっきり言ってメルカリって新興の企業ですよね。今が一番大事な時期で企業の能力を安定させないといけない時期だと思うんですが、それと鹿島アントラーズを買収することがどういう関係を持つのか若干不安がある」と指摘していた。


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◆小倉智昭氏、メルカリの鹿島アントラーズ買収に「メルカリって新興企業。若干不安がある」(報知)


◆鹿島、ざわめきの中“御前試合”でらしくないドロー(ニッカン)



伊藤翔 Sho.Ito


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<明治安田生命J1:浦和1-1鹿島>◇第16節◇31日◇埼玉

フリーマーケットアプリ大手「メルカリ」の傘下に入った鹿島は、終了間際に追い付かれて1-1で浦和と引き分けた。同社小泉文明社長が見守る“御前試合”で勝利を収めることはできなかったが、法大から加入したFW上田のJデビューという明るい話題もあった。

   ◇   ◇   ◇

ピッチ外のざわつきを、勝利で鎮めることはできなかった。後半32分、MF土居のクロスからFW伊藤のヘディングで先制したが、同43分、浦和FW興梠に同点弾を許した。FW伊藤は「こういうゲームは今年何回もある。コメントが難しい」と表情を曇らせた。

選手らは30日の昼頃クラブハウスに集められ、鹿島の庄野社長から親会社が変わることを告げられたという。試合前日に思わぬニュースが舞い込んだが、伊藤は「僕らの成績に準じて(メルカリに)変動はあるだろうし、責任の一端を担っているとは思うけど、ピッチに集中して勝つことだけを考えている」と強調。MF土居、三竿らも「どんな状況になってもピッチでプレーするだけ」と話しており、選手たちはあくまで、ピッチ内だけに集中しているつもりだ。

アウェー席を埋め尽くしたサポーターも、冷静に状況を捉えようとしていた。コールリーダーらは「実際にどうなるか分からない状況では何も言えない。変わらなければ(クラブに)何も言う気はない。(メルカリが)現場に口出しするようなことがあれば行動を起こすつもり」と、まずは静観の構え。「サポーターは応援するだけ。そこがブレなきゃいい」と話したとおり、試合後は選手が見えなくなるまでチャントを歌い続けた。

とはいえ、鹿島らしからぬ追いつかれ方をしたのは事実。ピッチの中と外は別物だが、“らしくない試合”が続くと、親会社交代の影響かと言われてしまう。集中できる環境を取り戻すためにも、勝ち続けるしかない。【杉山理紗】




◆鹿島、ざわめきの中“御前試合”でらしくないドロー(ニッカン)





◆内田篤人が「鹿島に収まる選手ではない」と安部裕葵を評した理由。バルサ加入を決意した裏にある本田圭佑の薫陶(フットボールチャンネル)



安部裕葵 Hiroki.Abe


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約3年半ぶりに来日したFCバルセロナに、鹿島アントラーズから安部裕葵が完全移籍で加入したが、負傷の影響により日本でのプレーは叶わず。イバン・ラキティッチからは「内気なところがあるように見える」と評されたが、持ち前の性格は、鹿島時代の同僚・内田篤人が太鼓判を押している。(取材・文:藤江直人)


日本でのプレーは叶わず


 用意されたのはユニフォームではなくパイプ椅子だった。スペインの名門、FCバルセロナが約3年半ぶりに来日したRakuten CUP。直前に鹿島アントラーズから完全移籍で加入し、26人のメンバーの一人として凱旋する形となったFW安部裕葵が日本のピッチに立つことはなかった。

 7月23日に埼玉スタジアム2002で行われたプレミアリーグの強豪チェルシー戦。そして、同27日にノエビアスタジアム神戸で行われたJ1のヴィッセル神戸戦。右臀部を痛めている安部は2試合ともベンチ入りを果たせず、ベンチ横に設置されたパイプ椅子に座って試合を観戦した。

 安部が予期せぬアクシデントに見舞われたのは、スペイン時間の17日午前に行われたバルセロナBの練習中だった。接触プレーで右臀部を打撲し、移籍後で初めてとなる記者会見をはさんで行われた午後の練習をキャンセルした。以来、別メニューでの調整を余儀なくされている。

 場所を神戸市内に移し、メディアには非公開で行われた25日の練習で部分的に合流した。しかし、状態が芳しくなかったのだろう。翌日にノエビアスタジアム神戸で行われた公式会見で、バルセロナを率いるエルネスト・バルベルデ監督は安部に対してこう言及している。

「昨日に少し練習をしたが、まだ痛みを感じている状態だった。(ヴィッセル神戸との)試合に出るのは難しいと思う」


言葉を覚えるのに必死


 今回のRakuten CUPはベンチ入りが28人、選手の交代枠は上限なしだった。バルセロナは26人で来日しているので、けがさえなければおそらく母国日本で、新天地の一員としてデビューを飾っていただろう。もっとも、安部は臀部の痛み以外とも必死に戦っていた。

 チェルシー戦を翌日に控えた22日にFC町田ゼルビアのホーム、市立町田陸上競技場で行われた公式練習。選手を代表して記者会見に出席した、クロアチア代表MFイバン・ラキティッチは、ツアーに同行している安部について抱く印象をこう語っている。

「彼はバルセロナに移籍してきたばかりで、まだトップチームで一緒に練習をしたことがない。それでも、バルセロナに移籍してくるということは大変いい選手だと、加わるだけの能力があると思っている。ただ、ちょっと内気なところがあるように見える。言葉の問題もあると思うけれども、ファミリーとして彼を心から歓迎しているし、一緒に質の高いプレーをして楽しみたいと考えています」

 海外志向が強かった安部は、憧憬の思いを抱くプレミアリーグでプレーする自分自身の姿を思い描きながら、アントラーズ時代から英語の勉強をスタートさせていた。しかし、バルセロナのなかで飛び交っているスペイン語は勝手が違う、未知の言語に感じられているのだろう。

「いまは言葉を覚えるのに必死です」

 安部が登録されるバルセロナBの公式ツイッターには、正式契約を結んだ直後に収録された公式インタビューが公開されている。そのなかでスペイン語と苦闘していると打ち明けた安部は、日本滞在中に応じた民放テレビ局のインタビューでも短期的な目標をこう掲げている。

「まずは年内に言葉を覚えることですね」

 スペイン語をなかなか口にしない立ち居振る舞いぶりが、バルセロナの一員になって6年目になるラキティッチの目に「ちょっと内気なところがある」と映っているのかもしれない。もっとも、苦闘はしていても、戸惑ってはいない。言葉の壁は、安部にとっても想定内だった。


ビッグクラブに挑戦する覚悟と決意


 クラブ間における交渉が合意に達した7月12日。アントラーズの公式ツイッターに掲載されたインタビュー動画で、安部はビッグクラブで新たな挑戦を開始する覚悟と決意をこう語っている。

「これから直面するさまざまな困難な壁も、自分の成長には絶対に必要なことだと信じています。鹿島アントラーズというクラブで経験したすべてを糧に、これからも一日一日、一瞬一瞬を大切にして、フットボールと向き合っていきたい」

 これまでも明確な意思をもって、サッカー人生を歩んできた。東京都出身の安部が両親の反対を押し切って広島県へ、しかも全国高校サッカー選手権に出場したことがなかった瀬戸内高へ越境入学した理由は、3年生になる2016年に広島県がインターハイ開催地に決まっていたからに他ならない。

 開催地になればサッカーの出場枠も1増の2校になる。全国の舞台に立てれば、Jクラブのスカウトの目に留まりやすくなる。2010年から4年連続でインターハイに出場し、選手寮も完備していた瀬戸内高は最適の環境であり、青写真通りに安部は地元開催のインターハイのピッチに立った。

 しかも3ゴールをマークしてチームをベスト8に導き、大会優秀選手にも選出された。そして、身長171cm体重65kgの体に搭載された、トリッキーなドリブルを含めた攻撃的なセンスが、他の選手を視察するためにたまたま会場を訪れていたアントラーズのスカウトの目に留まった。


内田篤人が太鼓判を押した理由


 常勝軍団の一員になっても、安部は稀有な存在感を放ち続けた。ピッチのなかにおける象徴的な事例が2年目の昨季に獲得したJリーグベストヤングプレーヤー賞ならば、ピッチの外では2018年1月に約7年半ぶりに復帰した元日本代表DF内田篤人への接し方となる。

「海外から帰ってきた選手から、吸収しなければいけないものはたくさんあるので。だからこそ、積極的にコミュニケーションを取りたかった」

 他の若手選手たちがそろって遠慮がちになり、内田と距離を取っていたなかで、臆することなく話しかけてきた安部の姿勢が頼もしく映ったのだろう。ドイツで培った濃密な経験をあますことなく伝えてきた内田は、笑顔を浮かべながら安部の将来に太鼓判を押したことがある。

「自分から吸収しようという意欲を感じるよね。もちろん技術も高いし、能力もある。性格的にもこのチームで収まる選手ではない、と個人的には思っている」

 アントラーズの一員として迎えた3年目の夏。かつて神様ジーコや貴公子レオナルド、森保ジャパンで司令塔を担う柴崎岳(現デポルティボ・ラコルーニャ)らが背負った栄光の「10番」を託されてからわずか半年あまりで、図らずも内田が予想していた旅立ちの時が訪れる。

「たった2年半でしたけど、僕が高校生のときを考えたら、いまの状況なんて考えられない。(中略)何があるかわからないので(どれくらい)時間(がかかるか)はわからないけど、いまの自分が想像できないような立ち位置にいるために、日々努力して成長しようと思っています」

 前出のアントラーズの公式インタビューで未来をみすえた安部のもとへ、バルセロナからオファーが届いたのは森保ジャパンの一員としてコパ・アメリカ2019に挑む直前だった。望外の展開に最初は驚きながらも、すぐに移籍への決意を固めたことを同じインタビューのなかで明かしている。

「皆さまのサポートや声援、チームメイトやスタッフがいて、このタイミングで海外移籍という、チャレンジするチャンスを与えられたと思っています。(中略)一生のなかでこういうタイミングというものは何回来るかわかりません。(中略)チャレンジする、ということ以外の選択肢はありませんでした」


影響を受けた本田圭佑の人生哲学


 元日本代表MF本田圭佑の代理人を務める、実兄の本田弘幸氏が代表取締役を務めるマネジメント会社、株式会社HEROEのクライアントに、安部が名前を連ねたのは今年3月ごろだった。もっとも、本田兄弟との直接的あるいは間接的な出会いは、安部の中学生時代にまでさかのぼる。

 中学時代の安部は、東京都清瀬市を活動拠点とする帝京FCジュニアユースでプレーしている。そして、3年生へ進級する直前にチームは本田のマネジメント事務所HONDA ESTILOの傘下となり、クラブの名称もS.T. FOOTBALL CLUBへと変わっている。

 HEROEのグループカンパニーにHONDA ESTILOが名前を連ねていることからも、安部と本田、そして弘幸氏のつながりが伝わってくる。もっとも、安部自身はチーム名称が変わる以前から、本田が歩んできた独自のサッカー人生や貫いてきた人生哲学の薫陶を色濃く受けてきた。

 帝京FCジュニアユースの指導者が本田と懇意にしていたこともあり、本田イズムを幾度となく聞かされてきた。そのなかで最も印象に残っているのが、本田がよく口にするビッグマウスの理由だ。ぶれない生き様に倣いたい、という思いを込めて、安部はこんな言葉を残したことがある。

「とにかく夢をもって、それを周囲に言って、逃げ道をなくす。素晴らしいことだと思いましたし、同時に強い人間じゃなければできないことだと思いました」

 本田自身が練習場に足を運び、安部を含めたS.T. FOOTBALL CLUBの子どもたちへ「夢をもて」と檄を飛ばしたこともあった。連覇を達成した2018/19シーズンを含めてラ・リーガ1部を26度、UEFAチャンピオンリーグを5度制している名門へ挑むことは、大きな夢をかなえるための第一歩となる。


指揮官はチャンスがあると話す


 もちろん、生半可な覚悟では通用しないことは、誰よりも安部本人が理解している。リオネル・メッシやルイス・スアレス、フィリッペ・コウチーニョらコパ・アメリカ組が不参加だった今回のRakuten CUPには、安部を含めてバルセロナBから9人の若手選手が帯同している。

 そのなかでも19歳のMFリキ・プッチや、21歳のFWカルレス・ペレスの両アタッカーが積極的な仕掛けを何度も見せた。特に後者は後半から出場したヴィッセル戦で2ゴールをあげて勝利に貢献したが、トップチーム定着に必要な要素を問われたバルベルデ監督は、あくまでも冷静にこう答えた。

「彼らは非常によくチームにフィットした。しかし、本当にシーズンが始まったときに、彼らのようなカンテラ出身の選手が上がってくる可能性もあるし、彼ら以外の選手にもチャンスがあるだろう」

 バルセロナの公式サイトによれば、安部との契約期間は4年間。バルセロナから他のチームへ移籍する際の契約解除金として、2年間のバルセロナB在籍中は4000万ユーロ(約48億4500万円)が、トップチームに昇格している場合は最大1億ユーロ(約121億円)が設定されている。

「(自分は)とても器用なので、サッカーや生活面にもすぐに順応できると思います。僕のサッカー人生は基本、攻撃をずっとやってきたので、ゴールという目に見える形で貢献したい。(中略)個人としても日本人の代表としても、成長するために自分自身へ責任をもってやりたい」

 前出のクラブの公式インタビューで、安部はポジティブな視線を未来へ向けている。挑まなければ何も始まらない。まずは臀部のけがをしっかりと治し、8月25日に開幕予定の3部にあたるラ・リーガ2部Bの戦いへ向けて、金の卵たちが集うバルセロナBでの戦いへ向けたスタートラインに立つ。

(取材・文:藤江直人)

【了】




◆内田篤人が「鹿島に収まる選手ではない」と安部裕葵を評した理由。バルサ加入を決意した裏にある本田圭佑の薫陶(フットボールチャンネル)





◆内田篤人が鹿島で新たに抱える悩み。 「やってないと発言権ってないよな」(Number)






フットボールサミット サッカー界の論客首脳会議 第16回 それでも「内田篤人」が...


  クラブ史上における、一大転換期を迎えている鹿島アントラーズ。経営権がどこに移っても、主力が大量に移籍してしまっても、内田篤人をクラブに関わる皆が待ちわびているということに変わりはない。

 新旧の経営陣だって、海を渡った若手たちだって、内田の全力の、全開のプレーを早く見たいという思いは、だれもが持っているはずだ。

 あらためて振り返ると 、内田は昨季いっぱいで引退した小笠原満男のあとを引き継ぎ、今季から主将に就任した。サッカースタイルにおいてもそうだが、過去からの一貫性、連続性を重んじるというのが鹿島のカラーであるように見える。

 主将になるといっても、本人がなりたいからなるというのではなく、周囲からそのカラーの守り手として認められて引き継ぐというものだ。だから、精神的な重さが他チームのそれよりも重いのではないかと思う。

 ただ、役割を担ったは良いが内田はここまで、Jリーグでは出場4試合、ACLではベンチに2度入っただけだ。

 3月30日に行われた磐田戦での接触により、再び右ひざを負傷した。当初はもう少し早い時期での復帰が予想されていたが、その期待をよそに時間はかかり、7月に入ってようやく全体練習に合流。7月29日に紅白戦で初めてプレーできたばかりという段階だ。夏明けごろの公式戦復帰を目指すのだという。


怪我をするたびに思うんだけど。


 紅白戦に入った感想は、

「うーん、ま、こんなもんかな」

 というところだったという。そんな風にあっさりしているのはいつもの内田だ。

 ただ、やはり負傷離脱には忸怩たる思いが常につきまとう。

「怪我をするたびに思うんだけど、チームを離れたくないなって。(監督・大岩)剛さんも(強化部長・鈴木)満さんも、“何をしてるんだ”って思っているだろうし、なによりいつも一緒にやってないと、周りに思ったことを強く言えないんだよね。監督とかスタッフはそれでも周りに言ってくれ、っていうんだけどねえ……」


今の俺に文句言える人って……。


 ドイツで7年半プレーし、鹿島に復帰するにあたって内田に求められたのは欧州トップレベルでの経験の還元でもある。それなのに、怪我をしてピッチを離れていてはチームメイトを見ていて思うことがあっても強く言えない。

 これが海外にいれば違う。おもしろいことに外国人選手は、自分が思ったことであれば立場などどうであっても、思ったことをどんどん口にする。ただ、日本ではそうではない。

「リハビリやっててさ、若い奴らと練習してたりするとさ、やっぱり紅白戦とかちゃんとやってるやつじゃないと発言権ってないよな、って思うんだよ」

 プレーができないだけでなく、具体的なアドバイスはおろか思いも伝えられない。

 自分の発言にどうしても慎重になってしまう。それは立場が強いからでもある。年長者であり、主将であり、圧倒的なキャリアを誇る先輩なのだ。

「今の俺に文句言える人っていないんだよね。わがままを言えちゃう。だからその分、気をつけないと。もし俺が若手だったら『何言ってんだ、お前』って(先輩に)言ってもらって、それで終わりだと思うんだけど、そうもいかないしさ」

 過去にはない悩みが1枚上乗せされている感じである。


いっつも難しいところを怪我する。


 今回の膝の負傷は、予想以上に重かった。右ひざや周辺の骨や靭帯の複数箇所を同時に痛めた。

「ドクターからさ、いっつも難しい、症例の少ないところばっかり怪我するって言われるの。もっと簡単なところ怪我すればいいのに、って」

 といって笑う。そういった治療の難しい箇所のけがだからこそ、復帰まで毎回長引くのだと思うと本来は笑えることではないのだが、どうにもならないことは笑ってしまうのが内田だ。


試合をしなきゃうまくならない。


 今後の方針は、明確だ。

「練習で怪我をしたくない。このキャリアになって、もう練習を100%の力でやってうまくなるっていうことはないし、試合をしなきゃうまくならない。

 だから練習では怪我をしないようにして、コンディション調整はチームとは別にやって、試合にもっていけるようにっていう感じ。剛さんも『できるだけチームから離れないで』って言ってくれるからさ」

 現役選手はピッチにたってこそ、でもある。苦しいのは本人だが、それでも「もがいているし、もがきたい」のが内田なのだ。

 右サイドを駆け抜ける姿を想像しつつ、夏が明ける頃を待ちたい。




◆内田篤人が鹿島で新たに抱える悩み。 「やってないと発言権ってないよな」(Number)





◆移籍組の犬飼智也は実感。 鹿島は「型」はなくても「コミュ力」がある(Sportiva)



犬飼智也 Tomoya.Inukai


二十冠 アジアの頂、世界の壁。鹿島アントラーズ激闘録 (ELGOLAZO)[本/...


遺伝子~鹿島アントラーズ 絶対勝利の哲学~(46)
犬飼智也 前編

「法政大の長山(一也)監督から、『話があるので時間を作ってくれないか』と連絡があったんです」

 鹿島アントラーズの強化部長・鈴木満が、スカウト担当の椎本邦一から、そう声をかけられたのは、6月下旬のことだった。今年2月、2021年の加入内定を発表していた法政大学3年の上田綺世は、日本代表の一員としてコパアメリカを戦っている最中だった。

 代表チームに合流する直前、上田は「コパアメリカ、ユニバーシアードが終わったら、サッカー部を退団して、鹿島へ行きたい」と長山監督に相談を持ちかけていた。「そんな上田の意向が実現可能か」という打診を受けた鹿島サイドが拒否する理由はなかった。上田のポテンシャルを高く評価していた。それでも「うちから、大学のサッカー部をやめてプロにならないかと提案することはできない」と鈴木は語っている。それが鹿島の流儀だからだ。選手自身と大学側がプロ入りを決断する。それは、ありがたい申し入れだった。

 そして、7月26日、プロ契約が行なわれ、その記者会見上で、上田は自身の決意について語った。

「この決断に至るまでに半年かかりました。内定を決めたときに大学サッカー部を退部し、鹿島へ行くことも考えていた。でも、法政大でできることが(まだ)あるとも思った。そしてこの半年間、法政大でやることはやりきった。大学生として、コパアメリカのメンバー、日本代表に入れたことがきっかけになった」

 送り出す長山監督にとっては苦渋の選択だったに違いない。

「チームとしては、戦力ダウンになる。痛いところはあるけれど、上田はここ2年くらいですごく成長をしていて、その成長曲線をとどめることはできない。大学サッカー界では突き抜けた存在になった。上田がより成長するための環境を整えるのも指導者として大事なことだと考えました」

 受け入れる側の鈴木は、長山監督の気持ちを痛いほど理解できる。この夏、鈴木優磨、安西幸輝、安部裕葵と1週間で3人の選手を海外のクラブへと送り出した。

「代表へ行ったりして、高いレベルを体感すれば、選手が自身の環境を変えたいと考えるのは当然のこと。欧州でプレーする選手を身近に感じれば、僕も欧州でという気持ちを止めることはできないから。ジーコとも話をしていたんだけれど、ブラジルのようにどんどん、欧州へ選手を送り出しても、勝ち続けながら、また育成し続けていくしかない。これは世界のサッカーの流れだから。現有戦力の伸び代に期待する部分は大いにあるけれど、それだけでは厳しいという現状もある。現在のチーム編成を考えたとき、上田という即戦力を獲得できたのは、非常に嬉しい」

 6試合負けなしで上位争いを続けるリーグ戦、そしてACL、ルヴァンカップ、天皇杯とタイトルを賭けた試合が続くシーズン後半戦。鹿島がいかに上田の成長を促せるのか? 上田自身もまた新たな環境で飛躍できるのか? 確約できることは何もないが、秘められた可能性が大きいことは間違いないだろう。



 2018年シーズン。犬飼智也が清水エスパルスから加入した当初、彼の第一の目標は、日本代表の昌子源、植田直通からそのポジションを奪うことだった。そしてシーズン途中に植田がベルギーへ移籍し、ワールドカップ後は昌子も負傷で長期離脱。夏に新加入したチョン・スンヒョンと共に、リーグ戦、ルヴァンカップ、ACLという過密日程を戦った。昌子がフランスへ移籍した今季は、”不動”のCB(センターバック)として欠かせない選手となっている。





 しかし、鹿島で試合に出始めた当初は、失点につながるミスも少なくなかった。それでも試合を重ねることで、安定感を身につけていく。その様子には犬飼のポテンシャルの高さはもちろん、選手を成長させるチームの空気が感じられる。

 所属選手の海外移籍へのスピードが加速するなかで、移籍で獲得した戦力をいかにチームに馴染ませ、勝ち点を得ていくか。そこには戦術で選手を縛るというより、相手に合わせて選手の持ち味を活かす鹿島の強みがあった。

――移籍して1年半が経ちました。

「変化はたくさんありました。試合に出よう、ポジションを奪ってやろうと思って加入して、1年目はなかなかそれができず、もどかしさもありました。出場機会もありましたが、結局シーズン終盤には試合に出られなくなった。自分の力のなさを痛感しましたし、同時にそのときの悔しさがあるので、今につながっているんだと思います」

――昨シーズン、少しずつ試合に出始めたとき、ミスが失点につながったりと、苦しいスタートだったと思うのですが。

「そうですね。移籍した当初は、(清水エスパルスから)松本(山雅)へ行ったときもそうだったんですが、環境が変わった時に気負うというか『やってやろう』という気持ちが強く出るタイプなので。そういう感じがあったんだと思います」

――誰もがそういう気持ちになりますよね。しかも鹿島のCBといえば、秋田豊さんから始まる錚々たる元日本代表のOBがいます。「鹿島のCB」という看板も重かったのではないでしょうか?

「周りから『鹿島のCB』という見られ方をするというのは、理解していました。それに応えたいという気持ちもあったと思います。でも、僕と先輩たちとはプレースタイルもまったく違う。だから今は、自分の良さやいいところを出そうと考えるようになりました」


――ある種の開き直りというか、背伸びをし過ぎるのではなく、「自分に今できることをしっかりとやるだけだ」というような気持ちになっていくと。

「毎週末試合に出続けるというふうになれば、試合に挑む気持ちも変わってきます。でも、やっぱり、開き直るというのはプロには必要だと思います。開き直るというか、現実的に自分が今できることを見極めて、自分自身でミスに対して向き合って、それを解決していく姿勢が大事なんだと思っています」

――たとえば、試合には勝ったとしても、ご自身のプレーに満足できない、という毎日だったと思うのですが、チームに加入した直後、そういう葛藤を癒してくれる存在もまた力になりますよね?

「そうですね。よくないプレーに対してチームメイトとも話します。鹿島はミスに対して選手個人に引きずらせないチームなんですよ。誰がどうだった、ダメだったというんじゃなくて、改善するための話をみんなでします。普通にミスをイジってもきますし(笑)。本当にいいクラブだなと思います」

――ミスをしてしまった人間にとっては、イジられたほうが、気持ちが楽になることは多いでしょうね。鹿島には、ピッチ上で選手たちが試合に応じた修正を施す力があると思うのですが。同時に戦術という型に嵌(は)めた戦い方をしていない印象があります。

「そうですね。そういう形というのは、もしかしたらJリーグの中ではもっとも持っていないかもしれません。この鹿島というクラブは、自分たちがうまくいかないときに、戦術のせいにすることはないと思います。うまくいかなかったら、やり方がどうなのかという部分はありますけど、全体というよりも、1プレーとか、前半嵌(はま)らないときに、『どうするのか』と、細かい話をピッチのなかでする回数が、断然多いと思いますね。もちろん戦前のミーティングで監督からの指示はあるし、要所要所で監督が教えてもくれます。でも、自然と選手たちから声が出るので。やっぱりやっている本人たちが一番わかっているから、選手間で話す回数は多くなりました」

――ただ「話す」だけじゃなくて、コミュニケーションスキルの高さも求められるんじゃないですか? 特にCBというポジションは。

「やっぱり、CBはそこが大事だし、自分から発信することの重要性は意識しています。清水や松本時代にもそこはやっていたとは思いますけど、経験を積んで、言えることやゲームの見方も変わってきているし、そのうえで鹿島でプレーしていることで、コミュニケーションスキルは、自然と伸びると思います。勝つためにやらなくちゃいけないし、しゃべることが大事だと改めて感じるので」

――昨年の試合で、失点後に内田篤人選手が守備陣を集めて話し合い、落ちつかせるというような場面が何度かありました。彼のタイミングや言葉は大きいですか?

「もちろんそうですね。今季はリハビリが長く続き、チームを離れていますが、それでも声をかけてくれます。それは僕だけじゃなくて、みんなに言っているんだと思うんですけど、そのタイミングやひと言は、『やっぱり篤人さんだなぁ』って思います。うまいというか、さすがだなぁと。僕も同じ静岡県出身で、子どものころから憧れていた選手のひとり。普段の篤人さんは飄々(ひょうひょう)としていて、なんかこう掴ませないというか、掴めない人なんですけど(笑)。篤人さんはみんなのことを掴んでいると思います」





――加入する前に鹿島に対して抱いていたイメージというのはどんなものでしたか?

「多分、Jリーグでプレーする多くの選手が抱く鹿島アントラーズというクラブに対するイメージがあると思うのですが、『それ』ですね。強いし、優勝するチームという。やっぱりこのクラブでは優勝することが基本だし、そこが他のクラブと比べると多分違うところ。鹿島は唯一特別なチームだと思います。その違いは加入してから感じましたね」

――チームの一員となることで、優勝が基本というクラブのあり方を体感した。

「チームも選手個人個人も普段の練習、1試合1試合への取り組みもリアルに優勝を目指している姿だなと思える。そこが違いましたね。練習の厳しさもそうですし、去年は(小笠原)満男さんともいっしょにやれましたし、やっぱり、一切手を抜かないというところにすごみを感じました。満男さんのすごさについては、よく質問されるんですけど、うまくは答えられません(笑)」

――勝利から逆算する思考や勝者のメンタリティ、自分の立場に関わらず、チームのために戦う献身性とか……本当にいろいろありますからね、きっと。

「もちろん、満男さんだけじゃなくて、ソガさん(曽ヶ端準)、篤人さん、(遠藤)康さんたちはいつも、勝つために何が必要なのかを考えているし、その必要なことを周りに還元してくれる。僕もそこまでの選手にならないといけないと思っています。チームに還元できる存在。プレーもそうですけど、言葉もそうです。そういうことをできる選手が鹿島の選手なんだと思います」


【バックナンバー】
◆土居聖真「ボールを持つのが 怖くなるほど、鹿島はミスに厳しかった」(Sportiva)
◆中田浩二「アントラーズの紅白戦は きつかった。試合がラクに感じた」(Sportiva)
◆中田浩二は考えた。「元選手が 経営サイドに身を置くことは重要だ」(Sportiva)
◆スタジアム近所の子供が守護神に。 曽ヶ端準とアントラーズの幸せな歩み(Sportiva)
◆曽ヶ端準「ヘタでも、チームを 勝たせられる選手なら使うでしょ?」(Sportiva)
◆移籍組の名良橋晃は「相手PKに ガックリしただけで雷を落とされた」(Sportiva)
◆名良橋晃がジョルジーニョから継ぎ、 内田篤人に渡した「2」への思い(Sportiva)
◆レオシルバは知っていた。「鹿島? ジーコがプレーしたクラブだろ」(Sportiva)
◆「鹿島アントラーズは、まさにブラジル」 と言い切るレオシルバの真意(Sportiva)
◆「ジーコの負けず嫌いはハンパなかった」。 本田泰人はその魂を継いだ(Sportiva)
◆「アントラーズの嫌われ役になる」 本田泰人はキャプテン就任で決めた(Sportiva)
◆ユースで裸の王様だった鈴木優磨が 「鼻をへし折られた宮崎キャンプ」(Sportiva)
◆鹿島・鈴木優磨のプロ意識。 いいプレーのため、私生活で幸運を集める(Sportiva)
◆岩政大樹の移籍先は「アントラーズと 対戦しないこと」を条件に考えた(Sportiva)
◆三竿健斗は感じている。勝たせるプレーとは 「臨機応変に対応すること」(Sportiva)
◆三竿健斗は足りないものを求めて 「ギラギラした姿勢で練習した」(Sportiva)
◆森岡隆三が鹿島で過ごした日々は 「ジレンマとの闘いだった」(Sportiva)
◆清水への移籍を迷った森岡隆三。 鹿島と対等での戦いに違和感があった(Sportiva)
◆安部裕葵は中学でプロになると決意。 その挑戦期限は18歳までだった(Sportiva)
◆安部裕葵は断言。「環境や先輩が 僕をサッカーに夢中にさせてくれる」(Sportiva)
◆ジーコが鹿島を称賛。「引き継ぎ、 やり続けたことが成果になっている」(Sportiva)
◆ジーコは意気込む。鹿島のために 「現場に立ち、構築、修正していく」(Sportiva)
◆山本脩斗の鹿島加入時の逸話。 「強化部も僕をよく知らなかったと思う」(Sportiva)
◆鹿島で優勝する術を学んだ山本脩斗。 「満男さんがそれを示してくれた」(Sportiva)
◆鹿島のスカウト担当部長は、 「安部裕葵に柴崎岳と似たものを感じた」(Sportiva)
◆鹿島の選手のJデビュー時。椎本 邦一は「親みたいな気持ちになる」(Sportiva)
◆鹿島から獲得話があった当時、 昌子源は「ダブル浩二」を知らなかった(Sportiva)
◆岩政大樹の言葉に支えられ、 昌子源は「背番号3の魂を受け継いだ」(Sportiva)
◆鹿島以前はMFだった西大伍。 「中盤でプレーしたい欲は消えない」(Sportiva)
◆西大伍が考える鹿島の良さは 「自分たちのサッカーに縛られない」(Sportiva)
◆レアルとの対戦を振り返る植田直通。 善戦との評価は「本当に嫌だった」(Sportiva)
◆植田直通は「いつも難しいほうを選ぶ」 だから鹿島入りを迷わなかった(Sportiva)
◆内田篤人の薫陶を受ける安西幸輝。 「いつか背番号2をつけたい」(Sportiva)
◆伊藤翔は何かを変えたくて移籍を決意 「鹿島には勝ち方を知りに来た」(Sportiva)
◆伊藤翔は海外→日本の移籍で苦労 「小野伸二さんに教育してもらった」(Sportiva)




◆移籍組の犬飼智也は実感。 鹿島は「型」はなくても「コミュ力」がある(Sportiva)


◆【鹿島】キャプテン内田篤人の夏が来る。浦和戦は…(サカノワ)






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プロ14年目、公式戦復帰は8月中旬から下旬の連戦か?


 右ヒザのケガに苦しんできた鹿島アントラーズのDF内田篤人が約4か月ぶりに、全体練習と紅白戦の1部に合流した。その様子がサポーターのSNSの投稿などで報告された。

 アジアチャンピオンズリーグ(ACL)とルヴァンカップはベスト8(準々決勝)、天皇杯は3回戦、そしてJリーグも上位につけ、ここから勝負どころの終盤戦に突入する。

 安西幸輝、安部裕葵、鈴木優磨と昨季ACL制覇に貢献した主力の若手と中堅が一気に欧州に移籍。スーパーサブ的な存在として存在を高めていた金森健志も鳥栖への期限付き移籍が決まった。

 一方、シント=トロイデンVVから”逆輸入”した小池裕太が徐々に頭角を表わし、法政大の日本代表FW上田綺世が当初予定よりも1年半前倒しで加わった。

 そういった血の入れ替えが進むなか、勝利の難しさと喜びを体に染み込ませてきた鹿島の「DNA」である内田が戦列に戻ろうとしている。それもまた1年間のシーズンのなかで、一つの”流れ”ができているようにも感じる。

「チャンスがあれば海外にチャレンジしたほうがいいと思う。行かなければ見えないことが、たくさんある。ステップアップ。そこからドイツ、スペイン、プレミア、セリエAと、トップを目指していけばいい」

 鹿島からの欧州挑戦が相次ぐが、内田は昨季の段階で、そのように言っていた。それでも「最後は勝つ」という、鹿島の令和でのチャレンジでもある。

 7月31日にはアウェーで浦和レッズ戦を迎える。ただ、現在チームは好調をキープしており、そこでの内田のメンバー入りはまだ時期尚早か。公式戦でのトップチーム合流はまだ先と見られる。が、チームへの影響を考え、間もなくベンチに入ることはあるか。もちろん、「それは必ずある」というリバウンドも考慮しながら、復帰の段階を踏んでいく慎重さも求められる。

 8月中旬からは、天皇杯、リーグ戦、ACL、ルヴァンカップと再び怒涛の連戦に突入する。アウェーが続く8月14日の天皇杯の栃木SC戦、17日のJ1リーグ大分トリニータ戦、さらに8月下旬のガンバ大阪、広州恒大、清水エスパルス戦と続く連戦あたりが内田復帰の”Xデー”となるか。加えて、最大で7試合戦う可能性のある浦和戦での起用法もポイントになりそうである。

「二兎(2冠以上)は、本気で追う者しか掴めない。鹿島はそれができるチームだから」

 内田は今季開幕後そんなことを言っていた。昨季はいくつかの犠牲を払うことで、初のアジア王者の座についた。ただ、もっと欲張りに、もっと大胆に、勝利を追求することで、鹿島はさらなる高みに行けるはずだと、内田は信じて、先を見つめていた。

 今季キャプテンに就任した内田が、勝負どころを見逃さず、戦列に戻ってこようとしている。公式戦のピッチに立つのはいつか。プロ14年目、またこれまでにない内田篤人の夏が来る。

[文:サカノワ編集グループ]

Topics:Atsuto UCHIDA’s summer will come!




◆【鹿島】キャプテン内田篤人の夏が来る。浦和戦は…(サカノワ)





◆上田綺世が明かす。決して一択ではなく悩んだ末の「鹿島」だった(サカノワ)






平畠啓史Jリーグ54クラブ巡礼 ひらちゃん流Jリーグの楽しみ方 [ 平畠啓史 ]


複数クラブから打診。最終的に決めた理由は――。


 法政大学のFW上田綺世が、鹿島アントラーズに加入した。7月28日からチームに合流し、8月2日にプロ契約へ移行する。すでに大学に籍を置きながらプレーできる特別指定選手として登録しており、31日のアウェーでの浦和レッズ戦でのデビューもあり得る。

 上田は大学3年に進級すタイミングの今春、2年後に卒業して鹿島入りすると一旦発表していた。それを「前倒し」しての今回の「加入=プロ契約」となった。

 7月26日の記者会見では、日本代表としてコパ・アメリカ(南米選手権)に臨む出発前の段階で、永山一也監督に「この夏から鹿島を中心にプレーしたい」という思いを伝えていたことを説明。永山監督が大会期間中、それが可能であるのか調整し、前倒し加入が決定したということが説明された。

 また、上田は「鹿島」行きを決めた”舞台裏”についても語ってくれた。

 ジュニアユースまでプレーした古巣だから選んだ、というわけでは決してなかったという。

 他クラブからの獲得の話は、「もちろんありました」と上田は明かす。

「鹿島から話をもらった瞬間、『行きます』と即答したわけではありませんでした。数多くのクラブから声を掛けていただき、もちろん椎本さん(邦一/鹿島スカウト部長)とも話をしました」

 鹿島ジュニアユースからユースチームに昇格できず、鹿島学園を経て法政大に進んだ。そして法政大でブレイクを果たし、世代別日本代表入りを果たし、こうしてプロに進む道を切り開いた。

 ただ、鹿島サイドはそんな経緯もあり、上田が古巣には来てくれないのではないか、と予測しているという話を耳にしたという。

「僕はそんなことは全然気にしていませんでした。むしろ、(加入の声を掛けてくれて)嬉しかったです。でも、『だから鹿島に行く』というわけではありませんでした。いろんなチームに練習参加して、そのなかで自分に合うところに行こうと、そこを基準に考えていました。どのクラブも僕のなかではフラットでした」

 そこからいくつか絞り込んでいったなかに鹿島も残った。そして上田は決断を下す。

「サッカー選手としてのキャリアをどのように積んでいくかを考えた時、どこのクラブを選んでも、最終的に行き着くのは、海外か国内であれば鹿島になると思いました。ならば一発目から一番高いレベルに飛び込んでみよう、と。そこで活躍できれば海外や日本代表があり、ダメだったら終わり。それでいいと思い、僕は鹿島に決めました」

 おそらく、そのようにあらゆる思考を巡らせつつ、最終的には感覚を大事にするところもまた、鹿島には合っているように感じる。

 決して一択ではなかったプロへの進む道。しかし辿り着いたのは、鹿島への道だった。

 そして「鹿島アントラーズの上田綺世」として、いよいよ新たなキャリアの一歩を踏み出す。

[取材・文:塚越始]
text by Hajime TSUKAKOSHI


◆上田綺世が明かす。決して一択ではなく悩んだ末の「鹿島」だった(サカノワ)





◆鹿島・上田がJ1デビュー 日本代表・森保監督「持っているものは間違いない」(サンスポ)






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 明治安田J1第16節最終日(31日、浦和1-1鹿島、埼玉)当初の予定を前倒しして鹿島入りした上田がJ1にデビューした。後半44分にピッチに入ると前線でボールタッチ。短い時間にも「素直にうれしかった。いつもとは違う雰囲気で楽しかった」と充実感を漂わせた。

 6月には南米選手権(ブラジル)で日本代表でもプレーした20歳。「ゴールに直結するプレーや動きで、自分の色を出していきたい」と意欲を示し、試合を視察した日本代表の森保監督は「持っているものは間違いない。レベルの高いチームで頑張ってほしい」とエールを送った。

鹿島・土居(先制点をアシスト)

「誰か飛び込んでくれると思って、(伊藤が)よく押し込んでくれた。得点に絡めるイメージがあった」


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◆熱戦はドロー決着…鹿島が伊藤弾で先制も浦和が興梠バースデー弾で追い付く(ゲキサカ)



興梠慎三 Shinzo.Koroki


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[7.31 J1第16節延期分 浦和1-1鹿島 埼玉]

 J1は31日に第16節の延期分を開催し、埼玉スタジアムでは9位の浦和レッズ(8勝3分8敗)と4位の鹿島アントラーズ(11勝4分4敗)が対戦。前半をスコアレスで折り返した試合は、後半32分にFW伊藤翔の得点で鹿島が先制するが、同43分にFW興梠慎三が同点ゴールを奪って1-1のドローに終わった。

 ホームの浦和は7月20日の第20節磐田戦(○3-1)から先発1人を入れ替え、MFエヴェルトンらを先発起用。一方、ここ6戦無敗(4勝2分)で3連勝中のアウェー鹿島は第20節鳥栖戦(○2-1)から先発2人を入れ替え、GKクォン・スンテ、FW土居聖真らがスターティングメンバ―に名を連ね、23日に柏から完全移籍が発表されたMF小泉慶、26日に今季の加入が発表されたFW上田綺世がベンチ入りを果たした。

 前半2分にいきなりゴールを脅かしたのはアウェーの鹿島。DF小池裕太のCKに反応したFWセルジーニョがヘディングシュートを放つも、クロスバーを叩いて先制点を奪うには至らず。すると、浦和が立て続けにゴールに迫る。しかし、同3分にMF関根貴大、FW武藤雄樹とつないだボールからFW興梠慎三が合わせたシュート、同5分に関根のグラウンダーのクロスにフリーで走り込んだエヴェルトンのシュートがともに枠を捉え切れずに先制の好機を逸した。

 その後も両チームともに好機を生み出そうとするが、互いに体を張った粘り強い守備に遭い、なかなかゴールは奪えない。前半39分にはMF青木拓矢の縦パスを武藤がワンタッチではたき、抜け出した興梠が好機を迎えたが、シュートは好反応を見せたGKクォン・スンテに弾き出されてしまった。

 0-0のまま後半を迎えると、浦和ベンチが動いてマウリシオに代えてMF宇賀神友弥を投入。後半5分には武藤が蹴り出したFKからゴール前でフリーになったDF岩波拓也が好機を迎えるも、シュートをジャストミートさせることができなかった。その後もスコアが動かずに試合が進むと、同19分に鹿島はレアンドロに代えて伊藤をピッチへと送り込んで状況を打開しようと試みる。

 後半20分には右サイドのMF白崎凌兵のクロスを伊藤がヘッドで合わせるが、シュートはGK西川周作の守備範囲に飛んでしまった。同23分には右サイドをえぐった関根のグラウンダーのクロスを中央に走り込んだMF長澤和輝が右足で狙うも枠上に外れるなど、ともにフィニッシュまで持ち込みながらもゴールとはならず。

 すると後半32分、PA内まで侵入した土居のクロスをファーサイドの伊藤がヘディングシュート。横っ飛びした西川が必死にかき出したがボールはゴールラインを割っており、鹿島がついに均衡を破る。しかし同43分、左サイドから山中が送ったクロスを興梠がヘディングで突き刺し、浦和が試合を振り出しに戻した。この日が誕生日の興梠にとってバースデー弾となった。すると同44分、鹿島は土居に代えてデビューとなる上田を投入する。

 その後、両チームに勝ち越しゴールは生まれずに1-1の引き分けに終わった。

(取材・文 折戸岳彦)


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◆熱戦はドロー決着…鹿島が伊藤弾で先制も浦和が興梠バースデー弾で追い付く(ゲキサカ)





◆2019明治安田生命J1リーグ 第16節(オフィシャル)






◆◆サッカーダイジェスト / 2019年8月8日号


2019年07月31日(水) 19:33キックオフ 埼玉スタジアム2002
【入場者数】37,265人 【天候】晴、無風、 気温31.2度、 湿度64.0% 【ピッチ】全面良芝、水含み
【主審】西村 雄一 【副審】野村 修 【副審】森川 浩次 【第4の審判員】中村 太

明治安田J1 第16節

伊藤が先制点を決めるも、1-1のドロー決着。アウェイで勝ち点1を獲得

ACLによる日程調整で延期されていた明治安田J1第16節が行われ、アントラーズは浦和レッズと対戦した。試合の均衡が破れたのは77分、土居のクロスに伊藤がヘディングで合わせて先制点を奪った。しかし、88分に一瞬の隙を突かれて失点を喫し、同点に追いつかれてしまう。最後まで浦和のゴールを狙い続けたアントラーズだが、勝ち越し点は奪えず、このまま1-1のドローで試合を終えた。

10日前の鳥栖戦。立ち上がりから激しいボディコンタクトの応酬となった試合は20分にレアンドロがペナルティキックを決めて、アントラーズが先制に成功する。23分に金崎のゴールで同点に追いつかれたものの、35分に白崎が勝ち越し弾を決めて再びリードを奪い、これが決勝点。アントラーズが2-1と勝利を収めた。

球際の激しい試合展開となったが、選手たちは最後まで集中力を切らさずに戦った。指揮官も試合後の会見で、「今日、ピッチに立った14人の選手たちは、本当にインテンシブの高いゲームをしてくれた。その気持ち、その姿勢が、伝わるようなゲームができて非常にうれしく思う。サポーターの皆さんと、しっかりと喜びをわかちあえる試合ができたと評価している」と、選手たちを称えていた。

会心の勝利を収めたチームは2日間のオフを挟んで、火曜日から練習を再開。指揮官は、「何かを新たにやるというよりも、コンディションの調整。あとは浦和のシステムに対して、自分たちのやるべきことを明確にすること。アウェイでの戦いなので、しっかりと良い準備をしていきたい」と、コンディション調整と浦和対策を入念に確認するトレーニングを行い、準備を進めた。





そして、迎えた試合当日。キックオフの約2時間前に先発メンバーが発表された。GKは2試合ぶりの先発復帰となるクォンスンテ。最終ラインは右から永木、犬飼、町田、小池が入った。ボランチは三竿と名古がコンビを組み、サイドハーフは右にレアンドロ、左に白崎。前線はスンテ同様、2試合ぶりの先発となる土居、そしてセルジーニョが務めた。ベンチには、曽ケ端、ブエノ、遠藤、小泉、伊藤、山口、上田が入る。新加入の小泉と上田は、アントラーズ加入後初のベンチ入りとなった。



対戦相手の浦和は直近の磐田戦から先発メンバーを1名変更。磐田戦で退場処分を受けていた柴戸海に代わり、怪我で欠場するとみられていたエヴェルトンが入った。

水曜日のナイトゲーム。座っているだけで身体中から汗を噴き出るような蒸し暑い気候となったが、埼玉スタジアムには続々と背番号12が詰めかけた。ビジタースタンドがアントラーズレッドに染められていく。アントラーズファミリーとともに戦う90分。

19時33分。戦いの火蓋が切って落とされた。

キックオフ直後の前半1分、いきなりアントラーズに決定機が訪れる。左サイドからのコーナーキックを獲得すると、キッカーの小池が鋭いボールを入れる。これにセルジーニョがヘディングで合わせたが、これは惜しくもクロスバーに弾かれ、ゴールには至らなかった。



試合早々に決定機をつくったアントラーズだったが、ここから浦和にボールを握られる展開となる。それでも、アントラーズは4-4-2のブロックを形成し、落ち着いてパス回しに対応。特に武藤、長澤に対しては、最終ラインとボランチがコミュニケーションを密に行い、自由を与えなかった。





浦和に押し込まれていたアントラーズだったが、18分にチャンスを迎える。中盤で相手のプレスを剥がすと、三竿からのパスを受けたセルジーニョがドリブル開始。ペナルティエリア手前まで進入し、シュートを放った。しかし、これは惜しくも枠を外れ、先制点とはならなかった。







ここからアントラーズが立て続けにチャンスをつくっていく。20分には、永木からのクロスにセルジーニョがヘディングシュート、21分にはコーナーキックから町田がヘディングシュートを放ち、浦和のゴールを脅かすも、枠は捉えられなかった。



完全に日が暮れても、肌にまとわりつくような蒸し暑さに包まれた埼玉スタジアムだが、ピッチ上では一つのミスで大きく戦局が変わる緊迫した戦いが繰り広げられた。



32分、まずはアントラーズが相手のミスから決定機をつくる。中盤でボールを拾うと、土居、白崎とパスを繋ぎ、ペナルティエリア右からレアンドロがゴール前へクロス。これにセルジーニョが飛び込んだが、惜しくも相手DFに阻まれた。

39分、今度はアントラーズがピンチを迎える。縦パスを受けた武藤から興梠にスルーパスが通ると、GKとの1対1の局面をつくられ、決定的なシュートを打たれてしまう。だが、守護神クォン スンテが見事に間合いを詰め、左手一本でセーブ。こぼれ球は白崎が素早くクリアし、得点を許さなかった。

前半はこのままスコアレスで終了。指揮官はロッカールームで「味方同士の距離感に気を付けること」、「自分たちがボールを支配する時間を長くしよう」、「もっともっとボールを動かし、シュートを増やしていこう」と伝え、選手たちを再びピッチへと送り出した。





後半立ち上がり、アントラーズは立て続けにシュートを打たれる苦しい時間帯となったが、チーム一丸となってゴール前で身体を張り、攻撃を跳ね返す。
64分、指揮官が動いた。レアンドロに代えて伊藤翔を投入する。









すると65分、交代で入った伊藤にいきなりチャンスが訪れた。右サイドに流れた白崎がクロスを入れると、ファーサイドでフリーになった伊藤がヘディングで合わせる。しかし、これは相手GKの正面に飛び、ゴールネットを揺らすことはできなかった。

決定機を逸したアントラーズは、68分に決定機をつくられてしまう。左サイドを関根に突破され、鋭いクロスを入れられると、ニアサイドで武藤が潰れ、ゴール前で長澤にシュートを放たれる。これは枠に飛ばず、失点には至らなかったが、肝を冷やす場面をつくられてしまった。

残りの試合時間は20分。ビジタースタンドをアントラーズレッドに染めた背番号12から大きなチームコールが送られる。選手たちは力強いスタンドからの声援に呼応するように、攻勢を強めていった。











77分、ついに歓喜の瞬間が訪れた。ハーフスペースで土居がボールを受けると、一度セルジーニョに預けて、ニアゾーンでリターンを受ける。ボールを受けた土居は、相手DFのタイミングを外してクロスを上げると、ファーサイドでフリーになった伊藤がヘディングシュート。これがゴールラインを割った。1-0。アントラーズが先制に成功した。













均衡が破れると、試合は好守が目まぐるしく入れ替わるオープンな展開に突入していった。

85分、アントラーズは2人目の選手交代を行う。セルジーニョに代えて遠藤を投入した。





勝ち点3まで残り時間あと僅か。しかし、一瞬の隙を突かれてしまった。88分、右サイドから山中にクロスを上げられると、ファーサイドで興梠に合わせられ、ゴールネットを揺らされてしまった。1-1。痛恨の失点で同点に追いつかれた。

試合を振り出しに戻されたアントラーズは、失点直後の89分に上田を投入。上田はアントラーズデビュー戦となった。







後半アディショナルタイムは5分。猛暑の影響を感じさせず、選手たちは最後まで球際で身体を張り、貪欲に浦和のゴールを狙い続けた。





しかし、最後までゴールを奪うことは出来なかった。試合終了を告げるホイッスルが鳴り響く。大型掲示板に1-1のスコアが表示されると、一瞬の静寂を経て、猛暑のなかで激闘を繰り広げた選手たちへ、ビジタースタンドに詰めかけたサポーターから拍手が送られた。





次なる戦いは、中2日でアウェイ湘南戦。準備期間は限られているが、可能な限りのリカバリーを行い、総力戦で勝利のみを目指す。今日味わった悔しさを必ず晴らすべく、最善の準備を進めていく。

【この試合のトピックス】
・伊藤翔が明治安田J1第4節札幌戦以来となるリーグ戦16試合ぶりのゴール
・上田綺世がプロデビュー
・小泉慶が移籍後初のベンチ入り

監督コメント

[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・味方同士の距離感に気をつけること。
・自分たちがボールを支配する時間を長くしよう。
・もっともっとボールを動かし、シュートを増やしていこう。

浦和レッズ:大槻 毅
・自分たちの強み、武器をもっと活用するためにボールを速く動かそう。
・押し込んで足を振ろう!!
・トライしろ、チャレンジしろ、振れ、もっと打て、打つんだ!!
・みんなで1つになって、もう一度やるぞ!!

[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
選手たちがこの暑さの中で、プラン通りのゲームをしてくれた。非常にいいゲームだったと思う。ただ、勝ち切るところは、今後、もう1度自分たちでしっかりと突き詰めていこうと話した。次のゲームまで中2日なので、しっかりとリカバリーをしていく。

Q.先制してからのゲーム運びは、どのように評価しているか?

A.ハーフタイムに自分たちがボールを支配して主導権を握っていくということと、簡単にボールを失ってしまうところの修正をしていこうという話をした。先制してからは、もっと効果的に攻撃をすることができたと思うし、自分たちのポジショニングやボールを奪われてからの守備のところを、次の試合に向けて改善していかなければいけないと思う。

Q.残り時間の少ない中で、上田選手をデビューさせたが、どのような指示をしたか?

A.リードしている状態での起用で進めていたが、直前に失点をしてしまったので、少しプランは崩れた。ただ、彼のボックス内での得点力や相手との駆け引きの部分に期待して送り出した。

浦和レッズ:大槻 毅
なんとかいい展開で、いい結果を掴みたいと思っていたが、なかなか難しいゲームだった。暑さもあり、鹿島も自分たちも我慢する展開だったし、お互いに決定機もあった。1-1が妥当なゲームだったと思う。


選手コメント

[試合後]

【伊藤 翔】
(ゴールシーンは)マイナスもGKとDFの間もコースを切られていて、ここしかないというところに、ボールが出てきた。聖真のセンスのおかげ。今年は最後に失点する試合が何度もある。点を取るまでは良かったけど、勝ちと引き分けでは全然違う。今日はそれがすべてだった。

【犬飼 智也】
相手にボールを持たれる形になっても、自分たちは慌てることなくできた。何度か危ないシーンは作られたが、どっしり構える時間もあって、みんなで話し合って、割り切ってできた。ただ、もっとボールを持つ時間がないときついかなと思う。

【町田 浩樹】
勝たなければいけない試合だったし、自分のマークのところで最後やられてしまったことが悔しい。マークは自分がつかなければいけなかったが、相手の逃げる動きについていくことができなかった。本当に申し訳なく思う。

【名古 新太郎】
今日は暑かったが、両チームどちらも同じ条件でやっている。勝てずに悔しい。健斗とバランスを取りながら試合を通してやれていた。ものすごく崩されたわけでもないが、チームのマネージメントとして、(先制後も)2点、3点と、追加点を決めないといけない。個人的にはもっとゴールに絡んでいかないといけない。

【三竿 健斗】
すごく暑い中での試合だったので、両チームともに間延びをしてしまっている展開だった。相手にもビッグチャンスが何度もあったし、自分たちにもチャンスはあった。そのなかで、先制ができた。ただ、ゲームの終わらせ方というところで、同点にされてしまった。このような形は今シーズン何回かあったので、すごくもったいない試合だった。


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