日本サッカー協会(JFA)の審判委員会は1日、報道陣への競技規則の周知を目的としたレフェリーブリーフィングを開き、6月26日に行われたJ1第18節名古屋グランパス対鹿島アントラーズ戦の鹿島FW上田綺世のゴール取り消しについて、扇谷健司審判委員長は「本来、(VARが)介入するのが難しい場面だった」と認めた。
議論を呼んだのは0-0で迎えた前半20分の場面。鹿島はMFアルトゥール・カイキの浮き球パスに反応した上田が巧みな胸トラップから右足でゴールにねじ込んだが、VARの介入によりオンフィールドレビューが行われた結果、上田にハンドがあったとしてゴールが得点は認められなかった。
オンフィールドレビュー時の映像では上田の腕がボールに向かっているようにも見えたが、接触の有無は不明瞭。その際、ボールの回転も変わっておらず、VARの介入基準である「はっきりとした明白な間違い」に照らせば、介入自体に議論の余地が残る場面だった。
扇谷委員長は質問に対して「非常に難しいと思っている」とした上で「現場の判断として判定したのはあるが、やはり違うアングルをまず用意すべきだったと思っている」と述べ、オンフィールドレビュー時に異なるアングルの映像を提示すべきだったと指摘した。
また「もう一つは何をもって“clear and obvious error”(はっきりとした明白な間違い)とするか。なかなか本来介入するのが難しい場面だったとわれわれの中では考えている」と振り返り、介入に疑問が残る場面であったことを認めた。
(取材・文 竹内達也)
◆上田綺世のハンドは「明白」だったのか…JFA審判委「違うアングルを用意すべきだった」「本来介入するのが難しい場面」(ゲキサカ)