日刊鹿島アントラーズニュース
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2013年8月2日金曜日
◆【J1:第18節 名古屋 vs 鹿島】レポート:チーム全員のハードワークが生んだ3得点。手応え十分の快勝劇で名古屋が鹿島にアウェイでの借りを返し、今季初の3連勝で11位に浮上した。(J's GOAL)
http://www.jsgoal.jp/news/jsgoal/00159261.html
7月31日(水) 2013 J1リーグ戦 第18節
名古屋 3 - 1 鹿島 (19:34/豊田ス/15,881人)
得点者:10' ケネディ(名古屋)、41' 玉田圭司(名古屋)、76' ケネディ(名古屋)、90'+3 大迫勇也(鹿島)
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誰かがハードワークしたのではなく、全員がハードワークし、実現した快勝劇だった。鹿島のストロングポイントを封じ込め、名古屋がストロングポイントを存分に発揮した3-1というスコアを構成する“成分”は、今後への大きな自信となるもの。「今日は楢崎からケネディまで、全ての選手が全力を出して素晴らしいプレーをしてくれた」というストイコビッチ監督の賛辞は、ようやくチームが同じ方向性の中で一致団結できたことを意味する。とにかくこの日の名古屋は、すべてにおいてバランスが素晴らしく保たれていた。
不快指数の高い気温・湿度のもと行われたゲームは、やや落ち着かない展開がキックオフからしばらく続いた。ビルドアップは乱れ、縦に速い攻撃も効果が上がらない。双方ともに前線にボールが収まりきらなかったのがその原因だったが、いち早く環境にアジャストした名古屋が先手を取り、試合を動かした。9分、田中隼磨のシンプルなクロスに飛び込んだケネディを青木剛が倒してPKを献上。これをケネディが冷静に沈めた。名古屋はその直前に分厚いサイド攻撃で決定機を作っていたが、自分たちに傾きかけた流れを着実にモノにするあたり、戦力が回復してきたことがうかがえる。その後、16分にダヴィ、25分に大迫勇也、38分には再びダヴィに決定的なチャンスを作られたが、ダヴィの決定機は二度とも楢崎正剛が神がかり的なセーブで防ぎ、大迫はシュートの精度を欠いたことで事なきを得た。「あれが決まっていたら終わっていた」と楢崎は事もなげに振り返ったが、紛れもなく勝敗を左右するビッグプレーだった。
主導権を握って離さない名古屋は効果的なタイミング、理想的な形で追加点も手にする。41分、相手CKをクリアしたこぼれ球を藤本淳吾が奪い取り、一人でカウンターを仕掛ける。ドリブルのコースには3人が立ちはだかっていたが、絶妙の間合いでボールを前に運ぶと、後方から駆け上がってきた玉田圭司に際どいスルーパスを送った。これを玉田が態勢を崩しつつもGK曽ヶ端準の脇を抜く巧みなシュートで流し込んで2点目。自身の3試合連続得点となる今季6得点目は、先制後の試合運びが課題だったチームにこれ以上ない推進力を与えたに違いない。
後半に入ると支配力の差はさらに歴然としていった。鹿島は開始早々にダヴィが負傷退場。その代役として入った本山雅志もわずか23分間の出場時間で負傷退場する不運にも見舞われたが、それ以上に運動量の不足が劣勢を加速させてもいた。涼しく過ごしやすい鹿嶋から不快指数の高い夏の名古屋への遠征が環境的に厳しいことは、両チームOBの秋田豊氏も言っていたが、その影響も否定できないだろう。トニーニョ セレーゾ監督も、山村和也も、暑さについては言及している。山村は「相手もそれは同じ」と言ったが、普段からこの環境で練習している選手の方が動けるに決まっている。不快な環境を名古屋がホームコートアドバンテージに変えた点も、見逃せない要素だ。
しかし、それ以上に際立ったのが、名古屋の守備意識の高さだ。冒頭から触れているが、この日のケネディと玉田のツートップの守備での貢献度は絶大だった。鹿島が得意のショートカウンターを発動できなかったのは、ケネディがDFラインを常に追いかけまわし、玉田は小笠原満男と柴崎岳の両ボランチへのプレッシャーをかけ続けた結果でもある。彼ら二人の働きぶりには味方からも評価の声が相次いだ。「タマが相手のボランチを遅らせてくれるから、ウチのボランチもバタつかないで済んだ」(増川隆洋)、「相手の攻撃のテンポが一つか二つ遅れたりしていたので、守備の陣形を整えることができた」(阿部翔平)、「監督も求めていることだし、後ろの選手も求めていたこと。そういう姿勢が少しでもあれば、チームは勇気づく。後ろもやらなければ、という気持ちにもなる」(楢崎)。また重要なのは守備に奔走するだけでなく、二人で3得点を奪ったことで、「自分たちの守備が無駄にならなかった」という心理状態になれたことだろう。FWとは元来気分屋でわがままな選手である。攻撃に使うべき体力を“流用”してもゴールが奪えると実感できれば、守備の迫力も増強されるはず。それは個人にとってもチームにとっても、好循環が始まることを意味する。
試合は後半に1点ずつを加えて3-1で終了。名古屋としては後半アディショナルタイムでの失点が何とも残念だったが、今季3度目の3得点に充実感は大きい。先制した試合をコントロールして加点し反撃を抑えたということを考えれば、さらに手応えは増す。「今日は準備をしていた戦術をパーフェクトに出すことができた」という指揮官の言葉は、掛け値なしで評価していい。それは敵将の「今日はどちらかといえば中盤の選手よりもDFの選手の方が仕事量が多かったのは事実。ビルドアップをしっかりしていこうと指導しているが、うまくいかなかった」というセリフを見ても明らかだ。
名古屋の阿部は「誰も走り過ぎることなく、まんべんなくプレーができていた」とチームの動きを振り返ったが、それだけ組織のバランスが保たれた状態でプレーできていたことは大きな前進だ。個の力を押し出してきたチームが、組織的にまとまることができればまさに鬼に金棒。アウェイで惨敗した鹿島にリベンジを果たし、上位陣を圧倒したことでかなりの自信も得られている。
「自分たちは下の順位にいるチームではない。少しでも上に行く気持ちで戦っているし、これからもそれを続ける」(玉田)
今季前半戦はこうした言葉が強がりに聞こえた時期もあった。しかし今は違う。個と組織の両輪ががっちりと噛み合って回り出し、自信とハードワークという強力な燃料も搭載した。名古屋は後半戦での巻き返しに向け、この上ない好スタートを切った。
以上
2013.08.01 Reported by 今井雄一朗
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