聖地で圧巻のゴールショー!鹿島が2012年以来の6得点、柏を粉砕!
久々に帰還した聖地で、鹿島が反撃開始を告げる勝利を収めた。J1第17節、柏レイソル戦。猛暑のカシマスタジアム、7月唯一のホームゲームに臨むと、圧巻のゴールショーを披露。2得点の鈴木をはじめ、攻撃陣が爆発して6得点を挙げ、6-2と柏を粉砕した。
4日前、熱帯夜のヤマハスタジアム。永遠のライバルとの激闘は壮絶な打ち合いとなり、そして痛み分けという結末を迎えた。J1再開の磐田戦、3-3の引き分け。アウェイで先制を許し、一時は逆転に成功したものの、連続失点で勝ち越しを許す。それでも後半終了間際、土居が意地の同点弾を決めた。気迫を結果で示してみせた背番号8はしかし、「本当にもったいない試合になった。長い目で見ると、痛い引き分け。優勝するためにやっているので」と、勝ち切れなかった悔しさを隠そうとはしなかった。
次なる戦いは4日後。磐田から鹿嶋へと戻ったチームは、1日のオフを挟んで練習を再開した。猛暑が続くクラブハウスで、選手たちは攻守両面の確認を入念に実施。先発組はリカバリーメニューで心身の状態を整え、そしてトレーニングに打ち込んだ。熱を帯びるグラウンドには、大迫の姿も。鹿嶋から巣立って5年目、ドイツで、そしてW杯の舞台で輝きを放ったストライカーの存在は、チームに大いなる刺激を与えてくれた。
試合前日、多くの背番号12が駆け付けたクラブハウスで、選手たちは最終調整を行った。大迫とともに汗を流し、来たるべきホームゲームに照準を合わせて紅白戦を実施。W杯から戻り、調整を続けてきた昌子の完全合流もまた、チームに活力をもたらす要素だった。かけがえのない経験を積んだチームリーダーは「チームにプラスになるようにやるだけ」と決意を述べている。「彼の存在感はチームの中でも大きい」と、指揮官も期待と信頼を託していた。
「勝つことが何よりも重要な目的なので、良い内容を何とか勝利につなげたい」と抱負を語った大岩監督は、2名の先発変更を断行。センターバックの一角に昌子を復帰させ、右サイドハーフには磐田戦で1アシストの中村を指名した。その他、GKにクォン スンテ、最終ラインは昌子とともに西、犬飼、安西が並ぶ。ボランチは三竿健斗と永木のペアで、2列目は中村と安部。そして前線では土居と鈴木が並んだ。そしてベンチにはGKの曽ケ端、内田、山本、レオ シルバ、田中、金崎、山口が座る。
カシマでのリーグ戦は5月20日以来。猛暑に見舞われた聖地は、背番号12の熱気と情熱で包まれていた。勝利への渇望を声に乗せ、ウォーミングアップへ向かう選手たちに大きなチームコールが降り注がれる。帰還を遂げた昌子には信頼と愛情を込めたチャントが作られ、聖地の空に響き渡った。そして今夜は、ジーコのテクニカルディレクター就任は決まってから初めてのホームゲーム。SPIRIT OF ZICOのビッグフラッグが誇り高く掲げられ、そしてフットボールのある日常が聖地に帰ってきた喜びとともに、戦いの火蓋が切って落とされた。18時33分、キックオフのホイッスルが鳴り響いた。
鹿島は開始1分足らずで土居が敵陣左サイドを突破するなど、立ち上がりから攻勢をかける。昌子と犬飼が鋭い縦パスを通して攻撃の起点となり、最前線の鈴木が体を張ったポストプレーでボールを収め続けた。2列目の安部と中村も、時にはポジションチェンジを敢行しながら最終ラインの背後を取り、西と安西も高い位置を取ってパス交換に参加。人数をかけて攻め込む中、絶え間ないスペースメイクとギャップを突いた動き出しを見せた土居が、潤滑油として攻撃を支えていた。
最初のチャンスは9分、安部が左サイドからクロスを上げ、鈴木がヘディングシュート。相手GKの正面を突いたが、その2分後に歓喜の瞬間が訪れた。ペナルティーエリア右手前でパスを受けた永木が、巧みなループパスを供給。エリア右側のスペースに飛び出し、相手DFの背後を取った中村がトラップから中央へラストパスを送ると、鈴木が倒れ込みながら右足で押し込んだ。4日前、ヤマハスタジアムで無得点に終わった悔しさを滲ませていた背番号9が意地を見せ、鹿島が先制に成功した。
リードを奪った鹿島は高い位置からのプレスで柏に自由を与えず、ショートカウンターからチャンスを作り出す。16分にはパスカットから土居がドリブルで縦へ。ペナルティーエリア手前で鋭い切り返し、そしてスルーパスを通す。エリア右側に抜け出した安部が右足で狙ったが、惜しくも空振りになってしまった。それでも鹿島は得点の予感を存分に漂わせていた。
だが、直後に落とし穴が待っていた。17分、ペナルティーエリア左奥でポストプレーを許すと、ヒールパスからキム ボギョンに左足シュートを決められた。1-1。先制から6分後の失点で、振り出しに戻ることとなった。
追い付かれたとはいえ、鹿島に動揺はなかった。柏にボールポゼッションを許す時間帯が長くなっても、昌子を中心とした守備陣がしっかりと対応。両サイドのスペースを突かれる場面は増えたものの、ゴール前の攻防でしっかりと体を張った。決定機を作らせることなく、30分を経過した。
19時を過ぎても暑さが残る、過酷なナイトゲーム。重要な意味を持つ前半残り15分で、鹿島が底力を見せた。35分経過後はボールポゼッション率で柏を圧倒し、敵陣に押し込み続ける。両サイドを使った攻撃で相手の守備陣を揺さぶり、スペースを的確に突いて押し込んでいく。そして41分、待望の勝ち越し点は背番号9によってもたらされた。ペナルティーエリア右手前でボールを持つと、鋭いカットインから左足を一閃。迷いなく放たれた一撃は、立ちはだかる相手DFに当たり、相手GKが伸ばした手の先を転がってゴールへ吸い込まれる。鈴木のゴールへの渇望が、柏の守備陣を打ち破った。2-1。さらに4分後、またも鈴木が得点を演出した。ペナルティーエリア左側から縦へ突破し、グラウンダーのクロス。狙いすましたラストパス、そこに反応したのは中村だった。右足ワンタッチで合わせ、貴重な3点目を奪った。
ハーフタイムを迎える前の連続得点で、優位に立った鹿島。後半も攻撃の手を緩めず、アントラーズレッドが待つゴールを狙い続けた。4点目は59分、健斗の縦パスを受けた土居が敵陣を縦へ突破。ペナルティーエリア手前からスルーパスを繰り出すと、相手DFのスライディングに阻まれたものの、こぼれ球にいち早く反応して右足で蹴り込む。冷静にコースを突いたシュートが、ゴールネットを揺らした。クラブの歴史を継承する背番号8が、J1通算1500回目のスコアを刻んでみせた。4-1。大量リードを奪い、カシマはさらなる熱気に包まれた。
鹿島の勢いは止まらない。3分後、右サイド深くから健斗がグラウンダーのクロスを供給。ファーサイドに詰めていた安部が押し込み、5点目を記録した。さらに3分後、今度は安西が圧巻のファインゴールを決めてみせる。中盤からの高速ドリブルで柏を切り裂き、敵陣を独走。冷静かつ強烈な一撃をサイドネットに突き刺した。安西、J1初得点。歓喜のジャンピングアッパーで、聖地は祝祭空間と化した。
残り25分、鹿島はリードを保ちながらカウンターで追加点を狙い続けた。結果的に7つ目のスコアは生まれず、逆に終了間際、セットプレーから2失点目を喫したことは反省材料だ。それでも今季最多、リーグ戦では2012年以来となる1試合6得点を記録したことは何よりの収穫だろう。6-2。真夏の連戦、聖地で弾みをつけるゴールショーだった。中断明け3試合で計14得点と、攻撃陣の爆発は止まらない。
次戦は3日後、25日のC大阪戦だ。未消化だった第14節、敵地で迎えるミッドウィークのアウェイゲーム。今季17試合目、折り返しとなるリーグ戦でしっかりと勝利を収め、連勝街道を突き進み始めなければならない。大阪での2連戦、過密日程に打ち勝って勝利を積み重ねるために。今この瞬間から準備は始まっている。
【この試合のトピックス】
・J1最速でクラブ通算1500得点に到達。土居が節目のゴールを記録した。
・鈴木がJ1では自身初となる1試合2得点を記録した。
・土居と安部が2試合連続得点を記録した。
・J1での柏戦は昨年7月2日のJ1第17節以来、2試合ぶりの勝利で3試合負けなしとなった。
・J1でのホーム柏戦は2015年10月17日の2nd 第14節以来、3試合ぶりに勝利を収めた。
・J1での1試合6得点は2012年5月19日の第12節札幌戦(7-0)以来だった。
・昌子が公式戦復帰。5月20日のJ1第15節仙台戦以来の先発出場を果たした。
監督コメント
[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・守備の時、ボールに対して後ろ向きにならず、もっとしっかりと自分のポジションをとること。
・相手のワンボランチ脇のスペースを効果的に使っていこう。
・ビルドアップの時、一人一人がボールにしっかりかかわっていこう。
柏レイソル:加藤 望
・ここからやり返さないと。持っている力をすべて出せ!
・慌てず落ち着いてプレーしていこう!
[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
中断明け、リーグ戦最初のホームゲームという意識をしっかり持たせることができた。選手たちは試合開始から、気持ちの入ったプレーができていた。それが大量得点につながった。しかし、失点の部分、ゲームの締め方という反省点は次に生かして、しっかり改善していきたい。
Q. 中断明けからゴールが取れているが、どういう練習が実を結んでいると感じているか?
A. 中断期間中、ボールの動かし方、ポゼッションする場所、人数のかけ方、スイッチを入れるタイミングなどを改善した。お互いのタイミングが合いだしたと感じている。しっかりとフリーランニングする、相手のウイークポイントを突くといったプレーが、現時点では非常に良くできていると感じている。
Q. 植田選手の移籍によりDFラインが変わったが、現時点での手応えは?
A. この数試合、数人の選手で最終ラインを作ったが、当然、評価できる部分と改善しなくてはいけない部分がある。しかし、手応えはしっかり感じている。犬飼のパフォーマンス、サイドバックも誰が出てもしっかりしたパフォーマンスを出せている。最終ラインとボランチ、中盤を含めて、チーム全体で守備をやっていきたい。
柏レイソル:加藤 望
監督に就任して以来、後半や終了間際の失点、逆転されること、勝ち切れないといった問題点に取り組んできたが、まだまだ改善されていない。選手たちが諦めずに最後まで戦ってくれたことが、今日のゲームの一つの救い。信じて応援してくれている人には申し訳ない結果になってしまったが、必ず選手たちはやってくれるという自信があるので、下を向かずにやっていきたい。
選手コメント
[試合後]
【土居 聖真】
内容と結果が伴う試合になった。失点はあるけど、それ以上に点を取れている。同点にされてからも、1点だけでなく何点も取ろうというチーム全体の意識が高かった。一人ひとりのリズムとテンポがすごくいいので、勢いそのままに点を取り続けていきたいと思う。
【安部 裕葵】
得点シーンでは、健斗くんがあれだけ走って僕にボールを出してくれた。ほぼ9割、周りのゴール。磐田戦でも3点が入っているので、攻撃陣はいい感覚を持てているのではないかと思う。
【安西 幸輝】
走り切ること、クロスを上げ切ること、ゴール前の選手を信頼すること。そういう細かいことが積み重なって、大量得点につながっていると思う。継続してやっていきたい。失点もしているので、修正していきたい。
【昌子 源】
いつも通りのプレーをしようと思っていた。磐田戦で感じたことをそれぞれが考えて、みんながしっかりと戦った結果だと思う。暑い中、チーム一丸で戦った結果だと思う。
【鈴木 優磨】
ゴール前へいかに入っていけるかを意識していて、いいボールが来た。今はいい形で攻撃をすることができていると思う。ただ、ハットトリックを決めたかった。スタジアムの後押しも感じていたので悔しい。ここから連勝街道を進んでいけるようにしたい。
【犬飼 智也】
選手間の距離、攻撃時のポジションがうまくいっている。このコンディションでうまく点を取って勝てた意味は大きいと思う。ただ、2つともいらない失点だった。いい流れでやれている分、あのような失点が命取りになってしまうと思う。やられないようにしないといけない。
【三竿 健斗】
しっかり崩して点を取れている。中断期間に課題として取り組んでいたので、結果につながっているのはいいこと。失点がいつももったいないので、ゼロに抑えないと満足できない。
【永木 亮太】
前半からいい流れでプレーできていた。前節同様、ボールの回し方や攻撃の仕方が良かったので、複数得点を決めるできるだろうと感じていた。その通りの試合になった。セカンドボールや球際にもしっかり行けているので、続けていきたい。
2018明治安田生命J1リーグ 第17節