日刊鹿島アントラーズニュース

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2022年6月12日日曜日

◆日本もやっと…839日ぶりに帰ってきた「声援」サポーターの思いと、解禁へのハードル(報知)






 サッカーのルヴァン杯プレーオフステージ第2戦・鹿島―福岡で、新型コロナ禍後の国内プロスポーツで初めて「声出し応援」が認められた。本格的な解禁に向けた段階的導入で、スタジアム収容率を50%以下とするなど制限をかけ、実証データを計測した。声出し応援は、Jリーグ主催試合では2020年2月23日以来、約2年4か月ぶりとなった。

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 魂の叫びがスタンドから沸き上がった。鹿島ゴール裏の声出しエリアで、コールリーダーが声を張り上げた。「やっと声を出せる!」「ずっと我慢してきた。やっとここまで来た!」「やってやろう!」。J最多20冠の歴史を支えてきた定番のチャント(応援歌)が繰り返されると、感無量で涙を拭う人の姿もあった。

 1758席分が用意された声出し応援席で、マスクを着けたサポーターの「声」が響いた。人数で劣った福岡サポーターも、負けじと熱い思いを歌に乗せ、チームを後押しした。839日ぶりにスタジアムに帰ってきた声援に、視察した野々村芳和チェアマンも“解禁”の瞬間「感激した。胸が熱くなった。選手の気持ちを考えると、グッときた」。他国では、1年ほど前から“解禁”へ舵(かじ)を切る国が相次ぐ。段階的導入ではあるが、日本もやっと、追いついた。

 収容人数制限がなくなった今でも、Jリーグの観客数は伸び悩んでいる。各クラブが集客に苦戦しており、コロナ禍前の水準とは開きがある現状がある。声出しの禁止により、スタジアムから足が遠のいたファンも少なくないと聞く。

 車内で“復習”も兼ねて応援歌を熱唱してから観戦したという20代の女性サポーターは、この2年4か月間もスタジアムに通い続けた。「実際に、コロナ禍で来なくなった人も多くいる。(解禁を機に)人が入りたくなるゴール裏をつくりたい」。初めて声出し応援を体験した20代女性も「今日の応援で、かっこいいなと思った人もいるはず。また来たいと思わせるスタジアムになることが、選手の力につながるはず」と力説した。

 現行制度では、声出し応援を導入した場合、会場収容率を50%以下に制限する必要がある。あるJ1クラブの関係者は「うちは年間指定席だけで(収容率)50%分程度分を発券している。今のままだと導入は厳しい」と語る。この日は気温24度、湿度22%と比較的過ごしやすい環境下での試合だったが、サポーターからはマスク発声について「息苦しかった」「汗で濡れて苦労した」などの声も聞かれた。乗り越えるべきハードルは多い。

 それでも「サポーターを含めたクラブ力で争っていくのがサッカー。早く本来の姿に戻す努力をしていく。一歩ずつ積み上げていく」と野々村チェアマン。日本スポーツ界の先陣を切る形で、大きな一歩を踏み出したことは事実。本格的な声出し解禁への流れが加速し、スタジアムが本来のあるべき姿に戻っていくことを願う。(岡島 智哉)





◆日本もやっと…839日ぶりに帰ってきた「声援」サポーターの思いと、解禁へのハードル(報知)


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