日刊鹿島アントラーズニュース

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2018年7月12日木曜日

◆天皇杯 JFA 第98回全日本サッカー選手権大会 3回戦(オフィシャル)



田中稔也 Toshiya.tanaka 平戸太貴 Taiki.hirato

天皇杯 3回戦

再開初戦、鹿島がゴールラッシュ! 町田を相手に5得点、4回戦進出!

公式戦再開、そして真夏に待ち受ける激闘の幕開けを告げる一戦で、鹿島が力強くリスタートを切った。ミッドウィークの町田市立陸上競技場、天皇杯3回戦。FC町田ゼルビアと激突した鹿島は、西のヘディングシュートで先制に成功して優位に立つと、鈴木の2得点と遠藤の得点、そして相手のオウンゴールもあって5得点を記録。1失点こそ喫したものの、重要な再開初戦で5-1と快勝し、4回戦へ駒を進めた。

鹿島にとって、1ヶ月超のブランクを経て迎えた一戦だった。ロシアW杯開催に伴い、J1は5月20日の第15節を終えて中断に突入。6月6日の天皇杯2回戦を最後に公式戦から遠ざかることとなった。変則的な日程はしかし、貴重な準備期間でもある。クラブハウスでのトレーニング、そして6月20日から1週間に渡って実施した静岡キャンプで、来たるべき激闘の日々へ向けてあらゆる面での強化を図っていった。

静岡キャンプ最終日には中国の天津泰達、そして7月4日には札幌とのトレーニングマッチを実施した。シーズン序盤に躍動を見せた者、定位置奪取を狙う者、そして負傷からの復活を遂げた者。それぞれが胸に秘めた思いとともにピッチに立ち、切磋琢磨を繰り広げていった。そして、ロシアで奮闘する仲間の輝きもまた、選手たちを大いに刺激していた。昌子の意地と気迫、不可欠な存在として君臨した柴崎の煌めき、そしてゴールネットを揺らした大迫――。背番号12もまた、誇りを胸に抱きつつ、次なる戦いを見据えていたに違いない。

指揮官はトレーニングの日々を振り返り、「ビルドアップや中盤でボールを動かす部分、フィニッシュの部分はキャンプで落とし込むことができた」と攻撃面での進化に手応えを掴んだ様子だった。守備についても「ブロックを作る部分、前から奪いに行くという部分を再確認した」と、改めて戦術の徹底を図っている。代表落選の悔しさを糧に、次なる歩みを始めた三竿健斗も「中断期間、みんなで高めることができた」と頷く。ロシアでの日々を経て、闘志を秘めて鹿嶋へ帰還した植田もさっそくトレーニングに合流。仲間たちとともに再び前進を始めた。前日練習を終えると、試合前日独特の緊張感と高揚感がクラブハウスを包む。久しぶりに味わう感覚とともに、チームは町田へと向かった。

「公式戦の再開初戦だし、天皇杯は一発勝負の大会なので『しっかりと集中しよう』という話をした」と明かした指揮官は、ゴールマウスを曽ケ端に託し、最終ラインは右サイドバックに内田、左には安西を指名。代表コンビが帯同メンバー外となったセンターバックには、犬飼と西を並べた。ボランチには健斗と永木、そして2列目は遠藤と安部が務める。そして前線では、土居と鈴木のコンビがゴールを狙う。ベンチにはGKの川俣、復帰を遂げた山本、町田、中村、今季初のメンバー入りを果たした田中、金崎、山口が座る。

町田との対戦は今夜が初めて。野津田に初めて乗り込むアントラーズレッドは、平日のナイトゲームにも関わらず、早くから待機列を成していた。ロシアでの激闘、世界大会の水準を体感しながら過ごした日々を経て、愛するクラブのフットボールがついに帰ってくる――。待ちわびた瞬間を迎えた喜びと勝利への決意が大きなチームコールとなって、野津田の空に響き渡っていた。

18時33分、キックオフ。蒸し暑い中で迎えた一戦、鹿島はしっかりと集中力を高めて時計の針を進めていった。開始早々に鹿島陣内深くまで進出された場面はあったが、ゴール前でしっかりとブロックを構築。決定機を作らせることはなかった。中断明けのノックアウトマッチ、まずは試合への入り方が重要となることは誰もが認識していたが、第一関門はしっかりと乗り越えた。

最初のチャンスは7分、中盤左サイドから鈴木がロングボールを通して右サイドへ展開したプレーを起点に、最後は健斗がペナルティーエリア手前からミドルシュート。攻撃性能向上への意欲を隠さない背番号20の一撃は枠を越えたが、さっそく可能性を示してみせた。

そして10分、野津田の空にアントラーズレッドの歓喜が響いた。遠藤が蹴った右CK、ニアサイドへ飛び込んだ西。抜群の連係を見せる2人のホットラインから、ヘディングシュートが町田のゴールネットを揺らした。センターバックとして攻守両面を支える重要な任務を託された背番号22が、鹿島にリードをもたらした。

人数を割いて中央のスペースを埋め、そして高い位置からプレスをかけてくる町田に対して、鹿島は長距離のサイドチェンジを繰り出して応戦していった。最終ラインの内田や西が的確な判断と卓越した技術で対角線上のボールを何本も通していく。町田の陣形を左右に揺さぶりながら、そして最終ラインの背後を狙う姿勢も見せながら、少しずつ相手を押し込んでいった。

20分、待望の追加点もサイドチェンジが起点だった。最終ラインの内田が鮮やかな軌道のパスを敵陣左サイドへ送ると、安西が正確なトラップから縦へと加速。若武者が繰り出したクロスに飛び込んだのは、常にゴールへの飢えを隠さないストライカーだった。鈴木のダイビングヘッドが決まり、2-0。鹿島がリードを広げた。

20分で2点を先行した鹿島は、シュートまで持ち込む場面こそ多くなかったものの、ボールを保持しながら時計の針を進めていった。曽ケ端が的確なコーチングでチームを支え、犬飼も献身的なプレスとカバーリングを繰り返してピンチの芽を摘んでいく。35分には敵陣左サイドで前を向いた安部が果敢な突破で可能性を示すなど、各選手が持ち味を存分に発揮していた。2-0。リードを保ったまま、ハーフタイムを迎えた。

アントラーズレッドに向かって攻める後半、鹿島は立ち上がりから両サイド深くまで進出してチャンスを作り出した。安西が幾度となく果敢なチャレンジを繰り返し、スピードに乗った突破で推進力となっていく。53分には安部がペナルティーエリア左側から左足を一閃。強烈な一撃は惜しくも左ポストに阻まれたが、若武者2人の躍動が鹿島をさらに加速させた。

60分、この日3つ目のスコアは遠藤の右足から生まれた。町田の守備陣を揺さぶって作り出したスペース、そこから繰り出されたクロス。鈴木には通らなかったものの、相手DFのクリアがゴールへ吸い込まれた。オウンゴール。3-0。さらに3分後にはペナルティーエリア右手前から遠藤が左足でクロスを上げ、ファーサイドの鈴木がダイビングヘッド。背番号9が自身2得点目を記録し、鹿島のリードは4点に広がった。

盤石のリードを手にした大岩監督は、67分に中村を投入。攻撃のさらなる活性化を図る。交代策で反撃に転じてきた町田に押し込まれる場面も増え、75分には一瞬の隙を突かれてミドルシュートを決められてしまったものの、得点を奪いに行く姿勢は最後まで変わらなかった。75分から出場した金崎もまた、前線でのポストプレーで存在感を誇示。前掛かりになる町田に対して鋭いカウンターを繰り返していった。

ゴールラッシュの締めくくりは81分、鮮やかなパスワークで町田の守備陣を切り裂いた。敵陣左サイドでボールを持った中村からのパスを受け、金崎がペナルティーエリア手前で前を向く。エースの選択はシュートではなく、パスだった。エリア右側を並走していた遠藤へと託すと、背番号25が得意の左足でゴールネットを揺らす。5-1。勝利はもはや、揺るぎないものとなった。

再開初戦で大量得点を挙げ、鹿島は力強くリスタートを切った。5得点目の直後にピッチへ送り出され、切れ味鋭い突破と貪欲な姿勢でインパクトを示した田中の台頭もまた、勝利とともに手にした収穫と言えるだろう。次戦は1週間後、18日の磐田戦だ。ついに迎えるリーグ戦再開、そして待ち受ける怒涛の連戦。反撃の夏が、ここから始まる。


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【この試合のトピックス】
・町田との公式戦初対決で、初勝利を収めた。
・曽ケ端がフル出場し、天皇杯で通算61試合目の出場を記録。歴代記録を更新した。
・鈴木が天皇杯で2試合連続となる2得点を記録した。
・田中が今季の公式戦初出場を果たした。

監督コメント
[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛


FC町田ゼルビア:相馬 直樹


[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
中断明けの公式戦1試合目で、いろいろなプレッシャーがある中で選手たちが前向きに、そしてアグレッシブに試合に入ってくれた。その結果、非常に良い試合ができたと思う。1週間後のリーグ戦に向けてしっかりと準備をしていきたい。

Q.中断期間で修正した部分で最も強化、強調してきたことは?

A.今季の前半戦の成績というものがあって、その中で得点が少ないということを課題として中断に入った。キャンプを含めて、トレーニングではビルドアップからポゼッション、フィニッシュまで、意図をもって攻撃を構築していくことに取り組んできた。そしてボールを奪われた後の切り替えの部分、攻撃のためにボールを奪い返すというところにフォーカスして、攻守ともに取り組んできた。今日は前半の入り方で町田に少し勢いを与えてしまったが、その後はしっかりと修正と状況判断をして、90分間、アグレッシブなプレーをしてくれた。取り組んできたトレーニングの成果が少し、結果として現れたと思う。

Q.「少し」という言葉に込めた意図は?

A.選手は非常に前向きに、積極的にプレーしてくれたことは評価している。しかし、試合の中でミスもあったし、もっと精度を上げていかないといけない。1週間後のリーグ戦に向けて、今日の課題に取り組んでしっかりと修正していきたい。

FC町田ゼルビア:相馬 直樹
まずは水曜日のナイトゲームというところで、素晴らしい相手とたくさんの方々が野津田に来てくれて、試合をすることができて良かった。力があるアントラーズが相手で、そこに我々が食らい付く姿をもっと見せたかったというのが正直なところ。早い時間に失点をしてしまったことも含めて、重心が前が掛かり切らないうちに失点してしまった。やはり素晴らしい相手だと改めて感じた。アントラーズはリーグ再開を控える状況で、そのようなメンバー構成で臨んできた相手との対戦だった。簡単ではなかった。私自身が悔しいと思う部分で言えば、スタートから100%、できれば120%、重心が前掛かりになる戦いを見せられなかったことがある。ピッチに入って「うまいな、速いな、強いな」と選手たちは感じたと思うが、そう思う前に「このチームは嫌だな」と相手に思わせることができなかった。それでも全体を通しては、顔を上げ直す場面も作れたし、我々らしい場面を作り出せたプレーもあった。だが、決め切るところでの差を見せられてしまった。下のカテゴリーにいるクラブにとって天皇杯はチャレンジする大会で、次にこのような機会があれば、スタートから最後まで戦い抜くメンタリティーを作れるようにしたい。選手たちは本当に最後までよくやってくれた。それは感謝したい。次の試合も迫っているので、もう一度、顔を上げ直していきたい。

選手コメント
[試合後]

【永木 亮太】
ポゼッションなど、キャンプで取り組んできたことは意識的にできていたと思う。前半の入り方に注意し、集中して入ることができた。自分たちのやりたいことを意識してやれたと思う。

【三竿 健斗】
ビルドアップをしようと話していたし、幅広くプレーできていた。前線へのスプリントは意識してやれたし、キツくなってきた時に走ることもできた。90分を通して相手よりも走れていたと思う。

【犬飼 智也】
町田が片方のサイドに寄ることはスカウティングで分かっていた。2点目の場面は、そこを狙えたから取れたのだと思う。危ないシーンもあったし、J1ならやられていると思う。高い基準を持ってやっていきたい。

【安西 幸輝】
相手が体に寄せてくることは分かっていた。2点目はゴール前が見えていたし、落ち着いて(クロスを)蹴ることができた。結果が出るのは良いこと。リーグ戦再開に向けて弾みになる。リーグ戦につなげたい。

【鈴木 優磨】
得点の場面は当てるだけだった。ビルドアップなど、まだ課題もある。でも、できているところは続けたい。次に向けていい準備をしたい。

【遠藤 康】
相手はリスクを負って前から来ていたので、マークをうまく剥がせればチャンスを作れると思っていた。早い時間で先制点を取れて楽になったと思う。中断期間でいいトレーニングを積むことができていたので、それが自然と試合に出たのだと思う。

【田中 稔也】
「左サイドでボールを持ったら、どんどん仕掛けて自分の良さを出していくように」という指示だった。最初は気合いが入り過ぎていて、ボールが足についていなかった。ずっとコールをしてもらっていたし、聞こえていた。だからこそ点を決めたかった。


天皇杯 JFA 第98回全日本サッカー選手権大会 3回戦

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