[3.7 J1第1ステージ第1節 湘南1-3浦和 BMWス]
嫌な流れを払しょくする同点弾となった。ACLと富士ゼッロクス杯で勝利を挙げられず、公式戦3連敗となった浦和レッズ。そして、J1開幕戦となった湘南戦でも前半36分に先制を許す苦しい展開となっていた。しかし、同41分にFW興梠慎三がチームに勢いをもたらすゴールを奪う。
左サイドで得たFKのチャンス。キッカーを務めたMF宇賀神友弥がボールを蹴り出すと、誰よりも早くボールに反応した興梠がヘディングでネットを揺らした。「いいボールが来たので、触るだけでした」と謙虚にゴール場面を振り返ったが、この場面で接触した興梠は一度ピッチの外に出てしまう。
実は試合前から首を負傷していたようだ。「試合前からむち打ちになっていて、ちょっと(試合に出るのも)厳しいかなとも思っていました。でも、やれるところまでやろうと思っていました」と明かすと、「(得点場面で)接触して、鼻も折れてしまって…。キープもできないので、ピッチ上にいても仕方ないと思ったので交代しました」と話した。
前半だけでピッチを後にすることになった。しかし、負傷しながらもピッチに立ち、魂の同点ゴールを奪った興梠の思いを、チームメイトがしっかりと受け取っていた。後半30分に宇賀神、そして同32分にDF那須大亮がネットを揺らすと、チームはそのまま逃げ切って今季公式戦初勝利を収めたのだ。
「後半のチャンスを皆が決めてくれたので、チーム全体で取れた勝ち点3だったと思います」と仲間を称賛した興梠だったが、「何よりも勝てたのが良かった」と安堵の表情を見せている。
そして、サポーターへの感謝の気落ちを示している。「(3連敗と)ちょっと苦しい状況でしたが、切り替えて開幕戦に臨めたと思うし、サポーターの皆さんが大勢駆け付けてくれて、すごい応援を送ってくれました。選手ももちろん頑張りましたが、今日はサポーターのおかげで勝ち点3を取れたと思います」と笑顔を見せた。
(取材・文 折戸岳彦)