日刊鹿島アントラーズニュース

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2016年8月30日火曜日

◆王者らしからぬ「迷走」ぶり。 アントラーズで何が起こっているのか(Sportiva)


https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/football/jleague_other/2016/08/29/post_1166/

 ファーストステージ王者に、いったい何が起きてしまったのだろうか。

 今季、鹿島アントラーズは、J1ファーストステージを12勝2敗3分けの勝ち点39で制しながら、セカンドステージに入ると3連敗を喫するなど大失速。第10節終了現在、4勝4敗2分けの勝ち点14で9位に沈んでいる。

 ファーストステージで最後まで優勝を争った川崎フロンターレが、セカンドステージでも首位に立ち、好調を維持しているのとは対照的だ。



 鹿島らしからぬ様子は、数字にもはっきりと表れている。ファーストステージでは17試合でわずか失点10と、リーグ最少だったにもかかわらず、セカンドステージでは10試合の時点で早くも失点15。得点に関しては1試合平均1.7点と、両ステージでまったく変わっていないだけに、失点増が足を引っ張っているのは明らかだ。

 本来、鹿島は安定した守備をベースに、”ここぞ”というチャンスを逃さず、確実に仕留めて得点し、きっちり勝ち切るステディな戦いが持ち味である。それこそが、Jリーグ創設当初から変わらぬ強さを支えてきた、鹿島の伝統だと言ってもいい。

 ところが、セカンドステージ第10節の横浜F・マリノス戦を見ても、せっかく先制しながら、守備が落ち着かないまま逆転を許している。本来であれば、先制したあと、前がかりになって攻めてくる相手をいなしながら、したたかに追加点を奪って突き放すのが鹿島である。結果的に同点に追いつき、引き分けに持ち込んだとはいえ、鹿島らしさはすっかり影を潜めてしまっている。

「(1失点目の)失点の時間帯、2失点目のやられ方は反省しなければならない」

 体調不良を理由にベンチを外れた石井正忠監督に代わり、この試合で指揮を執った大岩剛コーチはそう語っていたが、その反省点にこそ、鹿島らしからぬ様子が表れている。

 1失点目は45分。つまり、前半終了間際である。しっかりリードを守って前半を折り返さなければならない時間帯での失点で、相手に勢いを与えてしまったのは明らかだ。

 そして2失点目は、敵陣に攻め込んだ状態から、2次攻撃を仕掛けようとしたところでボールを奪われ、カウンターを受けたものだ。確かに「やられ方」としてはかなり軽率であり、あまりに鹿島らしくない。DF昌子源は「基本的にこういうのが失点パターン。変なところで(ボールを)取られて(失点する)ということが多い」と嘆いた。

 だが、昌子が「何度も危ないシーンを招いた」と話したように、鹿島らしくなかったシーンは失点の場面だけではない。

 例えば、試合開始早々の10分の場面。カウンターからFW伊藤翔にクロスバー直撃のシュートを打たれているのだが、このときも守備の人数は足りていながら、ドリブルで持ち上がってくるDFファビオを誰が潰しにいくのか、はっきりしないままボールを運ばれ、クロスを入れられたところからピンチは始まっている。

 ひとつひとつは些細な判断の遅れであっても、それが連鎖して大きな歪みを生んでいる。チーム全体での守備の仕方が、どこかかみ合っていない。そんな印象は90分間を通じて強かった。これでは失点が増えるのも無理はない。

 しかも、チーム状態がよくないときに、ピッチ外でのトラブルも重なった。

 セカンドステージ第9節の湘南ベルマーレ戦で、途中交代を命じられたFW金崎夢生が激高。石井監督に激しく詰め寄り、日本代表から外される事態にまで発展した。一方で、その石井監督は体調不良を理由に、横浜FM戦のベンチから外れ、試合後には辞意をもらしたという報道も出た。

 こうしたゴタゴタがどこまで試合に影響したのかはわからないが、トラブルが起きること自体、鹿島の現状を象徴する。少なくとも好影響を与えることは決してないはずだ。

 ファーストステージ王者は歓喜のシーズン前半戦から一転、思いもしなかった苦境に立たされている。

 鹿島はファーストステージを優勝したことにより、すでにチャンピオンシップへの出場権を手にしている。そこで勝てば、年間王者になれるわけであり、セカンドステージをどんな成績で終わろうと、関係ないと言えば関係ない。

 だが、現実的には、それほど簡単に気持ちを切り替えられるものではないだろう。

 セカンドステージでの戦いぶりは、直後に行なわれるチャンピオンシップに間違いなくつながる。それを考えれば、チームの立て直しは急務だ。

 このままでは、3連覇を果たした2009年以来となるJ1年間王者の座は遠のくばかりである。

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