日刊鹿島アントラーズニュース

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2020年3月11日水曜日

◆コロナ禍での中断延長に揺れるJリーグを緊急探訪【鹿島】(日刊ゲンダイ)



ザーゴ zago


鹿島アントラーズ栄光の10年—Football dream 1992-2001 ...


「再開したら全然違う姿を見せられる自信がある」(三竿健斗)


 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、18日のJリーグ再開は9日に開かれた日本野球機構(NPB)とJリーグの第2回「対策連絡会議」の答申を受け、NPBは<3月20日の開幕>の延期が決まった。Jリーグは<3月いっぱいまで再延期>(正式には12日のJ実行委員会で決定)となり、最速でも4月第1週に再開はズレ込みそうな気配だ。


 3月最終週の2022年カタールW杯のアジア2次予選2試合の延期も確実となり、同時期開催のU-23(23歳以下)日本代表の親善試合2戦も中止される状況下、延期された期間をどう有効活用するか? Jクラブに問われている。とりわけ2月23日のJリーグ開幕の広島戦を0ー3で大敗した常勝軍団・鹿島には、その意識が強い。彼らは3日に1度のペースで練習試合を行うなど、一生懸命にチームの完成度を高めようとしている。

 2018年AFCチャンピオンズリーグ(ACL)制覇へと導いた大岩剛前監督が去り、今季からザーゴ監督率いる新体制に移行した鹿島。しかし、始動後すぐに迎えた1月28日のACLプレーオフを落として本戦出場権を失ったうえ、2月16日のYBCルヴァン杯の初戦・名古屋戦も落としてしまい、翌週の広島戦も3失点黒星と、1勝もできていない。「今季の鹿島は一体、どうなっているのか?」といった疑問や不安の声がファン、関係者から高まっていた。


■「理解度を高めるいい時間に」


 そんな鹿島だが、J休止決定から約10日が過ぎた3月6日は、非常に明るい雰囲気に包まれていた。春らしい穏やかな晴天の下、かつて柏やローマ、ベシクタシュなどで名を馳せた元DFのザーゴ監督も、13対13のゲーム形式の練習に参加。

 1月の高校サッカー選手権優勝を引っ提げ、静岡学園高校から加わった新人・松村優太と正面衝突すると「ダイジョウブか?」と優しくいたわるなど和気あいあいとした様子が印象的だった。

「ここまでの公式戦3つは<泥のような試合>でしたけど、休止期間に意思統一も図れているし、チームとしても噛み合ってきている。前進している手ごたえはあります」とベテランFWの伊藤翔も笑顔を見せていた。


 彼らからは、コロナ拡大の悲壮感はあまり感じられなかった。この日の時点で茨城県の感染者はゼロだったこともある。

「クラブスタッフも『感染者がいないことが誇りだ』と言ってました。僕自身も消毒を心掛けるなど対策してます」と伊藤は言う。鈴木満強化本部長はマスクをつけて練習を見学していたが、チーム全体としては、FC東京などの都心のクラブのようなピリピリ感はない。こういった状態を維持することが、J早期再開への早道になるだろう。

 もちろん事態は予断を許さないが、鹿島としては、与えられた時間を最大限生かすことが肝心。内田篤人から今季、キャプテンを引き継いだ三竿健斗は「練習試合をたくさんやれているのが大きい」と前向きだ。

「キャンプでは普通、戦術とコンディションの両方を上げるためにやるけど、ウチはオフが短くて合流もバラバラでACLもあり、コンディションを上げることしかできなかった。戦術的なところを今、すごく時間をかけて取り組めてるんで、理解度を高めるいい時間になっています。ザーゴ監督のサッカーは、これまでよりも主導権を握りながら、攻守両面でやっていくというのがコンセプトのひとつ。攻撃の形は試合をやるごとに増えていってますね」(三竿健斗)

 3月に入ってからJ2千葉、群馬と対戦。7日はクラブOBである秋田豊が指揮を執るJ3の盛岡と30分×4本の実戦を消化し3-0で勝利している。

「相手が強くないんで参考にならない部分もあるけど、練習でやってる形が出る場面は確実に増えている。Jが再開したら開幕の広島戦とは、全然違う姿を見せられる自信があります」と三竿は語気を強めた。

 東京五輪世代のFW上田綺世も「今、僕らに必要なのは成功体験をつかむこと。練習試合も重ねてますけど、まずは1勝すること。それがチームの勢いになると思うんで」と勝利に強くこだわっていくという。


■主力の大半は「移籍組」に


 再開後も、生みの苦しみを味わい続ける可能性もゼロとは言えない。

 だが、横浜に在籍した2018年、ポステコグルー監督体制でJ2降格危機を経験をしている伊藤翔は「マリノスも最初は難しかったけど、点を取る基本的な形があった。それがあれば応用も利く。今はまだ基本の<キ>のレベルにいるアントラーズもそうできれば結果はついてくると思います」と目を輝かせた。

 かつての鹿島は小笠原満男(現アカデミーアドバイザー)、大迫勇也(ブレーメン)、柴崎岳(ラ・コルーニャ)のような高卒の生え抜きを育てて常勝軍団のDNAを継承してきた。しかし、今は三竿や伊藤のような移籍組が主力の大半を占める。その分、彼らが以前の所属先で経験してきたことを糧にできるというメリットがあるということ。それを生かすこともザーゴ新監督に課せられた命題ではないか。

「『鹿島らしさ』と言われますけど、満男さんたちがいなくなって選手も変わっているんで、現実を受け止めてやんなきゃいけない。僕自身は満男さんみたいな統率力をクラブから求められている。すごく難しい1年になりますけど、それを乗り越えた先に大きくジャンプした自分とチームが見えると思います」と、新リーダーの三竿も自覚を口にする。

彼を筆頭に、全員が高い意識を持って取り組むことが、新体制の鹿島を爆上げさせる重要なカギになりそうだ。



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